整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

骨折

肋骨骨折でエコーの是非

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先日、メディカルトリビューンで興味深い記事がありました。肋骨骨折、エコーで診断したことがある人、手を上げて! です。


離島の総合診療科医師が、肋骨骨折をエコーで診断治療しているという記事です。肋骨骨折に対してエコーを利用することは最近よく耳にします。


整形外科的な感覚では割と斬新なアイデアなので、興味深く拝読しました。純粋な医学知識としてはなかなか楽しい記事です。 


しかし、忙しい外来の中で、単なる肋骨骨折に対してここまで施行するか? と言われると、なかなかそういうわけにもいかないことに気付きました。


そもそも、肋骨骨折のほとんどはバストバンドで経過観察するだけで問題なく治癒します。肋骨骨折の確定診断がなくても、実臨床で困ることはほとんどありません。


エコーをコスト計上しているのか否かは存じ上げませんが、グレーだったものを黒というためだけにコストを支払うかと言うと、患者さんの立場では少し微妙かなと感じました。


もちろん、このことは今回の記事を批判しているわけではありません。ただ、整形外科医の立場からすると、少し過剰診療のような気がしたので独りごとを言ってみました。





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LCPシステムで圧迫力をかける方法

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最近、立て続けに前腕骨骨折に対して、プレートを使用した骨折観血的手術がありました。3次救急の外傷病院に在籍していたころは、このような手術ばかりでした。


しかし、現在では予定手術がメインである人工関節センター勤務のため、このような外傷とは比較的無縁の生活を送っています。


今回は、LC-LCPプレートで骨片間に圧迫力を加える手技を調べてみました。ご存知の方も多いかもしれませんが、LC-DCPに関しては2017年に販売中止となっています。


私が骨折治療の基本を学んだ頃は、DCPを用いて骨片間に圧迫力を加える際には、オーバル型のドリルガイドを使用したものですが、LCPでは存在しないようです。



LCPシステムに関しては、DCPの様なドリルガイドは使用せずに、 スリーブ内筒がバネ式になっているユニバーサルドリルガイドを使用するそうです。


押し込んでドリリングすることで、真円位置へドリリング可能となり、 押し付ける事無く使用すると、偏心位置(コンプレッションポジション)へドリリング可能となります。



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上の図をみると理屈が分かりますね。偏心位でのドリリングでは+0.75mmのコンプレッションが可能となります。なるほど、便利なデバイスであると感じました。


骨折治療のデバイスも日々進化しています。どうやら私は、20年前の知識で停滞していたようです。少し反省ですね。






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規格外の超高齢者

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先日、大腿骨転子部骨折の患者さんの手術がありました。
派手な折れかたの大腿骨転子部骨折で、around centuryの超高齢者です。


受傷から2時間で受診なので、まだ全身状態は悪くありません。幸いなことに肺炎の併発もなさそうです。さて、どうするか???


だいたい私は、高齢者の大腿骨転子部骨折では当日手術を心掛けています。このため、検査依頼と手術申し込みは同時進行が多いのです。


赤血球製剤の確保で戸惑ったものの、何とか15時すぎに手術出しができる体勢を整えました。これなら定時帰宅(17時)も夢ではないかも(笑)。


しかし、手術とは何が起こるか分からないモノです。100歳ちかい超高齢者にもかかわらず、骨質が非常に良かったのです!大腿骨骨幹部など髄腔径が13mmしかありません。


もちろん、大腿骨近位は骨脆弱性があるのでしょうが、すくなくとも健側ではかなり丈夫そうな骨質です。malignancyというわけでもなさそうです。


実際に執刀を開始すると、クラウンリーマーが切れないではないですか! かなりがんばってようやくクラウンリーマーが近位部に入りましたが、固くて10mm以上進みません。。。


