整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

腰椎

フィットキュア・スパインの実力は?

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アルケアの新商品である フィットキュア・スパイン を何例かに処方してみました。今回はそのレビューをしてみたいと思います。


発売当初は、画期的な商品だと思って積極的に使用してみました。しかし、意外にも患者さんの評判は芳しくありません。


患者さんから聞く感想で最も多いのは、装着が難しいということでした。確かに、まだ若くて(?)骨折もしていない私が装着すると非常に画期的に思えます。


しかし、体が硬くなって骨折をしている高齢者の方にとっては、フィットキュア・スパインを装着するのがかなり難しいようです。


フィットキュア・スパインに比べると、従来からあるコルセットの方が装着にかかる手間は格段に低いようです。


フィットキュア・スパインが販売された当初、私はこの商品はダーメンコルセットやフレームコルセットに代わる商品になるかもしれないと感じました。


しかし、実際の臨床の現場で使用してみると、フィットキュア・スパインがこれらのコルセットを代用するには至らない商品であることが分かりました。


このように、いかに優れているように思える商品であっても、実際の市場に投入してみるとそのニーズに合致しているとは限らないことを学びました。


なかなか素晴らしいアイデア商品だと思ったのですが、どうやら高齢の圧迫骨折患者さんにとっては、従来製品を代替えするようなものではなさそうです。







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オーストラリア理学療法協会のスポーツ理学療法士による実践的な教科書です。
治療的テーピングの概要を学ぶことができます。



 






ムチ打ちは不意打ちでなくても起こる

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先日、追突事故による 外傷性頚部症候群の患者さんが初診されました。外傷性頚部症候群では、不意打ちを食らった場合に筋性防御が働かずに頚椎に炎症を起こすという理解です。



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しかし、今回の方はバックミラーで後方から自動車が突っ込んで来るのをずっと見ていたそうです。このため衝突の瞬間もしっかり身構えていました。


それでもかなりの症状が残っていました。
私は今まで、バックミラーで自動車が追突するのを分かっている状況では、外傷性頚部症候群はあまり発症しないと思っていました。


今回の事故の規模は比較的大きく、乗車していた自動車は全損となりエアバッグも作動したようです。このため一般的な軽微な追突事故には該当しないかもしれません。



しかし、バックミラーで他車が衝突してくるのが見えていた患者さんは時々いますが、これらの患者さんの症状が「軽い」わけではないことを思い出しました。


不意打ちを食らったのではなく事故を予見して身構えていた場合であっても、外傷性頚部症候群は起こりうるということを改めて認識しました。






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自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        

レビュー:フィットキュア・スパイン

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先日、フィットキュア・スパインを使用してみました。
フィットキュア・スパインは体幹装具の一種です。

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椎体圧迫骨折では、コルセット完成までに数日間かかることが多く、完成までの期間は離床できないことが多いです。


フィットキュア・スパインは外来ですぐに装着できるため、
コルセット完成までの期間にも離床することができます。なかなか素晴らしいアイデアの商品です。


患者の背部形状に合わせたキャストステーを成形するという謳い文句ですが、実際のところキャストステーは不要です。装具だけでも充分固定性があるのです。


しかし、フィットキュア・スパインは「体幹ギプス」の一種という解釈で点数を取るため、キャストステーを使用せざるを得ません。


そして、キャストステーは非常に使い勝手が悪い。水に濡らすことが不要というのがウリのようですが、水袋が全然割れないのです(苦笑)。


体重をかけても全然割れないので、ハサミでついて割ってしまうのが早くて簡単です。実質的にはキャストステーは不要なので、要らぬ労力を使いたくないのが本音です。


フィットキュア・スパインは画期的な商品ですが、点数の取り方が邪道であるにもかかわらず、邪道な点数を取るために医師の手間が取られる部分は改善の余地アリだと思いました。







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マッチョな頚椎症性筋萎縮症を見た!

