整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

外来診療の気付き

大動脈解離を的確に診断する方法

このエントリーをはてなブックマークに追加


腰痛や背部痛は、整形外科では非常に一般的な症状です。多くの腰痛や背部痛は脊椎由来ですが、ときどき内科的疾患が原因となっていることもあります。


代表的なものは尿路結石ですが、膵炎や循環器系疾患が原因であることもあります。その中でも大動脈解離は見逃してしまうと取り返しのつかないことになります。


しかし、一般整形外科医が大動脈解離を診る機会はあまりないのが実情です。先日、大動脈解離を疑った症例があったので、どのよう診断すれば良いのかを調べてみました。


結論的に言うと、大動脈解離を確定診断をするには造影 CT を施行するしかありません。そうは言っても、いきなり整形外科医が造影CTを依頼するのは心理的ハードルが高い。。。


大動脈解離の随伴所見として、胸部大動脈解離の場合は単純X線像での右側胸水貯留、腹部大動脈解離であれば(条件が良ければ)腹部エコーで確認することも可能です。


しかし、これらは必ず認められる所見ではないため、あくまで参考程度です。 整形外科医的には、はっきりと数値でわかる血液生化学検査で異常所見があればありがたいのです。


残念ながら、血液生化学検査では典型的な所見はありません。ただ、 CRP や白血球などの炎症所見は亢進していることが多く、 LDH や総ビリルビンも高値であることが多いです。


D-dimmer も高値になりますが、検査結果が出るのに数日かかる施設が多いので実際的ではありません。


あと心電図で何か異常な所見があれば分かりやすいのですが、残念ながら心臓の近くで大動脈乖離が発生しない限りは異常所見は出ないようです。


また血圧に関しても常に高いというわけではなく、大動脈乖離の進行が止まると痛みも軽減することが多いので、多少痛みがましになったと言って大動脈解離を否定できません。


このようにまとめると、大動脈解離を確実に診断するには造影 CTしか無いのが現実のようです。いやはや、整形外科医にはなかなかハードルが高いですね・・・






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です


    



認知症にみえる難聴患者さんは多い!

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、ご高齢の女性が受診されました。
この方は腰痛で通院中なのですが、やり取りをしていてもイマイチ反応が良くありません。


私の言ってることをほぼ理解していないように思えます。あまりにも理解力が乏しいので、この方は認知症に違いないと思っていました。


的を得ないとは言え、
この患者さんは私の話にタイミング良く返事してくれます。このため理解力が乏しいのだと思っていたのです。



しかし、よくよく観察すると耳が遠いために私の言っていることが聞き取れていないだけということに気付きました。


そこで、耳元でしっかり大きな声で説明をすると、それに対する明瞭な返答が返ってきます。あーなるほど、これは認知症ではなくて単に耳が遠いだけなのか。。。


それ以来、理解力が悪いように見える人であっても、耳元でゆっくり大きな声でお話をすると、意外なほど私の言いたいことを理解できる人が多いことが分かりました。


今まで認知症だと思っていた患者さんの中には、結構な割合で単に耳が遠いだけという人が含まれていたのです。


この歳になってこんな発見をしたのですが、意外とご高齢の方は認知症ではなくて耳が遠いだけの方が含まれているので注意が必要だと思いました。





★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です


    



スポーツ少年が接骨院へ流れる理由

このエントリーをはてなブックマークに追加

なぜ、野球肘などの患児が、医療機関から接骨院に流れていくのかについて興味深い話題がありました。


野球肘などのスポーツ障害の治療の基本はノースロー(No Throw)です。もちろん、目的は肘の障害部に負荷をかけないためです。


上腕骨内上顆裂離骨折や離断性骨軟骨炎では、骨癒合までに比較的長期間のノースロー期間が必要です。しかし、この長い期間を指示すると、患児(と親)はソッポを向きがちです。


実際、数カ月も練習から離脱することは、患児や両親にとって耐え難いことは容易に想像できます。しかし、これらの傷病は焦っても早く治ることはありません。


したがって、ノースローを指示せざるを得ないのですが、ただ「ノースロー」といっても患児や両親は納得しません。


このため、通院毎にマッサージしてくれる接骨院へ患児が流れるのです。本来なら医療機関で、ノースロー期間中の下半身ストレッチなどを指導するべきです。


しかし、ほとんどの整形外科医院や病院は、下肢の柔軟性を高める指導は行っていません。患児からすると放置されているように感じるため、手厚い(?)接骨院へ流れるのです。


