整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

外傷

小指の伸展障害がここまで不便だとは...

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先日、自宅近くのボクシングジムへ行ってきました。目的はダイエットです。どうにもお腹が出てきて困っていたのですが、楽しんで痩せるにはボクシングが一番かなと(笑)


徒歩30秒ぐらいのところにあるので軽い気持ちで行ったのですが、これが全然ラクではありません。1時間やったのですが、最後の方はふらついて立ってるのがやっとの状態でした。


ジムで黙々と筋トレするよりもボクシングの方が動きがあって楽しそうという理由でボクシングジムに行ったのですが、楽しいというより付いていくのがやっとでした(苦笑)。


倒れそうになりながら自宅に帰り着いたのですが、帰宅後に右小指が完全伸展しないことに気付きました。サンドバックを殴り過ぎて痛めたのでしょう。


整形外科医なので第5中手骨頚部に圧痛が無いことは確認したのですが、翌日になっても小指が完全伸展しません...。伸筋腱は切れて無さそうなので様子をみることにしました。


伸展制限はたかだか10度程度なのですが、この extension 
lagが非常に不便であることに気付きました。上手に字を書くことができないのです。


自宅1号の火災保険の所有者の住所変更届を書こうとして、幼稚園児のような署名になってしまい書き損じてしまいました。保険会社さんゴメンなさい。


これ以外にも顔を洗うときに、何故か水がこぼれて上手くできません。それ以外にも手指の細かい作業がしにくいです。キーボードを打つのも少々苦労します。


たかが10度程度の extension lagのために、ここまで生活が不便になるとは思っても居いませんでした。なるほど、伸筋腱断裂で腱移行術を受ける人の気持ちが分かります。


私の場合、おそらく手指内在筋の問題なのでしょうが、軽い障害(?)を負うことで、健康のありがたみと患者さんの不便さを体感しました。


それにしても指が完全しないことが、これほどまでに不便だとは...。





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異所性骨化による肘部管症候群

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先日、外傷性異所性骨化による肘部管症候群の患者さんの手術がありました。約2年前に肘関節部の外傷に併発した異所性骨化の治療を行っていたそうです。


しかし、家庭の事情で異所性骨化の治療が中断してしまったため、その後は放置となりました。そして、肘関節拘縮を少し残した状態で今日に至っています。


肘関節拘縮はそれほど高度ではないので、患者さん自身の不便さはさほどでは無かったようです。このため、異所性骨化の治療が中断してしまったのでしょう。


ところが、尺骨神経溝の中にまで異所性骨化が生じてしまったため、徐々に尺骨神経麻痺が進行しました。


初診時は典型的な鷲手変形をきたしていました。厳しい状況だったので大学の手外科の先生に相談したところ、さしあたって尺骨神経前方移行術で様子をみることになりました。


実際の術中所見としては、尺骨神経周囲に高度の癒着を認めました。初回手術としては見たことがないほどの癒着のしかたです。


特に尺骨神経の近位では上腕三頭筋の筋膜(?)の辺縁が高度に瘢痕化しており、尺骨神経をモロに圧迫していました。


異所性骨化の中を観察したのは初めてですが、通常の所見とかなり異なっていました。少しでも回復してくれたらいいなと思っています。




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大腿四頭筋の筋委縮

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大腿四頭筋の筋委縮は日常臨床でよくみる病態ですが、その原因を廃用性筋萎縮と考えていました。しかし、実際には廃用性筋萎縮だけではなくさまざまな原因があるそうです。


大腿四頭筋萎縮をきたす原因として下記の4つが挙げられます。これについては膝関節靱帯再建術のプロであるフリーランス医師の作り方 ブログ主先生に教えていただきました。


  1. 疼痛や不安定性により廃用性筋萎縮をきたす

  2. 関節の腫脹や疼痛には、大腿四頭筋の収縮を抑制するメカニズムがある

  3. 十字靭帯内に存在するセンサー(運動神経に繋がっているもの)が靱帯断裂によって破壊されることで大腿四頭筋の収縮が抑制される

  4. 前十字靱帯損傷では大腿四頭筋収縮が前方不安定性を惹起するため、大腿四頭筋に収縮抑制がかけられる



なるほど、廃用性筋萎縮以外にも原因があるのですね。正直言って②~④は存在さえ知りませんでした(苦笑)。


自分の不勉強さを反省するとともに、常識的(?)なことであっても親切に教えてくださったフリーランス医師の作り方 ブログ主先生、ありがとうございました!







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弾性ストッキングの禁忌

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先日、大腿骨転子部骨折の高齢者が入院しました。問診をとると、この方は重度の ASO を併発しており、1か月後に大腿部でバイパス手術を受ける予定だそうです。


他院の循環器内科医師から診療情報提供書を取り寄せると、直近の検査ではABIが 0.4しかありません。これは相当悪いな・・・


通常、大腿骨転子部骨折の周術期には深部静脈血栓症を予防するために、弾性ストッキングをルーチンで履いていただいています。


しかし、今回は重度の ASO を併発している方なので、病棟の看護師さんから本当に弾性ストッキングを 周術期に着用していいのか? という確認がありました。


最初、看護師さんからこの事を問われた時、私は特に何も考えることなく OK という返事をしていました。


しかし調べてみると、弾性ストッキングは今回のような動脈血行障害のある患者さんには禁忌となっているようです。


考えてみれば、弾性ストッキングで圧迫されると、もともと血行状態が良くない部位では、
動脈閉塞部より末梢の血流が極端に悪くなる可能性があります。危ないところでした・・・


その他の弾性ストッキングの禁忌もしくは慎重な使用が必要な傷病名としては、下記のようなものが挙げられます。


  • 動脈血行障害
  • 糖尿病
  • 急性期の深部静脈血栓症
  • うっ血性心不全


上記のうち、深部静脈血栓症は急性期のものや抗凝固療法を施行していない症例が禁忌になるそうです。なるほど勉強になりました。









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シャント側の手術は超危険!

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先日、透析患者さんが手関節の骨折で受診しました。
結構粉砕していたので普通に考えると手術適応です。


しかし、私は保存治療を選択しました。なぜなら骨折はシャント側だからです。シャント側に手術をすると、シャントが閉塞する可能性があるから保存治療にしたのでしょうか?


いいえ、それだけではありません。昔、シャント側の骨折治療で非常に苦い経験をしたからです。私がシャント側の上肢の外傷に身構えるのは下記の理由です。

  1.  骨癒合しにくい(創が治癒しにくい)
  2.  感染を併発しやすい


いずれも原因は血流障害のためです。もともと透析症例では血管が不良な状態ですが、これに加えてシャントのために、それより末梢への血流が低下しているからです。


このため、通常では考えられないことを併発しがちです。転位の大きな中手骨骨折に対して経皮的ピニングを施行したところ、あっという間に骨髄炎を併発したことがありました。


先手先手で治療をしましたが、それをも上回るスピードで状況が急速に悪化したため、冷や汗をかきました。ぎりぎりのところで切断は回避しましたが、本当に危ない状況でした。


シャント側より末梢の手術で一度感染を併発すると、シャントまで近いのでリカバリーが非常に難しくなります。


中手骨骨折に対する経皮的ピニングで、シャントも含めた上肢切断術に至ってしまうと目も当てられません。しかし、実際にそのようなことは起こりうるのが怖いところです。


とにかくシャントよりも末梢の外傷では、通常では考えられないことが発生しがちなので、かなり慎重になるべきだと思います。あ~、思い出すだけでも怖くなりました。。。







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