先日、寛骨臼回転骨切り術(RAO)後の人工股関節全置換術(THA)がありました。寛骨臼回転骨切り術後の THAは難しいことが多いです。
再手術になるため軟部組織の伸張性が低下していたり、股関節周囲の筋肉が切除されていることに加えて、RAO独特の下記理由があるからです。
- もともと寛骨臼前後壁の形成不全が高度である症例が多い
- 寛骨臼骨片をやや前外方に回すため、前方被覆が大きい症例が多い
①のために寛骨臼のリーミングが難しいですし、②のためにインプラント設置角度をよく考えないと易脱臼性が残ってしまいます。
まだ若手だった頃、名古屋大学へ ERAOの勉強にお伺いしました。長谷川先生があまりにあっさり手術をされるので、感化されて自分でも数例執刀しましたが、やはり難しい...。
しかし、寛骨臼骨片が壊死しないかぎり、THAの時期を遅らせることができるので、適応さえ問題なければ有用な手術だと思います。
THAへのコンバージョンが難しいのは事実ですが、そこは股関節外科医の 1~2時間の頑張りでクリア可能です。最近は人工関節全盛ですが、骨切りも悪くない治療だと思います。