整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

手技

妊娠確認の素敵なフレーズ

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先日、外来看護師さんが、若年女性に素敵な声掛けしていたのでご紹介します。「女性をみたら妊娠していると思え!」は、医療従事者にとって常識です。


特に放射線被爆させてしまう単純X線像やCT撮影の際には、若年女性には必ず妊娠している可能性の有無を確認します。


しかし、妊娠確認を私のような男性医師が行うのは、お互い(医師・患者さんとも)嫌なものです。このため、外来看護師さんに妊娠確認をお願いするケースが多いです。


しかし、同じ女性同士だからといって、開けっぴろげに「妊娠している可能性はありますか」と訊くのはデリカシーがありません。


このあたりの対応に関しては、以前から改善が必要だと感じていました。ところが、今回の外来看護師さんは「放射線を浴びますけど大丈夫ですか?」と確認していました。


なるほど、この訊き方だと「妊娠」というキーワードを使用せずに済みます。放射線を浴びる=妊娠しているとマズい という等式を思いつかないリスクは皆無ではありません。


しかし、常識的に考えて、「放射線を浴びますけど大丈夫ですか?」と訊かれることの意味が全く分からない人は、ほとんど居ないのではないでしょうか?






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患者はよほど痛くないと受診しない

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先日、同期と雑談している際に、おもしろい話を聞きました。
家族から医師として全く信用されていない。。。とのことでした(笑)


コイツは、客観的にみて非常に臨床能力の高い医師です。医師としての実力を知っているだけに、なぜ家族(特に奥さん)から信用されないのか分かりませんでした。


いろいろ話をしていると、家族がケガをしたときに「大丈夫、心配ない」と言う割には、痛みがなかなか完全に治らないことが多いことが、原因となっていることが分かりました。


ケガといっても、軽く足関節を捻転したとか足部を打撲したという程度の軽微な外傷です。少なくとも外固定が必要なほどのケガではありません。


普段外来をしている私たち臨床医の感覚では取るに足りない外傷なのですが、当人にとっては当然「痛み」があります。


そして、1ヵ月ぐらいしても患部がときどき痛むと、「なんでも大丈夫というヤブ医者」というレッテルを家族に貼られるようです。。。


この話を聞いて、医師が家族にヤブ医者扱いされるのは、患者さんはよほど痛くないと受診しないことへの理解が足りないからではないのか? と思いました。


普段診ている患者さんは、比較的「重症」な人が多いです。足関節外側靭帯損傷や手指捻挫でもパンパンに腫れていることが少なくありません。


逆に客観的にみて身体所見がほとんどないような患者さんが受診すると「大袈裟な・・・」と思いがちです。しかし、よく考えると世の中の外傷の大多数は、軽症例なのです。


そのような医療機関を受診するまでもない圧倒的大多数を占めるであろう軽症例の診察経験が、実は私たちには不足しているのではないのか? という疑念が湧き起こりました。


実際のところ、どうなのでしょうね???







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小児診察のコツ

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日整会誌92:386-402 2018 に、興味深い教育研修講座が載っていました。佐賀整肢学園こども発達医療センターの藤井敏男先生による小児の診察のキーポイントです。