とりあえずネイルを挿入してしまおうと挿入したものの、固くてネイルが皮質を貫けません。確かにクラウンリーマーは10mmほど髄内に進んだものの、リーマー内に骨はありませんでした。


仕方なく、オウルで皮質骨を潰すことでようやくネイルを挿入することができました。径10mmにもかかわらず jammingして苦労しました。なぜ超高齢者なのに jammingするのか・・・


とにかく超高齢者にもかかわらず、やたらと苦労してしまいました。よくみると私よりも身長が高くてガタイがいいです。どうみても超高齢者としては規格外でした。。。


なんだかんだで帰路についたのは18時前でした。あ~、今日はビールがウマいというよりは、純粋に疲れたなぁ・・・







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駄ネタ:鋼線締結法は時計回りで?!

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先日、鋼線締結法を用いた骨折手術がありました。
私は鋼線締結法を行う際に、ダブルループを基本としています。


ダブルループの方が均等に軟鋼線に緊張が加わるからです。さて、ひとつめのループを作るときに、何気なく反時計回りに鋼線を回してしまいました。


ふたつめのループを作成後にループを交互に締め上げると、ひとつめに作成したループが緩んでしまったために、反時計回りにしていることに気付きました。


私は、最初の指導医から鋼線締結法のループは時計回りが基本であるという教えられました。 その理由として、地球の自転方向が右回りだからという説明を受けました。


当初は深く考えずに「もっともなことだな
」と思っていました。しかし、反時計回りで鋼線締結法を施行したため、本当に右回りにする必要があるのか気になってしまいました。


調べてみると、鋼線締結法が時計回りである必要性はありませんでした。しかし、回転系のものは、時計を始めネジなどほぼ全てのものが右回りになっています。


時計やネジが右回りになったのには諸説あって、右利きの人が多いことや文明の多くが北半球で生まれたことが原因だそうです。


どういう理由からか、私は地球の自転と反対方向に締めると緩んでしまうと思っていました。しかし何を調べてもそのような記載はありません。


どうやら地球の自転と反対方向に締めると緩むというのは私の思い込みのようでした。結論としては、鋼線締結法で右回りにしなければいけない理由は無いようです。






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異常症例は内固定材料サイズに注意!

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先日、いわゆるオムツ骨折と思われる大腿骨転子部骨折に遭遇しました。
この手の骨折の治療は本当に難しいです。


オムツ骨折に関しては、比較的高率にインオペ症例が含まれている印象です。しかし、最終的に手術施行可能か否かは、麻酔下でしか判断できないことが多いです。



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今回の症例の術前単純X線像です。何だかあまりみたことの無い転位です。骨膜が破綻していることは確実ですが、これだけでは骨折部の状態を正確に評価することはできません。


全身麻酔下に牽引しようとして驚きました。左股関節・膝関節が拘縮してあまり動かないのです。一応、手引き歩行していたとの情報ですが、かなり高度の粗鬆骨です。


しかも、側面像をみると、どうやら大腿骨頚部が後捻しています。しかも、おおよそ60度ほども転位しているようです。いったいどうなっているんだ???


骨膜連続性が破綻しているため、何をしても全く整復できません。う~ん、これはまたしてもインオペか・・・ 30分ぐらい格闘していると、ほんの少しだけ整復(?)されました。


これはイケルかも! しかし、ここで早まってはいけません。このような通常と異なる症例では、準備しているインプラントで本当に対応できるのかを確認する必要があります。


今回の症例に関しては、かなりの転位が残存しているので、ラグスクリューが非常に短いことが予想されました。計測すると75mmでした。ギリギリ最短サイズです。



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恐る恐る手術を開始すると、何とか75mmで対応可能でした。しかし、薄氷を踏む思いです。術前に計測していなかったら、術中にパニックにをおこした可能性もあります。


今回の症例のように、通常と異なる場合には、インオペを回避できると思っても本当に準備しているインプラントサイズでOKなのかを確認した方が良いと感じました。







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