整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

手術の気付き

TKA: 骨太患者さんには要注意!

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先日、大柄な男性の人工膝関節全置換術(TKA)がありました。「骨太」な男性は関節が固いため、手術が難しくなる印象を抱いています。


大腿骨を通常よりも4mm切り上げて脛骨を2mm切下げましたが、それでもまだタイトなためインサートの挿入が難しかったです。


ほとほと困っていると、立ち合いの方が ①脛骨コンポーネントを設置 ②インサートを挿入 ③最後に大腿骨コンポーネントを設置する 施設があることを教えてくれました。


見たことの無い手技だったので半信半疑でした。しかし、トライアルしてみると、インサートを大腿骨トライアルに先立って挿入することで何とか設置可能でした。


  1.  脛骨トライアルを設置
  2.  最薄のインサートトライアルを設置
  3.  最後に大腿骨トライアルを設置


このようなケースでは膝窩部の止血が不可能となる問題点があるものの、どうしてもタイトでインサートさえ挿入できない状況では有用な手技だと感じました。


本番でもこの順番で設置しましたが、問題なくインプランテーションできました。この手技を採用する場合には、膝窩部に念入りにオピオイドカクテルを注射しておきましょう。


それにしても「骨太」な男性患者は要注意だと思いました。初めてsubvastus approachを施行した際、最後までインプラントを設置できず、術中revisionになったことがありました。



それ以来、骨太の男性患者さんには、どうも苦手意識があります。やはり、筋肉量の少ない女性患者さんが一番ストレスが少なくて楽ですね。。。






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手術とインフルエンザワクチン

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インフルエンザの季節が到来しました。
この時期、外科医として注意するべきことがあります。


それは、インフルエンザワクチンの接種時期です。ワクチンによる副反応がおこりうる時期には、人工関節置換術のような予定手術を行うべきではありません。


インフルエンザワクチンの添付文書を確認しましたが、この点について明確な記載はありませんでした。そこで他の医療機関の事例を調べると、概ね下記のような状況のようです。


  •  生ワクチン接種後3~4週間
  •  不活化ワクチン接種後2日~2週間


これらを勘案して、私が勤めている施設ではワクチン接種から手術まで、下記の期間あけるようにしています。特にインフルエンザワクチンは接種率が高いので注意が必要です。


  •  生ワクチン接種後3週間
  •  不活化ワクチン接種後1週間(インフルエンザワクチンを含む)


ワクチンによる副反応がおこりうる時期は、副反応が増強する可能性があるため予定手術は延期する方が望ましいです。生ワクチンでは、感染症発症の可能性があります。


また、ワクチンにより抗体を産生するべき時期に、手術や麻酔により免疫が抑制されることで、抗体産生が不十分となる可能性もあります。


実務的な問題点は、期間の長い生ワクチン(壮年~高齢者:帯状疱疹ワクチン、小児:ポリオ、麻疹、風疹、BCG、おたふくかぜ、水痘)だと思います。


もちろん、小児顆上骨折や高齢者大腿骨近位部骨折などの緊急時では、患者本人もしくは親権者に危険性を十分説明して同意を得たうえで手術を行うことになります。






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ごはんを食べていると未来は明るい?!

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先日、相互リンクいただいている「整形外科医のゆるいブログ」で興味深い記事がありました。肺炎患者について思うこと です。



