整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

腰椎

慢性腰痛はオピオイド+プレガバリン

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先日、国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 運動器外科部長の酒井義人先生による慢性腰痛症の治療に関する講演を拝聴しました。


3ヵ月以上持続する腰痛が慢性腰痛症と定義されており、心理的・社会的な要因も加味されるため、急性腰痛症とは異なる治療アプローチが必要となります。


腰痛診療ガイドラインでは、NSAIDsは推奨度の第一段階に相当します。しかし、慢性腰痛では炎症の急性期ではないため、侵害受容性疼痛といえどもNSAIDsの効果は限定的です。


NSAIDsで効果不十分な場合は、第二段階の弱オピオイドを選択します。トラマドールがよく使用されますが、副作用に注意して慎重に増量していきます。


一方、神経障害性疼痛に対する薬剤であるプレガバリンも慢性腰痛に効果があります。慢性腰痛は侵害受容性疼痛だけではなく、神経障害性疼痛の要素も有することが多いです。


このため、プレガバリンは神経障害性疼痛の要素を有する腰痛に、オピオイドは侵害受容性疼痛の強い腰痛に効果的です。併用することで両薬剤の効果が得られます。


私は、両薬剤の副作用に眠気や嘔気があるので併用していません。しかし、今回の講演を拝聴して考え方を改めました。トラマドール+プレガバリン併用を試してみようと思います。





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一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。









姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。








骨粗鬆症性椎体骨折のVacuum cleft

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私は、高齢者の胸腰椎圧迫骨折では、ほぼ全例に近いほどロングフレームコルセットを3ヵ月間装着する治療法を選択しています。


入浴時と就寝時以外のロングフレームコルセット常用以外を課しており、就寝時には仰臥位となることを禁止しています。


これだけやっても比較的高率に、椎体の Vacuum cleft をきたしてしまいます。。。やはり就寝時も常用するべきなのかと感じていますが、実際はどうなのでしょう?


さて、Vacuum cleftは、骨粗鬆症性椎体骨折の骨癒合不全の指標とされています。椎体内にcleft(裂け目)が形成される部分は、椎体組織が壊死しているからです。


壊死を併発した椎体が圧壊すると、局所的には後弯を形成します。この状態で腰椎を伸展すると、椎体内壊死部分が上下に開大してcleft(裂け目)が形成されます。 



腰椎を伸展したときに椎体にできる間隙は陰圧となるため、その空間には空気中の窒素や水分が貯留します。これがvacuum cleftの正体です。


vacuum cleftは腰椎伸展位の方が隙間が大きくなるので、XpやMRIを撮像する際には、臥位で施行するとはっきりします。


vacuum cleftを放置すると、最終的には偽関節となります。偽関節化するとアリゲーターサイン(Alligator sign)をきたします。


こうなると経皮的椎体形成術単独では不安定性を取り除くことは難しいです。 椎体形成術に加えて、胸腰椎後方固定術も併用する必要があります。


しかし、もともと骨粗鬆症が高度な患者さんが多いので、早期にスクリューが緩む危険性が高いです。こうならないためにも、vacuum cleftを発見したら早めの対応が必要となります。






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自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        

チャンス骨折を見逃すな!

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先日、80歳台後半の患者さんが、転倒後より腰痛のため体動困難とのことで初診されました。よくありがちな脊椎圧迫骨折を想定して、単純X線像を依頼しました。



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上図は単純X線像なのですが、ちょうどL1椎体中央が離開しています。上下椎体は広範囲にわたって骨性架橋されています。


いわゆる、びまん性特発性骨増殖症(DISH:diffuse idiopathic skeletal hyperostosis)の患者さんのようです。これらのことから、DISHに併発したChance骨折を疑いました。



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MRIではposterior columnの輝度変化は無さそうですが、病態的に考えてChance骨折と考えました。Chance骨折の場合、上下椎体が骨性架橋されているため骨折部に応力が集中します。


このため、保存治療では骨癒合を獲得することが難しいです。骨癒合しない場合には、脱臼を併発して遅発性神経障害をきたします。 脊髄損傷にいたる可能性も危惧されます。


手術的治療では強固な固定が必要となるため、3 above 3 below以上の後方固定術が選択されるケースが多いです。このあたりの詳細は、こちらを参考にしてください。


いずれにせよ、高齢者のDISH症例ではChance骨折の存在を忘れてはいけません。ポピュラーな骨折ではないだけに、見逃さないよう注意が必要だと思います。






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脊柱検診と脊柱健診、どちらが正解?

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先日、側弯症疑いの患者さんが受診されました。学校で医療機関の受診を指示されたそうです。何の変哲も無い日常診療のひとコマですね。


ただ、カルテ記載しようと思って、手が止まってしまいました。この場合、健診なのか検診なのかどっちだったっけ??? 正解は下記のごとくです。


  • 健診: 健康診断の略語で、健康であるか否かを確かめる診察
  • 検診: 特定の病気を早期に発見して、早期に治療することを目的とする


健診は、40~74歳の公的医療保険加入者の特定健診や、学校健診、職場健診などがあります。また、人間ドックや脳ドックも、健康であるか否かを確かめる目的なので健診です。


一方、検診は、乳がん検診や子宮頸がん検診などの「がん検診」が代表例です。目的が、早期発見・早期治療となります。


それでは脊柱側弯症の「けんしん」は、どうなのか?脊柱「けんしん」は、学校健診の一環として実施されます。しかし、脊柱「けんしん」の目的は、早期発見・早期治療です。


このため、学校健診の一環として実施されているものの、脊柱「けんしん」については、検診が正解なのです。つまり、脊柱検診なのですね。う~ん、ややこしい。。。






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多発性骨髄腫は稀じゃない?!

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先日、L5圧迫骨折の高齢者を診察する機会がありました。外傷の既往はありません。胸腰移行部の骨折であれば分かるのですが、下位腰椎骨折なので何となく違和感を感じました。


そして、血液生化学検査で、蛋白分画の γ-グロブリン域にMタンパクを疑うピークが検出されました。以前にとぜんな整形外科医のブログで、血液腫瘍の話題があったな・・・


そこで、総蛋白・アルブミンを確認しましたが、やや低い値です。CBCは軽度の貧血のみです。しかし、追加依頼した免疫電気泳動検査でIgG-λ型Mタンパクを認めました。


多発性骨髄腫なんて今まで当たったことはありません!と思っていましたが、単に見過ごしているだけではないのか? という恐怖感が沸き上りました。



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上記は、国立がん研究センターのHPから転載した、多発性骨髄腫の症状の表です。形質細胞が癌化したものが多発性骨髄腫です。多彩な症状を呈することが分かります。


高齢者の脊椎圧迫骨折患者さんは、非常にポピュラーな存在です。しかし、通常の症例と比べて何か違和感を感じたら、血液腫瘍系の検査を行ってみても良いかもしれません。






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ガイドラインに準拠してわかりやすくコンパクトにまとまった良書です。概論が最初の30ページ程度なので、これはあらかじめ通読するとよいでしょう。各論は原発性骨腫瘍、腫瘍類似疾患、転移性骨腫瘍、軟部腫瘍、骨系統疾患、代謝性骨疾患の6章に分かれています。各章とも疾患ごとに、豊富な写真でわかりやすく解説されています。







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