整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

THA

THAの私流マイルストーン

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先日の 定型手術ではマイルストーン設定を の続編です。
前回はTKAでしたが、今回は人工股関節全置換術(THA)です。


TKAは手術時間 1時間30分を目標していますが、THAでは1時間を目標としています。佐賀医大などでは30分ほどのようですが、私のような凡人では難しいと考えています。


さて、THAでは寛骨臼側のカップ設置をマイルストーンに設定しています。
ライナートライアルを挿入した時点で 30分ぐらいがまずまずの時間だと思います。



このペースだと、だいたい1時間程度で手術を終了することが可能となるからです。セメントTHAでは、プラス10~20分程度が妥当ではないでしょうか。


THAは TKAと比較して手順が少なく術者の自由度が高いので、個人差が大きくなる印象です。いろいろなこだわりを持って手術をしていると手術時間は延長します。


このため、上記の目標時間はあくまでも私のマイルストーンおよび手術時間です。 関節外科の先生は、自分のこだわりや手技に応じて目標設定されてはいかがでしょうか。





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Baba分類はステム周囲骨折に有用!

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先日、大腿骨ステム周囲骨折に対するバンクーバー分類による治療法選択についての記事をアップしたところ、えにぐま先生より下記のコメントをいただきました。



最近は単純X線写真でバンクーバー分類B1とB2でのステムの緩みの評価が以外と困難なのでBaba分類というもので評価しています。 セメントレスステムのポーラス部に骨折が入っているか入っていないかなので簡便でおすすめです。



Baba分類...恥ずかしながら初めて聴きました。
2018/12月号の Monthly Orthopaedics Vol. 31 No.13に順天堂大学准教授の馬場智規先生の特集がありました。


拝読すると、非常にロジカルで分かりやすい分類です。明らかにバンクーバー分類よりも臨床に即しており、特に術式選択の際には強力なツールになります。



555 - コピー




上図は International Orthopaedics (SICOT) からの転載ですが、ざっくり言うとステムと大腿骨との固着部分に注目した分類です。


セメントレスステムはポーラス部分に、セメントステムは全てセメントマントルに骨折が及んでいるのか否かで、骨接合術で問題ないのか再置換術まで行うのかを選択します。


もちろん、セメントレスステムではポーラス部分に、セメントステムでは全てのセメントマントルに骨折が及んでいると、不安定とみなして再置換術を選択することになります。


バンクーバー分類で骨折型を判断してアタマの中で術式選択を考えていましたが、
この過程が Baba分類を用いることでクリアになります。


今後は、ステム周囲骨折があればバンクーバー分類ではなく Baba分類で治療方針を決定したいと思います。えにぐま先生、ありがとうございました!







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定型手術ではマイルストーン設定を

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人工股関節全置換術(THA)や人工膝関節全置換術(TKA)は定型的な手術です。もちろん、中には難症例がありますが、ほとんどの症例は決まった手順で進んでいきます。


人工関節全置換術はインプラントという大きな異物が体内に留置されるため、感染対策からもできるだけ手術時間を短縮化することが望ましいです。


ただ、やみくもに手術時間短縮化を目指してもなかなか結果が出くいです。このため私は手術工程のマイルストーン、およびクリアする時間を事前に設定することにしています。


例えば TKAであれば、手術時間1時間30分ぐらいがまずまずの時間だと思います。それでは1時間30分で終了するにはどうすれば良いのでしょうか?


TKAは大腿骨と脛骨の処理が交互なのでマイルストーンを決めにくいです。このため私はインプランテーション開始をマイルストーンにして執刀開始から1時間を目標にしています。


このペースだと、だいたい1時間30分程度で手術を終了することが可能となるからです。漫然と手術をするよりも、マイルストーンを設定する方が安定的な手術が可能です。


特に、人工関節前置換術等の定型的な手術に関しては、マイルストーン設定は相性が良いと感じています。関節外科の先生は一度試されてはいかがでしょうか。






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バンクーバー分類による治療選択

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先日、人工股関節全置換術後ステム周囲骨折の方が入院されました。今回は壮年の患者さんで、比較的骨質は良好です。


人工股関節全置換術後ステム周囲骨折の分類は、バンクーバー分類(The Vancouver Classification for Periprosthetic Fractures)が有名です。


バンクーバー分類   

  • type A   転子部
  • type B1 ステム周囲 人工関節が安定
  • type B2 ステム周囲 人工関節が不安定
  • type B3 ステム周囲 骨質が不良で骨片が粉砕している
  • type C   ステムよりも遠位


転位の程度はごく軽度ですが、わずかに
ステムの沈下もみとめます。このため、バンクーバー分類 type B2と判断しました。一般的には下記のような治療方針が選択されます。


  • type A   保存治療
  • type B1 骨折観血的手術
  • type B2 骨折観血的手術+再置換術
  • type B3 骨折観血的手術+再置換術
  • type C   骨折観血的手術



体動時も疼痛自制内ではあるものの、人工関節は不安定化しています。保存治療で骨癒合する可能性もありますが、長期の免荷が必要です。


このため、セオリー通りにロングステム+骨折観血的手術を行うことになりました。ステム周囲骨折の骨折観血的手術+再置換術は難易度が高いですが仕方ありませんね。







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初学者が股関節外科の基礎および治療体系を学習するにあたり最もお勧めの書籍です。日本を代表する執筆陣が股関節外科に関するあらゆる事項を、非常に分かりやすく解説しています。この1冊があれば股関節外科のほぼ全ての疑問点を解消できると思います。


         




頚部骨折でFHRとTHAで成績に差なし?!

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Medical Tribuneに興味深い記事がありました。人工股関節全置換術のメリットは限定的 人工骨頭置換術と差なし、HEALTH試験 です。



高齢の大腿骨頸部骨折患者に対し、人工股関節全置換術(THA)と人工骨頭置換術(HA)のどちらを実施すべきかについては一致した見解が得られていない。こうした中、カナダ・McMaster UniversityのMohit Bhandari氏らは転位型大腿骨頸部骨折患者約1,500例を対象に、THAとHAの有効性および安全性を比較検討する国際ランダム化比較試験(RCT)HEALTH※を実施。その結果、術後2年時の関節機能などはTHA群の方がわずかに優れていたものの、重篤な有害事象の発生率が高かったと米国整形外科外傷学会(OTA 2019、9月25~28日、デンバー)で発表、詳細はN Engl J Med(2019年9月26日オンライン版)に同時掲載された。



股関節外科医の観点からは、大腿骨頚部骨折では FHRよりも THAの方が望ましいと思っていました。特に比較的若年例では、FHRは不定愁訴が多いですから...。


しかし、今回の研究は私の常識を覆す結果でした。まさかの FHR善戦です。研究結果でTHAが思わしくなかった原因は、術後脱臼の項目のようです。


これに関しては術者の経験不足による技量の問題もさることながら、正常股+外傷では THAが意外と難しいことも影響しているのかもしれません。


今回の研究結果は真摯に受け止める必要があると思います。THAとFHRの臨床成績に大差が無いのであれば、あえて割高なTHAを選択する必要はありません。


もちろん、50歳台などの若年者ではTHAの方が望ましいでしょう。しかし80歳オーバーの高齢者であれば、大腿骨頚部骨折=FHRで問題ないかもしれません。






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豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です








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