整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

骨折

頚部骨折ではインオペも選択肢のひとつ

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ときどき、高齢者で全身状態の悪い大腿骨近位部骨折の患者さんの治療について、悩むことがあります。ありがちなのは「肺炎を発症して転倒→大腿骨近位部骨折」というパターンです。



高齢者の大腿骨近位部骨折の患者さんは、搬送されてきたときに肺炎を併発していることが多く、手術に踏み切るタイミングを苦慮しがちです。


内科医師や麻酔科医師の立場では、肺炎を治療してから手術に臨むことを是とします。リハビリテーション医師では、肺炎の治療と骨折の治療を並行することを是とするかもしれません。


それでは、主治医である整形外科医の立場ではどうなのか?私はどちらかといえばリハビリテーション医に近い見解です。しかし、大腿骨頚部骨折と転子部骨折では考え方が違います。


大腿骨転子部骨折では、肺炎の治療と並行しながらリスクを冒してでも骨折の治療を優先します。しかし、大腿骨頚部骨折では「インオペ」も念頭に置きながら治療方針を選択します。


それは、大腿骨頚部骨折は大腿骨転子部骨折と異なり、疼痛や全身状態に対する悪影響が比較的小さいにも関わらず、手術侵襲が大きいからです。


このため、全身状態が悪い患者さんに対しては、インオペを選択することも少なくありません。感染等のリスクと得られるベネフィットを慎重に比較して治療方針を決定するのです。


整形外科医的には「インオペ」は論外という風潮もあるかもしれません。しかし、厳しい症例ではインオペも選択肢にする勇気も必要だと思います。




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超高齢者の頚部骨折ではセメントを

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先日、90歳台の患者さんの大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭置換術がありました。人工骨頭置換術にはセメントレスステムとセメントステムがあります。



症例に応じてセメントレスステムとセメントステムを選択することが理想的ですが、セメントレスステム1本槍やセメントステム1本槍という施設が多い印象です。



私の所属している大学医局では、基本的にはセメントレスステムです。私自身はセメントもセメントレスも使用しますが、同僚を見ているとセメントレスに傾注している印象です。



セメントレスステム1本槍も悪くないですが、90歳台以上の超高齢者ではセメントステムも検討するべきではないでしょうか。例えば下記症例はイスムスの皮質骨が比較的しっかりしています。




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右股関節が外旋位で撮影されているためイマイチな画像ですが、大腿骨骨幹部はしっかりしているように見えます。この画像だけであれば、セメントレス
ステムで充分と判断できるでしょう。


しかし、実際に大腿骨骨近位部を展開すると、非常に骨が脆弱でセメントレスステムでは到底対応できませんでした。慎重にラスピングしたのですが、カルカーに小骨折を併発しました。


セメントステムをバックアップで準備していたので事なきを得ましたが、セメントレスステムのみでは相当厳しかったと思います。


このように、術前単純X線像で大腿骨骨幹部の皮質骨がしっかりしていても、実際に手術の参考にはならないケースが、特に90歳オーバーの超高齢者では多いと思います。


このため、90歳台以上の超高齢者では、①基本的にセメントステム使用 ②少なくともセメントステムのバックアップは確保しておく ことが必要だと思います。


くれぐれも、術前単純X線像で大腿骨骨幹部の皮質骨が分厚いから、セメントレスステムでOK! という短絡的な発想は避けるべきだと思います。






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タバコ臭と画像所見はウソつかない

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外来で鎖骨骨折の保存治療を施行している患者さんがいるのですが、受傷後3ヵ月しても仮骨形成を認めません。転位はそこそこありますが、経験では骨癒合を獲得できそうでした。


