整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

腰椎

圧迫骨折後のGERD

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先日、外来で脊椎圧迫骨折のフォローをしている患者さんから、最近胸焼けがするという訴えをききました。


この患者さんは、骨粗鬆症が高度のためにいくつかの脊椎に圧迫骨折を併発しています。見た目にも円背なのですが、脊椎アライメントは明らかに正常ではありません。


このような脊椎圧迫骨折のためにアライメントが変わってしまった患者さんには、ときどき腹部症状が出ることがあります。


代表的なものは、逆流性食道炎と失禁です。逆流性食道炎は円背のために腹腔容積が減少して腹圧が高まりまるために併発します。


一方、失禁に関しては腹腔容積が減少して膀胱内圧が高まるために併発します。いずれも対症療法となるので、脊椎アライメントを壊さないようにすることが重要なのでしょう。


円背そのものを治療する手段は無いので、逆流性食道炎の治療は、酸分泌抑制薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)、またはヒスタミン受容体拮抗薬(H2ブロッカー)投与です。


PPIやH2ブロッカー投与以外にも生活習慣の改善が推奨がされています。生活習慣の改善項目は下記のごとくです。


  1.  脂っこいものや刺激の強いものを摂りすぎない
  2.  食べ過ぎに注意する
  3.  食べてすぐに横にならない
  4.  寝るときに少し上半身を高くして寝る
  5.  お腹をしめつけない姿勢を心掛ける
  6.  禁煙する


しかし、薬物療法や生活習慣の改善を行っても、円背のため逆流性食道炎の完治は難しいです。やはり円背を作らないことが重要で、骨粗鬆症の治療の必要性を改めて感じました。








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自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        

腰部脊柱管狭窄症の薬物治療戦略

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Monthly Book Orthopaedics の5月号は、整形外科医が知っておきたい薬の知識 でした。以前に変形性膝関節症の薬物治療戦略をまとめましたが、今回は腰部脊柱管狭窄症です。


変形性膝関節症ではシンプルな治療戦略でした。OAの痛みを制するには、関節軟骨に感覚神経は存在せず、軟骨以外の組織由来の痛みであることを理解することが重要です。


【急性期】
滑膜炎 → NSAIDs、ヒアルロン酸製剤の関節注射
骨髄浮腫 → ゾレドロン酸(リクラスト)、足底板などによる荷重負荷軽減

【慢性期】
中枢性感作 → 中枢性鎮痛薬(デュロキセチン、トラマドール) 




それでは、腰部脊柱管狭窄症ではどうなのでしょうか? 腰部脊柱管狭窄症では、症状から神経根型(下肢痛)と馬尾型(下肢しびれ)に分けます。


【神経根型】 
  1. アセトアミノフェン / NSAIDs+プロスタグランジンE1製剤
  2. 神経障害性疼痛の要素がある場合はプレガバリン追加
  3. 中枢性鎮痛薬(デュロキセチン、トラマドール) 

【馬尾型】
  1. プロスタグランジンE1製剤
  2. 安静時症状が強い場合はプレガバリン追加
  3. 中枢性鎮痛薬(デュロキセチン、トラマドール) 


神経根型、馬尾型を問わず、ほぼ同様のプロトコールのようです。私の場合は EPAを多用していますが、個人的にはプロスタグランジンE1製剤よりも効果的と感じています。






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化膿性椎間炎は正中矢状断だけで診断するな!

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先日、80歳台前半の方が腰痛で初診されました。
1週間前から誘因なく疼痛が発症したとのことです。


歩行は何とか可能ですが、かなり痛そうです。単純X線像では、臥位・座位側面像の比較でも著変ありません。そこで MRIを施行しました。



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矢状断では L3, 4椎体に高信号領域を認めるものの、骨折ではなく OAっぽいです。念のため冠状断も確認しました。何となく違和感を感じます...。



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よく見ると右腸腰筋が腫大しているではありませんか!もう一度矢状断を確認すると、L3/4の右外側端で椎間板の一部に高信号領域を認めます。



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急いで血液生化学検査を施行すると、WBC/CRP 9000/8.7で、ESR 1Hが 73mmでした。どうやら腸腰筋膿瘍および化膿性椎間板炎のようです。ちなみに熱発はありませんでした。


脊椎圧迫骨折しかアタマになくて、化膿性椎間板炎は想定外でした。今回の教訓は、STIRの正中矢状断で椎間板の高信号領域がなくても、化膿性椎間炎を否定できないことでした。






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ギャッチアップ腰椎側面像が有用!!

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先日、2019年JOAで少しお利口さんになったことをご報告しました。日整会から帰って以来、憑りつかれたように座位と臥位の腰椎側面像を撮りまくっています(笑)。


さて、脊椎圧迫骨折の症例では座位で撮影することはかなりの苦痛を伴います。これに対する解決法として、北の整形外科医先生から下記のようなコメントをいただきました。



ギャッチアップできるストレッチャーに乗せて、出来る限りギャッジアップさせて撮影してもらっています



なるほど、これは素晴らしい工夫です! 全国には凄い臨床家がたくさんいらっしゃることにいつも驚かされます。


さて、座位と臥位の腰椎側面像の比較はかなり感度が高く、MRIを撮像するまでもなくザクザクと新鮮脊椎圧迫骨折がみつかります。これは便利ですね!



臥位 - コピー



上記などは第12胸椎が楔状変形しており、陳旧性ではなく新鮮圧迫骨折ではないかと睨んでいました。ところが、座位(ギャッチアップ)の腰椎側面像を撮影すると・・・



座位 - コピー



第2腰椎圧迫骨折だったんですね。う~ん、奥が深い...。狙っていた椎体以外の骨折を見つけるとは思っていませんでした。



いずれにせよ、臥位と座位(ギャッチアップ)で撮影した単純X線の腰椎側面像比較は極めて有用であることを確信しました。







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豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です








腰仙部移行椎の頻度

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腰仙部移行椎は腰仙部移行部の形態異常です。患者さんには「背骨の数が多い(少ない)ですが問題ないです!」と説明しますが、実際の頻度を調べてみました。


まず、L5が仙椎化したものと S1が腰椎化したものが存在します。1929年の神中先生の報告によれば、両者を併せた腰仙部移行椎は健常人の 16.9%に認めたようです。


移行椎の頻度に性差は認めるという報告がある一方で、性差は認めないという報告の方が多い印象です。私の実感でも性差は無さそうに感じます。


次に仙椎化と腰椎化の頻度ですが、1995年の大坪先生らの報告では L5の仙椎化:S1の腰椎化=2:3だったようです。たしかに、S1が腰椎化した第6腰椎の方が多い印象を受けます。


一方、2018年の横山先生らの報告によれば、第6腰椎は健常人の 17.4%に存在するようです。仙椎化に言及されていませんが、第6腰椎の頻度が明示されていることは貴重です。


このようにざっくり腰仙部移行椎の頻度をみた場合、おおむね健常人の15%前後に存在するようです。なるほど、ここまで多いと奇形ではなく形態異常となるのですね。





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