整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

外来診療の気付き

スポーツ少年が接骨院へ流れる理由

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なぜ、野球肘などの患児が、医療機関から接骨院に流れていくのかについて興味深い話題がありました。


野球肘などのスポーツ障害の治療の基本はノースロー(No Throw)です。もちろん、目的は肘の障害部に負荷をかけないためです。


上腕骨内上顆裂離骨折や離断性骨軟骨炎では、骨癒合までに比較的長期間のノースロー期間が必要です。しかし、この長い期間を指示すると、患児(と親)はソッポを向きがちです。


実際、数カ月も練習から離脱することは、患児や両親にとって耐え難いことは容易に想像できます。しかし、これらの傷病は焦っても早く治ることはありません。


したがって、ノースローを指示せざるを得ないのですが、ただ「ノースロー」といっても患児や両親は納得しません。


このため、通院毎にマッサージしてくれる接骨院へ患児が流れるのです。本来なら医療機関で、ノースロー期間中の下半身ストレッチなどを指導するべきです。


しかし、ほとんどの整形外科医院や病院は、下肢の柔軟性を高める指導は行っていません。患児からすると放置されているように感じるため、手厚い(?)接骨院へ流れるのです。


この話をお伺いしたときに、整形外科診療の難しさを改めて感じました。山のように押し寄せる患者さんを前にすると、一人に割ける時間も限られます。。。


このあたりの匙加減は難しいですね・・・





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オーストラリア理学療法協会のスポーツ理学療法士による実践的な教科書です。
治療的テーピングの概要を学ぶことができます。



 






CT は骨癒合判定の強い味方!

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先日、右大腿骨骨幹部骨折後の症例を診察しました。すでに手術から1.5年経過しているのですが、まだ骨癒合していないとのことでセカンドオピニオン目的での受診でした。



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この症例は髄内釘で内固定されており、骨幹部に増殖型(elephant foot type)の骨形成を認めます。しかし、内側では骨癒合しているようにも見えます。



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しかし、CT を施行すると全周性に偽関節でした。私は髄内釘などの内固定材料が入っていると、それに隣接した部位の骨癒合状態は正確には判断できないと思っていました。


しかし今回の経験では、髄内釘があるにも関わらず骨癒合の状態をほぼ正確に知ることができました。今回の教訓は下記の2点です。


  1.  内固定材料があってもそれなりに CT で骨癒合を評価するできる
  2.  単純 X 線像で部分的に骨癒合していると思われる症例であっても、実際に CT を施行すると偽関節のことがある


放射線による被爆を除けば、それほど侵襲的な検査ではないので、偽関節を疑った場合にはやはり CD で精査するべきなのでしょう。







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豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です








手指軟部腫瘍のポイント

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先日、手指DIPJレベル背側の軟部腫瘤が主訴の患者さんが受診されました。普通に考えたらHeberden 結節の mucous cyst もしくはガングリオンです。


気軽に穿刺したのですが、内容物を吸引できません。あれ???MRI を施行すると単純ではよく分からず、造影してみると腱鞘巨細胞腫GCTTS)っぽいことが判明しました。


手指のこの部位に発生する軟部腫瘍は、schwannoma もしくは GCTTS であることが多いそうです。通常、部位発生の腫瘍であれば、悪性の可能性は低いでしょう。


このため、痛み・しびれ・可動域制限等の症状がなければ、手術の絶対適応ではありません。ご存知のように GCTTS は5~30%と局所再発率が高いです。


病理的には色素絨毛結節性滑膜炎(PVS)と同一群の疾患であり、辺縁切除術での局所再発率が高いことがピットフォールです。


このため、特に症状が特に無いのであれば経過観察が吉だと思われます。ガングリオンを疑って穿刺しても何も吸引できないときには少し焦ります。


そのような時でも、手指に発生した小さな軟部腫瘍には悪性腫瘍が少ないことを念頭に、落ち着いて外来を進めたいものです。






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ガイドラインに準拠してわかりやすくコンパクトにまとまった良書です。概論が最初の30ページ程度なので、これはあらかじめ通読するとよいでしょう。各論は原発性骨腫瘍、腫瘍類似疾患、転移性骨腫瘍、軟部腫瘍、骨系統疾患、代謝性骨疾患の6章に分かれています。各章とも疾患ごとに、豊富な写真でわかりやすく解説されています。







近しい患者さんは得る物が多い

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患者さんの家族を診察すると、思わぬ発見をすることがあります。
先日も新しい発見があったのでご報告させていただきます。


私は、疾患を説明するトークを定型化しています。数多くの患者さんを診て定型化したトークなので、自分の中ではこれ以上無い洗練されたトークだと認識しています。


しかし、職員家族の足関節外側靭帯損傷の患者さんを治療した際に、受傷した内容や何故ギプスシーネをしなければならないかを全く理解されていないことが判明しました。


判明したのは、この患者さんが
根掘り葉掘り訊いてきたことがきっかけです。普通の患者さんでは遠慮して訊けないことも、近しい関係なので気軽に質問できたのでしょう。



私の定型化トークの中には、どこが損傷して何故ギプスシーネが必要なのかが含まれています。すべて話しているはずなのに、残念ながら患者さんには全く伝わっていませんでした。


客観的に見て若くて聡明そうな患者さんだったので、能力的に考えても私の説明を理解できない感じではありません。


このことから導き出されることは、私の定型化トークでは、伝えたい内容が十分に患者さんに伝わらないという結論だと思います。


自分の中では非常に洗練されたトークを駆使していると思っていましたが、残念ながら私の真意はほとんど患者さんに伝わっていないかったようです。


おそらく、もう少し定型トークを改良する必要があるのでしょう。気心の知れた患者さんだからこそ気付かされました。このような患者さんの存在は貴重ですね。






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初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です


    



成人のヘノッホ・シェーンライン紫斑病

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先日、40歳台の男性が、数日前からの両下腿腫脹と足関節痛を主訴に初診されましました。外傷の既往は特に無いとのことです。


痛風かな?と思って患部を診ると、  両足背全体がびまん性に腫脹しており紫斑がありました。アレッ? と思って下腿をみると、赤い点状の紫斑が多数ありました。



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どこかで見たことのある所見です。しばらく考えていると、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(Henoch-Schoenlein Purpura; HSP)であることに気付きました。年齢を除けば・・・



HSPは、一度診ると忘れられない特徴のある赤い点状の紫斑です。しかし、通常は小児の疾患なので、成人発症のHSPが存在するのか否かは自信がありませんでした。


診察の合間にこっそり教科書をひも解くと、まれではありますが成人発症のHSPもあるようです。そうであれば、所見からほぼ間違いないでしょう。紫斑は、昨日からだそうです。


ヘノッホ・シェーンライン紫斑病は、何らかのアレルギー反応で小血管に炎症がおこることで発症する疾患です。


全身の小血管に炎症をおこすので、消化管の小血管に炎症をおこすと腹痛、皮下の小血管におこすと紫斑、腎臓の小血管におこすと血尿をきたします。


また半数以上で関節痛をきたすため、今回のケースのように整形外科を初診するケースも多いです。 知らなければ絶対に診断できないですね。


大多数は4-6週間で自然軽快しますが、稀にタンパク尿が続くときは腎症が重症化して腎不全に移行することがあります。発症後1~2ヵ月は尿検査を継続する必要があるそうです。





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