しかし、全く仮骨形成を認めません。う~ん、おかしいな・・・受傷後1ヵ月の時点でかなりのヘビースモーカーであることに気付いた私は、完全禁煙を指示しました。


喫煙は、骨癒合獲得にかなりの悪影響を及ぼすことを重ねて説明しました。ご本人も納得されて、「がんばって禁煙します!」という返事です。


禁酒ほどではないものの、ヘビースモーカーにとって禁煙はなかなかハードルが高い印象です。それでも骨癒合のために、がんばって禁煙を守ってくれることを期待しました。


それ以後、禁煙継続中です!と毎回おっしゃられるのですが、全く骨癒合する気配がありません。どうしたものかと思案していると、ふと患者さんがかなりタバコ臭いことに気付きました。


アレッ? この臭いはタバコでは・・・。問い詰めましたが、やはり完全禁煙を継続しているとのことでした。一応、家族の副煙流もかなり骨癒合に悪影響を及ぼすことを説明しました。


しかし、感覚的には十中八九、禁煙していなさそうです。やっぱりな・・・。よく高尿酸血症の治療で減酒しています!とおっしゃられるアレと同じパターンのようです。


減酒もしくは断酒しているのに、この γ-GTPの高さは何ナノだと思うことが多々ありますが、これと同じパターンなのでしょう。


タバコの臭いと画像所見は、本当に禁煙を実施できているか否かに正直です。こちらは、骨癒合して欲しいから言っているだけなんだけどなぁ・・・




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尺骨遠位端骨折のフックプレート

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先日、橈尺骨遠位端骨折に対して骨折観血的手術を施行しました。下図のように、橈骨・尺骨とも非常に不安定性が強かったので、尺骨にも骨接合術を計画しました。



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尺骨に使用する内固定材料のひとつとして、フックプレートがあります。今回使用したのは、HOYAが販売しているStellar 2のフックプレートです。


このプレートはロッキングですが、遠位部がフックになっていることが特徴です。橈骨遠位端骨折用のStellar 2のオプションとしての位置づけですが、こちらの方が有用です(笑)。



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かなり粉砕した粗鬆骨だったので固定性が心配でしたが、さすがフックプレートだけあって、尺骨遠位端に関しても比較的しっかりした固定を得ることができました。


手術手技も非常に簡便で、ガイド越しに仮固定用のK-wireを刺入するだけで、あっという間に内固定が終了しました。コストパフォーマンスの高い手術だという印象です。


今回の症例のように、尺骨の遠位で骨折していて不安定性が高い場合には、フックプレートを使用することも、治療の選択肢のひとつではないかと感じました。




 
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脛腓間スクリューの抜釘時期

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足関節脱臼骨折では、Lauge-Hansen分類が有名です。この分類のPEでは、脛腓骨間の下腿骨間膜が断裂しているため、脛腓間スクリュー(positioning screw)が必須です。


脛腓間スクリューを使用する目的は、断裂した下腿骨間膜の修復ですが、最も重要なことは遠位脛腓靭帯の解剖学的修復です。靭帯が修復されるまでスクリューは必須です。


それでは、脛腓間スクリューを抜釘する時期はいつごろがよいのでしょうか?荷重歩行によって、脛腓間スクリューが破損する可能性は約30%と高率です。


スクリューの破損を恐れていると、いつまで経っても荷重歩行を開始できません。そうなると骨萎縮や関節拘縮が進行して足関節機能が低下します。


脛腓間スクリューを抜釘する時期を考える上で、何を最優先させるかがポイントになります。やはり最優先は、遠位脛腓靭帯および下腿骨間膜の解剖学的修復です。


遠位脛腓靭帯および下腿骨間膜破損が、再度破綻しないようにするためには、最低でも3ヵ月経過してから脛腓間スクリューを抜釘するのがよいといわれています。


手術後1~2ヵ月では、脛腓間の靭帯構造が再度破綻する可能性があるからです。もちろん、脛腓間スクリューを留置したまま荷重歩行を開始するので、折損リスクが高まります。


しかし、遠位脛腓靭帯および下腿骨間膜の解剖学的修復が最優先課題なので、脛腓間固定スクリューが折損するリスクには、ある程度目をつぶるしかないのが現実です。





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