整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

骨折

足関節後果骨折の整復のコツ

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足関節脱臼骨折では、関節面の 1/3を超える後果骨折では整復固定が必要だと言われています。しかし、解剖学的に後果骨片の整復は難しいことが多いです。


外果や内果を整復してから後果骨片を整復しようとすると、少なくとも透視下では内固定材料が邪魔になってしっかり整復状況を確認することが困難となります。


このため、透視下に後果から整復固定していましたが、いきなり後果骨片を整復しようとすると、全然整復できなくて苦労します。


後果骨片は外果骨片や内果骨片と靭帯性・骨膜性に連続していることが多いので、外果骨片を整復固定すると外果骨片に引っ張られて後果骨片も整復されることが多いです。


少なくとも、外果骨片を整復する前よりは後果骨片の転位は整復されます。多くの場合はそのまま内固定すればOKの状態になるので、そのまま透視下に CCS挿入でおしまいです。


後果骨片の整復操作が不要であれば、両果骨片に内固定材料があっても、透視下での CCS挿入は容易です。


この事実を知ったのは数年前ですが、当初はコロンブスの卵的な発想で驚きでした。骨折手術の技術も日進月歩ですね。





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尾骨骨折の画像所見が分かりにくい理由

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身体所見で骨折の有無を判断する部位として、肋骨骨折と尾骨骨折が挙げられます。どちらも単純X線像の所見はさほど重要ではありません。


その理由のひとつは、両者とも骨折があっても画像上の所見を見つけにくいことだと思います。肋骨骨折の場合は、腹側に近いほど肋軟骨に移行するので骨折が分かりにくいです。


そうは言っても、整形外科医であれば肋骨骨折の画像所見は日常的に目にする機会が多いことでしょう。しかし、尾骨骨折についてはいかがでしょうか?


私は20年以上整形外科医をしていますが、実は尾骨骨折については「これは明らかに骨折している」と確信できるような画像所見をあまり診たことがありません。


画像所見が多少怪しくても、身体所見ではっきりと骨折の有無が分かるので特に困りませんが、常々なぜ尾骨骨折は画像所見で分かりにくいのだろう?と疑問に思っていました。


ところが、先日の症例では、(少なくともここ数年では初めて)尾骨の椎体部分で明らかに骨折が存在すると確信を持てる画像をみました。


身体所見は通常の尾骨骨折と変わりませんが、単純X線像で明らかな新鮮骨折です。尾骨骨折の画像所見はあまり記憶にないので、患者さんには悪いですが少し感動しました(笑)


その画像所見を改めて観察しながら、尾骨骨折が分かりにくい理由を考察してみました。尾骨骨折の好発部位は、尾骨の椎体間(?)だと思います。


この部分で「く」の字状に変形するので骨折の存在を疑いますが、骨折ではなく脱臼(?)に似た状態なので、椎体部で折れている所見をみることが少ないのではないでしょうか?






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腸骨の採骨部合併症

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先日、久し振りに腸骨から骨採取しました。
周知のように、腸骨から骨を採取すると、術後に結構な創痛を訴えられることがあります。


今回もメインの創部よりも腸骨からの採骨部の痛みが遷延化しました。このような症例では下記の 2点について確認する必要があります。


  1. 外側大腿皮神経損傷
  2. 腸骨脆弱性骨折


①に関しては、非常に有名なので整形外科医であれば誰でも知っていると思います。ポイントは、上前腸骨棘から 3cm以内の皮膚切開をしないことで予防可能なことでしょう。


当然、今回もこのことは順守しています。このため、②を併発していることを危惧しました。以前、高齢者の関節リウマチ患者さんでひどい目に遭ったことがあります。


cortico-cancellous boneを採取したことも一因だと思いますが、あまりに採骨部痛がキツイので、術後 1週目で骨盤正面像を撮影すると、採骨部より前方が折れていたのです...。


ビジュアル的に衝撃的な所見でしたが、こうなってしまってはリカバリー不可能です。延々と保存的に経過観察したところ、偽関節化しましたが創痛は軽快しました。


それ以来、骨脆弱性のある患者さんでは採骨部の骨折をかなり警戒していますが、幸いにも今回の患者さんは脆弱性骨折を併発しているわけではありませんでした。







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BP製剤と非定型骨折研究の決定版!

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ケアネットで興味深い記事ありました。
BP薬の非定形大腿骨骨折リスク、服用中止後速やかに低下/NEJM です。


これはなかなかすごい研究です。非定型大腿骨骨折とBP製剤の関係についての決定版といってよいかもしれません。19万6129人のnで人種も多様です。要点を下記に記載します。


  • 非定型骨折のリスクは、アジア人は白人の4.84倍
  • 身長・体重が高い・重いほどリスクは上昇
  • BP製剤の使用中止により非定型骨折リスクは急速に低下
  • アジア人のリスクベネフィットは、大腿骨近位部骨折 91例予防 vs 非定型骨折 8例発生
  • 3ヵ月未満使用例と比較した HRは、3~5年未満=8.86、8年以上=43.51


今まで知りたかった数字が具体的に並んでいます。白人に比べてアジア人の BP製剤での大腿骨近位部骨折の予防効果は劣っていますが、BP製剤を忌避する数字ではなさそうです。


しかも、BP製剤の使用中止により非定型骨折リスクは急速に低下するようです。これなら休薬期間を遵守することで、安心して BP製剤を投与できます。素晴らしい研究ですね!





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鎖骨骨折手術時の安全対策 Tips

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先日、鎖骨骨幹部骨折の手術がありました。既存骨折のために、もともと鎖骨が変形している嫌な症例です。reconstruction plateを鎖骨上面に当てて固定しました。


なんてことは無い普通の手術ですが、鎖骨の直下には鎖骨下動脈や肺尖があります。ドリリングの際は、あまり気持ちの良いものではありません。


普通の人はエレバトリウムを鎖骨の下面に挿入してブロックすると思います。しかし展開の関係でそれだけでは心許ない症例もあるのが悩みどころです。


そのような際、最初からスリーブ先端から20mmほどしかドリルが出ないように調整しておくことが有効でした。


私がこのことに気付いたのは術中でした。ドリルで対側の骨皮質を貫いた瞬間にスリーブに接触してそれ以上奥に進まなかったのです。


手術介助に入ってくれた美人看護師さんがメジャーで測って、スリーブ先端からドリルが 20mmしか出ないように長さ調節してくれていたのです。


鎖骨の横径は
 20mm以内ぐらいなので、この方法は非常に有効だと思います。もちろんエレバトリウムでブロックもしますが、ダブルの安全対策で合併症発生確率が下がりそうです。







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