整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

腰椎

椎間板切除術後のコルセットは不要

このエントリーをはてなブックマークに追加


Medical Tribuneに興味深い記事ありました。
椎間板ヘルニア術後のコルセットは不要 です。



腰椎椎間板ヘルニア(LDH)の切除術(Love法)後に装着するコルセットの有効性については、これまで懐疑的な意見が多いが、明確に否定する報告はない。


そのため、同術後患者に対し慣習的にコルセットを使用している医療施設も少なくない。そこで済生会川口総合病院(埼玉県)整形外科部長の榊経平氏は、同院のLDH患者を対象に術後コルセットの効果を前向きに検討。


その結果、コルセット非使用患者と術後成績に差が見られなかったと第27回日本腰痛学会(9月13~14日)で報告した。



誰もが疑問に思っていて、半ば常識的な認識になっていた術後コルセット使用の有用性についての研究です。n数は少なめですが、患者さんにも資する研究だと思いました。


英語論文での類似研は 1例のみとのことです。このような半ば常識のことであっても、意外と研究としてしっかり事実が確認されていないことがあることにいつも驚きます。


このようなところに着目すると、労少なくして Quality journalにアクセプトされる可能性があるのかもしれません。いつもこのような着眼点で恐縮です...。






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        

それは本当に中心性頚髄損傷ですか?

このエントリーをはてなブックマークに追加


日常診療でよくみかける病名が「中心性頚髄損傷」です。高齢者の転倒や交通事故患者さんで両上肢のしびれの訴えがあるとつけてしまいがちな病名です。


しかし、
単に上肢しびれだけで、安易に中心性「頚髄損傷」という診断をつけることには問題があると考えています。頚髄損傷なので四肢に麻痺が存在することは必須です。


しびれがあると麻痺もあると考えがちですが、もちろんしびれと麻痺は全く別物です。しかし、整形外科医の中でも、しびれ ≒ 麻痺と連想してしまう人を散見します。


誤った認識のまま診断すると、当然治療法も誤ってしまいます。本当は中心性頚髄損傷ではない症例に対して、ステロイドパルス療法や手術療法が施行されると目も当てられません。


ステロイドパルス療法は有効性が否定されているので最近では施行されることも少なくなりましたが、脊椎専門クリニックで積極的に椎弓形成術が施行されているのを散見します。


私は専門外ではあるののの、自分が診ていた頚椎症性神経根症の患者さんが「中心性頚髄損傷」という診断で手術療法を施行されたことをみて唖然とした経験があります。


一方、交通事故患者さんでは高齢者の転倒事故とは別の意味で、安易に中心性頚髄損傷という病名を付けてしまうことで要らぬ争いの種をまいている症例をみかけます。


中心性頚髄損傷は
症状が頚椎症性神経根症と紛らわしいことがありますが、整形外科医としてしっかり診断していきたいと思います。







★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        

圧迫骨折後のGERD

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、外来で脊椎圧迫骨折のフォローをしている患者さんから、最近胸焼けがするという訴えをききました。


この患者さんは、骨粗鬆症が高度のためにいくつかの脊椎に圧迫骨折を併発しています。見た目にも円背なのですが、脊椎アライメントは明らかに正常ではありません。


このような脊椎圧迫骨折のためにアライメントが変わってしまった患者さんには、ときどき腹部症状が出ることがあります。


代表的なものは、逆流性食道炎と失禁です。逆流性食道炎は円背のために腹腔容積が減少して腹圧が高まりまるために併発します。


一方、失禁に関しては腹腔容積が減少して膀胱内圧が高まるために併発します。いずれも対症療法となるので、脊椎アライメントを壊さないようにすることが重要なのでしょう。


円背そのものを治療する手段は無いので、逆流性食道炎の治療は、酸分泌抑制薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)、またはヒスタミン受容体拮抗薬(H2ブロッカー)投与です。


PPIやH2ブロッカー投与以外にも生活習慣の改善が推奨がされています。生活習慣の改善項目は下記のごとくです。


  1.  脂っこいものや刺激の強いものを摂りすぎない
  2.  食べ過ぎに注意する
  3.  食べてすぐに横にならない
  4.  寝るときに少し上半身を高くして寝る
  5.  お腹をしめつけない姿勢を心掛ける
  6.  禁煙する


しかし、薬物療法や生活習慣の改善を行っても、円背のため逆流性食道炎の完治は難しいです。やはり円背を作らないことが重要で、骨粗鬆症の治療の必要性を改めて感じました。








