整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

手術の気付き

THA: カップ固定性は音で分かる!

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セメントレス人工股関節全置換術(THA)において、技術的な問題が発生しがちなのはカップ設置です。カップの固定性や固定角度の問題を経験した方は多いのではないでしょうか。


さて、そのうちカップ固定性に関してはセメントレスカップを選択するかぎりは100%回避することはできません。


しかし、カップをインパクションした際にカップの固定性はある程度判断できます。私の場合、カップの固定性は「音」と「ハンマーの手ごたえ」で判断しています。


特に「音」に関しては、ハンマーを叩打していると固定性を得られた瞬間に音が変化します。具体的に言うのは難しいですが、少し重い音に変化するのです。


この音の変化が分かると「ああ、今回のカップ固定性は問題無しだな」と判断することが可能です。音の変化を確実に聴取できたときには、ほぼ100%固定性がバッチリです。


一方、音の変化を聴取できずに最後まで軽い音が続く場合には要注意です。このような症例でもそれなりの固定性を獲得していることはありますが、イマイチなことが多いです。


このようなカップの固定性を獲得できた確証をえられない症例では、ホルダーを除去してから最初のスクリューを挿入するまで、素早い動作と細心の注意が必要です。


このように、カップ叩打時の音の変化は、カップの固定性を知る指標のひとつとして重要だと感じています。





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THA: おススメの移植骨採取法

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人工股関節全置換術(THA)の際に、骨移植を施行せざる得ない症例は少なくありません。移植骨の第一選択は、もちろん大腿骨頭および大腿骨頚部の海綿骨です。


大腿骨頭から骨を採取する際にはリウエルや鋭匙を用いますが、摘出した大腿骨頭を把持しながら移植骨を採取するのひと手間です。


大腿骨頭はツルツル滑るので、手元が狂うと自分の手を損傷しかねません。このような時にうまく移植骨を採取するコツがあるのでしょうか?


事前に100%骨移植することが分かっている場合には、まず股関節を脱臼した時点で、
頚部骨切り前に
大腿骨頭を piece by piece にボーンソーで切除していきます。


球状の大腿骨頭を厚さ 1cmぐらいでスライスしていくイメージです。こうすることで高さ 1cmの円柱状の大腿骨頭が数個ほど採取できます。


そして骨移植の際に円柱の外側の軟骨部分だけリウエルで切除すると、きれいに海綿骨だけが残ります。こうすることで素早く大量の海綿骨を採取することが可能になります。


100%骨移植する予定の場合には、脱臼した時点で大腿骨頭をボーンソーで円柱状に切除していくことで、移植骨を採取する時間が大幅に節約できると思います。






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陳旧性マレット骨折の治療で迷う

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先日、陳旧性マレット骨折の患者さんが初診されました。昨年末の忘年会で酔って転倒してから痛みが続いているとのことでした。


診察すると、確かに小指の DIP関節に軽度の腫脹を認めます。単純X線像では明らかなマレット骨折を併発しており、完全に偽関節化しています。


さて、今回の患者さんの主訴はごく軽度の DIP関節痛です。身体所見上、わずかにマレット変形をみとめますが、そのこと自体はさほど困っていないようです。


陳旧性なので偽関節部を展開する必要があるかもしれないことと、通常症例と比較して固定期間が長めになります。このため、DIP関節拘縮が必発となりそうです。


疼痛に関しては軽快傾向とのことで、よくよく問診すると実際に日常生活ではほとんど困っていないようです。困っていないが長引くので念のために受診したのが真相のようです。


画像所見が衝撃的(裂離骨片が偽関節化している)なので、整形外科医的な感覚では思わず手術したい気持ちになりますが、得られるメリットは多くないことに気付きました。


手術で得られるメリット・デメリットおよび長期的にはDIP関節のOAが進行する可能性が高いことを説明したところ、結局は保存治療を選択されました。


私が患者さんでも同じ選択をしたと思います。新鮮例ならもちろん手術ですが、陳旧例では治療効果のバランスを考えて治療方針を考えるのも一法かと思いました。





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THA: カップ固定性を得られない時

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先日、高度の骨脆弱性を有する関節リウマチの THA がありました。このような症例の THA では、寛骨臼側のカップ設置が大きな問題となります。


セメントレスカップでは 3D ポーラスのカップが上梓されていますが、3D ポーラスカップをもってしても十分な固定性を得られないケースがあります。


このような症例では、どのように対処すれば良いのでしょうか。術中にカップをインパクションして十分な固定性を得られないと冷や汗をかきます。


しかし、セメントレスカップを選択している以上、いきなりセメントカップに変更することは現実的でありません。何とかしてセメントレスカップで固定性を得る必要があります。


このようなケースでは、まず寛骨臼内を観察して原因が本当に骨の脆弱性なのか否かを確認します。意外と辺縁が硬化しているために固定性を得られないことがあります。


しかし本当に骨脆弱性のためにカップの固定性が得られない症例では、スクリューを乱れ打ちするしかありません。そして術後しばらく免荷期間をおくことになります。


ここまで必要な症例は年間 1例あるかないかぐらいですが、スクリューを乱れ打ち+免荷によって、最終的には何とか乗り切れる印象です。


リーミングのやり直しで、大抵は十分な固定性を得ることができますが、何をやってもダメな時はこのような方法もあることを知っておくと心の安定剤になるのではないでしょうか。






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鎖骨の前後に長い斜骨折の手術治療

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最近、鎖骨骨幹部骨折で手術を施行する機会が増えました。昔はできるだけ保存治療を選択していたのですが、何度か偽関節を経験してから治療方針を転換したのです。


何と言っても偽関節手術は面倒だし気を使いますから・・・。さて、鎖骨骨幹部骨折で多い骨折型は上下方向の斜骨折ですが、前後方向に斜骨折しているパターンもあります。


私はプレート派です。上下方向の斜骨折では、遠位骨片の上にプレートを設置してスクリューを挿入することで、プレートで近位側骨片を抑え込むようにして整復固定しています。


しかし、前後方向の長い斜骨折の場合、鎖骨上方にプレートを設置すると捨て孔は多くなってしまいます。う~ん、どうしよう。。。


ほとんどの整形外科医は気付いていると思います。そんなの鎖骨前方プレートを選択すれば解決するだろう・・・


恥ずかしながら、最近不勉強だったので鎖骨前方プレートの存在を失念していました。少しバルキーなのが難点ですが、今度は使用してみようと思います。





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