整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

手術の気付き

パーフェクトに見える Profemur Xmの注意点

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先日、大腿骨頚部骨折の人工骨頭置換術がありました。
私は、THAはセメントレスですが、術後合併症の少なさから人工骨頭はセメント派です。


では、どのようなステムを使用しているのかと言うと、最近はMicroPortのProfemur Xmというポリッシュテーパー+チェンジャブルネックという「いいとこ取り」の機種です。

profemur-xm-hip-stem-side - コピー

良好な長期成績が見込めるポリッシュテーパーに加えて、セメントステムの欠点である一発勝負的な要素を軽減できるチェンジャブルネックの選択肢はまさに最強に見えます。


では、この一見素晴らしい特徴をもったステムは、実際にはどんな感じなのでしょうか?何度か使用した感想は、このステムにも改善するべき点がいくつかありました。


まず、このステムは近位の形状がバルキーです。メーカーの方にお伺いしたところ、これぐらい大きくしておかないとチェンジャブルネックの強度を保てないとのことでした。


ステムの近位が大きいので、高齢日本人女性のサイズに合いません。多くの症例で、最も小さなサイズのステムを入れることさえ一苦労です。


しかも、最小サイズのステムのみ、ラスプが日本仕様のようで非常にプアです。ラスプ表面の歯が粗なのでなかなかラスピングできず、また術中骨折併発可能性が高まります。


チェンジャブルネックを採用している以上、ステム近位の形状変更は難しそうです。しかしラスプはもう少しマシなものを作成できるはずなので、メーカーは善処して欲しいですね。







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ハンソンピン抜去で一苦労

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先日、ハンソンピンの抜釘を施行しました。ハンソンピンの抜釘は、THAへのコンバージョンの際にしか施行したことがなく初めての経験でした。


何となく嫌な予感がしたので、それなりに頭の中でシミュレーションして臨んだのですが、予想通りなかなか難しい手術でした。


まず、皮膚切開からして大変です。ご存知のようにハンソンピンの皮膚切開長は2㎝程度しかありません。しかし、そんな小切開ではピンを抜去できないのです。


やむを得ず皮膚切開を延長することになりますが、まだまだ難関が控えています。大腿骨外側からピンの尾部が飛び出ているので指先で触知することは可能です。


しかし、透視下に抜去用アタッチメントを装着することはほぼ不可能です。その理由はピン尾部は瘢痕組織に覆われているからです。


この瘢痕組織を小切開+ブラインドで切除して、完全にピン尾部を展開することは至難の業です。このため、直視下にピン尾部が展開できたことを確認する必要があります。


しかし、イメージを使用するために側臥位ではなく仰臥位で手術を施行しています。このため、創内部に光が届かずぜんぜん見えないのです...。


全てを解決する方法は長大な皮膚切開を追加することですが、抜釘するような若年者に対して、2cmの皮膚切開を6㎝に延長するなど、なかなか憚られる選択肢です。


そして苦労してアタッチメントを装着しても、内部のフックだけが抜けてしまい、本体のピンが残ってしまうことが高率にあります。専用抜去器はあるものの、装着が難しいです。


今回の症例では、ピンの抜去器を装着することができなかったため、ラジオペンチで力業で抜去せざるを得ませんでした。


もちろん初回手術よりも手術時間は長かったです。ハンソンピンの抜釘は、なかなか侮れない手術だと感じました。






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肘頭骨折のリングピン使用感は?

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先日、尺骨肘頭骨折に対して、リングピンを使用した関節内骨折観血的手術を施行しました。リングピンを採用した理由は、軟鋼線が絶対に脱転しないことです。


鋼線締結法をおこなう骨折としては、肘頭骨折以外には膝蓋骨骨折があります。自験例では肘頭骨折よりも膝蓋骨骨折の方が多く、いつも問題なくリングピンで手術しています。


この感覚で肘頭骨折の骨接合術を施行したのですが、膝蓋骨骨折と比較して骨が小さいためか、骨周囲の腱成分の割合が、肘頭骨折の方が大きいことに気付きました。


つまり、骨の大きさと比較して骨周囲の軟部組織(腱成分)の割合が大きいため、肘頭骨折の方がリングピンに軟鋼線を通す難易度が高いのです。


かなりリングピンを骨から出さないと軟鋼線を通せなかったため、膝蓋骨骨折と比べてやや苦労しました。しかも、リングピン間の距離が短いため、1本ずつ通すのは一苦労です。


やむを得ず、16Gのサーフロー針で両方のリングと腱を一気に貫いて、これをガイドにして軟鋼線を通しましたが、腱成分の損傷を最小限にするためにかなり気を使いました。


肘頭骨折は腱成分の割合が大きくて骨片自体が小さいため、リングピンの使い勝手はさほど良くないことを学びました。






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TKAの膝蓋前外側皮切は成績良さそう!

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昨年、TKA術後の伏在神経膝蓋下枝損傷の予防に、膝蓋前外側皮切(外側凸の弧状切開)が解決策となる可能性があることをご紹介しました。


あれから何例かこの皮膚切開を実践しましたが、いずれの症例も結果は満足のいくものでした。最初に執刀した症例は、かなり BMIの高い方だったので皮弁排除で苦労しました。


最初に少し苦労したので、この皮膚切開に対する警戒心が出ましたが、それ以降の症例は順調にこなすことができました。振り返ると、従来症例とほとんど差はありません。


さて、肝心の術後の膝関節外側痛ですが、術者の主観の影響が大きいかもしれませんが(笑)、おおむね従来法と比較して疼痛の訴えは少ない印象です。


ただし、それでも詳細に診察すると、脛骨結節の皮膚切開よりやや外側部分に tinel like signのようなニブイ痛みがある人が多い印象を受けました。


従来法では脛骨結節直上部分にあった圧痛部位が、膝蓋骨前外側皮切では外側に移動しているのでしょう。ニーリングできるのはかなり大きいと思います。


伏在神経膝蓋下肢損傷の存在を知ってからは、術後に積極的にプレガバリンを使用することになったことも、術後疼痛軽減に役立っている印象を受けます。


ちょっとしたマメ知識や工夫で術後成績が変化することは興味深いと感じました。やはり、医師たるもの、日々知識のブラッシュアップが必要ですね...。







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初学者がTKAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です






スタチンで術後癒着を予防できる?!

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
スタチンで腹腔内手術後癒着が抑制 英米・大規模コホート研究 です。


抗線維化など多様な作用を有するスタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)は、モデルマウスにおいて癒着形成を抑制するが、ヒトでは評価されていない。米・University of Colorado Anschutz Medical CampusのFrank I. Scott氏らは、英米で2件の大規模後ろ向きコホート研究を実施。

腹腔内手術時のスタチン使用は、術後癒着関連合併症(Adhesion-related complications;ARC)の8~19%低下および術後小腸閉塞の12~20%低下に関連していたことをJAMA Netw Open(2021年; 4: e2036315)に報告した。




これは貴重な報告だと思いました。関節外科では消化器外科ほど術後癒着は問題になりませんが、脊椎外科や手外科領域では神経周囲の癒着は由々しき問題です。


単に安価なスタチンを服用するだけで、術後癒着が 12~20%も低下させることができるのであれば、非常に有用だと思います。


もちろん術後癒着の保険適応はありませんが、脊椎外科や手外科領域の術後症例にはスタチン投与を検討してもよいかもしれませんね。





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