整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

TKA

両側 TKAは合併症が多い!

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m3で興味深い記事がありました。
両側同時TKA、健康状態良好でも合併症リスク高い です。


安全な両側同時人工膝関節全置換術(TKA)の施行が可能な患者集団を特定するため、手術の質改善プログラム(NSQIP)に登録された両側TKA施行患者8291例と健康状態でマッチさせた片側TKA施行患者8291例の術後転帰を検証。


 2項ロジステック回帰分析の結果、健康状態に関係なく両側TKA群は片側TKA群よりも全合併症および主要合併症のリスクが高かった(いずれもP<0.001)。


Warren JA, et al. Bilateral Simultaneous Total Knee Arthroplasty May Not Be Safe Even in the Healthiest Patients. J Bone Joint Surg Am. 2020 Dec 24. Online ahead of print.



両側 TKAは合併症リスクが高いという報告です。今回の研究は 8000例を超える n数なので、説得力がありますね。


以前は、限られた手術枠の中で最大限の手術件数を稼ぐために、両側THAに加えて両側TKAを行っていた時期もありました。


幸い、両側TKAで重篤な合併症は経験していないものの、主治医・患者さんとも大変なので、いつの頃からか両側同時手術は THAだけになりました。


両側TKAは両側THAと比較して、術後のリハビリテーションが大変です。車椅子に移乗することさえ一苦労であり、両側THAとはしんどさが全然違います。


タンデム手術は行わないので、術中は主治医も大変です。そんな感じでいつの頃からかTKAは片側のみにしていますが、その判断は図らずも正しかったことを確認しました。





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KL分類の定義の覚え方

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変形性膝関節症の診療では欠かせないもののひとつに、単純X線像のKL分類(Kellgren-Lawrence分類)があります。


評価が定性なので、医師によって若干評価が異なってしまうことが難点ですが、広く周知されているため使用せざるを得ないと考えています。


感覚的に「これは KL grade 3だな」と言った感じで Gradeを判定していましが、最近になってGradeの定義を忘れてきたので、もう一度復習することにしました。


  • Grade 0:正常
  • Grade 1:軽度の骨棘や骨硬化のみ
  • Grade 2:軽度の関節裂隙の狭小化を認める(25%以下)
  • Grade 3:明らかな関節裂隙の狭小化を認める(25~75%)
  • Grade 4:ほぼ関節裂隙が消失している(75%以上)


とりあえず関節裂隙で KL分類が決まるので、こじつけっぽいですが「Grade 3は 4段階中の 3だから 75%以下
と覚えておくとよいのでしょう。


改めて見直すと、やはりファジーですね(苦笑)。なんのために KL分類をするのか分からなくなってきました...。






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TKAで膝蓋前外側皮切を実践!

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先日、TKA術後の伏在神経膝蓋下枝損傷の予防に、膝蓋前外側皮切(外側凸の弧状切開)が解決策となる可能性があることを記載しました。


そこで、さっそく先週の TKAで実践してみました。皮膚切開を膝蓋骨から膝蓋腱の外側縁にするだけなので楽勝だと思っていました。


しかし実際には、やや手間取ってしまいました。支帯上まで一気に切開して、脂肪組織内に切り込まないようにして内側皮弁を起こします。


ところが、肝心の脛骨結節部ではどこが支帯なのか少々分かりにくかったのです。仕方なく近位の大腿四頭筋部分で支帯を確認して遠位に展開することにしました。


膝関節内へのアプローチは medial parapatellarで進入しましたが、術中操作の際に内側皮弁が術野に巻き込まれます。このため、TKAではあまり使用しない高さの筋鈎が必要でした。


予想外に苦戦です...。もちろん苦戦と言っても、アプローチを medial parapatellar → sub-vastusに変更するのとは比較になりません。


しかし、内側皮弁が舌のように術野に垂れ込むので、たびたび鬱陶しさを感じる手術でした。もちろん、この皮膚切開で伏在神経膝蓋下枝損傷を回避できれば全く問題なしです。







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膝蓋前外側皮切で伏在神経膝蓋下枝損傷を回避する

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TKA術後の伏在神経膝蓋下枝損傷の存在を知って以来、術後患者を観察していると、不定愁訴と思っていた疼痛や違和感は、結構な頻度で伏在神経絡みであることに気付きました。


リリカを処方すると軽快する症例が多いですが、副作用が強くて十分量を投与できないこともあります。やはり伏在神経膝蓋下枝損傷を予防する手段を考える必要があります。


医中誌を検索すると、TKA後の伏在神経膝蓋下枝に関する論文がいくつかヒットします。この中で皮膚切開をできるだけ外側におく術式が紹介されていました。


伏在神経膝蓋下枝の切離を防ぐことは不可能ですが、皮膚切開を前外側におくことで可能なかぎり外側で伏在神経膝蓋下枝を切離するというコンセプトのようです。


この術式の利点は、伏在神経膝蓋下枝損傷による術後の膝関節痛の緩和だけではなく、ひざまずき動作時の疼痛も緩和できるようです。


術式自体は非常に簡単で、皮膚切開を膝蓋骨から膝蓋腱の外側縁にするだけです。支帯上まで一気に切開して、脂肪組織内に切り込まないようにして内側皮弁を起こします。


そして、膝関節内へのアプローチは通常通りに medial parapatellar、もしくは mid-vastusや sub-vastusとなります。


少々皮膚切開が長くなりますが、術中操作の難易度は変わらないようです。たったこれだけで頑固な伏在神経膝蓋下枝損傷の症状を回避できるのであれば非常に好ましいです。


手術のポイントは、脛骨結節部の皮切が確実に脛骨結節よりも外側になるようにすることです。FTAの大きい症例では、術後に脛骨結節内側に皮切が行きがちなので注意が必要です。






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KneeAlign2は○○以外テキトーでOK?!

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新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が全国的に増加してきていますが、現在のところ4~5月の緊急事態宣言の頃のような手術抑制はしていません。


このため、人工膝関節全置換術(TKA)も比較的ガンガン施行しています。最近ではすっかりおなじみになった KneeAlign2ですが、TKAには無くてはならないブツになっています。


この素晴らしいデバイスのおかげで、TKAの設置精度が劇的に上昇しました。KneeAlign2の内部の仕組みはブラックボックスですが、とにかく結果は素晴らしいの一言に尽きます。


かなり KneeAlign2に慣れてきたのですが、ますますデバイスの能力に頼るようになってきました。ぶっちゃけた話、KneeAlign2に関してはほとんどテキトーにしていても OKです。



まず、大腿骨顆部へのピン刺入は、大腿骨頭中心部に向けるのが教科書的ですが、10度のずれまで許容されるので、よほど訳の分からない方向に刺入しない限り OKです。


次に脛骨ですが、ブームを脛骨近位関節面のほぼ中央にさえ置けば、その他のことは本当にテキトーで OKです。



当初はデバイスを下腿軸に合わさなければいけないという強迫概念がありましたが、
脛骨近位と両顆の 3点のみが大事であることが分かってからはテキトーさに拍車がかかりました。


大腿骨・脛骨とも唯一しっかり確認するべき点は「回旋」です。回旋だけはデバイスで制御できません。回旋だけしっかり確認して、あとはテキトーで問題無しだと思います。







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