整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

TKA

関節内カクテル注射は駆血解除前に!

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先日、人工膝関節全置換術(TKA)がありました。通常、ワンターニケットで終了するのですが、その日は時間がかかってしまい、インプランテーション前に駆血を解除しました。


関節内カクテル注射を施行すると、駆血を解除してもびっくりするほど出血しません。血管が閉塞したのでは? と思うほど出血しないこともあります。


しかし、この日は駆血を解除すると、
関節内カクテル注射を施行しているにもかかわらず、それなりの出血がありました。主に骨切り面から出血しているようです。


いつもはインプランテーションして骨切り面がセメントで密閉されているため出血しないのでしょう。こんな当たり前のことに、今更ながらに気付きました。


たしかに軟部組織に
カクテル注射を施行しても、骨切り面には何の影響も無いはずです。骨切り面からの出血を抑制するには、駆血解除前にインプランテーションするに限ります。


一度駆血を解除すると、うっ血効果もあるため、いくら洗浄しても骨髄の血液を完全に除去することはできません。


このことも含めて、やはり駆血解除前に関節内カクテル注射を施行して、インプランテーション完了後に駆血解除を行うというのが王道であることを再確認しました。






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膝関節痛の原因は病期で異なる!

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今日は変形性膝関節症の話です。
単純X線像での評価は、1957 年に発表されたKellgren-Laurence(KL)分類が有名です。


結構アバウトな分類ですが、そのアバウトさとシンプルさが受けて、未だにメジャーな評価方法として生き残っているのかもしれません。


さて、膝関節痛の原因は、KL分類 grade1~2とgrade 3~4では異なります。それぞれの原因は下記だといわれています。

  • KL分類 grade1~2: IL-6
  • KL分類 grade3~4: AAA(anatomical axis angle、下肢アライメント)


つまり、変形性膝関節症の疼痛は、初期はIL-6などによる炎症が主体ですが、病期が進行するにつれて生体力学的異常が関与するようになるのです。


TKAを施行する患者さんでも、関節水腫がさほどきつくない方は比較的多いです。それよりも、O脚などの下肢アライメント異常の患者さんの割合が高いことも頷けます。






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防水テープは意外に防水だった!

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最近はTHAやTKAの術後後療法が速いので、術後2~3日でも個人浴に入れるぐらいの患者さんがいます。


しかし、実際には創の問題があるので、なかなかそこまで早期から、個人浴に入る方は少ないのが現状です。


私はCDCガイドラインに準じて創が乾燥した段階でガーゼを除去しますが、まだ創から浸出液が漏出している段階では、カテリープなどの防水テープを創部に装着しています。


防水テープは、シャワー程度なら全く問題ありません。しかし、浴槽に完全に浸かるとどうでしょうか? 今までは習慣的に、防水テープでは入浴していませんでした。


しかし、創からの浸出液が多くない限り、少なくとも外部から水が浸入する可能性は低いのではないのか? と思うようになりました。


ちょうど、転倒して下腿に防水テープを貼付する機会があったので、自ら実験台になって人体実験(?)を行いました。


結論的には、10分程度であれば全く問題ありませんでした。10分間ずっと浴槽に下腿を浸けていましたが、お湯は全く防水テープ内に侵入しませんでした。


今まではシャワーまでに留めるように患者指導していましたが、これなら浴槽に多少浸けても問題なさそうです。


夏場はいいですが、冬場は寒いのでシャワーだけでは辛い。。。患者さんにとっては朗報ではないでしょうか。





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KneeAlign2をうまくキメるコツ

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先日、人工膝関節全置換術(TKA)がありました。2015年以降は、人工膝関節置換術用ナビゲーションシステムの KneeAlign2 を用いています。



1111 - コピー



KneeAlign2は非常に精度の高いナビゲーションシステムです。術中の目測で、ちょっと内反気味かな? と思っても、
KneeAlign2を信用して骨切りすると大抵ばっちりです。


KneeAlign2の特徴は、非常に正確であるか、もしくは大ハズレのどちらかだそうです。このため、見た目に問題外でない限りは、基本的に信用して良いと思います。


そんな術者の強い味方であるKneeAlign2ですが、ひとつだけ問題点があります。それは、なかなか大腿骨側のレジストレーションが決まらないことです。


10回やっても20回やってもレジストレーションできないことがあり、手を変えるために助手の先生にやってもらったこともあります。


私の中では、
KneeAlign2に対して苦手意識があるですが、ひとつの解決策を教えてもらいました。それは、レジストレーションの際に骨盤部を押さえてもらうことです。


おそらく、下肢を動かしているときに骨盤が動くために、KneeAlign2が大腿骨頭の位置を定めることができないことがレジストレーションできない原因なのだと思います。


確かに、レジストレーションの際に助手の先生に骨盤部を押さえてもらうと、成功率が高くなりました。


私のように、
KneeAlign2の大腿骨側レジストレーションに苦手意識を持っている方には、骨盤部を押さえる方法をお勧めします。






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SSI予防における手術室設備と環境

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日整会誌92: 5-9 2018に興味深いシンポジウムの論文がありました。SSI予防における手術室等の設備、環境に関するエビデンス です。要旨を下記に記載します。



この論文では、国際コンセンサスと新JOAガイドラインの2つのガイドラインを中心に、手術部位感染(surgical site infection, SSI) 予防のトレンドについて概説されています。




術野毒薬について

整形外科の清潔手術における術前皮膚消毒は、グルコン酸クロルヘキシジンとポピドンヨードのどちらでもよいが、使用する際はアルコールを併用した方がよい




粘着ドレープについて

消毒後、時間依存性に残存菌は再増殖する。ポビドンヨード含有ドレープではSSIのリスクが減少する可能性があるが、非含有ドレープではリスクが減少するエピデンスはない。




手術室換気能について

バイオクリーンルー ムの有用性に関しては、世界的に認識が変容している。国際コンセンサスでは、手術室への人の出入りは最小限にとどめることを推奨している。


国際コンセンサスでは、「バイオクリーンルームの 有用性は不明であり、人工関節置換術は必ずしもバイオクリーンルームで行う必要はない」とし、宇宙服も同様とまとめている。




手術室入室時の履物の変更について

手術室内で外履き用一般シューズを利用することはSSI リスクである可能性が残ると考えられるが、質の高いエビデンスがあるわけではない。




抗菌縫合糸について

術野汚染は手術の後半ほど多く、特に閉創時に術野汚染率が高くなる。そのため術野汚染リスクの高い閉創時に抗菌活性のある縫合糸を用いることは、理にかなった対策と言える。




除菌について

Perlらは、黄色ブドウ球菌による SSI の約 85% (33/39 例)が 術前鼻腔から同定された菌と一致したと報告した。黄色ブドウ球菌の保菌部位は、健常者では鼻腔が27%と最も高い。


そのため、鼻腔保菌着に対して鼻腔だけでなく全身の除菌も同時に行うことで深部SSIが予 防できたとする報告がある。


国際コンセンサスでは、術前の皮膚除菌は「有用である。術前に皮膚をグルコン酸クロルヘキシジンで除菌するべきである」としている。


また、鼻腔除菌については「黄色ブドウ球菌(MSSAおよび MRSA)についての術前スクリーニングと検出例に対する除菌は、SSI 発生割合を減少させると認識している」としている。


「鼻腔内へのムピロシン短期投与が、MRSAおよびMSSA除菌の方法として、現在最も広く受け入れられている」とまとめています。

      




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