整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

手術の気付き

超高齢者の頚部骨折ではセメントを

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先日、90歳台の患者さんの大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭置換術がありました。人工骨頭置換術にはセメントレスステムとセメントステムがあります。



症例に応じてセメントレスステムとセメントステムを選択することが理想的ですが、セメントレスステム1本槍やセメントステム1本槍という施設が多い印象です。



私の所属している大学医局では、基本的にはセメントレスステムです。私自身はセメントもセメントレスも使用しますが、同僚を見ているとセメントレスに傾注している印象です。



セメントレスステム1本槍も悪くないですが、90歳台以上の超高齢者ではセメントステムも検討するべきではないでしょうか。例えば下記症例はイスムスの皮質骨が比較的しっかりしています。




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右股関節が外旋位で撮影されているためイマイチな画像ですが、大腿骨骨幹部はしっかりしているように見えます。この画像だけであれば、セメントレス
ステムで充分と判断できるでしょう。


しかし、実際に大腿骨骨近位部を展開すると、非常に骨が脆弱でセメントレスステムでは到底対応できませんでした。慎重にラスピングしたのですが、カルカーに小骨折を併発しました。


セメントステムをバックアップで準備していたので事なきを得ましたが、セメントレスステムのみでは相当厳しかったと思います。


このように、術前単純X線像で大腿骨骨幹部の皮質骨がしっかりしていても、実際に手術の参考にはならないケースが、特に90歳オーバーの超高齢者では多いと思います。


このため、90歳台以上の超高齢者では、①基本的にセメントステム使用 ②少なくともセメントステムのバックアップは確保しておく ことが必要だと思います。


くれぐれも、術前単純X線像で大腿骨骨幹部の皮質骨が分厚いから、セメントレスステムでOK! という短絡的な発想は避けるべきだと思います。






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股関節外旋位牽引での一工夫

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先日、大腿骨転子部骨折に対して骨接合術を施行しました。今回の方は、骨折部を整復するのに股関節を外旋する必要がありました。比較的珍しいパターンです。


通常は股関節を内旋して手術を施行することが多いので、大腿骨近位部は比較的キレイに観察できます。しかし、股関節外旋位では、どうも勝手が違います。



555 - コピー



そこで、股関節の外旋位を打ち消すために、手術台を健側に傾けてみました。今回は軽度の股関節外旋でしたが、これだけ手術台を傾けても、床に対してようやく中間位です。


手術台の傾きだけで外旋位を打ち消すことは難しい印象です。ただ、手術台を傾けずに手術を施行すると、股関節が外旋しているので非常に分かりにくい透視画像でした。


下肢~股関節の外旋位を、手術台の傾きだけで完全に打ち消すことは難しいですが、可能な範囲で傾けることで、ある程度見やすい透視画像となります。


もし、股関節を外旋しないと整復できないような症例に遭遇したら、今回のように手術台を傾けることで対応するとよいかもしれませんね。




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アウェーでの手術は何かが起こる?!

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先日、アルバイト先の病院で人工股関節全置換術(THA)を施行しました。その病院では基本的には外来しかしていないので、手術室に入ることはほとんどありません。


しかし、外来フォローをしている患者さんで、手術を施行せざるを得ない方がときどき出てきます。地域柄、なかなか他院に振ることは難しいので、やむを得ず執刀することがあります。


普段勤務している病院以外で執刀する手術は、どれだけ手慣れた手術であっても、いつもどおりと言うわけにはいきません。予想外のことが発生しやすいのです。


私はかなり慎重派なので、たとえTHAと言えどもアウェーでの手術の際にはかなり入念に下準備をしていきます。それでも今回は3つも予想外のトラブル(?)が発生しました。




トラブル①


私は術前に透視下に体位の微調整を行っています。術前計画通りにカップを設置することが目的です。ナビゲーションを使用しなくてもかなり正確にカップを設置できるので重宝しています。


しかし、今回は手術台が壊れてしまいました・・・。電源を入れても全く動かないのです。どうも機械関係のトラブルに遭遇することが多いです。


30分ぐらいMEさんが格闘していましたが、うんともすんとも言いません。しかし、ふとした瞬間に動くようになりました。かなり不安定だったので、大急ぎで設定して事なきを得ました。




トラブル②


頭からすっぽり被る人工関節用のヘルメットを使用して手術を行いますが、開始から1時間ぐらいでバッテリーが切れました。今からセメントステムを入れるぞーというタイミングで・・・


経験した方は分かると思うのですが、ヘルメットを被っているときにバッテリーが切れると呼吸できなくなります。1分ぐらい経過するとこのまま死んでしまうのではないかと思うほどです(苦笑)。


騒ぐと酸素消費量が増えるので、バッテリーが交換されるまで ”忍” の字でした。それにしても何故1時間程度でバッテリーが切れるんだろう???




