整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

TKA

TKA: サイズが大きい症例は難しい?


先日、人工膝関節全置換術(TKA)がありました。
インプラントの予定サイズは小さめでした。


私の経験では、インプラントのサイズが小さいと、展開が比較的容易であるケースが多い印象です。実際に、この日のTKAでも術野がキレイに展開できてスムーズに手術が終了しました。


逆にインプラントの予定サイズが大きいと身構えます。そして、このことはTHAにおいても同様だと思います。インプラントの予定サイズが大きいほど、手術が難しくなるイメージなのです。


しかし、よく考えてみると、インプラントが大きくなると手術が難しくなる理由は、TKAとTHAで異なるのではないかと思うようになりました。具体的には下記の理由によります。


  • TKA: 大きなインプラントは男性に多く、男性は女性に比べて軟部組織が固いため
  • THA: インプラントのサイズが大きいと、リーマーやインプラントの挿入が難しいため


大筋では、両者とも大きなインプラントは手技が難しくなると思うのですが、具体的な理由は少し異なる印象です。もちろん、極端に小さなTHAが高難度であることは、論を待ちません。






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TKA: セメントに抗菌薬を混ぜる工夫


先日、人工膝関節全置換術(TKA)を施行しました。
手術自体は普通でしたが、今回はセメントに混入する抗菌薬でひとつの試みを行いました。


5555 - コピー



こちらの記事に対していただいたコメントを参考に事前にガス滅菌したのです。抗菌薬をセメントに混ぜるときに、私の施設では外回りの看護師さんが清潔に気をつけて開けています。


ニッパーもしくはコッヘルの先で抗菌薬バイアルの金属部分およびゴム部分を開けてます。そして、内部の抗菌薬(CEZ)はカチカチなので、清潔のコッヘルで崩してからセメントに混ぜます。


しかし、この方法では清潔度にやや難があります。私はいつも目を皿のようにして外回り看護師さんの一挙手一投足を監視しています(笑)。


それぐらい、術者にもプレッシャーのかかる嫌な場面なのですが、バイアルごとガス滅菌して術者や助手などの清潔な人が開けることで、この清潔度にやや難のある操作を回避できます。


もちろん、BIOMETのCobalt G‐HV ボーンセメントを使用すれば問題ないのですが、適応が人工関節置換術の術後感染に伴う二期的人工関節再置換術の第二段階のみです。


このため、通常の人工関節手術では使用することができません。非常に残念なことです。今回教えていただいた工夫で抗菌薬を取り扱う際の感染リスクを少しですが低減できると思います。


ガス滅菌は60度まで温度が上昇するようですが、60度程度では抗菌薬の活性は問題ないです。自己満足かもしれませんが、TKAの感染リスクを少しだけですが低くできた気がします。





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ザイアンスの法則を患者さんに応用


ザイアンスの法則をご存知でしょうか?
接する回数が増えるほど好意度が高まる効果のことで「単純接触効果」 とも言います。


私が勤務する病院では、毎月患者さんへのアンケート結果が集計されます。その一部としてコメントも公表されるのですが、毎月読んでいると興味深いことに気付きました。


そのアンケートで評価の高い医師は、だいたい毎月決まっています。そして比較的頻回に「朝夕2回の回診が嬉しかった」というコメントが多いです。


もちろん高評価の要因は医師としての技量に因るところも多いのでしょうが、コメントを見る限りでは患者さんへの接触回数の多さが如実に医師への好感度アップに貢献しているようです。


調べてみると、恋愛でも入り口の段階ではザイアンスの法則は効果があるそうです。ただし、「好き嫌い」の感情が生まれる前の段階のみであり、度が過ぎるとストーカーなのでご注意を(笑)


なるほど、患者さんからの好感度アップには接触回数を増やす方法が有効なことは分かりました。しかし、これを実践することはかなり難しいことに気付きました。


例えば、私は現時点で16名の入院患者さんを抱えているのですが、毎日1回の回診に費やす時間は最速で約1時間です。これを2回に増やすと単純に2時間となります・・・


毎日実践することは、私には難しそうです。もう少し違う方法で患者さんとの接触回数を増やして好感度アップする方法を模索しようと思います。





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TKA: 膝蓋骨骨折を併発したら・・・


人工膝関節全置換術(TKA)は、THAと比べてピットフォールが少ないです。
しかし、膝蓋骨低位や高度外反膝などの比較的難症例ではそれなりに注意が必要です。


例えば、膝蓋骨低位症例では展開が難しく、膝蓋骨の排除に苦労することが多いです。膝蓋骨の排除で無理をすると、膝蓋腱脛骨停止部が剥がれたり膝蓋骨下極骨折を併発します。


膝蓋骨非置換のTKAであっても、膝蓋骨周囲の損傷はリカバリーが難しいです。術者は常にこれらを念頭に手術に臨むべきですが、不幸にして併発した場合どうすればよいでしょうか?


