整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

医療訴訟

添付文書には逆らうな!

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日経メディカルに興味深い記事がありました。
「添付文書に従わないと裁判で負ける」の誤解 です。


むむっ、これは是非知っておきたい知識です。詳細は上記のリンク先を参照いただきたいのですが、私が知りたいのは結論です。この部分だけ下記に転載させていただきます。




医師は添付文書に記載された注意義務を必ず順守しなければならないものではありませんが、それに反する措置を取った場合には、その合理的理由を明らかにする必要があるといえます。医療機関の主張する理由が当時の医療水準に照らして合理性を有していれば、過失は認められませんし、医療機関において合理的理由が説明できないのであれば、過失が認められることになると考えられます。




う~ん、微妙な結論ですね。記事のタイトルから添付文書に多少従わなくてもOK的なイメージをしていましたが、ほとんど「添付文書に従わないと裁判で負ける」という結論です。


多くの医師が思っているように、添付文書ももう少し要点のみ記載してくれると遵守可能なのですが、記載事項全てに従おうとすると使用することすらままなりません。


だいたい肝機能障害や腎機能障害の患者さんでも問題なくOKな薬剤はほとんど存在しないため、添付文書に100%従うためにには 20~40歳台の健康人にしか処方できません。


身体の悪い人の治療をするために薬剤処方するのに、添付文書で注意喚起(=何か起これば医師が責任取れよ)のオンパレードでは、添付文書遵守は物理的に不可能です。


今回の記事から学んだことは下記です。
  • やはり添付文書に従わないと裁判では基本的に負ける
  • 裁判で負けないためには、従わない理由を診療録に記載する必要がある


う~ん、書いていてイヤになってきました...。






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一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。









姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。








胃管挿入確認 ≠ 胸部X線像

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日本医師会から送られてきた資料の中に、
栄養剤投与目的に行われた胃管挿入に係る死亡事例の分析 という小冊子がありました。以下要約します。 



【胃管挿入のリスク】

提言1

胃管挿入において、嚥下障害、意思疎通困難、身体変形、挿入困難歴などがある患者は誤挿入のリスクが高いことを認識する。


【胃管挿入手技

提言2

誤挿入のリスクの高い患者や挿入に難渋する患者では、可能な限りX線透視や喉頭鏡、喉頭内視鏡で観察しながら実施する。



【胃管挿入時の位置確認

提言3

気泡音の聴取は胃内に挿入されていることを確認する確実な方法ではない。胃管挿入時の位置確認は、X線やpH 測定を含めた複数の方法で行う。特にスタイレット付きの胃管を使用するなど穿孔リスクの高い手技を行った場合は、X線造影で胃管の先端位置を確認することが望ましい。



【胃管挿入後の初回投与

提言4

胃管挿入後は重篤な合併症を回避するため、初回は日中に水(50 ~ 100 mL 程度)を投与する。


【水の投与以降の観察

提言5

投与開始以降は誤挿入を早期発見するため、頻呼吸・咳吹など呼吸状態の変化、分泌物の増加、呼吸音の変化、SpO,低下などを観察する。特に誤挿入のリスクが高い患者は SpO2 のモータリングを行うことが望ましい。



【院内体制・教育
提言6

胃管挿入は重篤な合併症を起こしうる手技であるということを周知し、栄養状態や胃管の適応に関する定期的評価、胃管挿入に関する具体的な 方法について、院内の取り決めを策定する。






この小冊子をみて、胃管挿入が意外なほど危険な医療行為であることに驚きました。もちろん、誤挿入によって重大な事態を招くことは理解しています。


しかし、X線透視・造影、喉頭鏡、喉頭内視鏡、pH 測定まで提言で言及されるとはタダ事ではありません。そして、実際にそこまでやっているところは見たことがないです。


胃管挿入の確認=胸部単純X線像だと思っていましたが、難症例ではそれだけでは危険ということのようです。認識を改めさせられる小冊子でした。






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意外と医師は判例に守られている!

