整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

手術の気付き

THA: 軟骨下骨は絶対温存!

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最近経験した人工股関節全置換術(THA)の備忘録を記載します。寛骨臼の形態はひとそれぞれですが、特に下記の症例では軟骨下骨を温存することに注意する必要があります。


  1.  大腿骨頚部骨折後偽関節
  2.  タコつぼ型のOA



①の大腿骨頚部骨折後偽関節ですが、解剖学的な寛骨臼の形態は正常に近いものが多いです。このため、簡単な手術とみなされがちですが、私の感覚ではやや難症例です。


その理由のひとつは、高度の骨脆弱性がベースにあることが多いためです。いつものようにリーミングしていると、あっという間に軟骨下骨を穿破してしまいます。


こうなると、カップがまともに固定できなくなるので要注意です。先日、ほんの1~2秒のリーミングで軟骨下骨を抜いてしまい、冷や汗をかきました。


②の寛骨臼がタコつぼ様の症例も要注意です。大腿骨頭を脱臼できないことが多く、寛骨臼も菲薄化しているため、一瞬のリーミングで軟骨下骨を抜いてしまうことがあります。


①の
大腿骨頚部骨折後偽関節とは違った意味で細心の注意を払ってリーミングする必要があります。少しでも気を抜くと取り返しのつかないことになります。くれぐれもご注意を!






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トーキョーグールに学ぶ手術戦略

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先日、示指PIP関節内骨折の症例に対する手術がありました。
画像を見ると分かりますが、掌側の粉砕骨折で結構厳しい骨折型です。



LR - コピー



掌側から進入してpull-out wireという手もありますが、関節内の陥没している骨片の保持が難しそうです。側方からのプレート固定も難しそう。


そもそも論として、掌側を展開してしまうと屈筋腱の癒着が必発なので、機能温存の観点からはlast choiceになりそうです。う~ん、これはどうしよう。。。


ふと、その時に先日読んだマンガの一場面を思い浮かべました。東京喰種 トーキョーグール:re の 特等捜査官・有馬貴将 vs 隻眼の梟 の戦いです。何じゃそりゃ? ですね(笑)



グール



隻眼の梟 戦」で、二等捜査官だった有馬貴将は、上官の「クインケ」を惜しげもなく大量に使い捨てて戦いました。今回の症例もコレだな! 


整形外科医の武器である「クインケ=C-wire惜しげもなく使って、関節内骨折を整復固定しようという作戦です。



術後 - コピー



結果は上記の通りです。まず、1.5 K-wireを中節骨背側から刺入して中節骨PIP関節面中央の陥没している骨片を挙上しました。適度に曲げては捨てて関節面の整復にこだわります。


そして、中節骨掌側骨片を各種C-wireをintrafocal pinとして用いて整復し、基節骨からのflexion block pin、中節骨基部背側からのblock pin、そして最後はPIP関節固定です。


関節適合性は完全ではありませんが、掌側骨片は粉砕しているため、これ以上圧迫力をかけることはできませんでした。


手術侵襲の割には、いい感じで整復固定できたと思います。最初から手術台にずらりとC-wireやK-wireを並べて手術を行いました。


都度出してもらっていると、待ち時間に整復位を維持できなくなるからです。めったにこのような「贅沢」な手術は行いませんが、症例を選べばアリかもしれません。





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手術の心得12箇条

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先日、母校の会報をパラパラ読んでいると、思わず目を留めた寄稿文がありました。某大学の外科系名誉教授による「手術の心得12箇条」
です。


