整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

手術の気付き

余った局所麻酔剤で洗浄すると合理的!

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先日、出張先の病院で腱鞘切開術を施行しました。
大学の系列が変わると、手術室でのしきたりも異なることが多いです。


今回は、ばね指に対する腱鞘切開術だったのですが、私にとってはTIPSがあったのでご報告させていただきます。


術後に術野の洗浄を行いますが、私は今まで生食20mlを術野に直接散布してガーゼに染み込ませる方式で洗浄していました。


ところが、この病院では局所麻酔に用いた局所麻酔剤の残り液で洗浄していたのです! たしかに数ccしか局麻剤は使用しないので、大半の局所麻酔剤は残っています。


単なる洗浄なので、生食にこだわる必要はありません。残った局所麻酔剤を洗浄液として使用するメリットは下記の2つです。


  1.  生食20ml分のコストが浮く
  2.  術後の創痛対策に多少は資する???


最も関心したのは上記①ですが、②の効果も多少は期待できるかもしれません。正直言ってこのような廃物利用(?)のアイデアは思いつきませんでした。う~ん、脱帽です。







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Floating Elbow の小経験

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先日、上肢のいわゆる Floating Elbow の手術がありました。具体的には上腕骨骨幹部骨折+橈骨遠位端粉砕骨折です。


下肢の Floating Knee の経験は何度かありますが、上肢の Floating Elbow の手術は初めてです。Floating Elbow は、Floating Knee とは違った難しさがあったのでご報告します。


最も困ったのは橈骨遠位端骨折の方です。最初に上腕骨の髄内釘を施行したのですが、次の橈骨遠位端骨折でターニケットを使用するか否かで悩みました。


橈骨遠位端骨折といっても通常とは異なり、かなり中枢側まで骨折が及んでいました。このため、掌側のロングプレートを選択せざるを得ません。


初めて使用する長いプレートなので、できればターニケット下に手術をしたいところです。しかし、骨折時の腫脹+手術時の侵襲のために、上腕はパンパンに腫れています。


そんな状態の悪い上腕にターニケットを巻いて駆血すると、何か非常に悪いことが起こりそうな気がします...。


当初、肘関節部や前腕にターニケットを巻くことを検討しましたが、神経損傷の可能性やプレートの長さを考えると現実的ではありません。


思い切ってターニケット無しで掌側プレートを当てることにしました。実はターニケット無しで手術を施行したことは何度かあります。いずれも透析症例で鬱血帯になった症例です。


これらの症例ではもともと循環状態が悪いため、さほど術中も出血しません。しかし、今回は健常人なので、実際に展開すると術野は血の海になりました...。


通常、橈骨遠位端骨折は1時間以内に終了しますが、この日はナント1時間30分を超える長い手術になってしまいました。


上肢手術にもかかわらずボスミン生食を使用し、更にはトランサミン静注まで考えたほどです。出血し過ぎて解剖の確認に手間取ってしまい結構大変な思いをしました。


お約束のようにプレートを当てて整復固定すると出血は止まりましたが、Floating Elbow は侮れないという印象でした。





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カップはプレスフィットする必要ナシ?!

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先日、股関節外科における師匠の先生とお話をしました。私の師匠はすごい数の症例を現在進行形で執刀されています。


その先生との雑談の中で、
人工股関節全置換術(THA)のセメントレスカップについての TIPSがあったのでご報告します。


セメントレスTHAのハイライトは、やはりカップ設置でしょう。カップを ①至適位置に ②確実に固定する のは意外と難しいことです。


しかし、②に関してはプレスフィットさせる必要はないのではないか?という話が出ました。たくさん手術をしていると、カップのプレスフィットを得られない症例があります。


このような場合、焦って汗をかきながらリーミングし直します。しかし、カップが多少グラグラ動いていても、きっちりした角度でスクリューで固定できればほとんど問題無いです。


術後にどんどんカップがマイグレーションして再置換術に至ったという症例はほとんど経験がありません。意外とスクリューだけでもしっかりとした初期固定が可能なのです。


もちろん、プレスフィットするに越したことはないのですが、仮にプレスフィットしなくてもスクリュー固定時に角度がずれないことに注意していれば大きな問題にはなりません。


こんなことを言うと学会で怒られそうですが、このような感覚を持っている股関節外科医は案外多いのではないでしょうか?


ただし、プレスフィットしない理由が、カップが着底していない場合や、あまりにプアなリーミングで明らかに偏心している場合は別です。


このような場合には、カップが着底するまできっちりリーミングし直す必要があります。そうは言っても、プレスフィットしなくてもいい! は気持ちが楽になってイイですね!







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筋弛緩剤無しの手術はどんな感じ?

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先日、筋弛緩剤に対するアレルギーのある患者さんの人工股関節全置換術(THA)がありました。筋弛緩剤に対するアレルギーは本物のようです。


このような症例では、絶対に筋弛緩剤を使用できません。普段何気なく手術をしていますが、スムーズに施行可能なのは筋弛緩剤の効用のおかげです。


どういうことかと言うと、筋弛緩剤で筋肉の緊張が取れているので、それほど展開で苦労することなく手術が可能なのです。


筋弛緩剤無しで手術を施行すると、筋肉の緊張が取れないため展開が非常に難しくなります。それでは、筋弛緩剤に対するアレルギーがある場合、どうすればよいのでしょうか?


下肢の手術の場合、腰椎麻酔もしくは硬膜外麻酔併用の全身麻酔手術となります。上肢では腕神経叢ブロック併用での全身麻酔手術となるのでしょう。


2例ほど経験した感想は、腰椎麻酔をしっかり効かせると普段の手術と変わりなく施行可能ということでした。





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THA: スクリューにドライバーを誘導するTIPS

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先日、人工股関節再置換術がありました。
再置換術の際に、ちょっとしたTIPSを発見したのでご報告します。


カップのスクリューを抜去するときに、上方などの角度が付いているスクリューヘッドにドライバーを誘導するのは難しいと思います。


なかなかスクリューヘッドにドライバーが噛み合わずイライラすることも多々あるのではないでしょうか? 細かい作業を続けていると肩も凝ります。


そんな時に有用なTIPSがあります。それは、ドライバーのハンドル部分を外して先端のドライバー部分のみでスクリューヘッドに嚙み合わせるのです。


ハンドル部分を持っているとドライバー先端の誘導が粗くなってスクリューヘッドに噛み合いません。ところがドライバー部分を直接把持すること、格段に操作性が良くなるのです。


カップのスクリューを抜去する時以外にも、一度挿入したスクリューの増し締めの際にも威力を発揮します。機会があれば是非試してみてください。






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