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日経メディカルで興味深い記事がありました。
主治医の過失で上司も法的責任を問われる?です。




ある医療従事者に過失がある場合、本人が責任を負うことに問題はありません。チーム医療で問題となるのは、他の医療従事者も責任を負うかという点です。医療訴訟では、患者側が医療機関の開設者を被告とするケースが多いのですが、患者側があくまで個人の責任を追及したいと考え、医療従事者を被告として加えた場合に、個人の責任の有無が問題となります。



「チーム医療」における医療従事者の責任は、

(1)専門分野が同じ医師間

(2)専門分野が異なる医師間

(3)医師と看護師など他職種との間――の3つに分けて考えることができます。





① 専門分野が同じ医師間の場合


総責任者としては、自ら医療行為をする場合を除くと、主治医が説明をするのに十分な知識、経験を有しているかを見極めることが重要です。


主治医が十分な知識、経験を有している場合には、主治医を必要に応じて指導、監督すればよいだけのようです。つまり、総責任者は、ほぼ免責ということになりますね。




② 専門分野を異にする医師間の場合


専門分野を異にする他の医師の行為については、原則として責任を負わないと考えるのが相当だそうです。つまり、受け持ち患者さんへの他科医師の行為については、免責ですね。




③ 医師と他職種間の場合


指示された医療行為を実施する能力を有する看護師などのコメディカルに対して、診療の補助を指示した場合、そのコメディカルに過失があっても医師は責任を負わないそうです。




このように①~③のパターンをみてきましたが、意外なほどトップに立つ医師は免責されることがよく分かりました。


下位の医師やコメディカルの不始末に対して、過剰に怖がることはなさそうですね。もちろん、監督義務はありますが、心の負担が少し軽くなりそうです。





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医療訴訟を未然に防ぐ?!

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最近、飲み友達に弁護士が増えました。
こうなると必然的に増えることがあります。そう、それは医療訴訟の相談です。


酒の席で相談を持ち掛けて無理やり(?)了承を得て、翌日にメールで資料を送りつけてくる。。。彼らは、なかなかの確信犯ですね(笑)。


さて、ざっくり資料をみると、日本全国いろいろなところで医療訴訟が頻発しています。直接知らない医療機関や大学が多いので、客観的に読むと興味深いことが分かります。


それは「無理筋」な訴訟事案が多いことです。おそらく過去の判例やネット上の知識(?)で無理やり争点化しているのでしょうが、どう考えても実臨床と乖離しているのです。


法律の専門家ではないので、はっきりしたことは言えないですが、裁判になっても患者さん側が勝てる道理が無い事案が多いです。


このような事案がこのまま訴訟に持ち込まれると、医療機関はもちろんのこと、患者さんや弁護士など関係する全員が不幸になります。


もちろん、裁判を考えるような不幸な転帰があったわけですが、客観的にみると不可抗力のことが多い印象です。どの医療機関もおしなべてしっかりとした治療をしています。


このあたりのことを踏まえて、客観的にみて不可抗力であるので、裁判になっても勝つことは難しいという説得(?)を何度か試みました。


不可抗力で発生した事故が、二次災害を生んでいる現実。。。本当に微力ではありますが、未然に防ぐことができればなぁと感じています。






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胸部Xpは地雷原?

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先日、勤務している病院に3年前にTKAを施行した患者さんから電話がありました。

市民検診で肺に異常陰影を指摘されたそうです。


近医に行ったところ、基幹病院へ紹介されました。その基幹病院から3年前の所見の問い合わせがあるかもしれないので、その時はヨロシク的な内容だったそうです。


私は、大急ぎで当時の画像とカルテを確認しました。素人目には肺に明らかな異常所見を認めず、カルテには放射線科医師による「明らかな異常所見なし」との記載がありました。


患者さんには悪いですが、少し安堵しました。 私たち整形外科医は術前検査などで胸部Xpを診る機会が多いですが、自信を持って所見を読影できる人はあまり居ないと思います。


診断の正確さを期すのなら胸部CTですが、全例に施行するのはナンセンスです。 私の場合、次善の策として、放射線科医師に全例読影依頼しています。


放射線科医師は非常勤なので読影結果が返ってくるのに1週間以上かかりますが、 読影結果の確認忘れをしないように、カルテにしつこく「読影結果の確認要」と記載し続けます。


もし医療訴訟になった場合にどうなるのかは分かりませんが、少なくとも責任の所在を放射線科の読影医師に転嫁できるのではないかと思っています。


今回の件で感じたのは、胸部Xpは頻回に施行する検査ではあるものの、思わぬところに落とし穴がありそうだということです。


撮影しっぱなしは論外ですが、自分の読影能力を過信しない方がよいと思います。少なくとも整形外科医的には「consult a doctor」 を心掛けるべきではないでしょうか。






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