整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

膝関節

関節が鳴るのは危ない兆候?!

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
「膝が鳴る」のは関節炎の徴候?  です。




膝関節から「ポン」「カチッ」「パチッ」などの音がする場合、近い将来、関節炎になる場合があるという研究結果が、米ベイラー医科大学(ヒューストン)助教授のGrace Lo氏らにより報告された。


膝関節で音がすることが多いと訴える中高年者では、翌年に膝関節炎の症状が出現する可能性が高かったという。膝関節で「常に音がする」人では、そのうち11%に1年以内に膝関節炎の症状が発現したのに対し、「全くしない」人では4.5%に過ぎなかった。「時々する」「よくする」人では、約8%に翌年、膝関節炎の症状が発現した。  


Lo氏は、「こうした軋轢音(crepitus)は多くの人にみられるが、症候性の膝関節炎を予測できるかどうかはこれまで不明であった。しかし本研究で、関節音は膝関節に何らかの問題があることを示唆する場合もあると示された」と話している。症候性の膝関節炎とは、X線画像上で軟骨の徴候がみられるだけでなく、それによって頻繁な痛みやこわばりを呈するものを指す。


「Arthritis Care & Research」オンライン版に5月4日掲載された今回の研究では、45~79歳の約3,500人を対象とした。対象者には高齢で膝関節炎リスクが高い人や、肥満や膝損傷の既往歴などのリスク因子を持つ人も含まれていた。そのため、今回の結果が、例えば35歳で運動時に膝が鳴るという人にも当てはまるのかは明らかではない。


なお、ベースライン時に膝関節炎の症状はみられなかったものの、X線画像上での徴候は認められた患者もおり、その比率は後に症候性の膝関節炎を呈した群で高いことも分かった。Lo氏は、「膝関節から頻繁に音がすると訴える患者には、X線画像を撮るべきである。もし関節炎の徴候が認められれば、近い将来、症状が出現するリスクがかなり高いであろう」と述べている。





う~ん、非常に興味深い記事ですね。膝などの「関節が鳴る」けど大丈夫でしょうか? という質問は、整形外科医が患者さんから受ける質問として非常にポピュラーだと思います。


この記事を拝読するまで「関節が鳴るのは、急激に関節を動かすことで陰圧になった関節内で、空気が気化する音です。関節症とは何の関係もありません」と説明していました。


短期的には上記の説明内容で正しいと思いますが、比較的長期的な視点で考えると、あながち関節炎の前駆症状とも言えなくはないという趣旨のようです。。。


ただ、膝が鳴る人は変形性膝関節症に移行しやすいという印象は無いです。もちろんこれは、関節の音は空気が気化する音にすぎないという先入観のためかもしれません。


今回の研究結果のために、明日からの診療方針を変更することはなさそうです。しかし、「関節が鳴っても大丈夫」という先入観は、もしかしたら間違っているのかもしれませんね。





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骨切り術は賞味期限切れかも・・・

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先日、寛骨臼回転骨切術(RAO)後のTHAがありました。RAOに限らず、骨切り術後のTHAは難しいです。今日は、重鎮の先生から怒られるかもしれないことを書きます。


私が教育を受けた頃は、まだ股関節外科の分野でも骨切り術が全盛期でした。九州大学の杉岡先生がご健在で、AROやRAOを股関節治療の第一選択にするべしという風潮がありました。


確かに、整形外科医としては、骨切り術の方が達成感があります。私は名古屋大学主催のRAOセミナーに参加させてもらったことがありますが、骨切り術の醍醐味を感じました。


しかし、HXLPE(ハイリークロスリンク)の登場で情勢が変化しました。人工関節の耐用性が大幅に向上したため、骨切り術でタイムセービングすることの意義が小さくなったのです。


そして、骨切り術に伴う社会的・経済的損失に耐えうる人の数が少なくなりました。社会や患者さんのニーズと、骨切り術のベネフィットが一致しなくなってきました。


むしろ、骨切り術による弊害が拡大している印象です。それは、大家と呼ばれる医師による骨切り術であっても、人工関節置換術の10年成績に劣ることが端的に示しています。


中には素晴らしい成績の骨切り症例もありますが、疼痛や関節拘縮を我慢している人も少なくありません。人工関節手術をend point とするsurvival rateは、アテにならないと思うのです。


そして、疼痛や拘縮によるADL低下に我慢できずに人工関節へのコンバートが必要になる時には、人工関節手術が難しくなります。これはHTOのような膝関節骨切り術でも同様です。


このように考えると、大関節の骨切り術は、治療手段としての賞味期限が切れつつあるのではないか? という疑念を抱くようになりました。ちょっと過激な意見かもしれません・・・




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初学者が股関節外科の基礎および治療体系を学習するにあたり最もお勧めの書籍です。日本を代表する執筆陣が股関節外科に関するあらゆる事項を、非常に分かりやすく解説しています。この1冊があれば股関節外科のほぼ全ての疑問点を解消できると思います。


         




膝蓋腱と膝蓋靭帯はどちらが正解?

