整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

手術の気付き

ASO患者への弾性ストッキング使用

このエントリーをはてなブックマークに追加


以前、弾性ストッキングは閉塞性動脈硬化症(ASO )患者さんに禁忌であることを話題にしました。それでは深部静脈血栓症予防で使用する AV インパルスはどうなのでしょうか?


常識的に考えると AV インパルスは静脈系に働きかけるものなので、動脈系の疾患である閉塞性動脈硬化症には関係ないように思えます。


AV インパルスの取扱説明書を確認すると、禁忌欄で2つの病態が挙げられていました。ひとつは、うっ血性心不全、深部静脈血栓症、血栓性静脈炎などの既往がある患者さんです。


これらの疾患では心臓への血流増加が有害である可能性があるため、AV インパルスの使用は禁忌となるそうです。深部静脈血栓症予防のための機器なのにおかしな感覚ですね。


一方、血液循環不良、脆弱な皮膚、無感覚の四肢、および糖尿病の患者さんは、禁忌ではないものの特に注意を払って使用することが望ましいと記載されていました。


閉塞性動脈硬化症は血液循環不良に該当します。虚血性壊疽直前の極めて血流状態が不良な場合は、弾性ストッキングだけではなく 
AV インパルスも使用しない方が良いようです。






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です


    



大腿骨頭のウマイ摘出法

このエントリーをはてなブックマークに追加


最近、大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭置換術がたくさんありました。いよいよ、大腿骨近位部骨折シーズンの到来ですね。


人工骨頭置換術と言うと研修医の先生の手術のようなイメージがありますが、大腿骨の骨質が悪い症例が多く、意外なピットフォールが多いと感じています。


あまり雑な手術をしていると、術中骨折を併発することがあるので、私的には人工骨頭置換術はあまり好きな手術ではありません。


正直に言うと、 THA の方が簡単な手術であるとまで考えています。さて人工骨頭置換術の際に、骨折した大腿骨頭を摘出するステップに意外と手間取ることがあります。


大腿骨頭を摘出する工夫を2つご紹介したいと思います。ひとつは他の医師から教えていただいたのですが、Garden stage 2~3 では THA のように大腿骨頭を脱臼させる方法です。


この方法のメリットは、うまくいくとあっという間に脱臼して大腿骨頭を摘出することが可能なことです。


もちろん、骨折しているのでうまく脱臼できずに骨折部が開大してしまって大腿骨頭が寛骨臼以内に取り残されることはままあります。


100%うまく脱臼させる方法はないのですが、寛骨臼と大腿骨頭の間にエレバトリウムを挿入して、これで介助しながら脱臼操作するとうまくいくことが多いイメージです。


もう一つの方法は、骨折部が開大している Garden stage 4 の場合に行います。まず大腿骨頚部の骨切りを行います。


そして寛骨臼内に残っている大腿骨頭を摘出するのですが、骨頭抜去器を2本準備します。一つは骨折部から、もう一つは90°角度をつけて大腿骨頭の関節軟骨面から挿入します。


そして、90°の角度がついている 2本の骨頭抜去器をそのまま上に持ち上げることによって、簡単に大腿骨頭を摘出することができます。


今回ご紹介した2つの方法のいずれかで、寛骨臼から大腿骨頭をあっさり摘出することができます。もし大腿骨頭の摘出で苦労している先生がいたら、一度試してみてください。







★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。








抗菌縫合糸に抗菌効果は無い?!

このエントリーをはてなブックマークに追加


自治医科大学さいたま医療センター・消化器外科の市田先生が、消化器外科手術後の手術部位感染(SSI)で抗菌縫合糸による低減効果はほとんど認めなかった報告されました。



手術の閉創の際に、抗菌縫合糸を使用する施設が多いと思います。縫合糸に抗菌薬をコーティングしておくと、いかにも SSI が低減されそうなイメージを抱きます。


しかし今回の報告では、少なくとも消化器外科領域では、抗菌縫合糸に SSI 低減効果をほとんど認めなかったとのことです。


この研究では、抗菌縫合糸についてさまざまな検討を行いましたが、どのように解析しても SSI 発生率に有意差はなかったそうです.


