整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

手技

患者さんの不安感を取り除け!

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先日、病棟の受け持ち患者さんが急変しました。ご本人の意識はしっかりしていたのですが、下血のため血圧がかなり低下しました。もうちょっとでショックバイタルです。


夜間だったので、とりあえず輸血で急場を凌ぐことにしたのですが、ご本人が輸血を拒否します。どうやらかなり気が動転しているようです。


理詰めで説明しても、全く聞く耳を持ちません。困ったな。。。輸血をする場合には、基本的に同意書を取得する必要があります。


しかし、頑として同意書にサインすることを拒みます。何故そこまで頑ななのか分かりませんでしたが、ふと不安に思っていることも一因では? と思いました。


そこで、夜中ではあるものの、電話での家族への説明だけではなく、直接来院していただいてご本人に会っていただくことにしました。


それでご本人の気持ちが落ち着けば一石二鳥です。実際、家族の顔を見て少しトーンダウンして、なんとか無事に輸血することができました。


今回のケースで感じたことは、患者さんが予想しない反応を示す場合には、それなりの理由があるのかもしれないということです。


その理由が「不安感」である場合には、家族に来院してもらうことで軽減できることもあります。やはり人間相手なので、患者さんの気持ちを考えることも必要なのでしょう。





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骨折の診断にもエコーは有用!

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先日、運動器超音波(エコー)の講演を拝聴しました。整形外科領域におけるエコーと言えば、腱板損傷を始めとする肩関節疾患をまず最初に思い浮かべる方が多いと思います。


肩関節疾患以外では、関節リウマチ領域でのエコーも市民権を獲得しました。ところが、これ以外にも意外な使い方があったのでご紹介します。


それは、骨折に対するエコーです。骨折でエコー? そんなもの施行するまでもなく、単純X線像で充分だろうと思う方が多いと思います。実は私もそのひとりでした(笑)。


しかし、講演を拝聴して考え方が変わりました。私の考え方を変えたのは、小児の上腕骨外顆骨折に対するエコーでした。ご存知のように転位の少ない外顆骨折は診断が難しいです。



AP - コピー



上記の単純X線像では、後追いで診ると外顆骨折が何となく分かります。骨幹端に線状骨折を認めます。ただ、初診時に確信をもって診断するのは相当難しいのではないでしょうか?


この症例ではCTを施行して、外顆骨折の存在を確認しました。しかし、小児にCTを施行すると、ちょっと被爆量が心配です。


このような時にエコーに習熟していると外顆骨折も容易に診断できるそうです。操作方法は簡単で、上腕骨長軸方向にプローベをあてるだけです。


骨折部では骨表面の線状高エコー像に途絶があります。あと、周囲の軟部組織の腫脹や関節血腫も観察できます。講演を拝聴したかぎりでは、かなり有用そうです。


私の場合は、関節リウマチでエコーを習熟しているので、比較的ハードルは低いと感じました。今度、骨折を疑う症例を診察する機会があれば、エコーを試してみようと思いました。






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WBPに準じた創傷処置の考え方

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創傷処置においては、創面の環境整備(wound bed preparation; WBP)が重要です。WBPについて、まとめてみました。


1980年台から湿潤環境両方が浸透し始めて優れた被覆材が多数開発されましたが、優れた製品であっても創面が適切な状態でなければ治療効果は得られません。


2000年台になって、上記の反省を踏まえてwound bed(創面)をpreparation(整備)することの重要性が提唱されるようになりました。これがWBP(創面の環境整備)です。



WBPでは、①壊死物質を除去して ②過剰な浸出液を制御して ③創の乾燥を防止して 湿潤環境を保つようにします。




TIMEコンセプト


この目的を達成するための局所治療の考え方を、TIMEコンセプトと呼びます。TIMEコンセプトは、下記の4項目を評価・適正化することで、創傷治癒に最善の環境を整えます。


  1.  Tissue: non viable or deficient
  2.  Infection or Inflammation
  3.  Mosture imbalance
  4.  Edge of wound-non advancing or undermined

①は創面に存在する壊死組織および遺物(固着した被覆材やバイオフィルム)の有無を評価します。壊死組織は、創傷治癒の物理的障壁や細菌感染の温床なので、できるだけ除去します。


②ですが、創面には細菌が存在しますが、細菌=感染ではありません。微生物は段階的に増殖すると考えられ、次の4段階があります。

  • 汚染: 創面に微生物が接着していない状態
  • 定着: 宿主の反応や感染徴候はないが、微生物が接着して増殖している状態
  • 臨界的定着: 細菌負荷が増大して、治癒が停滞している状態
  • 感染: 微生物が組織に侵入して組織の破壊がみられる状態

このうち、臨界的定着が重要です。創周囲の発赤や腫脹などの感染徴候は乏しいが、多量の浸出液漏出が持続して悪臭を伴い、肉芽の色調は貧血様です。


感染に至らないようにするためには洗浄や消毒が重要です。洗浄は石鹸(界面活性剤)の使用が効果的です。消毒も見直されてきており、消毒後の石鹸を使った洗浄が推奨されます。


③は、湿潤のアンバランスです。浸出液の量を制御して、湿潤環境のバランスを保つことが重要です。浸出液が過剰だと、浸出液中の蛋白分解酵素が創治癒を阻害します。


④では、創縁のポケットは局所陰圧療法や切開開放が推奨されます。過剰な肉芽形成には1週間程度のステロイド外用が良いです。






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関節注射後の圧迫止血法

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外来で関節注射を施行する際、刺入部から出血することがあります。こればかりは避けようがないのですが、勢いよく出血すると圧迫止血しなければなりません。


出血は予測不能なので、事前に十分な準備をできないことが多いです。このような際、とっさにガーゼを押さえると、自分の指先に血液が付着してしまいます。


外来では感染症の検査をしていない患者さんがほとんどなので、自分の指先に患者さんの血液が付着することは、あまり気持ちの良いものではありません。


このような場合、私は鑷子を逆さまにして、鑷子基部の接合部で出血点を圧迫します。鑷子先端で圧迫してもよいのですが、鋭すぎるので私はやや鈍な接合部で圧迫止血しています。



555 - コピー



上図でいうと、赤丸の部分です。鑷子基部で関節注射の刺入部を圧迫することで、自分の指を汚さずとも簡単に圧迫止血することが可能となります。 





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陳旧性(?)小児肘内障には要注意!

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先日、近所の整形外科開業医から2歳児の診察依頼がありました。
前日、父親に左手を引っ張られてから動かさなくなったとのことです。


そして、当日の午前にその整形外科開業医を受診したのですが、肘内障の整復操作をしてもはっきりとした整復感を得ることができなかったようです。


当院初診時に、患児はある程度左肘を動かしていますが、まだ痛みが残存しているようです。両肘関節に視診上での差異が無いことを確認した上で、小児肘内障の整復操作を施行しました。


何度か繰り返すと、ようやく鈍いクリックを触知しましたがいつもと様子が違います。う~ん、何かおかしい・・・。念のため、もう少し継続すると今度は比較的はっきりしたクリックを触知しました。



城東整形外科の皆川先生の論文にもありましたが、一度肘内障を発症すると輪状靭帯や周囲の軟部組織が腫脹するそうです。


数時間以内に整復されている通常例でも軟部組織が腫脹するぐらいなので、1日経過したものでは相当輪状靭帯周囲が腫脹しているものと推察されます。


このためなかなか輪状靭帯が整復されず、整復操作も一度で完全には成功しなかったのでしょう。診断も含めて1日以上経過している小児肘内障は要注意だなと感じました。




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