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膝蓋腱と膝蓋靭帯はどちらが正解なのでしょうか?
解剖学的に考えると腱っぽいですが、骨の間の支持組織なので靭帯のような気もします。


しかし、patellar tendonと言うぐらいなので、やはり腱なのでしょうか? Googleで「膝蓋腱」と「膝蓋靭帯」を検索すると、96700:64300で膝蓋腱がやや優位です。


ただ、膝蓋靭帯と記載されているサイトも、それっぽく書かれているため、一概に膝蓋腱とも言い切れない気持ちになります。


そこで整形外科用語集を紐解くと、膝蓋靭帯は記載されておらず、膝蓋腱のみが記載されていました。膝蓋靱帯炎なども記載されていないため、やはり膝蓋腱が正解のようです。


膝蓋腱は、一般的な屈筋腱損傷や伸筋腱損傷とはずいぶん異なる外観なので、少し迷っていましたが、今回調べてみてすっきりしました。




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オムツ骨折の治療に悩む・・・

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先日、意思疎通の難しい高齢者が、膝関節の腫脹で受診されました。
SAH後の後遺障害のために、自分で歩行することも不可能です。


両下肢は、股関節・膝関節ともに90度で屈曲拘縮しています。右膝関節が異常に腫脹しているので、単純X線像を施行したところ、大腿骨顆上骨折を併発していました。


転位はかなり大きいのですが、骨質がかなり悪いです。いわゆる「オムツ骨折」です。オムツ骨折では、こちらでご紹介したように苦い経験があります。


う~ん、どうしよう。しばらく患者さんを目の前にして考え込みましたが、どうしても患者さんを手術できるイメージが湧かなかったので、今回は保存治療を選択することにしました。


保存治療といっても、高度に拘縮した股関節・膝関節なので、できることは限られています。膝関節90度屈曲位のまま、背側から下肢シーネを施行しただけです。


90度の拘縮膝にシーネ固定する臨床的意味合いには、あまり自信を持てません。しかし、施設では多数の職員さんが働いているので、オムツ骨折の存在を周知するために施行しました。


シーネ固定することによって周囲が注意して、慎重に体位変換を施行してくれることを期待したのです。医療技術が発達すると、このように治療の難しい患者さんが増えていきます。


昔であれば、ここまで長生きできなかったはずの方が増加するのです。医療の発展は素晴らしいことですが、いたちごっこのような気がするのは私だけでしょうか???





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駄ネタ: コレは足趾の運動障害か?!

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先日、鏡視下前十字靱帯再建術がありました。
術後は膝関節軽度屈曲位で下肢シーネ固定としています。


術後はルーチンで担当看護師による訪床がありますが、日勤の終了間際に「足に冷感があって、第5足趾が動かないです!」というコールがありました。


「そりゃ困ったな」と思って訪床したところ、本当に第5足趾が0度までしか伸展できないようです。しかし、第1~4足趾は30度ぐらい伸展できており、特に循環状態も悪くなさそうです。



???と思って、反対側の足趾も動かしてもらうと、健側も第5足趾の伸展ができないようです。どうやら、もともと第5足趾は0度までしか伸展できない方のようです。



「ほっー」と思って、私も自分の足趾を動かしてみると、第1~4足趾はやや伸展できるものの、第5足趾は0度までしか伸展できないことに気付きました。 これって、普通なんですね(笑)。



よくみると、この患者さんは普通の人以上に、 第1~4足趾が過伸展できるようです。なるほど、ややこしいですが第1~4足趾が過伸展できるために第5足趾が目立ってしまったようです。


一連の流れを見ていた担当看護師は若手なので、つまらないことで私をコールしたと恐縮していました。 しかし、私自身も知らなかった(認識していなかった)ことなので仕方ありません。


客観的にみると、よく第5足趾の伸展不良(?)にまで気付いたなと感心しました。きっと、彼女は優秀な看護師に成長することでしょう。





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