トラブル③


比較的若年男性だったのですが、骨質が異常に悪かったです。髄内洗浄すると、近位の海綿骨が無くなってしまいました・・・。このようなケースはときどきありますが、いずれも高齢女性です。


過大前捻対策でセメントステムを準備していたので事なきを得ました。しかし、ホームでの手術と同様にS-ROM-Aを選択していたら、結構アブなかったと思います。




上記のようにトラブル①②はほとんど予測不能です。②はバッテリーの寿命は大丈夫ですか? ということで回避できそうですが、手術室スタッフに喧嘩を売っていますね(笑)。


③はできるだけシンプルな手術を心掛けているので、THAに関しては少しでもアブナイと思ったらすぐにセメントを使用します。


このように、どんなに手慣れた手術であってもアウェーでの手術は気が抜けません。できるだけ入念に下準備して、退路を確保しながら手術に臨むようにしましょう。





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初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です


    




切断術での神経血管束展開のコツ

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先日、透析症例の足部壊疽に対する下腿切断術がありました。
透析を行っている医療機関では、切断術はメジャーな手術だと思います。


私は、大腿切断術や下腿切断術の際に、神経血管束を展開するのが異常に速いです。 大腿骨や脛骨の骨切が終了してから数十秒で、神経血管束をきれいに展開できます。


もちろん、手術が上手いからではなく、ただ単に神経血管束を展開するコツを知っているからです。そのコツとは下記の2点です。


  1.  解剖学的な神経血管束の部位を熟知している
  2.  指先を用いて神経血管束の展開する
 


特に②なのですが、人体において重要な臓器は脂肪組織に覆われていることが多いです。大腿や下腿レベルでの神経血管束も例外ではなく、脂肪組織の中に鎮座しています。


柔らかい脂肪組織の中にある ” 固い索状物 " の神経血管束は指先で触知することで、容易にその場所を判別できます。


具体的には、脂肪組織の中に指先を突っ込んで、索状物に沿って両手指で剥離します。モスキートやメイヨーで真面目に剥離する医師が多いですが、指先だけでも充分に剥離できます。


ガーゼで神経血管束周囲の脂肪組織を除去すると、更に完璧に神経血管束を展開することができます。なまじモスキートで剥離すると血管壁を破ることがあります。


その点、柔らかい指先なら血管壁を損傷する危険性を軽減できます。ただし、切断術を神経血管束剥離のトレーニングの場とみなしている場合は、このかぎりではありません。


多少時間がかかっても、基本に忠実に剥離操作を行って、神経血管束をきれいに展開すればよいと思います。





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整形外科を志すなら、キャンベル(Campbell's Operative Orthopaedics)は必須でしょう。ペーパー版以外にも、DVDやe-ditionもあって便利です。更にKindle版は約30% OFFで購入可能です。このような辞書的な医学書は、電子書籍と相性が良いと思います。










術中に手軽に指を屈曲固定する方法

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先日、環指の屈筋腱損傷の手術がありました。
環指の尺側側面に達する創があったので、小指が邪魔でした。


通常、患指以外はアルミの手を使用して伸展位で固定するのですが、環指尺側の創だったので、小指伸展ではどうしても邪魔になります。


最初は助手が小指を屈曲させていたのですが、手が足りなくなってきました。その時に看護師さんが、邪魔な小指をシーツ固定用テープで屈曲位に固定するというアイデアを出しました。



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上図が術中の画像なのですが、意外に使えました! 小指がシーツ固定用テープで屈曲位に固定されていることが分かります。


手指を伸展するときにはアルミの手を重宝しますが、手指を屈曲する際にはシーツ固定用テープもなかなか手軽で良いと思います。





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広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく実践的な医学書です。


 







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