整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

医療訴訟

術後感染そのものは医療訴訟の争点にならない?!

このエントリーをはてなブックマークに追加

Doctor's magazine 2023年3月号の医療過誤判例集 vol.237に興味深い記事がありました。腰椎後方椎体間固定術等を受けた患者の術後感染と医師の法的責任です。


何だか長ったらしいタイトルですが、私が「おっ」と思ったのは、現在では感染を起こしたこと自体は争点にならないという点です。


従来、術後感染は病院の中で発生した感染だから、病院に責任があると考える弁護士が少なくなかったそうです。しかし、周知のように術後感染は一定確率で発生します。


このため、感染を起こしたこと自体は争点にならないそうです。恥ずかしながら、私もこのコラムを読むまで、医療訴訟では感染を起こしたことが争点になると思っていました。


どんなに感染対策しても一定確率で発生する有害事象に対して法的責任を負うのはあまりに理不尽だと考えていましたが、実際にはそのようなことは無いようです。少し安心ですね。


しかし、感染を起こしたこと自体が争点にならないう代わりに、早期発見して適切な治療を実施したか否かが争点になるそうです。


なるほど、迅速な対応が必要なようです。まぁ、医師として当たり前のことですが、検査結果を確認し忘れるとかは話になりません。


しかし、日々大量の検査データを確認しなければいけないので、見落としもある一定頻度で発生する可能性があります。見落としは免責されないので注意が必要ですね。






管理人 お勧めの医学書

 
初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です




整形外科研修ノート 改訂第2版



トラブル回避に Ai(オートプシー・イメージング)の選択肢を忘れるな!

このエントリーをはてなブックマークに追加

医療でも、AI(エーアイ)というと、人工知能を思い浮かべる人が多いことでしょう。しかし、Ai(オートプシー・イメージング)の存在も忘れてはいけません。


Ai(オートプシー・イメージング)とは、ご存知のように死亡時画像診断です。患者さんが急変した時には、死因究明の選択肢をご家族に提示する必要があります。


しかし、病理解剖までは二の足を踏みます。ただでさえも突然お亡くなりになって傷心しているのに、更に病理解剖を提案するのは傷口に塩を刷り込むような行為とも言えます。


そこで登場するのがAiです。AiならCT撮像なので、物理的・精神的負担は病理解剖ほどではありません。そのような理由で、私は急変例には Aiを提案することにしています。


ところが、Aiにも欠点は多いです。まず費用負担を誰がするのかという問題があります。死後なので健康保険を使用できません。


急変時には医療機関の立場が弱いので、流れ的に医療機関負担になる例が多いと思います。この点については、国が音頭をとって整備して欲しいところです。


そして肝心の死因確定率ですが、Aiは約30%に過ぎないようです。確かに、私も何度かAiを実施しましたが、死因が確定した経験はありません。


病理解剖での死因確定率が70~80%なので、ずいぶん開きがあります。このため、真に死因を究明するためには、Aiだけでは力不足で病理解剖が必要です。


しかし、実臨床の立場では、遺族とのトラブル回避のためにも、Aiの選択肢があることは強力な切り札になると思います。


実際にAiを実施しなくても、遺族に提案するだけである程度はトラブルの芽を摘むことができるからです。費用負担問題はありますが、Aiの選択肢は覚えておいて損は無いでしょう。






管理人 お勧めの医学書

 
初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です




整形外科研修ノート 改訂第2版



術前検査で癌が見つかり患者さんに感謝されたが...

このエントリーをはてなブックマークに追加

先日、橈骨遠位端骨折の術前検査で胸部の単純X線像を撮影しました。何気にみていると、右肺門の下の方に 1cmぐらいの結節影らしきモノが...。


少し迷いましたが胸部CTを撮像したところ、明確な結節を認めました。シロウト目に見ても悪そうな顔をした結節影です。


さしあたって内科に紹介したところ、肺癌の可能性があるとのことでした。肺癌か否かの気管支鏡での精査が必要とのことでしたが、骨折の治療を優先してまずは手術を行いました。


