整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

救急

肺塞栓症(PE)で重要な 2症状

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先日、術後2日目の患者さんの呼吸状態が突然(?)悪化しました。
早朝の検温時に、SaO2=80%前半に低下していました。HR>100/分で頻脈もあります。


幸い、意識障害や呼吸苦などは無く、傍目にはそれほど重篤感はありません。それでも主治医的にはかなり焦ってしまいます。これは PEを併発したかな...。


人工関節術後患者さんなので、術前にDVTが無いことを確認したうえで術後1日目からリクシアナを経口投与しています。しかし、そんなことでは何の安心感もありません。


かなり前に重篤な 症候性PEを経験したのですが、最近は忘れていました。そこで、ザザッと PEについてのおさらいをしました。まず症候性 PEの代表的症状は下記2つです。


  1.  呼吸不全
  2.  頻脈


この2つがそろっている術後患者さんは PEを念頭に置いて検査を迅速に進めるべきでしょう。そして、検査は下記を行います。


  •  胸部CT、Xp
  •  心エコー、下肢静脈エコー
  •  血液生化学検査
  •  動脈血ガス


上記には比較的迅速に施行可能だと思います。特に心エコーでの右心負荷の有無は確認したいところです。誤嚥性肺炎の可能性もあるので胸部CTは必須でしょう。


高齢者は腎機能低下している方が多いので、造影CTを施行するか否かは状況しだいですが、心エコーで右心負荷(-)なら無しでもいいかもしれません。


そんなこんなでワタワタと検査してみましたが、結果的には PEではなく肺炎を併発していたようです。高齢者の人工関節置換術後の呼吸不全はこちらの心臓にも悪いですね...。








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こむら返りは熱中症の可能性も!

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先日、大腿部こむら返りの患者さんを診察する機会がありました。この患者さんは大腿部のこむら返りを主訴に整形外科受診していました。


他院でロキソニンを処方されて帰宅したのですが、すぐにこむら返りが再燃して、こちらに受診しました。当初は整形外科疾患のようだったので、私が診察することになりました。


体を触ると熱かったので、こむら返りではなく熱中症だなとピンときました。体温を測ると、あんのじょう38度近くあります。


現病歴は、昨日のフットサル後から出現したこむら返りでしたが、数日間かけて進行する熱中症(熱けいれん)もあるようです。


内科医師が診ればすぐに熱中症だと気付くかもしれませんが、整形外科医では「こむら返り=熱中症の可能性」という思考回路が出来ていない人が多い印象です。



ロキソニンで様子みましょうと言って帰してしまうと大変なことになってしまいます。整形外科医と言えども熱中症患者を診る可能性はあります。


夏真っ盛りの今の季節は、私たち整形外科医も熱中症のことをアタマの片隅に置いておく必要があると感じました。






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急性血管閉塞にはマイルドなタイプも!

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先日の外来で、70歳台の方が左下肢痛・しびれで初診されました。なんでも自動車を運転していた際に、突然左下肢に疼痛としびれが発症したとのことです。


一応、独歩で入室してきたのですが、問診票の「1時間前から」という記載にくぎ付けになりました。このような突然の発症はロクなことがありません。


整形外科医として、まず考えることは下肢痛・しびれが血管性か否かということです。今回の患者さんは下肢といっても臀部からの疼痛・しびれでした。


それなら腰椎由来の可能性が高いと思うところですが、ソックスを脱いでもらって両足を比較すると、明らかな左足が蒼白です。足背動脈も左側は触知できません。


コレはまずいなということで循環器内科に紹介すると、すぐに造影CTが施行されて左大腿動脈の急性血管閉塞という診断がつきました。


以前にも急性大腿動脈閉塞を経験しましたが、その症例は七転八倒の疼痛で尋常じゃない病態であることが一目瞭然でした。しかし、今回は曲がりなりにも歩行可能でした...


