整形外科医のブログ

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膝関節

最近見かけなくなった CPMに効用はあるのか?

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昔は TKAとセットだった CPM


最近、見かけなくなったモノのひとつに CPMがあります。CPMとは、Continuous Passive Motion(持続的他動運動)の略称で、ご存知のように CPMを実施する機器を指します。


私が医師になった頃、TKA術後に CPMを実施することがルーチンでした。機器の角度を設定して「今日は120度までいきましょう!」とか言って患者さんを脅したものです(笑)。


ところが、いつの頃からか CPMを行わなくなりました。そもそも論として、何を目的として CPMを実施しているのか分からないのがその理由。


そういえば、学術的に言うと CPMにはどのような意味があるのでしょうか? 軽く CPMの効用を調べてみました。



CPMの目的は?


医中誌で検索しましたが、あまりエビデンスのありそうな文献がありません...。ヒットした理学療法士の文献をいくつか読みましたが、エビデンスレベルの低いものばかり。


まぁ、CPMを対象としてエビデンスの高い研究はできないのでしょう。これらの文献ではおおむね下記のような目的があるようです。

  1.  関節可動域の拡大
  2.  関節拘縮の予防
  3.  深部静脈血栓症の予防
  4.  関節軟骨の修復
  5.  術後の腫脹軽減
  6.  疼痛の軽減


一見すると納得しそうな目的です。しかしよく考えると怪しげなモノが多い。医学的エビデンスがありそうなのは、④関節軟骨の修復ぐらいでしょうか? それさえも怪しい...。


1日20~30分程度のCPMで、関節可動域の拡大や関節拘縮を予防できるわけありません。深部静脈血栓症も同様です。術後の腫脹や疼痛はむしろ増悪しそう。


もし私が患者さんなら、CPMではなく patellar settingや SLRを積極的に実施すると思います。もしエビデンスレベルの高い文献を知っているよ!という方は是非教えてほしいです。



まとめ


私の知る限り、CPMを実施している施設は減少しています。医療は日進月歩でありエビデンスの無い治療は淘汰される運命にあります。CPMもその道を辿るのかもしれません。







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知ってる? 鵞足炎は膝関節内側痛の原因のひとつ

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鵞足炎をご存知でしょうか?
恥ずかしながら、私はこれまであまり鵞足炎を診たことがありませんでした。


鵞足は
縫工筋、半腱様筋、薄筋の脛骨停止部で、ACL再建術や TKAの際にみかけることが多いです。この部位に炎症をおこしている状態が鵞足炎です。


2ヵ月前から筋トレ、特にレッグカールの際、左膝関節内側にかなりの痛みを感じるようになりました。おいおい、まさか OAじゃないだろうな...。夜間痛まで出てくる始末。



しかし圧痛部位は微妙に膝関節ではありません。どうやら鵞足っぽいのですがそんなところに炎症が起こるか?!そこでMRIを撮像したところ、はっきり映っていました、鵞足炎が!



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実は大腿骨内顆骨壊死とかがあったら嫌だなぁと思って撮像したのですが、想定どおり鵞足炎でした。それにしても鵞足炎が何故発症したのでしょうか?


おそらくロクにストレッチもせずに、週 2回ペースでボクシングジム通いしているためでしょう。ボクシングのフォームが悪いことも原因のひとつかもしれません。


いずれにせよ診断はついたワケですが、鵞足炎って結構痛いんです。しかもロキソニンやテーピングはほとんど効果無し。ステロイド注射や PRPに走る人が居るのも頷けます。


痛みを無視してボクシングと筋トレを続けていますが、医者の不養生を地で行っていると言っても過言ではないでしょう...。






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ステロイド関節注射は膝関節に悪くないという論文が出た?!