当ブログの肺炎で会話できることは重要! というエントリー関連記事なのですが、言われてみれば「なるほど!」と思わず膝を叩きました。




超高齢化社会でマジで全身状態が悪い患者がドンドン骨折している。

場末病院の悲しさで、仕事の内容がほぼ内科医。

西川先生と同じだよ。

本業がタレントで副業が医者。 俺も本業が内科医で、副業で整形外科医をやっている感じ。

多分、今の30代の整形外科医の先生たちは覚悟しておいたほうが良いよ。

一部の整形外科医を除いて、俺みたいな感じの医者になるから。 今の仕事の半分近くが肺炎、心不全の治療だからな。

ハンプ使って、サムスカ使って。

骨折を伴わない肺炎、心不全は内科医が診て。
骨折を伴う肺炎、心不全は整形外科医が診る。





たしかにな~、と笑ってしまいました。実際、治療のメインは肺炎だけど、骨折しているから仕方なく整形外科主治医(=私)が肺炎治療しているパターンが多いです。





患者の予後の判断材料のひとつとして、患者さんが「飯が食えるかどうか」が一番重要だと思う。

食事を食べられている患者は、整形外科医でもどうにか出来るよね。

当たり前か。

嚥下が悪いのだけはどうにもならない。

外科医の習性で敗戦処理系って苦手なんだよね。

止め時が分からなくてどうしても過剰医療に繋がる。





そして、上記は非常に含蓄があると思います。このことはイメージとしては頭の片隅にありましたが、言われれみて初めて具体的なイメージになりました。


「ごはんを食べることができるか否か」は、患者さんの予後を予測する重要なファクターなんですね。たしかに熱型表で7割以上摂取なら、この患者さんは大丈夫だなと思っていました。


あと、術後感染を疑ったときにも、無意識のうちに経口摂取量を確認していました。THAやTKAの術後で、ときどき38度以上の熱発が続き、創から浸出液が漏出することがあります。


主治医的にはナーバスな気持ちになりがちですが、熱発していても経口摂取量が十分なら、おそらく大丈夫だろうと考えています。


肺炎患者さんでもしっかり会話できていたり、術後患者さんが熱発していても、ごはんをしっかり食べることができていれば、未来は明るいことが多いです。


このように人間としての自然な営みは、実は医療にとって非常に重要な観察項目ではないのかと一連のエントリーを作成・拝読して強く思いました。





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大腿骨近位部骨折での透視の工夫

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大腿骨近位部骨折の手術で透視下に側面像を見る際、健側下肢が邪魔になって肝心の患側大腿骨頭が見えなくなることがよくあります。


最近の機種はオートフォーカス機能がかなり改善されてきている印象ですが、それでも健側下肢に引っ張られてホワイトアウトしたりブラックアウトしがちです。


このような時の対処方法では、できるだけ透視野に密度の高いモノを入れないことがポイントになります。理想は患肢だけが透視野にあることですが、大腿骨近位では難しいです。


次善の策として、イメージのアームを完全水平から10度ほど傾けたり、金属製のバーが透視野に入らないようにイメージの向きやアームの角度を調整することが挙げられます。


特に大腿骨頭の透視では、イメージの電圧を上げてもコントラストが小さいので解決策にはなりにくいです。できるだけ透視野から患肢以外の高密度なモノを除外することが大切です。


側面像で大腿骨頭のど真ん中にガイドワイヤーを刺入するステップが、大腿骨近位部骨折のクライマックスなので、術者的にはついついイライラしがちです。


しかし、ここは冷静になって、透視野から患肢以外の高密度なモノを排除することに集中しましょう。急がば回れがポイントだと思います。





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整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。








ディピュイトレン拘縮の術前計画

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先日、ディピュイトレン拘縮の手術がありました。ザイヤフレックスによる酵素注射療法も登場しましたが、高度のディピュイトレン拘縮は手術療法の適応です。


手術療法においては皮膚切開のデザインが問題になります。いかにして肥厚した手掌腱膜を効率的に切除するのか。。。皮膚切開のデザインは重要なポイントです。


執刀直前にアドリブで皮膚切開のデザインする外科医が多い中、熟練の手の外科医は、術前に撮影した患者さんの手掌の写真に、あらかじめ皮膚切開のデザインをしていました。



65 - コピー




こんな感じの画像を手術室の壁に貼って、それを見ながら手掌に皮膚切開のデザインをしていました。う~ん、素晴らしい工夫です。目から鱗でした。


私は、骨折手術や人工関節手術では術前に画像所見を念入りに見て術前計画を練りますが、手の外科のような軟部組織手術ではぶっつけ本番が多いです。


しかし、熟練の手の外科医は違うようです。私にとってディピュイトレン拘縮は最もやりたくない手の外科手術のひとつですが、今度施行する際には参考にしようと思いました。





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広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく実践的な医学書です。


 







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