緊急で血栓除去術を行うとのことですぐに転院されましたが、ちんたらやっていたら危なかったのでゾッとしました。


「急性血管閉塞=七転八倒の症例ばかりではない」という経験を積ませていただきました。やっぱり臨床はコワいですね。







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閉鎖孔ヘルニアを見た!

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先日、突然の左股関節部痛を主訴に80歳台の高齢女性が初診されました。そこそこの認知症があるため転倒の既往の有無は不明です。


この時点で、整形外科医ならほぼ大腿骨近位部骨折を疑うことでしょう。臨床的にはその判断で9割以上間違いではありません。


しかし、今回の症例では単純X線像では明らかな骨折をみとめませんでした。フフッ、それなら関節内血腫の確認だ! と CTを施行しましたが、どうやら血種が無いようです。



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この所見ではMRIを撮像しても大腿骨近位部骨折の可能性は低そうだな・・・と判断しました。しかし、認知症がある割には尋常ではない痛がりようです。


気持ち悪かったので、とりあえず入院してもらうことにしました。入院時検査では血液生化学検査も正常範囲内です。


まぁ、しばらく様子をみようと思っていると、同僚の整形外科医から「ヘルニアがある!」と指摘を受けました。


ヘルニア??? よ~く見ると、CTの恥坐骨の間の閉鎖孔よりやや表層に、エアを伴った楕円状の腸管影を認めるではありませんか!!!


外科医にコンサルトすると、たしかにコレは閉鎖孔ヘルニアとのことでした。骨盤CTを撮像すると、骨条件より分かりにくいですが閉鎖孔ヘルニアでした。



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鼠経ヘルニアは比較的よくみかけますが、閉鎖孔ヘルニアは初めてです。どおりで痛いはずです。認知症の方が、安静時にまでメチャメチャ痛がるのは尋常ではありません。


よく、こんなモノをみつけたなと、同僚医師に関心しました。ちなみにCPKは正常範囲内でした。発症間もないので動きがなかったのでしょう。


明朝まで放置していたら、腸管壊死に至っていた可能性が高いです。それにしても思わぬところに落とし穴があるものです。






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アナフィラキシーの初期対応

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日本医師会から送られてきた資料の中に、注射剤によるアナフィラキシーにかかる死亡事例の分析 という小冊子がありました。以下要約します。




【アナフィラキシーの認識】
アナフィラキシーはあらゆる薬剤で発症の可能性があり、複数回、安全に使用できた薬剤でも発症し得ることを認識する。


【薬剤使用時の観察】
造影剤、抗菌薬、筋弛緩薬等のアナフィラキシー発症の危険性が高い薬剤を静脈内注射で使用する際は、少なくとも薬剤投与開始時より5分間は注意深く患者を観察する。


【症状の把握とアドレナリンの準備】
薬剤投与後に皮膚症状に限らず患者の容態が変化した場合は、確定診断を待たずにアナフィラキシーを疑い、直ちに薬剤投与を中止し、アドレナリン 0.3 mg(成人)を準備する。


【アドレナリンの筋肉内注射】
アナフィラキシーを疑った場合は、ためらわずにアドレナリン標準量 0.3 mg(成人)を大腿前外側部に筋肉内注射する。


【アドレナリンの配備、指示・連絡体制】
アナフィラキシー発症の危険性が高い薬剤を使用する場所には、アドレナリンを配備し、速やかに筋肉内注射できるように指示・連絡体制を整備する。


【アレルギー情報の把握・共有】
薬剤アレルギー情報を把握し、その情報を多職種間で共有できるようなシステムの構築・運用に努める。




アナフィラキシーショックに遭遇する可能性は誰でもあるため、上記の6つの提言はしっかり覚えておく必要があります。


最後に、小冊子に記載されていたアナフィラキシーショックの初期対応が記載された図を転載しました。普段から体が自然に動くように理解しておきたいものです。




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医療事故の再発防止に向けた提言 第3号 より転載






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一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。









姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。








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