整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

大腿骨

大腿骨頚基部骨折で CHSを選択する理由

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、大腿骨頚基部骨折の患者さんが入院されました。
大腿骨頚基部骨折は、骨折線が関節包内外にまたがります。






大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン では、大腿骨転子部骨折の治療に関しては、sliding hip screw (CHS)と short femoral nail の両者を推奨しています。


しかし大腿骨頚基部骨折では、sliding hip screw のみが推奨されています。大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドラインには、short femoral nail を非推奨の理由が記載されていません。 


多くの整形外科医の間では、大腿骨頚基部骨折では sliding hip screw を選択するべきというコンセンサスだと思われます。しかし、その理由は何でしょうか???


何だっけな?と思い出そうとしましたが何もアタマに浮かんできません。仕方ないので本ブログ内を検索してみました。すると思いっきり自分で記載していました
(苦笑)。




理由1

大腿骨頚基部骨折でshort femoral nailを選択すると、ネイルが骨折部に来るため骨片間の接触面積が小さくなります。 このため、short femoral nailでは偽関節化する危険性が高まります。


理由2

大腿骨頚基部骨折でCCSなどのスクリュー固定を選択すると、大腿骨頭の回旋に対する十分な固定性が得られません。



上記の2つの理由によって、大腿骨頚基部骨折の術式では sliding hip screwのみが推奨されているようです。比較的珍しい骨折ですが手術の際にはCHSを選択するようにしましょう。


それにしても、なぜ大腿骨頚基部骨折では CHSを選択するべきなのかをいつまで立っても覚えられません。う~ん、能力が低いのかヤル気が無いのかどちらなのでしょうか...。



   


★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。








大腿骨近位部骨折でも CT撮像が有用

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、Monthly Orthopaedics Vol.33(1) をパラパラ眺めていました。大腿骨近位部骨折の治療という特集でした。整形外科医であれば誰もが我こそは! と思うジャンルです。


そうは言っても、最近はさまざまな種類の内固定材料が上梓されており、とてもすべてに精通できているわけではありません。


初心に戻って謙虚な気持ち(?)で読み進めると、自分がかなり時代遅れになっていることに気付きました。どうやら大腿骨近位部骨折はかなり進歩しているようです。


最も大きな気付きは、手術難易度を予想するためにはCTでの評価が必須であることです。周知のように外側壁骨折を併発すると予後不良となります。


外側壁骨折併発リスクは CTで評価できます。具体的には CTの冠状断で無名結節から前方骨折部までの距離を測ります。2.1cm以上あると外側壁骨折併発リスクは低下します。


つぎに大腿骨転子部不安定型骨折の治療戦略ですが、ここでも CTが威力は発揮します。生田分類の Subtype Pは、
Subtype AやNと比べて有意にスライディングして予後不良です。



222 - コピー




上図の右端が Subtype Pですが、大腿骨近位骨片前方骨皮質が遠位骨片の後方に位置しています。これを、エレバトリウムや K-wireを用いて、左端の Subtype Aに整復します。


この操作を行うことで不安定型骨折がやや安定化して、過度なスライディングを併発するリスクが減少するとのことです。


術前 CTを撮像することで、整復操作が必要か否かをあらかじめ確認しておく必要があります。これまで大腿骨近位部骨折で CT撮像など医療資源の無駄遣いだと考えていました。


世界的には CT撮像しない地域の方が多いです。しかし、不安定型が予想される近位の粉砕骨折に関しては、症例を選んで CTで精査することが望ましいと感じました。








★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です








大腿骨頚基部骨折のピットフォール

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、大腿頚基部骨折の患者さんが入院しました。
下の画像のごとく、骨折部がかなり立っています。


1 - コピー



この骨折型では骨折部にすごい剪断力が加わるので骨接合術では成績不良になりそうです。大腿骨頚部/転子部骨折の診療ガイドラインを確認しましたが有用な記載はありません。


治療方針についてかなり悩みましたが、90歳オーバーと超高齢者であったことから人工骨頭置換術を選択することにしました。この場合に問題になるのはカルカーの状態です。


大腿骨頚基部骨折ではカルカーに
スパイク状の骨折線が及んでいる症例が多い印象を抱いています。スパイク下端が小転子高位まで及んでいると近位固定型ステムは厳しいです。



