整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

外来診療の気付き

登山中に腸脛靭帯炎を発症したら?

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先日、腸脛靭帯炎(ランナー膝)の患者さんを診察しました。この方は登山愛好家で、今回は下山中に腸脛靭帯炎を発症したようです。


以前から登山中に腸脛靭帯炎を発症することがあったようですが、下山中に発症すると疼痛をこらえながらの下山になるので、非常に困った状況に陥ります。


私自身も長距離サイクリングで腸脛靭帯炎で苦しんだ経験があるので、他人ごとではありません。ロキソニンを服用したりシップを貼っても発症中の症状緩和はあまり見込めません。


登山やサイクリング中に腸脛靭帯炎を発症したらどうすれば良いのでしょうか? 医学的に即効性のある治療はステロイド注射ですが、当然現地では実施不可能です。


現実的な解決法としてテーピングで対応することになります。腸脛靭帯炎ではtoe-inで疼痛が誘発されることが多いです。このため、toe-outの肢位でテーピングすることになります。


具体的には膝関節軽度屈曲位として toe-outにしてから、大腿部と下腿部のアンカーの間で腸脛靭帯に沿って伸縮テープを2~3本回旋するように巻きます。


ちなみに釈迦に説法だと思いますが、toe-outとは足趾が外側に向かう方向です。膝関節軽度屈曲位で knee-inし、足部を外側方向にする肢位でテーピングを巻くとよいでしょう。


これによって、腸脛靭帯と大腿骨外顆の間のインピンジがやや緩和されるので、帰宅までの急場をしのげる可能性が高まります。


腸脛靭帯炎の既往がある方が登山や長距離サイクリングを実施する際には、鎮痛剤やシップに加えて、テーピングテープを持参することを強く推奨します。





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A1 pulleyのストレッチの課題

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最近、ばね指の保存治療に関しては、くらげ整形外科の山崎厚郎先生による A1 pulleyのストレッチを第一選択にしています。


もちろん、snappingの程度によってはステロイド腱鞘内注射も併用しますが、基本的には組織侵襲の無い A1 pulleyのストレッチが第一選択です。



<A1 pulleyのストレッチ>

22 - コピー



上の図のように、MP・PIP関節最大屈曲、DIP関節伸展位で罹患指と手掌でブロックを挟みます。この状態でブロックを握ることで屈筋腱が収縮して A1 pulley内腔が増大します。

ブロックを30秒握るストレッチを 1日10回以上実施することで、A1 pulley内腔の拡大によって屈筋腱の滑走性を向上させます。治療開始後1~2ヵ月で効果が得られます。



しかし、A1 pulleyストレッチの継続率が高いのは、snappingのある症例であることに気付きました。snappingの無い伸展テスト陽性の症例は継続率が低い印象です。


snappingのある症例ではA1 pulleyストレッチ直後に snappingが軽減することが多いため、患者さん自身が効果を体感しやすいために継続率が上昇すると推察しています。


snappingの無い症例への、A1 pulleyストレッチの啓蒙が、現在の私の中でのばね指保存治療の課題だと感じています。






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近隣開業医と win-win関係を!

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最近では新型コロナウイルス感染症の新規発症者数も漸減しており、仲間内では話題にあがることも少なくなりました。外来患者数もコロナ前に近いレベルまで回復しています。


今年は6月ころまで苦しい状況が続いていましたが、そんな中でも手術数の下支えをしてくれていたのは近隣の整形外科開業医の先生方です。


昨年6~8月に近隣の基幹病院や開業医に営業したのですが、その際に懇意になった開業医の先生から、苦しい時期にも手術適応の症例を紹介していただきました。


医局内の医師は黙々と紹介された症例をこなしていますが、私はこっそり彼らを監視しています(笑)。紹介元に失礼が無いように、そして win-win関係を維持することが目的です。


ありがちなのは「手術適応ではない」と言って、せっかく紹介してもらった患者さんを突き返すことです。勤務医アルアルですが、これは最低の対応だと思います。


たしかに医学的にみて手術適応ではない症例も散見されます。しかし、無下に紹介元に送り返すと、開業医の面目は丸潰れです。下手すると紹介患者さんからクレームまできます。