★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        

腰部脊柱管狭窄症の薬物治療戦略

このエントリーをはてなブックマークに追加

Monthly Book Orthopaedics の5月号は、整形外科医が知っておきたい薬の知識 でした。以前に変形性膝関節症の薬物治療戦略をまとめましたが、今回は腰部脊柱管狭窄症です。


変形性膝関節症ではシンプルな治療戦略でした。OAの痛みを制するには、関節軟骨に感覚神経は存在せず、軟骨以外の組織由来の痛みであることを理解することが重要です。


【急性期】
滑膜炎 → NSAIDs、ヒアルロン酸製剤の関節注射
骨髄浮腫 → ゾレドロン酸(リクラスト)、足底板などによる荷重負荷軽減

【慢性期】
中枢性感作 → 中枢性鎮痛薬(デュロキセチン、トラマドール) 




それでは、腰部脊柱管狭窄症ではどうなのでしょうか? 腰部脊柱管狭窄症では、症状から神経根型(下肢痛)と馬尾型(下肢しびれ)に分けます。


【神経根型】 
  1. アセトアミノフェン / NSAIDs+プロスタグランジンE1製剤
  2. 神経障害性疼痛の要素がある場合はプレガバリン追加
  3. 中枢性鎮痛薬(デュロキセチン、トラマドール) 

【馬尾型】
  1. プロスタグランジンE1製剤
  2. 安静時症状が強い場合はプレガバリン追加
  3. 中枢性鎮痛薬(デュロキセチン、トラマドール) 


神経根型、馬尾型を問わず、ほぼ同様のプロトコールのようです。私の場合は EPAを多用していますが、個人的にはプロスタグランジンE1製剤よりも効果的と感じています。






★★ 医学知見探求サービス ★★


医学知見を医師ユーザー同士で発信・共有するコミュ二ティに参加しませんか? 

quotomy - コピー


「医師と医学知見との出会いを再定義する」 Quotomy(クオトミー)は、臨床現場で働いていると個人で医学知見をキャッチアップすることが難しい、という臨床医の切実な痛みから誕生しました。


忙しい日常の中で、医学知見を得たり、発信したりすることが難しくなっています。 時間的・地理的制約のために、学会や勉強会への参加もできない環境で働く医師もいます。


知への探求を諦めていませんか?


抄読会をする感覚で、Quotomyで論文を読んだ感想や気づきをシェアしましょう! お気に入りのユーザー同士はフォローでき、お互いのアクションを確認できます。


Quotomyは現在ユーザー登録受付中です!
登録は こちら からお願いします。



化膿性椎間炎は正中矢状断だけで診断するな!

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、80歳台前半の方が腰痛で初診されました。
1週間前から誘因なく疼痛が発症したとのことです。


歩行は何とか可能ですが、かなり痛そうです。単純X線像では、臥位・座位側面像の比較でも著変ありません。そこで MRIを施行しました。



11 - コピー



矢状断では L3, 4椎体に高信号領域を認めるものの、骨折ではなく OAっぽいです。念のため冠状断も確認しました。何となく違和感を感じます...。



22 - コピー



よく見ると右腸腰筋が腫大しているではありませんか!もう一度矢状断を確認すると、L3/4の右外側端で椎間板の一部に高信号領域を認めます。



33 - コピー



急いで血液生化学検査を施行すると、WBC/CRP 9000/8.7で、ESR 1Hが 73mmでした。どうやら腸腰筋膿瘍および化膿性椎間板炎のようです。ちなみに熱発はありませんでした。


脊椎圧迫骨折しかアタマになくて、化膿性椎間板炎は想定外でした。今回の教訓は、STIRの正中矢状断で椎間板の高信号領域がなくても、化膿性椎間炎を否定できないことでした。






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
感染症治療で最もお勧めの書籍です。Grandeと小さいサイズがあり内容は同じです。小さいサイズの方が安いですが、常に携帯する医師を除けば見やすいGrandeがお勧めです。

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

医療研究を身近な存在とし、医療の未来を作る


管理人の著書

161228 【書影】医師の経済的自由
管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

管理人による m3.com 連載コラム
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル

医師のための築古木造戸建投資マニュアル 1
REITで実践する不動産投資セミナー
190122
医師のための 金融資産形成術


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール

自由気ままな整形外科医

・医学博士
・日本整形外科学会専門医
・日本リウマチ学会専門医
・不動産投資家
・超長期金融資産投資家
・ビジネスオーナー
・宅地建物取引主任士

QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。