膝蓋骨下極骨折や膝蓋腱脛骨停止部剥離を併発した場合には、膝蓋腱損傷として治療を行います。成書ではAOの4.5mm皮質骨スクリューと軟鋼線を用いる方法が記載されています。


しかし、Tibial compornentが脛骨に設置されている状況では、4.5mmの皮質骨スクリューを脛骨結節に挿入することは二次性骨折を併発する危険性を伴います。


この場合、4.5mmの皮質骨スクリューの代わりに2.4mm K-wire等で代用すると良いでしょう。そして膝蓋骨置換症例では、2.4mm K-wireを膝蓋骨に刺入することさえ危険を伴います。


この場合には14Gサーフロー針などを用いて膝蓋骨周囲に1.2mm軟鋼線を誘導します。14Gサーフロー針を膝蓋骨縁ぎりぎりに刺入することで、膝蓋骨縁に軟鋼線を誘導可能となります。


膝蓋骨中枢側縁と内外側縁に沿って、14Gサーフロー針を用いて3回「コ」の字状に軟鋼線を誘導します。こうすることで、軟鋼線が膝蓋骨縁の20時~4時部分に通ります。


膝蓋骨ぎりぎりに軟鋼線を半全周性に通すことで、2.4mm K-wire無しでも十分固定性を期待できる鋼線締結法を施行することが可能となります。


このようなプチ知識を頭の片隅に置いておくだけでも、万が一の事態に遭遇したときにも冷静に対応できると思います。





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MIS-TKAの意義か、異議か?


Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
MIS-TKAがもたらしたのは意義か異議か? です。




人工膝関節全置換術(TKA)を最小侵襲手術手技(MIS)で行うMIS-TKAが提唱され,10年余りが経過した。


術後の疼痛軽減,早期機能回復が期待され日本でも急速に浸透したが,手術時間の延長や手術視野の制限,それに伴う軟部組織の損傷など,問題点も指摘されるようになった。


また,大腿四頭筋を温存する,皮切長を必要最小限にとどめる,膝蓋骨を翻転しない─ことがMIS-TKAのおおよその要件とされるが,明確な定義はないのが実情であり,何をもってMIS-TKAとするのか,疑問の声も聞かれる。


第46回日本人工関節学会ではMIS-TKAの意義を問う特別企画が催され,豊富な手術経験を持つ4氏が,推進派と非推進派に分かれて議論を交わした。



  • さらなる低侵襲化に期待 ー杉本氏
  • "最小侵襲"から"最適侵襲"へ ー水野氏
  • "最小侵襲"から"最適侵襲"へ ー水野氏
  • 技量に応じた無理のないTKAが重要 ー西池氏





詳細はリンク先を読んでいただきたいのですが、さすがに初期の頃のように皮膚切開の長さ云々といった馬鹿げた議論はなされていません。


一応、上記の4名の先生方は
MIS-TKAの推進派と非推進派に分かれて議論されているのですが、結論はほぼ同じであると感じました。



  • 熟練した術者が行うMIS-TKAは悪くはない
  • 重要なのは「低侵襲」ではなく治療成績 


可能な範囲で低侵襲を目指すless invasive surgery(LIS)や、無理のない範囲で低侵襲を目指す"最適侵襲"など、先生方の言葉や立場は違えど、治療成績重視の点は同じです。



私自身は並みの技量しか持ち合わせていない整形外科医のなので、俗に言うMIS-TKAを志向することはなく、安全・確実・無理のない範囲での低侵襲を心掛けて手術を行っています。


手術技量の上達は持って生まれた才能の差が大きいと思います。凡人では努力しても到達できる点が見えてしまいます。このため私は、自分の能力内での最良の結果を目指しています。


大事なのはMISではなく、治療成績を上げることだと思います。MISは治療成績を上げるための要素のひとつであり、治療成績>MISの関係をはき違えないようにする必要があると思います。






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