整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

手術の気付き

鎖骨骨折手術と神経根症

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先日、鎖骨骨折後の偽関節手術を経験した私は、保存治療に対して少し臆病になっています。やはり、鎖骨の偽関節手術は面倒なので、できればやりたくない手術なのです。


このため、下記の条件を全て満たしてしまう患者さんに関しては、渋々ですが手術治療を勧めるようにしています。

  •  第3骨片を伴う粉砕骨折
  •  メインの骨片間の接触がない
  •  ヘビースモーカー



術式に関しては、リコンストラクションプレートを選択することが多いです。プレート固定では、ドライバーが患者さんの下顎が当ってスクリュー挿入の障害になることがあります。


これを避けるためには、頭部を健側に回旋させてドライバーが下顎に当らないようにする必要があります。


ほとんどの症例で問題なく手術を施行できますが、40歳以上の患者さんの場合には、頚椎症性神経根症の存在に注意する必要があります。


もともと頚椎症性神経根症のある患者さんでは、術中に頭部を無理に回旋させることで、術後に症状が増悪する場合があります。


術後に神経根症を併発すると、耐えがたい上肢痛がしばらく続く。。。 これを経験すると、患者さんに恨まれるので、絶対に避けねば! という気持ちになります。


術後の頚椎症性神経根症併発リスクを確認するため、術前には必ずSpurling testを施行しています。このときに陽性になる場合は、術中の頭位に注意しましょう。







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KneeAlign2をうまくキメるコツ

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先日、人工膝関節全置換術(TKA)がありました。2015年以降は、人工膝関節置換術用ナビゲーションシステムの KneeAlign2 を用いています。



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KneeAlign2は非常に精度の高いナビゲーションシステムです。術中の目測で、ちょっと内反気味かな? と思っても、
KneeAlign2を信用して骨切りすると大抵ばっちりです。


KneeAlign2の特徴は、非常に正確であるか、もしくは大ハズレのどちらかだそうです。このため、見た目に問題外でない限りは、基本的に信用して良いと思います。


そんな術者の強い味方であるKneeAlign2ですが、ひとつだけ問題点があります。それは、なかなか大腿骨側のレジストレーションが決まらないことです。


10回やっても20回やってもレジストレーションできないことがあり、手を変えるために助手の先生にやってもらったこともあります。


私の中では、
KneeAlign2に対して苦手意識があるですが、ひとつの解決策を教えてもらいました。それは、レジストレーションの際に骨盤部を押さえてもらうことです。


おそらく、下肢を動かしているときに骨盤が動くために、KneeAlign2が大腿骨頭の位置を定めることができないことがレジストレーションできない原因なのだと思います。


確かに、レジストレーションの際に助手の先生に骨盤部を押さえてもらうと、成功率が高くなりました。


私のように、
KneeAlign2の大腿骨側レジストレーションに苦手意識を持っている方には、骨盤部を押さえる方法をお勧めします。






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ノットフリー縫合糸の比較

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THAやTKAの筋膜縫合時にノットフリー縫合糸を使用する施設は多いと思います。現状ではV-LocとSTRATAFIXを選択できますが、どちらを選べばよいのでしょうか。



Vloc - コピー



V-Loc


V-Locは2009年に米国で発売開始された元祖ノットフリー縫合糸です。V-Locの登場で閉創時間が短縮されるようになり世界的に流行しました。V-Locは、棘が片方のみです。







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STRATAFIX


こちらは2017年発売開始の後発ですが、モノフィラメントによる感染性低減を武器にシェアを拡大しています。


表面に抗菌剤がコーティングされていることも、感染予防に大きな力を発揮します。V-Locと異なり、棘が双方向に存在します。




V-Loc と STRATAFIXの比較


いくつかの研究で、どちらも手術時間の短縮には有効なことは示されています。しかし、V-Locは従来型の縫合糸と比較して、感染リスクが少し高かったようです。


V-Locの棘部分が感染の原因となっている可能性があることが示唆されています。一方、STRATAFIXは従来型の縫合糸と同程度の感染率のようです。


これらの研究結果から、ノットフリー縫合糸を使用するのであれば、感染リスクがより低いSTRATAFIXを選択するべきなのかもしれません。







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手指手術のマーキング

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日整会広報室ニュースをパラパラ見ていた時に医事紛争の連載に目が留まりました。
今回は、手術の左右間違いに関する話題でした。


事故自体は平成2年に発生した関節リウマチの指間違いでした。本来なら環指の手術をする予定だったのですが、誤って中指の手術を施行したようです。


連鎖記事の最後に、四肢の手術では患部のマーキングを絶対にするべきと締めくくられていました。私もまさにその通りだと思います。


最近では各医療機関での医療安全に対する意識が高まり、手術部位のマーキングは安全管理上の常識となっています。


脊椎に関しては、マーキングの効果は微妙ですが、少なくとも四肢に関してはマーキングが事故防止の大きな力になると思います。


フムフムと思いながら読了しましたが、ふと今回の症例は手指の間違いであることに気付きました。左右間違いではなく、手指の間違いなのです。。。


う~ん、これはマーキングが少し難しいかもしれません。もちろん、物理的には問題なくマーキングできるのですが、派手に描くと手術の妨げになりかねません。


もちろん、左右間違い以上に手指の間違いは発生しやすいのでマーキングは必須ですが、小さめに描く等の工夫が必要かもしれませんね。いやはや、難しい・・・





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THA: 軟骨下骨は絶対温存!

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最近経験した人工股関節全置換術(THA)の備忘録を記載します。寛骨臼の形態はひとそれぞれですが、特に下記の症例では軟骨下骨を温存することに注意する必要があります。


  1.  大腿骨頚部骨折後偽関節
  2.  タコつぼ型のOA



①の大腿骨頚部骨折後偽関節ですが、解剖学的な寛骨臼の形態は正常に近いものが多いです。このため、簡単な手術とみなされがちですが、私の感覚ではやや難症例です。


その理由のひとつは、高度の骨脆弱性がベースにあることが多いためです。いつものようにリーミングしていると、あっという間に軟骨下骨を穿破してしまいます。


こうなると、カップがまともに固定できなくなるので要注意です。先日、ほんの1~2秒のリーミングで軟骨下骨を抜いてしまい、冷や汗をかきました。


②の寛骨臼がタコつぼ様の症例も要注意です。大腿骨頭を脱臼できないことが多く、寛骨臼も菲薄化しているため、一瞬のリーミングで軟骨下骨を抜いてしまうことがあります。


①の
大腿骨頚部骨折後偽関節とは違った意味で細心の注意を払ってリーミングする必要があります。少しでも気を抜くと取り返しのつかないことになります。くれぐれもご注意を!






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