整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

THA

THAやTKAの両側同時手術

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私が勤めている病院では、同一患者さんに対する両THAや両TKAなどの両側同時手術が多いですが、最近では同一患者さんのTHA+TKAというパターンも増えてきました。


コンスタントに両側同時手術を施行している施設はあまり無いと思われるので、メリット・デメリットについて考察してみました。


まず、両THAや両TKAなどの両側同時手術のメリットですが、やはり患者さんの経済的・時間的負担の軽減が最も大きいです。単純に1回分の入院費と治療時間が削減されます。


あと、両側手術施行例では、術後リハビリテーションが難しいのではないかと思われがちですが、意外なほど片側手術症例と比べて差がありません。むしろ、早い印象さえあります。


主治医の業務負担は、1/2~2/3程度に減ります。手術時には疲労が溜まりますが、それ以上にその患者さんに対する「慣れ」が発生するので、手術時間は短縮することが多いです。


一方、デメリットとしては、1回分の入院費用(約100万円)が無くなるので、長期的にみると医療機関の収益が減ることになります。



あと、片側手術症例と比べて手術侵襲が大きくなるので、術後感染リスクや深部静脈血栓症の併発リスクが上昇するのではないかと危惧されます(幸い、術後感染はゼロです)。


最後に、両側同時手術ではなく、同一患者さんのTHA+TKAというパターンですが、これに関しては、解剖学的な類似性に起因する「慣れ」は発生しません。


もちろん、経済的・時間的負担の軽減という患者さんのメリットは健在です。そして、特に術後リハビリテーションが遅れるという印象もありません。



以上から、両THAや両TKAなどの両側同時手術や、同一患者さんのTHA+TKAというパターンのメリットは大きいものの、それなりのデメリットがあるので慎重に判断するべきでしょう。





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TKA: サイズが大きい症例は難しい?

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先日、人工膝関節全置換術(TKA)がありました。
インプラントの予定サイズは小さめでした。


私の経験では、インプラントのサイズが小さいと、展開が比較的容易であるケースが多い印象です。実際に、この日のTKAでも術野がキレイに展開できてスムーズに手術が終了しました。


逆にインプラントの予定サイズが大きいと身構えます。そして、このことはTHAにおいても同様だと思います。インプラントの予定サイズが大きいほど、手術が難しくなるイメージなのです。


しかし、よく考えてみると、インプラントが大きくなると手術が難しくなる理由は、TKAとTHAで異なるのではないかと思うようになりました。具体的には下記の理由によります。


  • TKA: 大きなインプラントは男性に多く、男性は女性に比べて軟部組織が固いため
  • THA: インプラントのサイズが大きいと、リーマーやインプラントの挿入が難しいため


大筋では、両者とも大きなインプラントは手技が難しくなると思うのですが、具体的な理由は少し異なる印象です。もちろん、極端に小さなTHAが高難度であることは、論を待ちません。






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アウェーでの手術は何かが起こる?!

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先日、アルバイト先の病院で人工股関節全置換術(THA)を施行しました。その病院では基本的には外来しかしていないので、手術室に入ることはほとんどありません。


しかし、外来フォローをしている患者さんで、手術を施行せざるを得ない方がときどき出てきます。地域柄、なかなか他院に振ることは難しいので、やむを得ず執刀することがあります。


普段勤務している病院以外で執刀する手術は、どれだけ手慣れた手術であっても、いつもどおりと言うわけにはいきません。予想外のことが発生しやすいのです。


私はかなり慎重派なので、たとえTHAと言えどもアウェーでの手術の際にはかなり入念に下準備をしていきます。それでも今回は3つも予想外のトラブル(?)が発生しました。




トラブル①


私は術前に透視下に体位の微調整を行っています。術前計画通りにカップを設置することが目的です。ナビゲーションを使用しなくてもかなり正確にカップを設置できるので重宝しています。


しかし、今回は手術台が壊れてしまいました・・・。電源を入れても全く動かないのです。どうも機械関係のトラブルに遭遇することが多いです。


30分ぐらいMEさんが格闘していましたが、うんともすんとも言いません。しかし、ふとした瞬間に動くようになりました。かなり不安定だったので、大急ぎで設定して事なきを得ました。




トラブル②


頭からすっぽり被る人工関節用のヘルメットを使用して手術を行いますが、開始から1時間ぐらいでバッテリーが切れました。今からセメントステムを入れるぞーというタイミングで・・・


経験した方は分かると思うのですが、ヘルメットを被っているときにバッテリーが切れると呼吸できなくなります。1分ぐらい経過するとこのまま死んでしまうのではないかと思うほどです(苦笑)。


騒ぐと酸素消費量が増えるので、バッテリーが交換されるまで ”忍” の字でした。それにしても何故1時間程度でバッテリーが切れるんだろう???




