整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

救急

片麻痺が無くても脳梗塞はありえる!

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先日、80歳台の方が、転倒後から歩行できなくなったとのことで救急搬送されました。現病歴から、整形外科での対応は何の問題無いと思いました。


ところが救急搬送されてきた患者さんを診ても、特に痛がるところはないのです。もしや脳梗塞か???と思って立膝や両手挙上してもらいましたが、問題なく可能です。


おかしいなぁと思いつつも介助下に立たせると不安定ながら立位可能です。認知症なのかなと思いましたが、念のため脳神経外科に診察依頼しました。


脳神経外科医はルーチンで頭部CTもしくは頭部MRIを施行するようです。MRIは敷居が高い印象ですが、拡散強調MRI (Diffusion-weighted MRI) なら数分で撮像可能とのことです。




22 - コピー




本症例でも頭部MRIを撮像いただいたのですが、ナント DWIにて右ACA領域に高信号領域を認めました! 新鮮脳梗塞とのことです。


何とか立てるものの不安定だったのは脳梗塞が原因だったようです。典型的な片麻痺症状がなくても「フラフラする」「立つときに力が入らない」は脳梗塞を疑うべきなのでしょう。


今回の症例は勉強になりましたが、脳神経外科医に診察依頼できたのは、非常にフットワークの軽い医師だったからです。


実際は、ほぼ見落とし症例になるところでした。いまさらですが、日常診療には至る所に落とし穴があるようです...。






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頚動脈損傷は天井を見れば分かる?!

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先日、救急室から直電がありました。
自傷行為で頚部を包丁で切った!患者さんがいるのでヘルプとのことでした。


とんでもないことするな...と思って救急室に急行したのですが、まず救急室の天井を見上げました。しかし、天井には血液は付着していません。


以前、頚椎前方除圧固定術の際に、動脈を損傷して出血が止まらなくなったことがあります。泉のように血が湧き出てくるので、ヤバいと思って耳鼻科に応援依頼しました。


すぐに耳鼻科部長が応援に駆けつけてくれたのですが、手術室に入るなり天井を見上げて「大丈夫だな
」とおっしゃいました。



頚動脈本体を損傷した場合には、動脈圧が高いので天井まで血が吹き上がるのですが、天井は無傷(?)だったので、頚動脈損傷ではないという判断だったそうです。


その時はナルホドーという余裕も無かったのですが、後から思い返して得心したしだいです。今度は立場が逆になって、
その時の経験が今回の私の行動になりました。



派手にバックリと開いた傷でしたが、幸いにも小動脈の枝だったようで何とか止血して事なきを得ました。とりあえず、自傷行為で首を切るのは止めてもらいたいと切に思いました。







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肺塞栓症(PE)で重要な 2症状

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先日、術後2日目の患者さんの呼吸状態が突然(?)悪化しました。
早朝の検温時に、SaO2=80%前半に低下していました。HR>100/分で頻脈もあります。


幸い、意識障害や呼吸苦などは無く、傍目にはそれほど重篤感はありません。それでも主治医的にはかなり焦ってしまいます。これは PEを併発したかな...。


人工関節術後患者さんなので、術前にDVTが無いことを確認したうえで術後1日目からリクシアナを経口投与しています。しかし、そんなことでは何の安心感もありません。


かなり前に重篤な 症候性PEを経験したのですが、最近は忘れていました。そこで、ザザッと PEについてのおさらいをしました。まず症候性 PEの代表的症状は下記2つです。


  1.  呼吸不全
  2.  頻脈


この2つがそろっている術後患者さんは PEを念頭に置いて検査を迅速に進めるべきでしょう。そして、検査は下記を行います。


  •  胸部CT、Xp
  •  心エコー、下肢静脈エコー
  •  血液生化学検査
  •  動脈血ガス


上記には比較的迅速に施行可能だと思います。特に心エコーでの右心負荷の有無は確認したいところです。誤嚥性肺炎の可能性もあるので胸部CTは必須でしょう。


高齢者は腎機能低下している方が多いので、造影CTを施行するか否かは状況しだいですが、心エコーで右心負荷(-)なら無しでもいいかもしれません。


そんなこんなでワタワタと検査してみましたが、結果的には PEではなく肺炎を併発していたようです。高齢者の人工関節置換術後の呼吸不全はこちらの心臓にも悪いですね...。








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こむら返りは熱中症の可能性も!

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先日、大腿部こむら返りの患者さんを診察する機会がありました。この患者さんは大腿部のこむら返りを主訴に整形外科受診していました。


他院でロキソニンを処方されて帰宅したのですが、すぐにこむら返りが再燃して、こちらに受診しました。当初は整形外科疾患のようだったので、私が診察することになりました。


体を触ると熱かったので、こむら返りではなく熱中症だなとピンときました。体温を測ると、あんのじょう38度近くあります。


現病歴は、昨日のフットサル後から出現したこむら返りでしたが、数日間かけて進行する熱中症(熱けいれん)もあるようです。


内科医師が診ればすぐに熱中症だと気付くかもしれませんが、整形外科医では「こむら返り=熱中症の可能性」という思考回路が出来ていない人が多い印象です。



ロキソニンで様子みましょうと言って帰してしまうと大変なことになってしまいます。整形外科医と言えども熱中症患者を診る可能性はあります。


夏真っ盛りの今の季節は、私たち整形外科医も熱中症のことをアタマの片隅に置いておく必要があると感じました。






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急性血管閉塞にはマイルドなタイプも!

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先日の外来で、70歳台の方が左下肢痛・しびれで初診されました。なんでも自動車を運転していた際に、突然左下肢に疼痛としびれが発症したとのことです。


一応、独歩で入室してきたのですが、問診票の「1時間前から」という記載にくぎ付けになりました。このような突然の発症はロクなことがありません。


整形外科医として、まず考えることは下肢痛・しびれが血管性か否かということです。今回の患者さんは下肢といっても臀部からの疼痛・しびれでした。


それなら腰椎由来の可能性が高いと思うところですが、ソックスを脱いでもらって両足を比較すると、明らかな左足が蒼白です。足背動脈も左側は触知できません。


コレはまずいなということで循環器内科に紹介すると、すぐに造影CTが施行されて左大腿動脈の急性血管閉塞という診断がつきました。


以前にも急性大腿動脈閉塞を経験しましたが、その症例は七転八倒の疼痛で尋常じゃない病態であることが一目瞭然でした。しかし、今回は曲がりなりにも歩行可能でした...


緊急で血栓除去術を行うとのことですぐに転院されましたが、ちんたらやっていたら危なかったのでゾッとしました。


「急性血管閉塞=七転八倒の症例ばかりではない」という経験を積ませていただきました。やっぱり臨床はコワいですね。







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