2 - コピー


CTの前額断を精査しましたが、カルカーにスパイク状の骨折はなさそうです。一方、3D-CTでは、骨頭側骨片の頚部が邪魔でカルカーの評価ができません。


3 - コピー


まぁ大丈夫だろうと判断して手術に臨みましたが、実際にはカルカーにスパイク状の骨折を認めました...。う~ん、CTの前額断では判断できないのでしょう。


一応、セメントステムも準備していたので事無きを得ましたが、大腿骨頚基部骨折の難しさを再認識しました。







★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です








50歳台の大腿骨頚部骨折はどうする?

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、50歳台前半の大腿骨頚部骨折がありました。Garden分類ではstage 3程度です。受傷して間もないのですが、治療をどうしよう...


もう少し若ければ迷うことなく骨接合術を選択します。しかし、年齢が50歳台なので迷うところです。このような場合、自分の家族ならどうするか? と考えます。


少し考えた結果、私なら敢えて骨接合術を選ぶという結論を出しました。たしかに Garden stage 3では外傷性大腿骨頭壊死症を併発する可能性が高いです。


しかし、仮にそこそこ大きな大腿骨頭壊死症を併発しても、すぐに collapseするわけではありません。骨頭壊死発生と発症は違うのです。


数年無症状の人も居ますし、徐々に大腿骨頭が圧壊しても疼痛がさほど強くない人もいます。つまり、仮に大腿骨頭壊死症を併発しても time savingできる可能性があるのです。


そして、人工骨頭置換術には欠点があります。耐用性云々はもちろんですが、高齢者以外では違和感や股関節部痛を残しやすいです。THAと人工骨頭置換術は異なるのです。


もちろん、THAを施行するという手もありますが、日本ではややオーバーインディケーションと受け止められかねません。そして、正常股+外傷のTHAは意外と難しい...。


これらを勘案すると、まずは骨接合術で Challenging operationを施行して、大腿骨頭壊死を併発しても
 time savingするという戦略が望ましいのではないかと考えます。


かなり、偏った方針かもしれませんが、現時点ではこのように考えています。 何が正解かは患者さんによって違いますので、真実は分からないですが...。







★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。








転子部骨折では髄外型を目指そう!

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、大腿骨転子部骨折の手術で苦労した話を聞きました。なぜ苦労したのかを訊くと「髄内型をなかなか髄外型に整復できなかった
とのことです。



髄内型?髄外型?? なんだそりゃ?
恥ずかしながら、私は大腿骨転子部骨折に髄内型と髄外型があることを知りませんでした。


髄内型とは、近位骨片の内側骨皮質が遠位骨片の髄内に陥入したもので、遠位骨片の髄外に突出しているものを髄外型と呼ぶそうです。


髄外型では近位骨片の内側骨皮質が遠位骨片の皮質上に乗っているため、転位が少なくなる傾向にあります。このため、髄内型と比較してtelescopingをきたしにくいです。


一方、髄内型では
telescopingだけではなく、内反変形やその結果としてのcut outを併発する危険性が高まります。


もちろん、髄内型を整復できなかった症例でも、ある程度の
免荷期間をおくことで過度なtelescopingや内反変形を予防することは可能です。



しかし、髄内型を整復して髄外型に整復可能なのであれば、それに越したことはありません。このため、手術の際にはできるだけ髄外型での内固定を目指すのです。


髄内型・髄外型の概念はなんとなく考えていました。しかし、明確に意識していたわけではないので、今回の件で非常に勉強になりました。







★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です








アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

医療研究を身近な存在とし、医療の未来を作る


管理人の著書

161228 【書影】医師の経済的自由
管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

管理人による m3.com 連載コラム
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル

医師のための築古木造戸建投資マニュアル 1
REITで実践する不動産投資セミナー
190122
医師のための 金融資産形成術


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール

自由気ままな整形外科医

・医学博士
・日本整形外科学会専門医
・日本リウマチ学会専門医
・不動産投資家
・超長期金融資産投資家
・ビジネスオーナー
・宅地建物取引主任士

QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。