この話をお伺いしたときに、整形外科診療の難しさを改めて感じました。山のように押し寄せる患者さんを前にすると、一人に割ける時間も限られます。。。


このあたりの匙加減は難しいですね・・・





★★ 管理人お勧めの医学書 ★★
  


オーストラリア理学療法協会のスポーツ理学療法士による実践的な教科書です。
治療的テーピングの概要を学ぶことができます。



 






CT は骨癒合判定の強い味方!

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、右大腿骨骨幹部骨折後の症例を診察しました。すでに手術から1.5年経過しているのですが、まだ骨癒合していないとのことでセカンドオピニオン目的での受診でした。



22 - コピー



この症例は髄内釘で内固定されており、骨幹部に増殖型(elephant foot type)の骨形成を認めます。しかし、内側では骨癒合しているようにも見えます。



CT - コピー



しかし、CT を施行すると全周性に偽関節でした。私は髄内釘などの内固定材料が入っていると、それに隣接した部位の骨癒合状態は正確には判断できないと思っていました。


しかし今回の経験では、髄内釘があるにも関わらず骨癒合の状態をほぼ正確に知ることができました。今回の教訓は下記の2点です。


  1.  内固定材料があってもそれなりに CT で骨癒合を評価するできる
  2.  単純 X 線像で部分的に骨癒合していると思われる症例であっても、実際に CT を施行すると偽関節のことがある


放射線による被爆を除けば、それほど侵襲的な検査ではないので、偽関節を疑った場合にはやはり CD で精査するべきなのでしょう。







★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です








手指軟部腫瘍のポイント

このエントリーをはてなブックマークに追加

先日、手指DIPJレベル背側の軟部腫瘤が主訴の患者さんが受診されました。普通に考えたらHeberden 結節の mucous cyst もしくはガングリオンです。


気軽に穿刺したのですが、内容物を吸引できません。あれ???MRI を施行すると単純ではよく分からず、造影してみると腱鞘巨細胞腫GCTTS)っぽいことが判明しました。


手指のこの部位に発生する軟部腫瘍は、schwannoma もしくは GCTTS であることが多いそうです。通常、部位発生の腫瘍であれば、悪性の可能性は低いでしょう。


このため、痛み・しびれ・可動域制限等の症状がなければ、手術の絶対適応ではありません。ご存知のように GCTTS は5~30%と局所再発率が高いです。


病理的には色素絨毛結節性滑膜炎(PVS)と同一群の疾患であり、辺縁切除術での局所再発率が高いことがピットフォールです。


このため、特に症状が特に無いのであれば経過観察が吉だと思われます。ガングリオンを疑って穿刺しても何も吸引できないときには少し焦ります。


そのような時でも、手指に発生した小さな軟部腫瘍には悪性腫瘍が少ないことを念頭に、落ち着いて外来を進めたいものです。






★★ 管理人お勧めの医学書 ★★
 


ガイドラインに準拠してわかりやすくコンパクトにまとまった良書です。概論が最初の30ページ程度なので、これはあらかじめ通読するとよいでしょう。各論は原発性骨腫瘍、腫瘍類似疾患、転移性骨腫瘍、軟部腫瘍、骨系統疾患、代謝性骨疾患の6章に分かれています。各章とも疾患ごとに、豊富な写真でわかりやすく解説されています。







アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

管理人の著書

161228 【書影】医師の経済的自由
管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

管理人による m3.com 連載コラム
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル

医師のための築古木造戸建投資マニュアル 1
医師のための 金融資産形成術
医師のための金融資産形成術

タダで自宅を手に入よう!

医師のための収益マイホーム購入マニュアル


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール

自由気ままな整形外科医

・医学博士
・日本整形外科学会専門医
・日本リウマチ学会専門医
・不動産投資家
・超長期金融資産投資家
・ビジネスオーナー
・宅地建物取引主任士

QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。