整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

手技

小児診察のコツ

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日整会誌92:386-402 2018 に、興味深い教育研修講座が載っていました。佐賀整肢学園こども発達医療センターの藤井敏男先生による小児の診察のキーポイントです。


幼児は診察を怖がるので、泣かせないよう工夫する必要があります。東大小児診療班では「子供を泣かせては良い診察はできない」という言い伝えがあるそうです。


診察室で小児を泣かせない工夫として、下記のようなことを例に挙げられています。

  • 先手必勝で診察室に入ってきたときに「○○ちゃん、こんにちは」 と声をかけて玩具を差し出すと、こどもが玩具に注目して緊張がとける

  • そのとき、小児の玩具に対する四肢の動き、反応、表情の変化を見るとともに、基礎疾患や運動発達遅延などの有無を探る

  • 白衣のポケット 中に入るサイズの音が出る玩具が便利で、動く自動車は男児に人気がある

  • 玩具がないときは小児の目の前で指をパチンとスナップさせるとよい

  • こどもが緊張しないように幼児は診察台に寝かさず、親が抱いたままで触診するのもよい



次に視診のポイントですが、視診は入室時から始めます。下肢疾患では親がこどもの手を引いて歩いて入室するよう看護師に指示して、問診より先に視診を行います。


そのとき、ズボンと靴下を脱いで膝と足がよく見えるように依頼します。局所だけでなく 全身もさっと観察して基礎疾患の有無を観察します。


幼児は単純に「歩いて」と指示しても歩かないので、親の協力を得て玩具で誘います。それでも診察室内を歩かないときは、廊下へ連れ出して歩かせることも有効です。


上肢の自動運動・関節可動域は、玩具をこどもに渡して上肢の動きを見ます。こどもは指示するだけでは四肢を動かさないので、極力遊びの要素を加えるとよいでしょう。


触診のキーポイントは、健常部を先に診て疼痛部を最後にみることです。また、局所に腫脹, 運動痛、圧痛、熱感がある場合には、こどもの顔を見ながら触診します。


上記のような遊びを取り入れて、スムーズに診療情報を集めることが小児診察のコツのようです。くれぐれも患児を泣かさないように注意しましょう!






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乳房切除術側でルート確保禁の理由

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先日、多発骨折の患者さんの手術がありました。
この方は、下肢骨折に加えて橈骨遠位端骨折もあります。


更に健側上肢は、乳房切除術+リンパ節郭清後でした。この場合、ルート確保を患側上肢で行うことは禁忌と言われました。禁忌って、そんなキツイ言葉使うんですか・・・


禁忌という言葉に違和感を覚えたため、乳房切除術後の患者さんでは患肢でルート確保をしてはいけない理由を調べてみました。




理由1 リンパ浮腫の併発リスク


動脈や静脈は閉鎖した脈管というイメージが強いですが、実際にはこれらに加えてリンパ管が毛細血管レベルで細胞外液のやりとりをしています。


特に静脈周囲にはリンパ管が発達しており、リンパ管も細胞外液運搬の役割を果たしています。そして乳房切除後(リンパ節郭清後)では、リンパ管が正常に機能していません。


リンパ管には心臓のような循環ポンプがない代わりに逆流防止のための弁があります。この弁のためにリンパ液を逆流させることもできず、リンパ液は溜まってしまいます。


これがリンパ浮腫です。 一度リンパ浮腫を併発するとなかなか軽快しません。長期にわたってリンパマッサージが必要となるため、患肢でのルート確保は望ましくないのです。




理由2 感染症リスク


リンパ節を郭清するとリンパ液の環流が低下するため、感染に対する抵抗力が落ちます。このため、ルート確保部に感染を併発するリスクが通常よりも高いです。




なるほど、このような理由のため乳房切除術(リンパ節郭清)後の患者さんでは、患肢でルートを確保するのは避けた方がよいのですね! いやいや勉強になりました。







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疼痛の少ない手指麻酔

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m3.comの臨床ニュースで興味深い記事がありました。
指切創処置に疼痛少ない局麻のコツ【JAAM 2017】です。




佐賀大学病院整形外科准教授の園畑素樹氏らが考案した皮線上皮下1回刺入神経ブロック法であれば、指の付け根辺りをつまみ上げて皮線上の皮下に局所麻酔薬を注入すれば効果は腱鞘内ブロック法と変わらないため、さらに疼痛の少ない方法で麻酔が行えるとの見解を示した


55 - コピー





私は、腱鞘内ブロック法を愛用していますが、園畑先生の手法は目からうろこでした。この手法では腱鞘内に注入する必要さえなさそうです。


私は、腱鞘内ブロック法ではバネ指で腱鞘内注射を施行する際に準じて、A1 pulleyに注射していました。よく考えたらA1 pulleyに注射する必要はないんですね。勉強になりました!





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服で拭く(ふくでふく)

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外来診察で困ることのひとつに診察後の手洗いがあります。ベストの手洗い頻度は、患者さんの診察毎でしょう。


しかし、午前だけで30回以上も手洗いしていると、時間がもったいないし、手指が荒れてしまいます。何か良い手はないかな・・・


考えた結果、患者さんの服で拭くということを実践しています。例えば、Spurling testやJackson testを行う時には、患者さんの頭頂部から前額部を押さえる必要があります。


50~70歳台の男性では、この部分は皮脂でべっとりなりがちです。。。そこで、最初にSpurling testやJackson testを行い、その後に頚椎から肩背部の触診を行います。


頚椎から肩背部は衣服で覆われているので、指先についた患者さんの皮脂は、患者さん自身の衣服で綺麗に除去されます。


もともと患者さんの皮脂なので、患者さんの衣服に付着するのは、そんなに悪いことではないだろうという理屈です。


診察後、一目散に手洗いするのも何だか申し訳ないし、かと言ってそのままキーボードを触ると医療衛生上良くありません。


手洗い時間・患者さんの体面・自分の手指の荒れ防止のために、実践していますが、いかがなものでしょうか? もちろん、理想は診察毎の手洗いではありますが。。。





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ノットフリー縫合糸の比較

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THAやTKAの筋膜縫合時にノットフリー縫合糸を使用する施設は多いと思います。現状ではV-LocとSTRATAFIXを選択できますが、どちらを選べばよいのでしょうか。



Vloc - コピー



V-Loc


V-Locは2009年に米国で発売開始された元祖ノットフリー縫合糸です。V-Locの登場で閉創時間が短縮されるようになり世界的に流行しました。V-Locは、棘が片方のみです。







2 - コピー


STRATAFIX


こちらは2017年発売開始の後発ですが、モノフィラメントによる感染性低減を武器にシェアを拡大しています。


表面に抗菌剤がコーティングされていることも、感染予防に大きな力を発揮します。V-Locと異なり、棘が双方向に存在します。




V-Loc と STRATAFIXの比較


いくつかの研究で、どちらも手術時間の短縮には有効なことは示されています。しかし、V-Locは従来型の縫合糸と比較して、感染リスクが少し高かったようです。


V-Locの棘部分が感染の原因となっている可能性があることが示唆されています。一方、STRATAFIXは従来型の縫合糸と同程度の感染率のようです。


これらの研究結果から、ノットフリー縫合糸を使用するのであれば、感染リスクがより低いSTRATAFIXを選択するべきなのかもしれません。







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