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ケアネットで興味深い記事がありました。
膝OAへの関節内ステロイド注射は良い?悪い? です。


ステロイド関節内注射は膝に悪いに決まっているじゃないかと上から目線で読み始めましたが、下記のようにステロイドとヒアルロン酸で有意差はないという結論をみて驚きました。


膝OAに対するステロイドの関節内注射は、短期的な抗炎症効果に優れているものの種々の副作用があることから、高い評価を得た治療法とは言い難い。しかし、今回報告された研究によると、もう一つの膝OAに対する関節内注射薬であるヒアルロン酸に比べてステロイドが、膝の状態の悪化を加速させるようには見えないという。


ええっ、何言ってるの???天地がひっくり返るような驚きです。ステロイド関節注射を施行し続けると、シャルコー関節みたいになってOAが進行するのは自明の理のはず...。


半信半疑で読み進めると頻度に問題があるようです。本研究ではステロイド関節注射が 3ヵ月に1度程度といった比較的頻度の低い患者のみを対象としていたのです。


その程度なら有意差は出ないでしょ! 私が医師に成り立ての頃は、上の年代の医師の中には、2週間に1度程度の頻度でステロイド関節注射を続けている人を結構見かけました。


ステロイド関節注射をすると一時的に膝関節痛が軽快するため「名医」として大人気の外来でした。ホンマかいなという気持ちで眺めていた記憶があります...。


2週間に1度程度といった高頻度でステロイド関節注射を続けるとヒアルロン酸との有意差が出るものと思われます。少なくとも定期的に関節注射するのは避けた方が良いでしょう。






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変形性膝関節症に PRP療法は無効!

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Medical Tribuneに多血小板血漿療法は変形性膝関節症への有効性が示されずという報告がありました。そんな気がしていましたが、RCT出た結果は重く受け止める必要があります。






解析の結果では、PRP投与12カ月後における疼痛スコア、および MRIでの脛骨内側の軟骨定量評価のいずれもが、プラセボ群と比較して有意差がありませんでした。


この研究では、肥満度、関節水腫の有無、K-L分類にかかわらず有意差が無かったようです。変形性膝関節症に対する PRP療法施行は支持されないという結語になっています。


日本でも PRP療法が勃興していますが、骨性の関節構造体に関しては効果が無いのでしょう。オーバーインディケーションにならないように注意する必要がありそうです。







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大腿骨近位部骨折に膝関節水腫が併発する理由

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大腿骨近位部骨折の患者では膝関節水腫を併発していることが多いです。しかし、なぜ大腿骨近位部骨折に膝関節水腫を併発するのでしょうか?


先日、受傷後5日目に大腿骨頚部骨折患者さんに人工骨頭置換術を施行したのですが、体位変換する際に、患側の膝関節に水腫があることを発見しました。


私の中では、大腿骨転子部骨折ではほぼ全例、大腿骨頚部骨折でも、術前からかなりの症例で膝関節水腫を併発している印象を受けます。


そこで、大腿骨近位部骨折の患者に膝関節水腫が併発しやすい理由を考察してみました。まず考えるべきことは、受傷前から膝関節水腫を併発している可能性です。


しかし、このことに関しては搬送時には膝関節水腫を併発している症例は多くない印象を受けています。あくまで私の感覚であり、n=0でエビデンスはありませんが...。


このため受傷後しばらくして膝関節水腫が出現するのではないかと考えています。大腿骨近位部骨折では骨髄から出血するため、股関節周囲の組織がかなり腫脹します。


このため静脈やリンパ還流が阻害されて患肢に静脈うっ滞を併発し、これが膝関節水腫の原因になるのではないかと考えています。


その理由として、大腿骨転子部骨折の方が大腿骨頚部骨折と比較して、膝関節水腫併発率が多い印象を受けるからです。


大腿骨近位部骨折に膝関節水腫を併発しているからと言って、経過に大きな影響を与えることはありません。


このためあまり臨床的には重視されていませんが、純粋な整形外科医としての興味があったため考察してみました。理由をご存知の方がいらっしゃれば、是非ご教示ください!





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