整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

外傷

頚動脈損傷は天井を見れば分かる?!

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先日、救急室から直電がありました。
自傷行為で頚部を包丁で切った!患者さんがいるのでヘルプとのことでした。


とんでもないことするな...と思って救急室に急行したのですが、まず救急室の天井を見上げました。しかし、天井には血液は付着していません。


以前、頚椎前方除圧固定術の際に、動脈を損傷して出血が止まらなくなったことがあります。泉のように血が湧き出てくるので、ヤバいと思って耳鼻科に応援依頼しました。


すぐに耳鼻科部長が応援に駆けつけてくれたのですが、手術室に入るなり天井を見上げて「大丈夫だな
」とおっしゃいました。



頚動脈本体を損傷した場合には、動脈圧が高いので天井まで血が吹き上がるのですが、天井は無傷(?)だったので、頚動脈損傷ではないという判断だったそうです。


その時はナルホドーという余裕も無かったのですが、後から思い返して得心したしだいです。今度は立場が逆になって、
その時の経験が今回の私の行動になりました。



派手にバックリと開いた傷でしたが、幸いにも小動脈の枝だったようで何とか止血して事なきを得ました。とりあえず、自傷行為で首を切るのは止めてもらいたいと切に思いました。







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腱板疎部損傷って何だ?

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腱板疎部ってご存知でしょうか?
名前はよく聞きますが、実際に腱板疎部損傷の患者さんを診たことはありませんでした。


30歳台で社会人野球をしている方が右肩関節周囲炎で受診されました。そりゃー、あなた四十肩でしょうと思いましたが、投球肩の可能性もあるので MRIを撮像しました。



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すると、腱板疎部に一致して高信号領域を認めます。ムム、これはわが生涯初めての腱板疎部損傷の患者さんではないのか...。


うるさく言う親への対応がメンドーなので、スポーツ整形外科は避けるようにしています。このため、腱板疎部損傷というメジャー(?)な疾患をほとんど認知していませんでした。


これまでは机上の知識だけだったので、このようにMRIで明確な腱板疎部損傷の患者さんを診るのは初めてです。


腱板疎部とは、棘上筋と肩甲下筋の間にある腱板の無いスペースです。この部分のみ関節包しか存在しません。その理由は近位に烏口突起があるためです。


腱板疎部の最も広い部分は烏口突起の横で、遠位にいくほど狭くなります。腱板疎部は関節包しかないので弱いと思いがちですが、腱板損傷が発生しないので意外と強い組織です。


よほどの外力が加わらないかぎり、関節包が断裂することはないからです。そうは言っても投球動作等の慢性的な機械刺激では、腱板疎部の関節包も炎症を併発します。


今回の症例では、そのような状態を捉えたのでしょう。腱板疎部炎と腱板疎部損傷の違いは便宜上のもので、両者はオーバーラップしているそうです。う~ん、奥が深い...。






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腱性マレットの治療体系

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先日、知人の腱性マレットを治療しました。この機会に、なかなか決定打の無い腱性マレットの治療法について勉強してみました。


勉強といっても、いつもお世話になっている大学の手外科の先生に教えていただいた耳学問です(笑)。まずマレット指で困るのは、DIPJの伸展障害だけではありません。


実際にDIPJの伸展障害で困るのは、ポケットに指を突っ込む時に引っ掛かる程度です。それよりも長期経過でスワンネック変形を併発することの方が重要です。


スワンネック変形を併発する理由は、central bandの機能不全のためにlateral bandが側方に落ち込んでいくためです。すぐにスワンネック変形をきたすわけではありません。


しかし、長期的にはスワンネック変形に移行する可能性が高いので、いつも以上に真剣に治療について考える必要があります。


そうは言っても腱性マレットの決定的治療は存在しません。大学の先生は、DIPJ過伸展+PIPJ屈曲で外固定4週→DIPJ伸展固定4週=計8週間がイチオシとおっしゃられていました。


しかし、24時間固定する必要があるので、なかなかハードルが高いです。次善の策として、DIPJ伸展位での経皮的固定術が選択されます。


今回も本治療を選択しましたが、cross pinnningを皮下に埋没させるのにやや苦労しました。普段は皮下埋没しないため、こんなに面倒な手技だとは思っていなかったのです。


高齢者の腱性マレットはそれほど珍しい外傷ではないですが、若年者では仕事との兼ね合いで治療が難しくなることがピットフォールだと思います。





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5ccのキシロカインを使い尽くす!

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先日、余った局所麻酔剤で洗浄すると合理的! という記事をご紹介しました。これは手術の話でしたが、救急外来でも応用できることに気付いたのでご紹介します。


手指先端を包丁で切創した方が救急外来を受診しました。たまたまヒマだった私が呼び出されたのですが、創はキレイで異物等は認めませんでした。


確認すると、ニンジンを切っていたそうです。創部の洗浄が必要か否かを迷うレベルの外傷です。そこで、まず指の基部に腱鞘内麻酔を施行しました。


使用したのは1% キシロカイン5ccのポリアンプルです。3ccほど腱鞘内注射しましたが、どう考えてもそれ以上は不要そうです。そこで余った2ccで創部を洗浄することにしました。


たった 2ccで創洗浄?と思う方もいるでしょうが、意外なほど 2ccは多かったです。腱鞘内麻酔で使用した皮内針のまま創部を洗浄しましたが、なかなか 2ccを使いきれません。


勢いよく皮内針で創内を洗浄すると、たった 2ccですが結構な量で洗浄した気分になります(笑)。しかも洗浄効果に加えて局所麻酔の効果まで見込めます。


おおっ、これは我ながらなかなか良いアイデアだ、とニヤニヤしながら縫合しました。傍からみると気持ち悪い光景だったかもしれませんね。






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小指の伸展障害がここまで不便だとは...

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先日、自宅近くのボクシングジムへ行ってきました。目的はダイエットです。どうにもお腹が出てきて困っていたのですが、楽しんで痩せるにはボクシングが一番かなと(笑)


徒歩30秒ぐらいのところにあるので軽い気持ちで行ったのですが、これが全然ラクではありません。1時間やったのですが、最後の方はふらついて立ってるのがやっとの状態でした。


ジムで黙々と筋トレするよりもボクシングの方が動きがあって楽しそうという理由でボクシングジムに行ったのですが、楽しいというより付いていくのがやっとでした(苦笑)。


倒れそうになりながら自宅に帰り着いたのですが、帰宅後に右小指が完全伸展しないことに気付きました。サンドバックを殴り過ぎて痛めたのでしょう。


整形外科医なので第5中手骨頚部に圧痛が無いことは確認したのですが、翌日になっても小指が完全伸展しません...。伸筋腱は切れて無さそうなので様子をみることにしました。


伸展制限はたかだか10度程度なのですが、この extension 
lagが非常に不便であることに気付きました。上手に字を書くことができないのです。


自宅1号の火災保険の所有者の住所変更届を書こうとして、幼稚園児のような署名になってしまい書き損じてしまいました。保険会社さんゴメンなさい。


これ以外にも顔を洗うときに、何故か水がこぼれて上手くできません。それ以外にも手指の細かい作業がしにくいです。キーボードを打つのも少々苦労します。


たかが10度程度の extension lagのために、ここまで生活が不便になるとは思っても居いませんでした。なるほど、伸筋腱断裂で腱移行術を受ける人の気持ちが分かります。


私の場合、おそらく手指内在筋の問題なのでしょうが、軽い障害(?)を負うことで、健康のありがたみと患者さんの不便さを体感しました。


それにしても指が完全しないことが、これほどまでに不便だとは...。





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