整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

手術の気付き

抜釘後THAのピットフォール

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先日、大腿骨頚部骨折後の大腿骨頭壊死症に対して、抜釘術及び 人工股関節全置換術(THA) を行いました。


大腿骨頚部骨折はGarden stage 3 だったのですが、若年者だったのでハンソンピンによる骨接合術を選択しました。


しかし、やはりGarden stage 3 だったので、Type C 2の 大腿骨頭壊死を併発して、関節面の圧壊がどんどん進行してしまいました。


歩くのも困難なほどの痛みになってきたので、やむを得ず抜釘術及び THA を行うことになりました。


私は側臥位で THA をしているのですが、まず抜釘をしようとして手が止まりました。前回手術の皮膚切開位置が、大腿骨のかなり前の方だったのです。


おそらく体位の問題だと思うのですが、前回皮膚切開を利用するとかなり抜釘に苦労することが予想されます。


ハンソンピンの骨内への刺入位置は、大転子無名結節よりやや抹消です。そこで少し考えたのですが、 大腿骨大転子部無名結節から末梢に新たな皮膚切開を加えることにしました。


ハンソンピン直上に皮膚切開を新たに加えることで、比較的容易にピンを抜釘することができました。 小切開での抜釘は難しいことが多いです。


その後は通常の THA に移行したのですが、今回新たに加えた皮膚切開を連結することで、手術自体も非常に楽に終えることができました。


術後に皮膚切開の長さを測ると13 cm でした。通常 8~9 cm 程度で手術を行っているのですが、4 cm 増えるだけで手術のしやすさが全く異なります。


今回の教訓として得たのは、小皮切で施行したハンソンピンをそのままの皮膚切開を利用して抜釘しようとすると、手術が難しくなる可能性があるということです。


その場合には躊躇せず、新しい皮膚切開を加えてTHAを施行する行うほうが、手術はスムーズに行くと思われます。従来の皮膚切開に拘泥しすぎるのは得策ではないでしょう。





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偽関節の治療法

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先日の偽関節の分類法の続きです。
治療に関しては、骨折部に生物学的活性があるか否かによって異なります。


増殖型(elephant foot type) や中間型( horse hoof type )などの hypertrophic type は生物学的活性があります。


遷延治癒や偽関節に至った原因は骨折部の固定性不足であるため、しっかりとした内固定を追加することで骨癒合が完成します。この場合には骨移植は不要です。


一方、生物学的活性の無い骨欠損型(defect type)や 萎縮型(atrophic type)では、内固定追加のみでは骨癒合を得ることが難しく、骨移植が必要となります。


ちなみに、生物学的活性があるか否かは、単純X線像だけでは判断できないこともあります。増殖型(elephant foot type) や中間型( horse hoof type )では問題になりません。


しかし、生物学的活性が無いように見える萎縮型(atrophic type)の中には、骨シンチグラムで RI の集積を認めることがあります。


骨シンチグラムは高価な検査ですが、
生物学的活性が無いように見える萎縮型では、骨折部の生物学的活性の有無を評価するためにも必須の必須の検査ではないかと思います。







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手外科領域の縫合はユルユルで!

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先日、手の外傷の手術がありました。
今回の症例は、軟部組織の状態が芳しくありません。


外傷後であり、組織が瘢痕化しているためです。がんばったら閉創できそうなのですが、かなりパツンパツンの状態です。


関節外科的な考えではできるだけ創を閉鎖しておきたいところです。このため、無理やり創部を縫合しようと考えました。


しかし、手術の監督をしてもらっていた手の外科の先生がおっしゃられるには、手の外科領域においては無理な閉創は好ましくないとのことでした。


バイトを大きく取って無理やり縫合しにいっても、皮下組織の循環が悪くなるだけなので結局創が哆開してしまうそうです。


このようなケースでは、気長に肉芽形成から瘢痕治癒することを待つことも一法だとおっしゃられていました。う~ん、なるほどですね。


手の外科領域においては創傷治癒過程がその他の部位と少し異なる印象を受けます。今回の症例では一期的閉創にこだわることなく、気長に瘢痕治癒を待とうと考えています。






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LCPシステムで圧迫力をかける方法

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最近、立て続けに前腕骨骨折に対して、プレートを使用した骨折観血的手術がありました。3次救急の外傷病院に在籍していたころは、このような手術ばかりでした。


しかし、現在では予定手術がメインである人工関節センター勤務のため、このような外傷とは比較的無縁の生活を送っています。


今回は、LC-LCPプレートで骨片間に圧迫力を加える手技を調べてみました。ご存知の方も多いかもしれませんが、LC-DCPに関しては2017年に販売中止となっています。


私が骨折治療の基本を学んだ頃は、DCPを用いて骨片間に圧迫力を加える際には、オーバル型のドリルガイドを使用したものですが、LCPでは存在しないようです。



LCPシステムに関しては、DCPの様なドリルガイドは使用せずに、 スリーブ内筒がバネ式になっているユニバーサルドリルガイドを使用するそうです。


押し込んでドリリングすることで、真円位置へドリリング可能となり、 押し付ける事無く使用すると、偏心位置(コンプレッションポジション)へドリリング可能となります。



2323 - コピー




上の図をみると理屈が分かりますね。偏心位でのドリリングでは+0.75mmのコンプレッションが可能となります。なるほど、便利なデバイスであると感じました。


骨折治療のデバイスも日々進化しています。どうやら私は、20年前の知識で停滞していたようです。少し反省ですね。






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駄ネタ:おデブちゃんは自分?!

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先日、高度肥満の人工股関節全置換術(THA)がありました。
TKAでは多少の肥満でも手術操作そのものにはさほど影響はありません。


しかし、THAにおいては訳が違います。肥満度が上がると手術難易度は乗数的に上昇します
。肥満であることに何のメリットもありません。


変形が軽度ても皮下脂肪が極端に厚いと手術の難易度が上昇します。実際のところ、高度肥満患者さんはOA進行も早いので、インプラント設置そのものが難しいことが多いです。


手術そのものを乗り切っても、術後の呼吸管理は大変です。帰室してもなかなかSaO2が上がらないので、ヒヤヒヤしながらバイタルを監視することになりがちです。


体重が重いとインプラントの摩耗も早くなるので、再置換術発生の確率も上昇します。ああなんてこった! 良いことが何ひとつ無いじゃないですか・・・


整形外科医にとっては当たりまえのことですが、高度肥満の患者さんの手術をするたびにデブに対する愚痴(?)が湧いてきます。


そんなことを思いながら日常診療をこなしているのですが、ふと最近は自分の体重が増えてきているのに気付きました。知らぬ間に私もおデブちゃんの仲間入りしていたのです・・・






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