整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

外傷

弾性ストッキングの禁忌

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、大腿骨転子部骨折の高齢者が入院しました。問診をとると、この方は重度の ASO を併発しており、1か月後に大腿部でバイパス手術を受ける予定だそうです。


他院の循環器内科医師から診療情報提供書を取り寄せると、直近の検査ではABIが 0.4しかありません。これは相当悪いな・・・


通常、大腿骨転子部骨折の周術期には深部静脈血栓症を予防するために、弾性ストッキングをルーチンで履いていただいています。


しかし、今回は重度の ASO を併発している方なので、病棟の看護師さんから本当に弾性ストッキングを 周術期に着用していいのか? という確認がありました。


最初、看護師さんからこの事を問われた時、私は特に何も考えることなく OK という返事をしていました。


しかし調べてみると、弾性ストッキングは今回のような動脈血行障害のある患者さんには禁忌となっているようです。


考えてみれば、弾性ストッキングで圧迫されると、もともと血行状態が良くない部位では、
動脈閉塞部より末梢の血流が極端に悪くなる可能性があります。危ないところでした・・・


その他の弾性ストッキングの禁忌もしくは慎重な使用が必要な傷病名としては、下記のようなものが挙げられます。


  • 動脈血行障害
  • 糖尿病
  • 急性期の深部静脈血栓症
  • うっ血性心不全


上記のうち、深部静脈血栓症は急性期のものや抗凝固療法を施行していない症例が禁忌になるそうです。なるほど勉強になりました。









★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です








シャント側の手術は超危険!

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、透析患者さんが手関節の骨折で受診しました。
結構粉砕していたので普通に考えると手術適応です。


しかし、私は保存治療を選択しました。なぜなら骨折はシャント側だからです。シャント側に手術をすると、シャントが閉塞する可能性があるから保存治療にしたのでしょうか?


いいえ、それだけではありません。昔、シャント側の骨折治療で非常に苦い経験をしたからです。私がシャント側の上肢の外傷に身構えるのは下記の理由です。

  1.  骨癒合しにくい(創が治癒しにくい)
  2.  感染を併発しやすい


いずれも原因は血流障害のためです。もともと透析症例では血管が不良な状態ですが、これに加えてシャントのために、それより末梢への血流が低下しているからです。


このため、通常では考えられないことを併発しがちです。転位の大きな中手骨骨折に対して経皮的ピニングを施行したところ、あっという間に骨髄炎を併発したことがありました。


先手先手で治療をしましたが、それをも上回るスピードで状況が急速に悪化したため、冷や汗をかきました。ぎりぎりのところで切断は回避しましたが、本当に危ない状況でした。


シャント側より末梢の手術で一度感染を併発すると、シャントまで近いのでリカバリーが非常に難しくなります。


中手骨骨折に対する経皮的ピニングで、シャントも含めた上肢切断術に至ってしまうと目も当てられません。しかし、実際にそのようなことは起こりうるのが怖いところです。


とにかくシャントよりも末梢の外傷では、通常では考えられないことが発生しがちなので、かなり慎重になるべきだと思います。あ~、思い出すだけでも怖くなりました。。。







★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です


    



皮下異物(ガラス片)摘出のコツ

このエントリーをはてなブックマークに追加

先日、ガラス片による皮下異物の摘出術がありました。
ガラス片が大腿筋膜上にまで到達しており、救急室での摘出が困難だったのです。


手術室に場所を移して透視下にガラス片を摘出することにしました。ご存知のように軟部組織に埋もれたガラス片は非常に分かりにくくて摘出に苦労します。


肉眼に頼っているとかなり摘出が難しいため、どうしてもイメージの力を借りざるを得ません。しかもガラス片が皮膚に対して斜め方向に迷入することもあります。


このようなケースではそのまま摘出しようとすると、斜めに皮下を展開することになり摘出が困難となります。何と言っても軟部組織内に埋まっているので見えないのです。


ガラス片摘出に際して、私はできるだけ垂直方向に展開することを心がけています。つまり透視下にガラス片の位置を確認して、切創部をガラス片上に移動させるのです。


こうすることで、そのまま下に堀り下がると必ずガラス片に当たるというわけです。切創部が離れているケースでは、躊躇せず新しい皮膚切開を加えるようにしています。


いずれにせよガラス片の摘出はなかなか困難なので、舐めてかからないことが肝要なのかなと思っています。






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です


    



なぜ Intrinsic plus positionが重要なのか?

このエントリーをはてなブックマークに追加

手指の骨折の治療において、関節拘縮は ADL機能障害に直結します。このため、関節拘縮を併発しないように注意しながら治療を行う必要があります。


それには、まず手指関節の解剖を理解する必要があります。MP関節の側副靭帯は、伸関節伸展時には弛緩し、屈曲時に緊張します。


一方、PIP関節では、伸展・屈曲位にかかわらず弛緩しません。関節拘縮をきたさないためには、側副靭帯が弛緩することを避ける必要があります。



55 - コピー



これらのことから、手指拘縮の予防には、MP関節・PIP関節の側副靭帯が共に緊張する「MP関節屈曲位+PIP・DIP関節は伸展位」の Intrinsic plus position となるようにします。 


単に Intrinsic plus positionを丸暗記するのではなく、どうして Intrinsic plus positionで固定するべきなのかを理解して実践することが重要ではないかと感じました。







★★ 管理人お勧めの医学書 ★★
 


広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく実践的な医学書です。


 







腓骨筋腱脱臼のMRI所見

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、腓骨筋腱脱臼の症例の相談がありました。
MRIを撮像したので確認してほしいとの依頼でしたが、私の目には一見正常に見えます。



1 - コピー




しかし、習慣性脱臼なので、患者さんはかなり困っているとのことです。う~ん、これは困ったなと思って関節のMRIを紐解くと、MRIの所見がしっかり載っていました!








なるほど、よくみるとOden分類のType 1に該当するようです。上腓骨筋支帯の下に仮性嚢(赤矢印)を認めます。



3 - コピー


oden - コピー




足の外科医師にとっては常識なのでしょうが、私レベルの一般整形外科医師ではなかなかこの所見を読影するのは難しいですね。。。


こういう時に、辞書的な医学書は役に立ちます。少しお高めですが、関節と脊椎に関するMRIの辞書的医学書は必須だなと思いました。




アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

医療研究を身近な存在とし、医療の未来を作る


管理人の著書

161228 【書影】医師の経済的自由
管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

管理人による m3.com 連載コラム
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル

医師のための築古木造戸建投資マニュアル 1
REITで実践する不動産投資セミナー
190122
医師のための 金融資産形成術


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール

自由気ままな整形外科医

・医学博士
・日本整形外科学会専門医
・日本リウマチ学会専門医
・不動産投資家
・超長期金融資産投資家
・ビジネスオーナー
・宅地建物取引主任士

QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。