整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

TKA

膝蓋骨表面置換はルーチンで?!

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m3に興味深い記事がありました。
TKR、膝蓋骨の表面置換はルーチン実施で再置換リスク減 です。




人工膝関節全置換術(TKR)13万6116例を対照に、膝蓋骨の表面置換に関する執刀医の好みで割り付けた3群のその後の再置換率を比較  膝蓋骨を選択的に表面置換する(10-90%)群は、ルーチンに表面置換する(90%以上)群より膝蓋骨再置換リスクが高かった。このリスクは初回手術後4.5年までが最も高く、最初の1.5年間は306%、4.5年後以降も50%高かった。まれに表面置換する(10%未満)群は90%以上群と比較して、初回手術後1.5年までに膝蓋骨再置換リスクが最も高く、最高482%だった。さらに、あらゆる原因の再置換リスクは、10-90%群が90%以上群より20%高かった。




膝蓋骨の表面置換しない派の私にとっては、気になる記事です。「膝蓋骨再置換リスク」の定義が不明ですが、「初回TKA以降に施行した膝蓋骨に対する手術」と認識しました。


本研究では、ルーチンで膝蓋骨の表面置換を施行した方が成績が良いという結果のようです。しかし、膝蓋骨の表面置換には膝蓋骨骨折や骨折後感染の問題点があります。


このようなリスクを回避するため、私は膝蓋骨の表面置換は施行しない派になったのですが、このあたりの考察も行った総合的な膝蓋骨表面置換の是非を知りたいものです。






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KneeAlign2 の経験的使用法

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人工膝関節全置換術(TKA)では KneeAlign2を使用しています。これはなかなか素晴らしいデバイスで、TKAの設置精度が上昇しました。


しかし、いくつか問題点(?)が無いわけではありません。それは KneeAlign2の内部の仕組みがブラックボックスであることです。


どのような仕組みで正確に測定しているのかが全く分からないのです。仕組みがある程度でも分かれば応用も利くのですが、ブラックボックスなので経験でしか判断できません。


そこで、
KneeAlign2の経験的使用法をまとめました。まず、大腿骨顆部へのピン刺入は、大腿骨頭中心部に向けるのが教科書的ですが、実はテキトーでもほとんどの場合OKです。


というのも、10度のずれまで許容されるので、よほど訳の分からない方向に刺入しない限り、勝手に KneeAlign2が補正してくれるのです。


次に脛骨ですが、これも比較的テキトーでも大丈夫なようです。まず脛骨近位端でブームを置く位置は ACL停止部の後方です。


とはいうものの、視覚的にみて脛骨近位関節面のほぼ中央に置けば大きな計測誤差は発生しません。そもそも足関節内外果の膨らみは微妙な患者さんが多いので正確ではありません。


それでも大きく計測が狂うことはほとんど経験無く、どうしていつも正確に計測されているのか皆目見当がつきません...


KneeAlign2の内部構造はブラックボックスなので、全幅の信頼を置いて骨切りするしかないのです。これって、まるでアルファ碁などの AIみたいだな...







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初学者がTKAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です






DPC病名をあなどるな!

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急性期病院の多くはDPC対象病院だと思います。DPCは複雑な制度なので、大病院ではDPC専門の事務員が常駐しています。


しかし、中小規模の病院ではDPCを専門にしている事務員が居ないため、取り漏らしが多発している可能性が高いです。


例えば、人工関節をウリにしている専門病院の場合、ほとんどが股関節もしくは膝関節疾患を対象にしています。病名をつける際にICDコードしか入力できない場合は問題無いです。


しかし、フレキシブルな病名をつけることができる医療機関では注意が必要です。例えば両変形性股関節症などは私たちには一般的な病名です。


しかし、DPCにおいてはICDコードに当てはまらないため「詳細不明コード」に分類されてしまいます。正確には両側性形成不全性股関節症(M162)です。


単にICDコードに当てはまらないだけであれば実害はないのですが、病院全体として詳細不明コードが10%を超えると厄介なことが発生します。


医療機関別係数が 0.05も下げられてしまうのです。例えば、本来であれば1.1821であるものが詳細不明コードが10%を超えると、1.1321になってしまいます。


病院全体の医業収益に直接掛ける係数なので、0.05下がるだけで膨大な収入減少につながります。数千万円の減収など当たり前の世界なのです。


私たち臨床医にとっては
両側性形成不全性股関節症ときいても「はぁ~?」という感じですが、お国が決めた医療制度ではコチラの方が正解かつ正義なのです。


非常にバカげた話ではありますが、長い物には巻かれろです。心を無にして、このバカバカしい病名を受け入れようではありませんか!







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初学者が股関節外科の基礎および治療体系を学習するにあたり最もお勧めの書籍です。日本を代表する執筆陣が股関節外科に関するあらゆる事項を、非常に分かりやすく解説しています。この1冊があれば股関節外科のほぼ全ての疑問点を解消できると思います。


         




TKA: 高度外反膝の注意点は?

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先日、FTA 160度の高度外反膝の人工膝関節全置換術(TKA)がありました。ご存知のように高度外反膝のTKAは難易度が高いです。


  • アプローチをどうするのか?
  • どの順番に軟部組織のリリースをするのか?
  • インプラントは拘束型まで準備するべきなのか?
  • 術中のピットフォールは?


考えだしたらキリが有りません。一般的にはアプローチは慣れた内側アプローチで、軟部組織は腸脛靭帯、膝窩筋腱、関節包を順次切離、拘束型も準備ということになります。


そこで、今回は大学の膝関節班の先生がおっしゃられていたピットフォールをご紹介します。まず、最も注意するべきことは、大腿骨内顆に術中骨折を併発しないことです。


高度外反膝では内側に荷重がかからないため、大腿骨内顆が廃用性骨粗鬆症になっています。このため不用意に固定ピンを打って4面カットすると内顆を破壊することがあります。


大腿骨内顆に術中骨折を併発すると、ただでさえ大腿骨外顆は低形成のために4面カットできないところに、頼みの綱の大腿骨内顆で固定性を得られないという危険性があります。


このため、大腿骨内顆の扱いには細心の注意を払う必要があるのです。そしてこの段階を無事に通過しても最後に関門が待ち構えています。


それは、膝関節内側にゆるみを残してしまうことです。これを避けるために内側リリースや骨切りを最小限にしますが、これ以外ではインサートを厚くするしか方法がありません。


しかし、多少インサートが厚くなっても、膝関節内側にゆるみを残すよりはマシです。このような場合には勇気をもって厚めのインサートを選択しましょう。







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TKA: 術前3カ月以内の関注は危険!

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変形性膝関節症の治療において、人工膝関節全置換術(TKA)は最後の手段です。膝関節注射の効果がいよいよ見込めなくなった段階で手術を考えるという流れが多いと思います。


このようなケースでは、最後の関節注射をした後に患者さんが音を上げて人工膝関節全置換術を希望して手術治療へシフトすることになります。


しかし、主治医が「はい、わかりました。それでは手術をしましょう
」と言うと少しマズいことになります。どういうことかと言うと、JBJSから下記の論文が出ているからです。



Comparison of Infection Risk with Corticosteroid or Hyaluronic Acid Injection Prior to Total Knee Arthroplasty



上記論文は大学の先生に教えていただきました。この論文によると、TKA の術前 3ヶ月以内に
関節注射を施行した症例では、有意に術後感染が増えるという結果になっています。


このため外来で関節注射を施行していて、いよいよ手術しかないということになっても、最後の関節注射から手術までの機関は、少なくとも3ヶ月以上空けた方が良さそうです。






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