幼児は診察を怖がるので、泣かせないよう工夫する必要があります。東大小児診療班では「子供を泣かせては良い診察はできない」という言い伝えがあるそうです。


診察室で小児を泣かせない工夫として、下記のようなことを例に挙げられています。

  • 先手必勝で診察室に入ってきたときに「○○ちゃん、こんにちは」 と声をかけて玩具を差し出すと、こどもが玩具に注目して緊張がとける

  • そのとき、小児の玩具に対する四肢の動き、反応、表情の変化を見るとともに、基礎疾患や運動発達遅延などの有無を探る

  • 白衣のポケット 中に入るサイズの音が出る玩具が便利で、動く自動車は男児に人気がある

  • 玩具がないときは小児の目の前で指をパチンとスナップさせるとよい

  • こどもが緊張しないように幼児は診察台に寝かさず、親が抱いたままで触診するのもよい



次に視診のポイントですが、視診は入室時から始めます。下肢疾患では親がこどもの手を引いて歩いて入室するよう看護師に指示して、問診より先に視診を行います。


そのとき、ズボンと靴下を脱いで膝と足がよく見えるように依頼します。局所だけでなく 全身もさっと観察して基礎疾患の有無を観察します。


幼児は単純に「歩いて」と指示しても歩かないので、親の協力を得て玩具で誘います。それでも診察室内を歩かないときは、廊下へ連れ出して歩かせることも有効です。


上肢の自動運動・関節可動域は、玩具をこどもに渡して上肢の動きを見ます。こどもは指示するだけでは四肢を動かさないので、極力遊びの要素を加えるとよいでしょう。


触診のキーポイントは、健常部を先に診て疼痛部を最後にみることです。また、局所に腫脹, 運動痛、圧痛、熱感がある場合には、こどもの顔を見ながら触診します。


上記のような遊びを取り入れて、スムーズに診療情報を集めることが小児診察のコツのようです。くれぐれも患児を泣かさないように注意しましょう!






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乳房切除術側でルート確保禁の理由

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先日、多発骨折の患者さんの手術がありました。
この方は、下肢骨折に加えて橈骨遠位端骨折もあります。


更に健側上肢は、乳房切除術+リンパ節郭清後でした。この場合、ルート確保を患側上肢で行うことは禁忌と言われました。禁忌って、そんなキツイ言葉使うんですか・・・


禁忌という言葉に違和感を覚えたため、乳房切除術後の患者さんでは患肢でルート確保をしてはいけない理由を調べてみました。




理由1 リンパ浮腫の併発リスク


動脈や静脈は閉鎖した脈管というイメージが強いですが、実際にはこれらに加えてリンパ管が毛細血管レベルで細胞外液のやりとりをしています。


特に静脈周囲にはリンパ管が発達しており、リンパ管も細胞外液運搬の役割を果たしています。そして乳房切除後(リンパ節郭清後)では、リンパ管が正常に機能していません。


リンパ管には心臓のような循環ポンプがない代わりに逆流防止のための弁があります。この弁のためにリンパ液を逆流させることもできず、リンパ液は溜まってしまいます。


これがリンパ浮腫です。 一度リンパ浮腫を併発するとなかなか軽快しません。長期にわたってリンパマッサージが必要となるため、患肢でのルート確保は望ましくないのです。




理由2 感染症リスク


リンパ節を郭清するとリンパ液の環流が低下するため、感染に対する抵抗力が落ちます。このため、ルート確保部に感染を併発するリスクが通常よりも高いです。




なるほど、このような理由のため乳房切除術(リンパ節郭清)後の患者さんでは、患肢でルートを確保するのは避けた方がよいのですね! いやいや勉強になりました。







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疼痛の少ない手指麻酔

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m3.comの臨床ニュースで興味深い記事がありました。
指切創処置に疼痛少ない局麻のコツ【JAAM 2017】です。




佐賀大学病院整形外科准教授の園畑素樹氏らが考案した皮線上皮下1回刺入神経ブロック法であれば、指の付け根辺りをつまみ上げて皮線上の皮下に局所麻酔薬を注入すれば効果は腱鞘内ブロック法と変わらないため、さらに疼痛の少ない方法で麻酔が行えるとの見解を示した


55 - コピー





私は、腱鞘内ブロック法を愛用していますが、園畑先生の手法は目からうろこでした。この手法では腱鞘内に注入する必要さえなさそうです。


私は、腱鞘内ブロック法ではバネ指で腱鞘内注射を施行する際に準じて、A1 pulleyに注射していました。よく考えたらA1 pulleyに注射する必要はないんですね。勉強になりました!





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