整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

手術の気付き

大腿骨転子部骨折回旋転位の補正法

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先日、不安定型の大腿骨転子部骨折の手術がありました。不安定型骨折では骨膜の連続性が破綻しているため、牽引しても充分な整復位を獲得できないことが問題となります。


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今回の症例は粉砕しているものの、骨膜連続性が破綻しているか否かは牽引するまで分かりませんでした。骨膜破綻に気付いたのは牽引しても全く整復できなかったからです。


骨膜が破綻すると、近位骨片は外旋筋群に引っ張られて過度に外旋します。ある程度骨膜に連続性がある場合には、下肢を内旋位で牽引することで近位骨片は整復されます。


しかし、骨膜の連続性が完全に破綻すると、下肢を内旋位で牽引すると回旋転位が増大するだけです。このような場合には下肢を近位骨片に合わせて外旋位で牽引する必要があります。


下肢を外旋位で牽引すると骨折部の透視が非常に分かりづらくなります。このため、手術台を健側下に傾けて近位骨片の外旋位を補正する必要があります。



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上図では、健側である右側を傾けて、骨折部が内外旋中間位となるように調整しました。こうすることで綺麗な整復位を得つつ、ストレス無く手術を施行することができます。


牽引しても全く整復できないときには焦りますが、回旋転位に関しては今回のような方法で対応することが可能です。大腿骨転子部骨折のちょっとしたTIPSをご紹介しました。






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超高齢・大腿骨転子部骨折の当日手術

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先日、久しぶりに当日手術を行いました。今回の方は90歳台後半の方で、時間の経過とともに状況がどんどん悪化することが予測されました。


他院からの転院依頼だったのですが、前医が気を利かせて絶飲食にしてくれていたのが幸いでした。これはやるしかないだろう!


当日手術では、①患者さんの状態把握 ②各部署とのスムーズな連携 が必須です。この2点を達成できなければ施行することは困難です。


まず①患者さんの状態把握ですが、高齢者の大腿骨転子部骨折に対する当日手術で、私がチェックしているのは下記のごとくです。これについてはこちらでまとめています。

  1.  心機能
  2.  高度弁膜狭窄症の有無
  3.  腎機能
  4.  重度肺炎の有無 


②各部署とのスムーズな連携では、先日ご紹介した対応が吉です。面倒でも麻酔科医師や手術室スタッフ・病棟スタッフに、電話で直接きっちり根回ししておきます。


ひたすら動き回った1日でしたが、術後経過は良好で当日手術が奏功したようです。高齢者の大腿骨近位部骨折では、可能な限り早期に手術を施行することが救命率向上に寄与します。


当日手術は、整形外科医だけではなくコメディカルのスタッフにもかなりの負荷をかけてしまいますが、患者さんを通しての社会貢献だと思ってがんばり続けたいと思います。 





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偽関節手術の雑感

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先日、鎖骨の偽関節手術がありました。
単なる鎖骨骨折の手術と異なり、偽関節手術は気を遣います。


まず基本にしたがって、偽関節周囲は骨膜に皮質骨をつけながら、ノミで鎖骨本体を展開します。よく切れるノミでないと、皮質骨付きで骨膜をきれいに剥離できません。


偽関節部には、ある程度の仮骨形成を認めるため、新鮮骨折のように骨折部(偽関節部)がぴったり合うことはありません。できるだけ接触面積を広くするように断端を形成します。



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今回もかなり偽関節部の骨を切除して断端を形成しましたが、それでも少し間隙があるように見えます。この骨端の形成作業が難しいです。





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次に、偽関節周囲に大量の自家骨移植を行います。これでもか! というほどてんこ盛りのすることがポイントです。





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術後の単純X線像でも、偽関節部の全周性に移植骨が存在することを確認できます。ちょっとやり過ぎではと思うぐらいで充分だと思います。


毎回思うのですが、偽関節手術は気を遣うし手技も煩雑です。ちょっとオーバーインディケーション気味ですが、新鮮鎖骨骨幹部骨折も手術をする方向に趣旨変えしようかな・・・






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周術期の甲状腺機能低下症の問題点は?

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外来をしてると、既往歴に甲状腺機能低下症の患者さんが多いことに気付きました。かなりの頻度なので、最近では甲状腺機能低下症と言っても何も感じなくなっていました。


ところが、先日の手術症例で、麻酔科医師から甲状腺機能低下症で何の検査もしていないことを指摘されました。甲状腺機能低下症の一体何が問題なのか?


麻酔科医師に確認したところ、私たちが医師になるより前の時代に、術後心不全で死亡する症例が散見されたそうです。レトロスペクティブに調査すると、甲状腺機能低下症でした。


今では野放しの甲状腺機能低下症の患者さんは、ほとんど見られなくなりました。それだけ医学が発展した証左であり、コントロールされているので周術期も安心です。


実際的には患者さんご自身が、既往歴として甲状腺機能低下症を申告する時点で、しっかり甲状腺機能低下症の治療が行われていることになります。


このため、ほとんどの症例において、甲状腺機能低下症の既往があったとしても、心不全等の臨床上の問題点が発生する可能性は低いです。


ただ、そうは言っても甲状腺機能低下症の既往がある場合には、下記の3点セットを施行することが望ましいです。


  1.  TSH
  2.  free T3
  3.  free T4


仮にTSHが多少高くても、free T3やfree T4が正常値であれば、周術期の臨床としてはほとんど問題ないそうです。


甲状腺機能低下症は、非常にメジャーな疾患という認識ですが、手術症例では、ある程度慎重な対応が必要なようです。






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THA: ドレ―ピングは結構重要

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先日、人工股関節全置換術(THA)を施行しました。昔と比べるとかなり皮膚切開が小さくなってきているので、ドレーピングの重要性を再認識しました。


患者さんのBMIはやや高めで、皮膚から筋膜までの距離が結構大きな方でした。私は側臥位での後外側アプローチなので、ドレープはふんわりと真上から貼付するようにしています。


しかし、助手の先生の手元が少し狂うと、皮膚に変な張力が掛かったままドレープが貼付されてしまいます。大袈裟に言うと、皮膚が「ぐにゃりと曲がった状態」になるのです。


皮膚の表面が「ぐにゃりと曲がった状態」になっていることは、あらかじめ皮膚ペンで描いた予定皮膚切開の線を確認するとよく分かります。


自分が切開を加えたい部分から少し離れた部位に、皮膚ペンで描いた予定皮膚切開の線が移動してしまっているのです。。。


小さな皮膚切開で行う手術やBMIが高めの患者さんの手術では、このドレーピングの不具合が結構大きな影響を与えてしまいます。


このため、私にとって手術で最も緊張する瞬間がドレーピングです(笑)。「始めよければ終わりよし」ではないですが、ドレーピングが決まれば気持ちよく手術が終わることが多いです。






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