整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

大腿骨

大腿骨頚基部骨折のCHSでリベンジ

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先日、大腿骨頚基部骨折に対してCHSを施行しました。
以前に理由を解説したように、大腿骨頚基部骨折に関してはCHSが推奨されています。


このため、先日の症例でも原則どおりにCHSを施行しました。しかし、大腿骨近位部骨折では圧倒的にショートネイルを多く使用しており、CHSは滅多に施行しません。



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最近では大腿骨頚基部骨折の際にしかCHSを施行する機会が無いので、微妙な勘を忘れてしまいます。前回の症例では皮膚切開の位置に満足できませんでした。 


上図のように大腿骨無名結節よりもやや末梢から始まる皮膚切開だったのですが、中枢側の2cmは余分でした。ベテラン医師(?)としては、少し不満です。


私は、私的な手術記録の末尾にコツや反省点を書き留めています。手術記録で前回の反省点を確認した私は、今回は同じ轍を踏まないという意識で手術に臨みました。



2



少し分かりにくいですが、今回は小転子レベルからの皮膚切開にしました。ほぼ自己満足の世界ですが、小さな改善の積み重ねが手術手技の向上につながるのではないかと考えています。 






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なぜ、大腿骨頚基部骨折ではCHS?

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先日、大腿骨頚基部骨折の手術を行いました。
大腿骨頚基部骨折は、骨折線が関節包内外にまたがります。






大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン では、大腿骨転子部骨折の治療に関しては、sliding hip screw (CHS)と short femoral nail の両者を推奨しています。


しかし大腿骨頚基部骨折では、sliding hip screw のみが推奨されています。大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドラインには、short femoral nail を推奨しない理由は記載されていません。 


大腿骨頚基部骨折ではsliding hip screw を選択するべきという教育を受けたので、理由も知らずに
私はCHSを選択していました。実際には下記の2つの理由によりCHSが推奨されます。



理由1

大腿骨頚基部骨折でshort femoral nailを選択すると、ネイルが骨折部に来るため骨片間の接触面積が小さくなります。 このため、short femoral nailでは偽関節化する危険性が高まります。


理由2

大腿骨頚基部骨折でCCSなどのスクリュー固定を選択すると、大腿骨頭の回旋に対する十分な固定性が得られません。



上記の2つの理由によって、大腿骨頚基部骨折の術式では、sliding hip screwのみが推奨されているようです。比較的珍しい骨折ですが、手術の際にはCHSを選択するようにしましょう。


   


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大腿骨近位部骨折後の膝関節水腫

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大腿骨近位部骨折後に、同側の膝関節水腫を併発する症例をよく見かけます。
特に術後のリハビリテーションを開始してしばらくして併発することが多いです。


患者さんが患側を痛がってリハビリテーションが停滞するケースでは、意外なほど膝関節に水腫があることが多いのです。しかし、骨折部や創部の痛みだと思いこんでいると気付きにくいです。


では、なぜ大腿骨近位部骨折後に同側の膝関節水腫を併発するのでしょうか? 軽く調べた限りでは、これに関する文献を見つけることができませんでした。


そこで自分なりに推測してみました。まず、受傷時から膝関節水腫を発症している可能性です。しばらく注意しましたが、受傷時から膝関節水腫を併発している方はほとんど居ませんでした。


やはり、術後に膝関節水腫を併発することほとんどの印象です。ということは、術後の股関節部~大腿近位部の腫脹が、膝関節水腫の併発に関与している可能性があります。



大腿骨近位部骨折の手術によって局所の腫脹が発生
患側の静脈還流が低下する
患側の膝関節水腫を併発
 


上記のようなストーリーを考えてみました。これに加えて、受傷時からしばらく床上安静を強いられた後に、術後リハビリテーションでいきなり膝関節に負担がかかることも原因かもしれません。


いずれにせよ、術後に患側下肢を極度に痛がる場合には、骨折部だけではなく膝関節にも注意を払う必要があると思います。それが原因なら、対処は非常に簡単ですから・・・






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車椅子移乗が全介助は要注意?!

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大腿骨近位部骨折は症例数が多いため、整形外科医的にはありふれた骨折です。しかし、超高齢者の大腿骨近位部骨折に関しては、いくつかピットフォールがあると感じています。


先日も90歳を軽く超える超高齢者が某施設から搬送されてきました。受傷前のADLは介助下に車椅子移乗だったとのことです。問診の段階で、この患者さんはさほど問題無しと判断しました。


私が最も警戒する超高齢者の大腿骨近位部骨折患者さんは、受傷前から股関節拘縮を併発している症例です。高度の股関節拘縮がベースにあると、手術施行不能であることがあります。


手術が可能であっても、遷延治癒や偽関節に至る可能性が通常の症例よりも高いです。典型的な症例はオムツ骨折だと思います。オムツ骨折は難治性なので常に警戒しています。


しかし、オムツ骨折を始めとする股関節拘縮がベースにある患者さんは、問診の段階である程度判断可能です。私の中の判断基準は「車椅子移乗が全介助か否か」です。


車椅子にある程度自力で移ることができるのであれば、股関節拘縮を併発している可能性は低いと判断できるからです。そして自力で移乗できない患者さんには注意する必要があります。 


ほとんどの症例で 「車椅子移乗が全介助か否か」の判断基準は有効ですが、一度だけ受傷前は独歩だったのに股関節拘縮がベースにある症例を経験しました。


う~ん、大腿骨近位部骨折と言えども奥が深いです・・・。未だに股関節拘縮が受傷前から存在しているか否かに過敏になっている私は少し病的なのかもしれません(笑)。 





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大腿骨転子部骨折後の頚部骨折

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大腿骨転子部骨折術後の患者さんが、転倒後2週してから歩行不能となりました。
転倒後は痛いながらも歩行可能だったのですが、徐々に疼痛が増悪したとのことです。


頚部骨折 - コピー


少し分かりにくいですが、単純X線像では大腿骨頚部骨折を併発していました。この方は2年前に他院で大腿骨転子部骨折に対する骨接合術を受けています。


画像上は明らかに大腿骨頚部骨折なのですが、short nailが挿入されている状態で大腿骨頚部骨折を併発した患者さんは経験したことが無いので、2年前の画像を取り寄せました。


他院の画像と比較すると、やはり大腿骨頚部骨折を併発していました。おそらくGarden stage 1だった骨折が荷重歩行しているうちに圧潰して短縮したのだと思います。


大腿骨転子部骨折術後の人工骨頭置換術は結構難しいので気が重かったのですが、何とかセメントの人工骨頭を挿入して手術を終了しました。


大腿骨頭の割面を観察すると、骨折部よりも中枢側の大腿骨頭が虚血状態であることが分かります。大腿骨頭壊死症を併発しているので、放置しているとbrade先端が穿破するところでした。


割面 - コピー



大腿骨転子部骨折の受傷機転は大転子部への直達外力ですが、大腿骨頚部骨折は股関節への回旋力が受傷機転となることが多いです。


このため、大腿骨頭に1本しか挿入しないタイプのshort nailは、2本挿入するタイプと比べて、大腿骨頚部骨折を併発するリスクが少し高くなるのかもしれません。


いずれにせよ今回はかなり珍しい症例だと思いますが、short nailが挿入されていても大腿骨頚部骨折を併発することがあることを学びました。



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