整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

薬物治療

抗血栓作用のある意外な薬

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公益財団法人日本医療機能評価機構が発効している医療安全情報のNo. 149に、薬剤の中止の遅れによる手術・検査の延期 がありました。



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プラビックスやアスピリンは易出血性をきたすことは容易に想像できますが、ロトリガやタケルダには意外感がありました。


ロトリガは高脂血症の治療薬ですが、いわゆるEPA製剤です。エパデールやイコサペント酸エチルと言われると抗血小板作用があることは常識ですが、ロトリガもEPA製剤とは...


タケルダはアスピリンとランソピラゾールの配合錠ですが、なぜか私の中では胃薬的なイメージがあります...。気を付けなければなりませんね。






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一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。









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腰部脊柱管狭窄症の薬物治療戦略

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Monthly Book Orthopaedics の5月号は、整形外科医が知っておきたい薬の知識 でした。以前に変形性膝関節症の薬物治療戦略をまとめましたが、今回は腰部脊柱管狭窄症です。


変形性膝関節症ではシンプルな治療戦略でした。OAの痛みを制するには、関節軟骨に感覚神経は存在せず、軟骨以外の組織由来の痛みであることを理解することが重要です。


【急性期】
滑膜炎 → NSAIDs、ヒアルロン酸製剤の関節注射
骨髄浮腫 → ゾレドロン酸(リクラスト)、足底板などによる荷重負荷軽減

【慢性期】
中枢性感作 → 中枢性鎮痛薬(デュロキセチン、トラマドール) 




それでは、腰部脊柱管狭窄症ではどうなのでしょうか? 腰部脊柱管狭窄症では、症状から神経根型(下肢痛)と馬尾型(下肢しびれ)に分けます。


【神経根型】 
  1. アセトアミノフェン / NSAIDs+プロスタグランジンE1製剤
  2. 神経障害性疼痛の要素がある場合はプレガバリン追加
  3. 中枢性鎮痛薬(デュロキセチン、トラマドール) 

【馬尾型】
  1. プロスタグランジンE1製剤
  2. 安静時症状が強い場合はプレガバリン追加
  3. 中枢性鎮痛薬(デュロキセチン、トラマドール) 


神経根型、馬尾型を問わず、ほぼ同様のプロトコールのようです。私の場合は EPAを多用していますが、個人的にはプロスタグランジンE1製剤よりも効果的と感じています。






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駄ネタ:緊張違い

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先日の外来で興味深いやりとりがありました。
頚部痛に対してミオナールを処方したのですが、効果無いとのことです。


「先生は、この薬を服用すると緊張がほぐれるとおっしゃりましたが、服用しても全然緊張がほぐれないんです」と言われました。


そうか、ミオナールは効果なかったんだなと思って他の薬を処方しようとしたのですが、なんだか様子がおかしいです。


よくよくお伺いすると、最近は何に対しても「精神的に」緊張するようになったので、ミオナールに期待したようですが全然効かないと...


私は頚部の筋肉の緊張がほぐれる薬ですと伝えたつもりなのですが、どうやら患者さんは精神的な「緊張」がほぐれる薬と勘違いされたようです(笑)。


まさに「緊張違い」ですね。
どうやら、今回のミオナールにプラセボ効果は無かったようです。






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米軍も推奨するトラネキサム酸

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人工関節再置換術や感染人工関節の手術では、軟部組織が正常ではありません。このため、手術中に瘢痕組織からの出血で苦労することが多いです。


ある程度時間が経つと瘢痕組織からの出血は自然に止血されることが多いですが、ただでさえも侵襲の大きい手術なのに瘢痕組織からの出血がダラダラ続くのは好ましくありません。


また閉創時にしっかりと軟部組織を縫合できないことも多いので、術後も創部からじわじわと出血が続くことがあります。高齢者では出血性ショックを併発することさえあります。


このような組織からの oogingを抑えたい時は、トラネキサム酸(トランサミン)を静注もしくは点滴静注すると出血コントロールするできることが多いです。


トラネキサム酸の副作用には深部静脈血栓症がありますが、出血コントロールと血栓症併発のリスクを天秤にかけて、使用の可否を考えるべきだと思います。


しかしトラネキサム酸を投与したからといって、はっきりと深部静脈血栓症を併発する確率が上がるわけでもないようです。


そして、アフガニスタンやイラク戦争での米軍の研究では、トランサミン静注が兵士の救命率をあげたという報告もあります。


防衛省のTCCC(Tactical Combat Casualty Care)戦術的第一線救護関連の資料では、受傷後1時間以内のトラネキサム酸 1000mgの投与が推奨されています。


実際、手術中に軟部組織からの出血が止まらなくなった時や、術後に創部出血が続いて血圧が低下した時などにトラネキサム酸 1000mg 投与すると出血が止まるケースが多いです。


止血手段のひとつとして、トラネキサム酸の投与があるということを覚えておいて損はないと思います。





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プレガバリン処方では自殺企図に注意!

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先日、Medical Tribuneで興味深い記事がありました。プレガバリンで自殺行動リスクが上昇 スウェーデン・19万人超の検討 です。下記に要約します。




ガバペンチノイド(ガバペンチンまたはプレガバリン)を処方された15歳以上のスウェーデン人19万人超のデータを検討した結果を、英・University of Oxford/スウェーデン・Karolinska InstitutetのYasmina Molero氏らがBMJ(2019; 365: l2147)に発表した。また年齢別に見ると、特に15~24歳の若年者でリスクの上昇が顕著であることも分かった。


自殺、過量服用、外傷、交通事故リスクが上昇


Cox比例ハザード回帰モデルを用いた被験者内解析の結果、ガバペンチノイド服用により自殺行動/自殺による死亡リスクは26%〔年齢調整ハザード比(HR)1.26、95%CI 1.20~1.32〕、偶発的過量服用リスクは24%(同1.24、1.19~1.28)、頭部・体幹部外傷リスクは22%(同1.22、1.19~1.25)、交通事故/違反リスクは13%(同1.13、1.06~1.20)上昇した。


この結果について、Molero氏らは「若年者のガバペンチノイド服用によるリスク上昇、特に自殺行動および偶発的過量服用のリスク上昇に関する理解を深めるために、さらなる研究が必要だ。同時に、臨床ガイドラインの見直しも必要であろう」と述べている。




驚くほどリスクが上昇するわけではなさそうですが、特に若年者へのプレガバリン処方には注意する必要があるようです。


サインバルタもそうですが、もともと向精神薬として開発された経緯のある薬剤の使用には、自殺企図リスク上昇などに対して理解するのが望ましいと感じました。






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