整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

外来診療の気付き

既往歴を効率的に聴取する方法

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問診で既往歴を聴取することは必須です。
しかし、既往歴を漏れなく把握することは、必ずしも容易ではありません。


結構な確率で聴取漏れが発生します。既往歴を効率的に漏れなく聴取する方法は無いのか?こんなことを考えながら外来をしているときに、ふとひとつの気付きを得ました。


その気付きとは、患者さんに既往歴を訊いてもほとんどまともな答えは期待できないということです(笑)。笑ってるけど笑えない事実ですね。。。


さて、完璧な既往歴を聴取することは難しいものの、ある程度の精度と効率性で患者さんの既往歴を一網打尽する方法を発見しました。


それは、お薬手帳を見せてもらうことです。服用している内服薬をみると、現在治療中の内科的疾患のほとんど全てを把握できます。これは服用中の薬を聴取することでも代用できます。


現時点では、これ以上の精度と効率性で既往歴を把握する手段を知りません。もちろん、院内の他科受診の場合には、カルテ内容をコピペするだけで済みます。


しかし、全ての医療機関をカバーできる手法としては、お薬手帳の確認以上の方法は思いつきません。何か良いアイデアがあれば是非教えて欲しいと思っています。





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脊柱検診と脊柱健診、どちらが正解?

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先日、側弯症疑いの患者さんが受診されました。学校で医療機関の受診を指示されたそうです。何の変哲も無い日常診療のひとコマですね。


ただ、カルテ記載しようと思って、手が止まってしまいました。この場合、健診なのか検診なのかどっちだったっけ??? 正解は下記のごとくです。


  • 健診: 健康診断の略語で、健康であるか否かを確かめる診察
  • 検診: 特定の病気を早期に発見して、早期に治療することを目的とする


健診は、40~74歳の公的医療保険加入者の特定健診や、学校健診、職場健診などがあります。また、人間ドックや脳ドックも、健康であるか否かを確かめる目的なので健診です。


一方、検診は、乳がん検診や子宮頸がん検診などの「がん検診」が代表例です。目的が、早期発見・早期治療となります。


それでは脊柱側弯症の「けんしん」は、どうなのか?脊柱「けんしん」は、学校健診の一環として実施されます。しかし、脊柱「けんしん」の目的は、早期発見・早期治療です。


このため、学校健診の一環として実施されているものの、脊柱「けんしん」については、検診が正解なのです。つまり、脊柱検診なのですね。う~ん、ややこしい。。。






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医療ブログは備忘録に最適

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先日、久しぶりに膝蓋骨脱臼の新鮮症例を診察しました。単純X線像を確認すると、大腿骨膝蓋骨溝の低形成は認めませんが、膝蓋骨内側部に圧痛もあります。


身体所見から膝蓋骨脱臼と診断し、いざ外固定を施行しようとして止まってしまいました。膝蓋骨脱臼の場合、膝軽度屈曲位か伸展位のどちらにするべきかをド忘れしたのです。


こういう場合、考えても確証を得られませんので、調べるに限ります。私の場合、調べる対象は当ブログです(笑)。何といっても「日々の診療の備忘録」としてスタートしたのですから。



ネットで「膝蓋骨脱臼」「固定」検索すると、膝蓋骨脱臼についての一般人向けHPやブログが大半です。全て一般人向けなので、固定肢位の記載は皆無です。


そこで、「膝蓋骨脱臼」「固定」に「整形外科医のブログ」を追加すると、下記のエントリーがヒットしました。泡沫ブログなので、キーワードを羅列しないとヒットしないのです。






自分で書いたブログですが、すっかり忘れていました(笑)。これを読むと、膝関節伸展位で2~3週間固定することが多いと書かれています。


膝関節を伸展位で固定する理由は、Q angle(通常20度未満で平均14度ぐらい)の影響で、膝関節を屈曲するにつれて膝関節外方への合力がかかるからです。


膝関節の屈曲角度が大きくなるほど、膝蓋骨が脱臼する方向(膝関節の外側)への力が加わります。 このため、膝関節の固定角度は伸展位が推奨されます。


また、膝蓋骨脱臼のために損傷した内側関節包や内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)の修復を促す意味でも、膝関節外側への力があまりかからない膝関節伸展位での初期固定が有効なのです。


なるほど、そういうことですか。。。すっかり忘れていました。しかし、(未来の)自分向けに書かれているので、我ながら非常に分かりやすいです(笑)