トラブル③


比較的若年男性だったのですが、骨質が異常に悪かったです。髄内洗浄すると、近位の海綿骨が無くなってしまいました・・・。このようなケースはときどきありますが、いずれも高齢女性です。


過大前捻対策でセメントステムを準備していたので事なきを得ました。しかし、ホームでの手術と同様にS-ROM-Aを選択していたら、結構アブなかったと思います。




上記のようにトラブル①②はほとんど予測不能です。②はバッテリーの寿命は大丈夫ですか? ということで回避できそうですが、手術室スタッフに喧嘩を売っていますね(笑)。


③はできるだけシンプルな手術を心掛けているので、THAに関しては少しでもアブナイと思ったらすぐにセメントを使用します。


このように、どんなに手慣れた手術であってもアウェーでの手術は気が抜けません。できるだけ入念に下準備して、退路を確保しながら手術に臨むようにしましょう。





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THA: 骨盤後傾症例は難しい

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先日、急速破壊型股関節症(RDC)に対して人工股関節全置換術を施行しました。今回の患者さんは80歳を超える高齢者で、著明な腰椎後弯と骨盤後傾を認めました。


臥位 - コピー


上記は、臥位での単純X線像正面像です。カップの前方開角が小さく、0~5度ぐらいです。一方、この患者さんの立位での単純X線像正面像は下記です。




立位 - コピー


この画像では、骨盤が極端に後傾しているものの、カップの前方開角は20度ぐらいにみえます。私は臥位よりも立位の状態の方をより重視しています。


このため、カップの前方開角は、どちらかと言えば立位に合わせにいきます。仮にこの患者さんに対して臥位に合わせてカップを設置すると立位時に前方脱臼するリスクが高まります。


このため、術中のカップ設置の際には少し勇気が要りますが、できるだけ前方開角を減じてインパクションするようにしています。骨盤後傾症例は難しいですね。 






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THAと脊椎手術の主治医的気持ち

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外来で術後患者さんのフォローをしていると、自分の気持ちの変化が興味深いです。どういうことかと言うと、施行した手術の種類によって身構え方が異なるのです。


分かりやすく、THA・TKA・脊椎手術(除圧術)の3つのパターンを例示してみます。まず、THAですが、こちらの術後患者さんを診察室に迎え入れる時には緊張感はほとんどありません。


何故なら、術後経過が良好で愁訴がほとんどないことが分かっているからです。もちろん、それなりに可動域制限が残存している症例も多いですが術前よりは改善することがほとんどです。


このため、患者さんの満足度が高く、必然的に主治医としても嬉しい気持ちになります。次にTKAですが、こちらは術後にも疼痛を訴える方が居るのでTHAほど気楽には迎え入れません。


おそらく、股関節と比べて膝関節はより体表面に近いため、感覚が鋭敏であることが原因ではないかと推察しています。逆に股関節の感覚は、膝関節と比べてかなりニブイのでしょう。


最後に脊椎手術ですが、こちらは診察室に迎え入れる際にかなり身構えてしまいます。何故なら症状が100%すっきりすることは、THAやTKAと比べて明らかに少ないからです。


しかも、経過の途中で症状が再燃することもあります。関節リウマチの患者さんとは少し違う感覚ですが、主治医が感じる気持ちは相通じるモノがあります。


これは、私が固定術ではなく除圧術がメインであることが原因なのかもしれません。おそらく固定術ではもう少し手術の切れ味が良いと思います。上記から次のような関係が成り立ちます。


患者さんの満足度
THA>TKA>脊椎手術

症例数の多さ
脊椎手術>TKA>THA

主治医の気楽さ
THA>TKA>脊椎手術



かなり偏見とバイアスのある意見ですね(笑)。私は股関節外科医なのですが、脊椎外科医を尊敬してしまいます。何故なら、私はそこまで精神的にタフになれないからです。


THAでは、手術をすれば結果はだいたい予測できます。しかし、脊椎手術は愁訴が残ることも多々あります。TKAは両者の間ぐらいの感覚でしょうか。


しかし、進歩のスピードや症例数の豊富さを考えると明らかに脊椎手術の勢いが一番です。メインストリームに進むか、苦労を取るかで悩むところですね。






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