  1.  手術は前日から始まる一前日には過度の運動や飲酒は慎むべし
  2.  手術は実践であり練習でない ~ 実践の前に練習やイメージトレーニングを
  3.  両手を使え一片手しか使わない者は上達しない
  4.  分担を知り同じことをするな一出血を拭いた後に同じところを拭くな
  5.  一手先を読め ~ 手術書を眼光紙背に徹するぐらい読み、一手先を知れ
  6.  手術はリズムである一万事心得た助手、看護師がついてくれると手を出せば欲しい 器具がポンポン出てきて、リズムよくしかも早く成功裡に終わる
  7.  早くなければ手術でなく手技である ~ 1秒でも無駄にせず早く、出血少なく終わり好結果が達成されてこそ「術」である
  8.  手術が出来るのと治せるのとは違う ~ 悪性腫瘍がそれであり、再発はダメ
  9.  わからない時は何もするな ~ 勇気がいるが現状より悪くしてはならない
  10.  進めぬ時は勇気ある退却 ~ 血管等が立ちはだかってどうしようもない時は退却
  11.  コッヘルの音で技量がわかる ~ 「パチパチ」という音で経験年数がわかる
  12.  糸結びや鉗子さばきで技量がわかる ~ 早くて正確なら術後も好結果



この先生は同門ではあるものの、科が違うことと他大学の元教授なので全く存じ上げませんでした。しかし、内容的には目をひくものがあります。


年代や科がちがうので全てを首肯するわけではないですが、⑪以外は仰せの通りだと思いました。やはり、教授になるだけの方は言うことが違いますね。


上記の12箇条を胸に、
明日からの手術は初心に帰って施行したいと思います。








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願わくば、我に難症例を与え給え?!

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日常診療の中で、難症例に遭遇することがときどきあります。手術に限らず、内科的疾患の合併や何らかの膠原病併発症例などです。


このような症例を担当すると、かなりの心理的プレッシャーになります。もちろん、自分の手に余ると思わえば他科や他院に振るという手もあります。


しかし、小規模民間病院では自分独りで対応せざるを得ない場面も多々あります。こんな経験をされている方は多いのではないでしょうか。


こういう場面は、本当に嫌になって逃げだしたくなりますが、後になって思い返すと成長の原動力となっていることが多いことに気付きます。


私の場合は、透析施設を併設している医療機関に居るので、透析絡みの難症例を散見します。手術までは嫌で嫌で仕方ないのですが、それに対する対策は怠りません。


問題点を洗い出して、それに対する勉強や備えを万全にします。それにも関わらず術中では想定外のことも発生しますが、それを乗り越える過程で新たな気付きを得ます。


このようにして得た気付きは「疾患別の気付きファイル」に追記しており、膨大な量のTIPSをクラウド上に保管しています。クラウドなので、どこからでもアクセス可能です。


このように考えると、難症例が医師としての自分の成長の糧になっていることに気付かされます。そう考えると難症例を経験した方が良いとも言えます。


もちろん、戦国武将・山中鹿之助のように「願わくば、我に難症例を与え給え」と祈ることなどあり得ませんが(笑)







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THA: カップ挿入不能例の対応法

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人工股関節全置換術(THA)では、軟部組織温存とインプラント設置の容易さはトレードオフの関係です。


軟部組織を温存しようとすると、必然的に術中操作を含めたインプラント設置が難しくなります。自分の技量範囲内で可能なかぎり軟部組織を温存するという戦略がベストでしょう。


さて、軟部組織を温存し過ぎると、寛骨臼内にカップを挿入することさえ難しくなります。しかし、せっかく軟部組織を温存してきたのに、この段階で切離するのは虚しい・・・


このような場合にはカップホルダーからカップを外して、カップのみを寛骨臼内に挿入してみることをお勧めします。


これでも厳しいことが多いですが、カップを自由自在に動かせるので、通常は何とか寛骨臼内に押し込むことが可能です。


そして首尾よく寛骨臼内にカップを挿入できれば、下記手法によってカップにカップホルダーを装着します。


  1. カップを用手的に寛骨臼内に挿入不能であれば、ボーン・インパクター等で叩打する
  2. エレバトリウムを内方からカップのスクリューホールに入れて、カップ縁を支点にして梃子の原理でカップをカップホルダーを装着しやすい角度に調整する


少々手間ですが、こうすることで軟部組織を温存した状態でカップを設置することが可能となります。もちろん、難しければ軟部組織を切離する勇気も大事だと思います。






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