整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

骨折

患者さんに寄り添う臨床医の処世術

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先日、手指の関節内骨折に対して、関節内骨折観血的手術を施行しなければいけない症例がありました。点数はK 073-3となり、10370点=103700円もの手術費用となります。


これ以外にも諸々の費用が加算されるため、3割負担の患者さんの外来手術では、術後の窓口負担が結構な金額になってしまいます。


あらかじめ説明していても窓口で5万円近く支払うとなると、患者さんの立場ではギョッとしてしまいますね。


このようなケースでは、私は短期間の入院を勧めることがあります。患者さんが加入している生命保険から、入院の場合のみ保険金が給付されることがあるからです。


外来手術で窓口負担が高額になるケースでは、患者さんとの関係を円滑にするためにも、加入している生命保険の代理店に問い合わせて、最適解を探ることを患者さんに勧めます。


そして、その結果としての短期入院であれば、敢えてそのリクエストに応えることも臨床医の処世術かもしれません。





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トーキョーグールに学ぶ手術戦略

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先日、示指PIP関節内骨折の症例に対する手術がありました。
画像を見ると分かりますが、掌側の粉砕骨折で結構厳しい骨折型です。



LR - コピー



掌側から進入してpull-out wireという手もありますが、関節内の陥没している骨片の保持が難しそうです。側方からのプレート固定も難しそう。


そもそも論として、掌側を展開してしまうと屈筋腱の癒着が必発なので、機能温存の観点からはlast choiceになりそうです。う~ん、これはどうしよう。。。


ふと、その時に先日読んだマンガの一場面を思い浮かべました。東京喰種 トーキョーグール:re の 特等捜査官・有馬貴将 vs 隻眼の梟 の戦いです。何じゃそりゃ? ですね(笑)



グール



隻眼の梟 戦」で、二等捜査官だった有馬貴将は、上官の「クインケ」を惜しげもなく大量に使い捨てて戦いました。今回の症例もコレだな! 


整形外科医の武器である「クインケ=C-wire惜しげもなく使って、関節内骨折を整復固定しようという作戦です。



術後 - コピー



結果は上記の通りです。まず、1.5 K-wireを中節骨背側から刺入して中節骨PIP関節面中央の陥没している骨片を挙上しました。適度に曲げては捨てて関節面の整復にこだわります。


そして、中節骨掌側骨片を各種C-wireをintrafocal pinとして用いて整復し、基節骨からのflexion block pin、中節骨基部背側からのblock pin、そして最後はPIP関節固定です。


関節適合性は完全ではありませんが、掌側骨片は粉砕しているため、これ以上圧迫力をかけることはできませんでした。


手術侵襲の割には、いい感じで整復固定できたと思います。最初から手術台にずらりとC-wireやK-wireを並べて手術を行いました。


都度出してもらっていると、待ち時間に整復位を維持できなくなるからです。めったにこのような「贅沢」な手術は行いませんが、症例を選べばアリかもしれません。





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病院の経費で医学書を購入する

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「整形外科医のゆるいブログ」の中で興味深い記事があったのでご紹介します。仕事に必要なことは、全て印刷所の営業のひとが教えてくれた です。





昔に比べて手技書はわかり易いので一杯あって若い先生達は良いよね。 若い先生達が転職で民間病院に勤務することになったら是非やって貰いたいことがある。


病院の経費で医学書を買って貰えるように交渉するんだよ。 3,4年でその病院を辞めても、買って貰った医学書がどこにあるかなんか誰もチェックしていないでしょ。


医学書に金を掛けるか、ケチるかで全然理解の深さが違ってくる。 俺はケチだから、研修医の時に1冊買った以外自分の金で医学書を買ったことがないよ。


そして多くの本を熟読するのではなく、辞書代わりに使う。 自分の担当する骨折を手技書系をまず読んで。次にAOで全体を理解して、Campbellで医学用語を理解する。


そして実際の手術を行う。これを繰り返すことが、労力が少なく力量アップに繋がると思うよ。 一般的にはこの逆を勧められるけどね。(総論から各論)


残った時間で、副業もやりたいし、可愛い女性と遊びたいし、運動もしたいでしょ。 結婚していれば家事の手伝いと子供のお守りもやらないといけないでしょ。


大学受験と同じように全ての時間を勉強に投入系は、最後は幸せになれないように人生は出来ているんだって。 人生はゆるくね。





なるほど! と思ったことが2点あります。

  1.  病院の経費で医学書を購入する
  2.  各論 → 総論 → 実践 の繰り返し



①はなかなかいい感じですね。比較的長く勤務することが条件なのでしょうが、2年以上の勤務が見込まれるのであれば有効な方法だと思いました。


②は、まさに時間の有効利用のTIPSです。私は要領が悪いので、「AO法の実際」などを最初から最後まで一気に読破する系でしたが、今ならゆるい先生方式を選択すると思います。



人生は有限なので、いかに効率良く時間を使うかで最終的な幸福度が決まると思います。よい気付きを得たブログ記事でした。





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橈骨遠位端の骨欠損は恐れるに足らず

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先日、橈骨遠位端骨折術後患者さんの掌側プレートを抜釘しました。初回手術から約1年経過しています。



術後側面 - コピー


術後正面 - コピー



かなり粉砕が高度であったため、初回手術では骨欠損部に人工骨(β-TCP)を多量に充填しました。かなりの骨欠損だったので、術後も恐る恐る診ていた記憶があります。


そして、約1年で抜釘術を施行しました。側面から観察すると、かなり人工骨が吸収されて
いますが、正面ではプレートが邪魔でいまいち分かりませんでした。



抜釘後側面 - コピー



抜釘後正面 - コピー




いよいよ抜釘して人工骨の状態の全容が解明されました。あれだけあった人工骨が約1年でかなり吸収されて自家骨に置換されていることが分かります。


この患者さんは70歳台後半の方で、骨粗鬆症がベースにあります。それにもかかわらず、橈骨遠位端骨折では、おどろくほど骨形成が盛んなようです。


今回の経験から、多少の骨欠損は問題無いことが分かりました。高度の骨粗鬆症症例は骨欠損が大きくなりがちですが、プレート固定をきっちりできれば恐れるに足りずのようです。






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股関節の不顕性骨折

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不顕性骨折(Occult fracture)の治療で、少し迷うことがありました。80歳台の高齢者が転倒後に左股関節を痛がるとのことで初診されました。


単純X線像では大転子部に骨折を疑いました。念のためMRIを施行すると、大転子骨片だけではなく、転子部にも骨折を認めました。



MRI - コピー




身体所見としては左股関節の自動運動可能であり、大腿骨の軸圧痛もありません。そこそこの認知症なので、入院治療自体を家族が渋っていました。


う~ん、治療をどうするか。。。 患者さん本人は認知症もあるためか車椅子移乗も介助下に可能な状態です。ひとまず、保存時に経過観察することにしました。




1回目転倒後 - コピー



上記は受傷から1週間後の単純X線像です。認知症があるので勝手に全荷重しているのですが、特に転子部の転位増大を認めませんでした。


これはイケるかも、、、と期待していると、次の週に再転倒したとのことで救急搬送されました。今度はしっかり転位してしまっていました。。。




2回目転倒後 - コピー




結局今回は2度目の転倒というアクシデント(?)があっため、occult fractureが全荷重歩行下で骨癒合するのか? という命題はよく分かりませんでした。


文献的には保存治療で問題なく骨癒合するという報告が多いようですが、実際に私自身の経験はありません。次があれば、おそらく保存治療を選択すると思います。






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