整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

大腿骨

慢心に注意!大腿骨頚部骨折見逃し

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整形外科あるあるのひとつに、大腿骨頚部骨折の見逃しがあります。実際には見逃しというよりも、骨折を強く疑うものの画像所見が無いため経過観察を行うというものです。



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昨年末に、転倒後から左股関節部痛が続いているという高齢者が初診されました。疼痛はあるものの歩行可能でした。比較的典型的なエピソードですね。



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大腿骨頚部骨折を強く疑い CTを撮像しましたが、明らかな骨折をみとめませんでした。年の瀬だったのでMRIまで予約できずに経過観察となりました。



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年明けに再診してもらうと、上記のように大腿骨頚部骨折でした。この時点で Garden stage 1 なので、骨接合術の適応となります。


年末の初診時点であっても保存治療の選択は難しかったので結果は同じです。しかし、改めて見直しましたが、初診時点ではXp、CTともに全く骨折している所見がありません。


このような症例であっても10日後には Garden stage 1 になっているのがコワイところです。もう少し放置すると、あっという間に Garden stage 3~4 になって人工骨頭です。


大腿骨頚部骨折の見逃しなんてありえないだろうと思いがちですが、世の中には MRIをすぐに撮像できないことが多々あります。くれぐれも慢心は禁物だと感じました。








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ハンソンピン2本目の刺入位置

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私は大腿骨頚部骨折の骨接合術では、ハンソンピンを使用しています。最近、ハンソンピンの刺入位置で少し悩むことがありました。


2本のピンの間隔は 10mm以上取りたいところですが、小柄な日本人の高齢女性ではなかなか10mm以上の間隔を取ることが難しい症例もあります。


このような症例では、2本目の中枢側ピンの刺入位置を

  1.  大腿骨骨軸に対して後方 45°を維持したまま 2本のピンの間隔を狭めるのか
  2.  大腿骨骨軸に対して後方 30°にして 2本のピンの間隔 10 mmをキープするのか

のどちらを選択するべきなのかが悩ましいところです。


私の場合には、
大腿骨骨軸に対して後方 45°を維持するのではなく、2本のピンの間隔を優先することにしています。


つまり、2本目のピンを 10 mm間隔ではどうしても刺入できない場合には、大腿骨骨軸に対して 30°ぐらいにして、なんとか 2本のピンの間隔を10 mm確保するようにしています。


本当にこれでいいのかどうかはわかりませんが、2本のピンの間隔が広いほどハンソンピンの固定力が増すのではないかと考えています。






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駄ネタ:セメントのカウントに集中して!

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先日、セメントの人工骨頭置換術がありました。
セメントを使用する際には30秒毎にカウントしてもらっています。


私の施設では、だいたい3分~3分30秒でセメントを充填開始することが多いです。このため、3分台に突入した時から緊張感が増します。


もちろんセメントガンの先端からセメントを少し垂らして粘度を確認しながらセメントを充填するタイミングを決定しています。


しかし、手術室看護師がカウントしてくれるセメントにモノマーリキッドを注入開始してからの時間も大いに参考にします。


先日の人工骨頭置換術では、ちょうど
モノマーリキッドを注入開始してから3分で病棟から内線がかかってきました。


そしてあろうことか、時間をカウントしている看護師がその電話に対応したのです! セメントのカウントをしている人が、いきなり病棟対応をしだしたので私は非常に焦りました。


正直言って、どうでもいい内容の問い合わせだったのですが、そのためにセメントのカウントが完全に止まってしまいました。


整形外科医的な常識ではちょっとありえない状況なのですが、いくら説明しても病棟対応の方が重要と感じたらしく、一向にセメントのカウントを再開しません。


やむを得ず、だいたいの感覚でセメントを充填したので事無きを得たのですが、セメントのカウントはそれだけに集中してほしいと心の底から思った出来事でした。







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reverse obliquityの内固定選択は?

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先日、大腿骨転子下骨折(reverse obliquity)の手術がありました。reverse obliquity 型の大腿骨転子下骨折はご存知のように難しい骨折です。


大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)では、reverse obliquity 型の大腿骨転子下骨折はすべての転子部・転子下骨折の5%の頻度です。



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不十分な整復や不適切なインプラント選択によって手術成績は不良になる傾向にあります。ガイドラインでは、short femoral nail(Gammaタイプ)とCHSは非推奨です。


確かに、普通に考えてshort femoral nail で十分な固定性を得られるとは到底思えません。では、どのような内固定材料を選択すればよいかと言うと難しい問題です。


候補としては、long femoral nail(Gammaタイプ)が挙げられます。しかし、この内固定材料の難点は、ネイル径とネイル長にバリュエーションが無いことです。


あまり選択肢が無いため、症例にかかわらずほぼ決め打ちにならざるを得ないのが最大の問題点だと思います。


しかし、reverse obliquity 型の大腿骨転子下骨折では、消去法的にいくとCHSも含めてlong femoral nail(Gammaタイプ)しか選択の余地が無いです。なかなか悩ましいですね。








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どこまでリスクテイクするべきか?

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先日、超高齢者の大腿骨頚部骨折がありました。
Garden分類は stage 1 なので骨接合術の適応があります。


この方は救急搬送時から呼吸状態がイマイチでした。超高齢者で呼吸状態がイマイチな症例では、肺炎・心不全・肺塞栓症などを疑う必要があります。


この方の場合、胸部レントゲンや CT で肺炎像は明らかではなく、また胸水貯留もありませんでした。一方、血液生化学所見では WBC/CRP 12000/2.3 でした。


大腿骨頚部骨折だけで白血球数が1万を超える可能性は高くなく、呼吸状態のイマイチさを考えると肺炎を併発しかけているのかもしれないということが頭によぎりました。


このようなケースでは同日手術を敢行するのか、はたまた少し状態を観察するのがよいのかは判断に迷うところです。


何が起こっているのか分からないので、少し状態を観察するという選択肢が無難に思えました。この症例では手術を2日後に設定しました。


ところが呼吸状態はその後悪化していき、2日後の胸部レントゲンでは肺炎像が明確になりました。後追いで考えると同日手術を敢行しておく方が良かったようにも思えます。


もちろん全身麻酔での手術なので、術後に呼吸状態が悪化した可能性もおおいにあるため、本当にこの判断が正しいのかどうかはわかりません。


ただ術後の呼吸不全併発リスクに捕われて、手術を施行する機会を逸した可能性もあると考えています。 このあたりの判断は何が正解なのかはわかりません。


主治医が患者さん家族の批判を許容してリスクテイクするのは吉か凶なのか??? 初療での判断は、重要なポイントのひとつだと考えています。






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