このことから、縫合糸に抗菌剤をコーティングしているか否かは SSI とは無関係だということになります。これは整形外科医にとっても結構ショッキングな結果です。


もし本当にそうであれば、コストのかかる抗菌縫合糸は不要ではないかという結論になります。う~ん、なかなか難しい問題ですね。


ただ、実際に患者さんを目の前にしている場末医師としては、できるだけ患者さんおよび自分を安全な場所に立たすために、出来る限りのことをしたいという気持ちが強いです。


このため、自分の腹が痛まないのであれば、出来る限り感染しないように抗菌縫合糸を使用し続けるかもしれません。


もちろん、本当に抗菌縫合糸が単なるお守りのような存在であるのであれば、その使用に関しては慎重に検討するべきなのかもしれませんが・・・





★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
感染症治療で最もお勧めの書籍です。Grandeと小さいサイズがあり内容は同じです。小さいサイズの方が安いですが、常に携帯する医師を除けば見やすいGrandeがお勧めです。

ARMD は意外に白かった!

このエントリーをはてなブックマークに追加

先日、ARMD(adverse reaction to metal debris)が原因と思われるインプラント周囲の骨融解症例の人工股関節再置換術がありました。


ARMD は、メタル・オン・メタル人工股関節置換術(Metal-on-Metal THA, MoM THA)に併発する有害事象です。


MoM THA では金属摩耗粉が発生しやすく、局所的に組織毒性を有することが知られています。この金属摩耗粉が偽腫瘍や組織壊死などをきたします。 



ARMD は金属摩耗粉が原因なので、黒い錆のような金属摩耗粉が股関節内に充満しているようイメージを抱きがちです。


しかし、股関節を展開すると関節内は黒い組織でいっぱいということはなく、むしろ淡黄色~白色の滑膜様組織に覆われていました。まるで雪原にいるようにも見えます。


これって本当に ARMD なのかなあ? と半信半疑ながら関節内を観察すると、金属同士の摺動面では錆色の液体が固着しており、やはり ARMD であったことが分かりました。


おそらく、錆色の金属摩耗粉は貪食細胞に取り込まれて、その周囲の組織が淡黄色~白色の滑膜様組織となるのでしょう。


たくさん ARMD による再置換術に立ち会っているメーカーの方も、ARMDでは錆色の組織ではなく淡黄色~白色の滑膜様組織が多いとおっしゃられています。


ARMD = 金属摩耗粉による錆色の組織に覆われていると思いがちですが、展開して淡黄色~白色の滑膜様組織であっても驚く必要はないようです。







★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です


    




TKA: 脛骨近位骨片のウマイ摘出法

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、人工膝関節全置換術(TKA)がありました。TKA で面倒なステップのひとつに脛骨近位部の骨切りがあります。


TKA では内反膝が多いので
、脛骨近位外側の処理は行わないことが多いです。このため、何となく外側軟部組織に手を加えるのはアンタッチャブルなイメージがあります。


ただでさえも内反膝においては内外バランスが内側に偏っているのに、外側軟部組織を切離すると、ますます靭帯バランスが崩れそうです。



このため外側軟部組織の切離は最小限にとどめるというのが暗黙の了解です。私も外側軟部組織の切離は最小限にするように心がけていました。


ところが先日の TKA では、脛骨近位外側の軟部組織を関節面から約10 mm ほど全周性にリリースしていました。えっ、そんなことしていいの???


少し驚いて確認すると、脛骨近位骨切りで骨から軟部組織を剥がすのだから、最初から軟部組織を剥離しておくと骨切り後の骨片摘出が容易になるという理由でした。なるほど!


その後、実際に骨切りを行うとあっさり脛骨近位骨片が摘出できました。これだけでも5分程度は手術時間を短縮できそうです。なかなかうまい方法だと思いました。






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者がTKAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です






アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

医療研究を身近な存在とし、医療の未来を作る


管理人の著書

161228 【書影】医師の経済的自由
管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

管理人による m3.com 連載コラム
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル

医師のための築古木造戸建投資マニュアル 1
REITで実践する不動産投資セミナー
190122
医師のための 金融資産形成術


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール

自由気ままな整形外科医

・医学博士
・日本整形外科学会専門医
・日本リウマチ学会専門医
・不動産投資家
・超長期金融資産投資家
・ビジネスオーナー
・宅地建物取引主任士

QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。