整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

感染

オグシオではなくオグサワ療法

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整形外科では、外来レベルでも外傷の治療をよく行います。抗生剤を処方する機会も多いですが、よく見られるのがフロモックスなどの第三世代のセフェム系経口抗菌薬です。


しかし、これらの経口抗菌薬は腸管からの吸収率が低いため、常用量では有効な血中濃度には達しません。耐性菌を作る結果となるため、あまり良い治療とは言えないそうです。


このような症例ではペニシリン系経口抗菌薬が推奨されます。処方例としては、オーグメンチンが基本になります。


ただし、オーグメンチンは β ラクタマーゼ阻害薬である CVA との配合剤です。単剤ではアモキシシリン(AMPC)の含有量が少ないため増量が必要です。


しかしオーグメンチンを単純に増やすと CVAの投与量が多過ぎて、下痢などの消化管副作用が増えてしまいます。このためアモキシシリン、つまりサワシリンを併用します。


感染症プラチナマニュアルでは、オーグメンチン+サワシリンを「オグサワ療法
と呼んでいます。私は「オグサワ療法を、間違って「オグシオ療法
と覚えていました。。。


オグシオとは、バドミントンの元日本代表の女子ダブルスペアの愛称です。このため、実際に使用しようとした時に、オーグメンチン+シオ・・・何だっけ? となりました。


結局、バタバタと今日の治療薬などで調べて時間を食ってしまった経験があります。オグシオではなく、オグサワ療法ですね。





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感染症治療で最もお勧めの書籍です。Grandeと小さいサイズがあり内容は同じです。小さいサイズの方が安いですが、常に携帯する医師を除けば見やすいGrandeがお勧めです。

バロキサビルの適正使用法

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インフルエンザのシーズンに突入しています。病院には連日何十名ものインフルエンザ患者さんが押し寄せており、院内もインフルエンザウイルスが蔓延していそうです。


そんな危機的状況の中、2018年3月に上梓された新しいインフルエンザ治療薬であるゾフルーザ®(バロキサビル)が、初めてのインフルエンザシーズンを迎えます。


バロキサビルは、タミフル、リレンザ、イナビルなどのノイラミニダーゼ阻害薬とは異なる作用機序を持つ新規の抗インフルエンザ薬です。


このため、バロキサビルはノイラミニダーゼ阻害薬に対して耐性を示すウイルスに対しても有用な可能性があります。


そして、バロキサビルの特徴は単回投与であることです。このため、コンプライアンスに優れており、既存薬から急速に置き換わる可能性が高いと言われています。


もうひとつのメリットは臨床症状の改善効果だけではなく、ノイラミニダーゼ阻害薬よりもウイルス量を減らす力も強く、周囲への感染性が低下する可能性も示唆されています。


ここまでみると良いこと尽くしですが、バロキサビルで治療するとA型では10%程度が耐性化するそうです。ノイラミニダーゼ阻害薬は1~2%なので、大きな課題と言えます。


このため、変異ウイルスの出現がほとんどないB型のみへの処方、および入院中の重症患者さんへのノイラミニダーゼ阻害薬との併用使用が推奨されているようです。







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一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。









姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。








術中低体温は感染の要因?

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手術中の体温が低下すると創治癒不全や感染を併発しやすいと言われています。最初に報告されたのは、1996年の NEJM です。


術中に体温を正常体温に保つ群と低体温のままの群とに割り付けて調べたところ、低体温群が有意に創部の感染が多く、入院期間も有意に長くなると報告されました。


それ以降、いくつかの術中体温に関する報告がありますが、通常の麻酔→手術では中枢温で計測しても、正常体温の36~37度よりも1~2度低下することが多いそうです。


これらの報告を受けて、術中の中枢温を正常体温に維持することの重要性が麻酔科医師を中心に意識されるようになりました。


ただ、術中の中枢温を正常に保つことが、本当に創治癒不全や感染予防に有効なのか否かは、未だに論争が続いているようです。


そして、術中の中枢温を正常に保つことは意外と難しく、ベアハッガーのような温風式加温
装置を長時間使用していると低温熱傷を併発する可能性まで示唆されています。


このように
術中体温を正常体温に保つ是非に対するさまざまな意見や、中枢温を正常に維持する難しさがあるため、実際に日々の手術に導入するのは難しそうです。


しかし、知識として低体温は創治癒不全や感染を併発しやすくなる可能性が高いので、日常臨床においては頭の片隅に置いておく方が良いと感じました。






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初学者がTKAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です






骨感染症に有効なリファンピシン

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人工関節や脊椎インストゥルメンテーションのブドウ球菌による感染症の治療において、リファンピシン(RFP)を併用すると有意に治療成績が向上するという報告が多くあります。


ご存知のように、リファンピシンは結核症の治療薬です。単剤ではブドウ球菌の治療薬とはなりえませんが、ブドウ球菌用の抗生剤との併用で劇的な相乗効果があります。


リファンピシンは骨組織への移行性が良好であり、バイオフィルムを通過できるため高い細胞内活性を示し殺菌的に働きます。


バイオフィルムを通過できる抗菌薬はキノロン系、ホスホマイシン、リネゾイド、ST合剤、リファンピシンなどの抗菌薬に限られます。


人工関節置換後や脊椎インストゥルメンテーション手術後の感染症ではバイオフィルム対策が抗菌薬療法の重要なポイントになるため、リファンピシンは必須と言えます。


感染症プラチナマニュアル 2018 Grande によると、MSSAがターゲットの場合には経静脈投与と経口投与は下記の併用方法が推奨されています。



経静脈投与

  • CEZ 8時間毎 + RFP 300mg 1日2回

経口投与
  • (CLDM、CEX、LVFX)+ RFP



いずれの場合にもリファンピシンがアンカードラッグになっているようです。人工関節や脊椎インストゥルメンテーション術後感染はあまり経験しないので覚えておこうと思います。






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陰圧でHAに抗生剤を含浸させる方法

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先日、感染人工股関節でのリストリクターの記事をアップしましたが、今日はその続編です。何気に感染症系の資料を整理しているとかなり昔の資料を見つけました。


PENTAXのアパセラムの販促資料なのですが「簡便な抗生剤の含浸法と徐放システム
」という内容でした。


アパセラムブロックに抗生剤を含浸してセメントビーズのように使用するという趣旨です。抗生剤は熱に弱いものが多く、セメントピーズでは十分に活性を得ることができません。


セメントの代わりにハイドロキシアパタイトを用いると、熱に弱い抗生剤でも活性を保ったまま徐放できるという画期的なアイデアです。パンフレットの画像を下記に添付します。



222 - コピー



ハイドロキシアパタイトに抗生剤を含浸させる具体的な方法は下記のごとくです。


  1. シリンジと三方活栓を組み合わせる(上図)
  2. シリンジにハイドロキシアパタイトと抗菌薬溶液を入れる
  3. 陰圧をかけるとハイドロキシアパタイトから気泡が出て薬剤が気孔に含浸される


う~ん、なるほどなかなかウマい方法ですね! セファゾリン1gは5㏄ぐらいの生食に溶けるみたいなので、一度試してみたいと思います。







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