そして骨折の術後に近くの総合病院で気管支鏡を実施して肺癌確定、その後は間髪空けずに肺切除術を施行したそうです。


先日、その患者さんが骨折の術後フォローで再診されたのですが、感謝されっぱなしでした。曰く、肺癌を見つけてくれたおかげで一命を取り止めたと...。


まだ肺癌が小さかったので根治的治療が可能だったようです。検査での癌見逃しがクローズアップされがちですが、今回のような良い方のパターンは珍しい部類だと思います。


患者さんに感謝されて悪い気はしません。しかしよく考えると、今回はたまたま見逃しませんでしたが、下手したら数年後に見逃しで訴えられていた可能性もあります。


勝って兜の緒を締めよではないですが、これからも胸部の単純X線像などで見逃しを発生させないように注意し続ける必要があると思いました。






管理人 お勧めの医学書

 
初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です




整形外科研修ノート 改訂第2版



血尿を甘く見るな! 医療訴訟になる可能性も

このエントリーをはてなブックマークに追加

整形外科医と言えども、尿潜血プラスの症例を担当することは多いと思います。術前検査では結構な頻度で尿潜血プラスですし、高齢の入院患者さんでも尿潜血は一般的です。


このため尿潜血をみても特に何も感じなくなりがちです。「あー尿潜血ね、よくある検査異常値でしょ」と思っている人も多いはず。


もちろん多くの尿潜血は尿路感染症や尿路結石に付随したものです。このため医師側の緊張感は緩みがちです。しかし、尿潜血の原因が腫瘍である可能性があります。


しかし、血尿診断ガイドラインでは血尿があった場合には、膀胱癌のスクリーニング(尿細胞診を)を追加することは血尿診断ガイドラインで推奨グレードBとされています。


推奨グレードBとは無視できない評価です。大多数の整形外科医は無症状の尿潜血をみてもスルーしているのではないでしょうか。しかしこれは地雷原を歩いているようなものです。


やはり血尿が持続している場合には、泌尿器科に診察依頼するべきでしょう。過剰医療の誹りを受ける可能性はありますが、トラブル回避にはやむを得ずではないでしょうか。






管理人 お勧めの医学書

 
初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です




整形外科研修ノート 改訂第2版



難しい判断をする時には診療録に理由を記載しよう!

このエントリーをはてなブックマークに追加

実臨床では判断に迷う機会が多い


実臨床では正解がありません。特に状態の悪い患者さんや、手術を考えるような症例では、判断に迷う状況を頻回に経験します。


この治療法を選択して結果が悪かったらどうしよう...。このような不安を感じたことの無い医師は居ないはずです。


先日、超高齢者で肺炎を併発している大腿骨転子部骨折の患者さんの治療で迷いました。スルバシリン点滴で肺炎は軽快しました。


しかし、経口摂取が十分ではないため、高ナトリウム血症を併発したのです。私の居るような場末病院ではリソースが少ないので、手術枠にも余裕がありません。


今日を逃せば次に手術できるのは1週間後になります。選択肢は、思い切って今日手術をするのか、1週間待機するのかの究極の選択です。う~ん、困った...。



治療選択の判断理由をカルテに記載


かなり悩みました。高ナトリウム血症の程度が重度でなかったこともあり、勇気を出してその日に手術をすることにしました。


本当にこの判断が正解なのかはイマイチ自信がありません。本当は1週間待機するべきなのではないのか??? しかし1週間も待機したら肺炎が再燃しそうな気がします。


逡巡しながら手術決定しましたが、その日に手術をする判断の思考過程を簡潔に診療録に記載しました。こうすることで仮に結果が悪くても判断理由が第三者に明示されるからです。


後方視的に別の判断が良かった場合であっても、その時点ですべての選択肢を検討して下したという証拠を診療録に残しておくと、トラブルを回避できます。


治療方針決定の判断理由を診療録に残す習慣ができてから、厳しい判断をする際のストレスがやや軽減しました。もし結果が悪くても訴訟で責任を問われる危険性を減るはず...。



まとめ


実臨床では正解が無いので判断に迷う場面が多いです。治療方針決定の判断理由を診療録に残すことで、トラブルを回避できる可能性があります。











管理人 お勧めの医学書

 
初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です




整形外科研修ノート 改訂第2版



アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

管理人の著書

161228 【書影】医師の経済的自由
ビジネスパートナー募集中
産婦人科
株式会社リコー様のインタビュー記事


管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

管理人による m3.com 連載コラム
管理人による幻冬舎ゴールドオンライン連載
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル

医師のための築古木造戸建投資マニュアル 1
REITで実践する不動産投資セミナー
190122
医師のための 金融資産形成術


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール

自由気ままな整形外科医

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

・医学博士
・整形外科専門医
・日本リウマチ学会専門医
・不動産投資家
・超長期金融資産投資家

QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。