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先日、ボディービルダーの男性が初診しました。
主訴は「左上肢の上腕二頭筋が小さくなってきた
」というものです。


なんだそりゃ? て感じだったのですが、 一応診察してみました。上腕を診たのですが、めちゃめくちゃ太い上腕です。しかも上腕二頭筋の大きさも半端ではありません。


この人ちょっとおかしいんじゃないの? と思ったのですが、とりあえず左右を比べたいので上半身裸になってもらうと、右と比べて左側が細い(?)気がします。


たしかに左右差ありそうですね~と私が言うと、いきなりフロント・ダブル・バイセップスのポーズ(下図)をとって、左の二頭筋小さいでしょう? とおっしゃられます(苦笑)。



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冷静さを保ちつつ、診察を進めると肩関節周囲は三角筋がやや菲薄化して肩甲骨の形が目立ちます。と言っても常人の上腕と比較すると、とんでもなく分厚い肩なのですが・・・


全体的にとんでもない筋肉量なので騙されていましたが、確かに筋萎縮があり左右差を認めます。筋萎縮と言っても絶対量で見ると常人よりもはるかに多い筋力量です。


しかし、左右差を考えると頚椎症性筋萎縮症を疑わせる所見です。今回はあまり有意義なオチではないのですが、頚椎症性筋萎縮症ではやはり左右差が大事だなと思いました。


まあここまでムキムキの人が頚椎症性筋萎縮症になるのも珍しいので、今回のようなピットフォールはあまり経験しないような気がしますが。。。






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脳脊髄液減少症の診断基準

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脳脊髄液減少症という名前をときどき聞くことがあると思います。なんとなく胡散臭い響きのある病名ですが、本当にそのような疾患は存在するのでしょうか?


胡散臭さの原因は、交通事故の「むち打ち症」の多くは脳脊髄液減少症が原因である、という週刊誌などのトンデモ記事のためです。


このようなエキセントリックな記事が出ると胡散臭さが激増するので、本当にその疾患の症状で苦しんでいる人が居るとすれば非常に迷惑な話です。


知人から脳脊髄液減少症について相談されたので、少し調べてみました。厚労省研究班による脳脊髄液漏出症画像判定基準・画像診断基準が最も信頼性の高い資料となります。


厚労省研究班の診断基準ですが、冒頭から下記のような但し書きが謳われています。う~ん、研究班の苦悩ぶりが垣間見れます(苦笑)。



研究班では、以下の基準を作成するにあたり、疾患概念についての検討を行った。「脳脊髄液減少症」という病名が普及しつつあるが、現実に脳脊髄液の量を臨床的に計測できる方法はない。脳脊髄液が減少するという病態が存在することは是認できるとしても、現時点ではあくまでも推論である。画像診断で は、「低髄液圧」、「脳脊髄液漏出」、「RI 循環不全」を診断できるにすぎない。以上のような理由で、今回は「脳脊髄液減少症」ではなく「脳脊髄液漏出症」 の画像判定基準・画像診断基準とした。




脳脊髄液減少症は、その疾患名になっている「脳脊髄液の量」を直接計測できないことに問題があります。このため、随伴する症状や疾患からその存在を類推するしかありません。



髄液漏出症

  • 脳槽シンチ
  • MRミエロ 
  • CTミエロ

低髄液圧症
  • 頭部MRI(硬膜肥厚) 
  • 髄液圧測定 


脳脊髄液減少症に付随する可能性がある「髄液漏出症」「低髄液圧症」の診断は、それぞれ上記のような検査で捉えることが可能です。しかし、陽性率は概して低いです。



ときどき硬膜外ブラッドパッチが著効したから、脳脊髄液減少症であると主張する方が居ますが、これは原因と結果が完全に逆転してしまっています。


厳密に言うと、ほとんどの症例で
脳脊髄液減少症が存在する証拠を捕まえることはできません。調べれば調べるほど、やっかいな疾患(?)であると思いました。







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自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        
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