このように、備忘録としてもブログは非常に有用だと思います。言わば、世間に公開されている自分だけの備忘録なのです。


クラウドで自分の診療の備忘録を持ちたい方は、ブログを立ち上げることを強くお勧めします。そして、立ち上げた際には、このブログへのリンクを張ってくださいね(笑)。








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WBPに準じた創傷処置の考え方

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創傷処置においては、創面の環境整備(wound bed preparation; WBP)が重要です。WBPについて、まとめてみました。


1980年台から湿潤環境両方が浸透し始めて優れた被覆材が多数開発されましたが、優れた製品であっても創面が適切な状態でなければ治療効果は得られません。


2000年台になって、上記の反省を踏まえてwound bed(創面)をpreparation(整備)することの重要性が提唱されるようになりました。これがWBP(創面の環境整備)です。



WBPでは、①壊死物質を除去して ②過剰な浸出液を制御して ③創の乾燥を防止して 湿潤環境を保つようにします。




TIMEコンセプト


この目的を達成するための局所治療の考え方を、TIMEコンセプトと呼びます。TIMEコンセプトは、下記の4項目を評価・適正化することで、創傷治癒に最善の環境を整えます。


  1.  Tissue: non viable or deficient
  2.  Infection or Inflammation
  3.  Mosture imbalance
  4.  Edge of wound-non advancing or undermined

①は創面に存在する壊死組織および遺物(固着した被覆材やバイオフィルム)の有無を評価します。壊死組織は、創傷治癒の物理的障壁や細菌感染の温床なので、できるだけ除去します。


②ですが、創面には細菌が存在しますが、細菌=感染ではありません。微生物は段階的に増殖すると考えられ、次の4段階があります。

  • 汚染: 創面に微生物が接着していない状態
  • 定着: 宿主の反応や感染徴候はないが、微生物が接着して増殖している状態
  • 臨界的定着: 細菌負荷が増大して、治癒が停滞している状態
  • 感染: 微生物が組織に侵入して組織の破壊がみられる状態

このうち、臨界的定着が重要です。創周囲の発赤や腫脹などの感染徴候は乏しいが、多量の浸出液漏出が持続して悪臭を伴い、肉芽の色調は貧血様です。


感染に至らないようにするためには洗浄や消毒が重要です。洗浄は石鹸(界面活性剤)の使用が効果的です。消毒も見直されてきており、消毒後の石鹸を使った洗浄が推奨されます。


③は、湿潤のアンバランスです。浸出液の量を制御して、湿潤環境のバランスを保つことが重要です。浸出液が過剰だと、浸出液中の蛋白分解酵素が創治癒を阻害します。


④では、創縁のポケットは局所陰圧療法や切開開放が推奨されます。過剰な肉芽形成には1週間程度のステロイド外用が良いです。






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ええっ、ASOで腰痛があるの?!

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先日、とぜんな脊椎外科医のブログで腰痛を伴う血管原生の間欠性跛行の鑑別を忘れずに、、、という話題がありました。


ブログを拝読して驚いたのですが、閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans: ASO)でも腰痛や殿部痛で発症する症例があるそうです。



閉塞性動脈硬化症による間欠性跛行の症状と言えば、てっきり下腿より末梢の症状だと思っていました。何故、私がそう思い込んでいたのかは、定かではありません。。。


本邦の閉塞性動脈硬化症の発生頻度を人口比から検討したものは無いそうですが、仙台市のある地域で平均年齢74歳の住民971 名中2%にASOが発見されたという報告があります。


一方、大阪で重症虚血肢(critical limb ischemia: CLI)を調査した報告では、人口10万人あたり年間1.3肢が切断されており、ASOに占める CLIの頻度は15~20%程度とのことです。
 

そして、CLIの中には血行再建術の適応となる症例があります。血行再建術には、外科的治療と血管内治療があり、その選択に際して参考となるのが大動脈腸骨動脈病変のTASC分類です。



555 - コピー




上記の表をみると、今回のとぜんな脊椎外科医先生の症例はD型病変のようです。たしかに、単純X線像でも総腸骨動脈の石灰化を認める症例を散見します。要注意ですね・・・


このような症例でもABIは有効なようです。これからは、間欠性跛行+総腸骨動脈の石灰化を認める症例では、殿部痛や大腿部痛であってもABIを施行しようと思いました。


いや~、勉強になります。





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自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        
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