整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

TKA

TKA: 高度外反膝の注意点は?

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先日、FTA 160度の高度外反膝の人工膝関節全置換術(TKA)がありました。ご存知のように高度外反膝のTKAは難易度が高いです。


  • アプローチをどうするのか?
  • どの順番に軟部組織のリリースをするのか?
  • インプラントは拘束型まで準備するべきなのか?
  • 術中のピットフォールは?


考えだしたらキリが有りません。一般的にはアプローチは慣れた内側アプローチで、軟部組織は腸脛靭帯、膝窩筋腱、関節包を順次切離、拘束型も準備ということになります。


そこで、今回は大学の膝関節班の先生がおっしゃられていたピットフォールをご紹介します。まず、最も注意するべきことは、大腿骨内顆に術中骨折を併発しないことです。


高度外反膝では内側に荷重がかからないため、大腿骨内顆が廃用性骨粗鬆症になっています。このため不用意に固定ピンを打って4面カットすると内顆を破壊することがあります。


大腿骨内顆に術中骨折を併発すると、ただでさえ大腿骨外顆は低形成のために4面カットできないところに、頼みの綱の大腿骨内顆で固定性を得られないという危険性があります。


このため、大腿骨内顆の扱いには細心の注意を払う必要があるのです。そしてこの段階を無事に通過しても最後に関門が待ち構えています。


それは、膝関節内側にゆるみを残してしまうことです。これを避けるために内側リリースや骨切りを最小限にしますが、これ以外ではインサートを厚くするしか方法がありません。


しかし、多少インサートが厚くなっても、膝関節内側にゆるみを残すよりはマシです。このような場合には勇気をもって厚めのインサートを選択しましょう。







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TKA: 術前3カ月以内の関注は危険!

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変形性膝関節症の治療において、人工膝関節全置換術(TKA)は最後の手段です。膝関節注射の効果がいよいよ見込めなくなった段階で手術を考えるという流れが多いと思います。


このようなケースでは、最後の関節注射をした後に患者さんが音を上げて人工膝関節全置換術を希望して手術治療へシフトすることになります。


しかし、主治医が「はい、わかりました。それでは手術をしましょう
」と言うと少しマズいことになります。どういうことかと言うと、JBJSから下記の論文が出ているからです。



Comparison of Infection Risk with Corticosteroid or Hyaluronic Acid Injection Prior to Total Knee Arthroplasty



上記論文は大学の先生に教えていただきました。この論文によると、TKA の術前 3ヶ月以内に
関節注射を施行した症例では、有意に術後感染が増えるという結果になっています。


このため外来で関節注射を施行していて、いよいよ手術しかないということになっても、最後の関節注射から手術までの機関は、少なくとも3ヶ月以上空けた方が良さそうです。






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TKA: 脛骨近位骨片のウマイ摘出法

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先日、人工膝関節全置換術(TKA)がありました。TKA で面倒なステップのひとつに脛骨近位部の骨切りがあります。


TKA では内反膝が多いので
、脛骨近位外側の処理は行わないことが多いです。このため、何となく外側軟部組織に手を加えるのはアンタッチャブルなイメージがあります。


ただでさえも内反膝においては内外バランスが内側に偏っているのに、外側軟部組織を切離すると、ますます靭帯バランスが崩れそうです。



このため外側軟部組織の切離は最小限にとどめるというのが暗黙の了解です。私も外側軟部組織の切離は最小限にするように心がけていました。


ところが先日の TKA では、脛骨近位外側の軟部組織を関節面から約10 mm ほど全周性にリリースしていました。えっ、そんなことしていいの???


少し驚いて確認すると、脛骨近位骨切りで骨から軟部組織を剥がすのだから、最初から軟部組織を剥離しておくと骨切り後の骨片摘出が容易になるという理由でした。なるほど!


その後、実際に骨切りを行うとあっさり脛骨近位骨片が摘出できました。これだけでも5分程度は手術時間を短縮できそうです。なかなかうまい方法だと思いました。






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前のめり患者さんへの迎合は危険!

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先日の外来で「左股関節が痛いから手術して欲しい!」という患者さんが初診されました。私が勤務している医療機関は、人工関節ではそこそこ名前が売れています。


このため、このような患者さんがときどき初診されるのですが、私の対応は「じゃ、手術日時を決めましょう!」ではありません。


このような患者さんと意気投合(?)して手術をしてしまうと、のちのちになってトラブルが発生することが多い印象です。


お互いの信頼関係が熟成していない段階で手術をしてしまうと、ちょっとしたトラブルが大きなトラブルに発展しがちです。


このため、焦って(がっついて)症例を掴みに行くのは自制するべきだと考えています。このような症例では、私はまず保存治療を勧めてみます。


画像所見的には「これは厳しい」という症例であっても、まずは保存治療を行うのです。数回外来で診させてもらって、同時に患者さんの人となりも見させてもらいます。


その上で、手術をしても問題なさそうな方+保存治療が奏功しない場合には、そろりと手術をお勧めするようにしています。


長らくそれなりの看板のある病院勤めをしていると、このあたりの脇が甘くなることがあります。病院の看板を自分の実力と勘違いしてしまうのです。


やはり医療の基本はお互いの信頼関係だと思います。前のめりの患者さんが受診されても、それに迎合しないことが大事かなと感じています。






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TKAでもドレーン非留置に挑戦!

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先日、人工膝関節全置換術(TKA)がありました。
私は人工股関節全置換術ではドレーンを留置していません。


ドレーンを留置しないと、手術中にドレーンを留置する手間が省けることと、
コメディカルも含めて術後管理が楽になります。


ドレーンを留置しないことのデメリットとして感染率の増加が考えられますが、渉猟し得た限りでは、感染率が上昇するという論文を見つけることはできませんでした。


以前にこちらでもご紹介したように、 THA においては、むしろドレーン非留置を推奨している論文が多いようです。



一方、 TKA に関しては、こちらでご紹介したように、ドレーンを推奨する論文は THA ほどありませんでした。ニュアンスとしては可もなく不可もなくといったところでしょうか。


このため THA はドレーンを留置していますが、TKA はドレーン留置を続けていました。ところが、いくつかの施設で TKA でもドレーンを留置しない施設があると聞きました。


私も思い切ってドレーン非留置にしてみました。ドレーンを留置しなかった症例は、ドレーン留置と比べてさほど変化はないというのが第一印象でした。


危惧していた術後の膝関節血腫も、ドレーン留置例と比べて著明に多いイメージはないです。 むしろ創部からの出血がないため、外観上の創状態は良好に見えます。


更にドレーンが無いので動きやすくなり、離床が早く進む印象もあります。私は抗生剤含有セメントを利用しているので、感染対策でもドレーン非留置の方がいいのかもしれません。






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