このような対応をすると、当然の帰結としてせっかく苦労して築いた関係が破綻してしまいます。この場合の正解は、こちらで保存的に外来フォローするです。


勤務医は患者さんしかみていないケースが多く、開業医への配慮に欠ける人が非常に多い印象です。卒業年次に関係なく、このような失態を犯す人が存在するので注意が必要です。


あと、リハビリテーションが必要な患者さんは、積極的に近隣の開業医に紹介するように、事あるごとに医局内で言っています。クドいほど言い続けないとなかなか浸透しません。


このような地道なフォローを続けていると、今回のようなコロナ禍で困ったときにも、近隣の開業医から助力を得られると思います。






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初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です


    



テニスエルボーサポーターはネット購入が吉

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昨年11月からボクシングジムに通っています。自宅の斜め向かい前のビルの地下にあるので、雨の日でもあっという間に行けるので重宝しています。


ジムでは、前半にボクシングのトレーニングをして、後半はマシーンを使用した筋トレをしています。筋トレはかなり追い込んでやっているので、腕に自信が出てきました(笑)。


しかし、週2回ペースで限界までやっているので、肘関節がとても痛くなります。上腕骨外上顆炎を疑い自分で診察するのですが、chair testや middle finger ext. testは陰性です。


そうは言ってもおそらく上腕骨外上顆炎なのだろうと判断して、メイン勤務先でテニスエルボーバンドを処方してもらうことにしました。


病院で 1045円で購入したのですが、自費扱いです。よく考えると自費であればネットで購入しても同じではないのか? 調べてみると、アマゾンで同じモノが売っていました!





価格も同じく税込みで 1045円です。これなら、診察などせずにネットで購入する方が、時間もお金もかからなくて良いではないですか!!!


もちろん、自分で診断をつけられるという特殊な状況ではありますが、整形外科医であれば、わざわざ医療機関を受診して購入しなくてもネットで購入した方が安上がりです。


受診手続きをして、窓口で診察料を支払った時間と費用が無駄だったことを知って少しがっかりです。整形外科医が自分で診断をつけるのであればネット購入が吉かもしれません。



<注意>
当ブログは医師を対象にしています。もしあなたが一般の方であれば、今回のブログ記事を決して参考にしてはいけません。かならず整形外科を受診しましょう。







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尾骨骨折の画像所見が分かりにくい理由

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身体所見で骨折の有無を判断する部位として、肋骨骨折と尾骨骨折が挙げられます。どちらも単純X線像の所見はさほど重要ではありません。


その理由のひとつは、両者とも骨折があっても画像上の所見を見つけにくいことだと思います。肋骨骨折の場合は、腹側に近いほど肋軟骨に移行するので骨折が分かりにくいです。


そうは言っても、整形外科医であれば肋骨骨折の画像所見は日常的に目にする機会が多いことでしょう。しかし、尾骨骨折についてはいかがでしょうか?


私は20年以上整形外科医をしていますが、実は尾骨骨折については「これは明らかに骨折している」と確信できるような画像所見をあまり診たことがありません。


画像所見が多少怪しくても、身体所見ではっきりと骨折の有無が分かるので特に困りませんが、常々なぜ尾骨骨折は画像所見で分かりにくいのだろう?と疑問に思っていました。


ところが、先日の症例では、(少なくともここ数年では初めて)尾骨の椎体部分で明らかに骨折が存在すると確信を持てる画像をみました。


身体所見は通常の尾骨骨折と変わりませんが、単純X線像で明らかな新鮮骨折です。尾骨骨折の画像所見はあまり記憶にないので、患者さんには悪いですが少し感動しました(笑)


その画像所見を改めて観察しながら、尾骨骨折が分かりにくい理由を考察してみました。尾骨骨折の好発部位は、尾骨の椎体間(?)だと思います。


この部分で「く」の字状に変形するので骨折の存在を疑いますが、骨折ではなく脱臼(?)に似た状態なので、椎体部で折れている所見をみることが少ないのではないでしょうか?






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豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です








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