整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

上肢

異所性骨化による肘部管症候群

このエントリーをはてなブックマークに追加

先日、外傷性異所性骨化による肘部管症候群の患者さんの手術がありました。約2年前に肘関節部の外傷に併発した異所性骨化の治療を行っていたそうです。


しかし、家庭の事情で異所性骨化の治療が中断してしまったため、その後は放置となりました。そして、肘関節拘縮を少し残した状態で今日に至っています。


肘関節拘縮はそれほど高度ではないので、患者さん自身の不便さはさほどでは無かったようです。このため、異所性骨化の治療が中断してしまったのでしょう。


ところが、尺骨神経溝の中にまで異所性骨化が生じてしまったため、徐々に尺骨神経麻痺が進行しました。


初診時は典型的な鷲手変形をきたしていました。厳しい状況だったので大学の手外科の先生に相談したところ、さしあたって尺骨神経前方移行術で様子をみることになりました。


実際の術中所見としては、尺骨神経周囲に高度の癒着を認めました。初回手術としては見たことがないほどの癒着のしかたです。


特に尺骨神経の近位では上腕三頭筋の筋膜(?)の辺縁が高度に瘢痕化しており、尺骨神経をモロに圧迫していました。


異所性骨化の中を観察したのは初めてですが、通常の所見とかなり異なっていました。少しでも回復してくれたらいいなと思っています。




★★ 管理人お勧めの医学書 ★★
 


広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく実践的な医学書です。


 







前腕伸筋群起始部の石灰沈着性腱炎

このエントリーをはてなブックマークに追加

先日の外来で、またまた石灰沈着性腱炎の患者さんに遭遇しました!
今回は肘関節外側です。前腕伸筋群起始部の石灰沈着性腱炎ですね


666 - コピー




こんな感じで上腕骨外顆の外側に石灰沈着を認めます。上腕骨外顆部を中心にパンパンに腫れて発赤していました。しかし比較的境界明瞭なので蜂窩織炎とは少し異なります。


石灰沈着性腱炎は、本当に全身のいたるところに発生します。私が今まで経験した石灰沈着性腱炎は、下記のごとくです。





私の勤務しているような中規模病院でも頻回に発生するぐらいなので、やはり石灰沈着性腱炎は非常にメジャーな疾患なのかなと感じています。






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者が関節リウマチの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です

転位が大きな掌側板性裂離骨折の治療

このエントリーをはてなブックマークに追加

先日、環指および小指PIP関節脱臼の患者さんが受診しました。整復自体は容易だったのですが、残念ながら転位のある掌側板性裂離骨折をみとめました。


22 - コピー



掌側板性裂離骨折の転位がそこそこ大きいので治療方針で少し悩みましたが、bady buddy fixでテーピング固定しながら早期から自動での可動域訓練を開始することにしました。


PIP関節を軽度屈曲位として側面像を確認すると、裂離骨片がPIP関節内に嵌頓することは無さそうだったのが判断の決め手です。


手術を施行するとなると、掌側を展開して pull-out wireで内固定することになります。たしかに骨癒合は得られるでしょうが、その代償としてPIP関節の拘縮は必発です。


掌側板性裂離骨折が偽関節化しても、PIP関節の疼痛や関節不安定性はさほど残らないであろうとの予想で、今回は早期(受傷翌日)からの自動運動での可動域訓練を開始しました。


結果的には受傷後2週時点で早くも 2横指まで屈曲可能となりました。腫脹はあるものの疼痛はさほど無いようです。


症例による差はあると思いますが、掌側板性裂離骨折の転位が大きくても保存治療で問題無いという確信を抱きつつあります。






★★ 管理人お勧めの医学書 ★★
 


広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく実践的な医学書です。


 







陳旧性マレット骨折の治療で迷う

このエントリーをはてなブックマークに追加

先日、陳旧性マレット骨折の患者さんが初診されました。昨年末の忘年会で酔って転倒してから痛みが続いているとのことでした。


診察すると、確かに小指の DIP関節に軽度の腫脹を認めます。単純X線像では明らかなマレット骨折を併発しており、完全に偽関節化しています。


さて、今回の患者さんの主訴はごく軽度の DIP関節痛です。身体所見上、わずかにマレット変形をみとめますが、そのこと自体はさほど困っていないようです。


陳旧性なので偽関節部を展開する必要があるかもしれないことと、通常症例と比較して固定期間が長めになります。このため、DIP関節拘縮が必発となりそうです。


疼痛に関しては軽快傾向とのことで、よくよく問診すると実際に日常生活ではほとんど困っていないようです。困っていないが長引くので念のために受診したのが真相のようです。


画像所見が衝撃的(裂離骨片が偽関節化している)なので、整形外科医的な感覚では思わず手術したい気持ちになりますが、得られるメリットは多くないことに気付きました。


手術で得られるメリット・デメリットおよび長期的にはDIP関節のOAが進行する可能性が高いことを説明したところ、結局は保存治療を選択されました。


私が患者さんでも同じ選択をしたと思います。新鮮例ならもちろん手術ですが、陳旧例では治療効果のバランスを考えて治療方針を考えるのも一法かと思いました。





★★ 管理人お勧めの医学書 ★★
 


広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく実践的な医学書です。


 







上腕骨顆上骨折で内反肘変形の理由

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、小児の上腕骨顆上骨折がありました。小児の上腕骨顆上骨折の合併症として、周知のように内反肘変形があります。


小児の上腕骨顆上骨折=内反肘変形の危険性あり は、整形外科医の常識ですが、なぜ上腕骨顆上骨折後に内反肘変形をきたしやすくなるかについては、はっきりとしていません。


そこでいくつかの文献を読んでみて、小児の上腕骨顆上骨折後に内反肘変形をきたしやすい理由を調べてみました。


内反肘変形併発の原因は、どの文献も推測の範囲を超えていませんでしたが、やはり最もしっくりする理由は上腕骨末梢骨片の内反・内旋転位の遺残だと思います。



上腕骨末梢骨片に牽引力を加えることによって、内反・内旋転位は整復されます。しかし、牽引力を緩めると、徐々にですが内反・内旋転位が再発します。


この結果、不安定型の小児上腕骨顆上骨折の保存治療では、比較的高率に内反肘変形をきたしてしまうようです。


ある文献では、保存治療では肘を屈曲90°で外固定することも、内反肘変形をきたしやすくなる要因のひとつに挙げられていました。


その理由は、肘関節90°屈曲位にしていると、内反肘変形併発の有無を唯一正確に判断できる単純 X 線の正面像を撮影しにくいためとのことです。


小児の骨折なので、できるだけ侵襲を小さくしたい気持ちがあります。しかし、侵襲の小さな保存治療には、内反肘変形をきたしやすい要因があることに注意するべきでしょう。






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。








アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

医療研究を身近な存在とし、医療の未来を作る


管理人の著書

161228 【書影】医師の経済的自由
管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

管理人による m3.com 連載コラム
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル

医師のための築古木造戸建投資マニュアル 1
REITで実践する不動産投資セミナー
190122
医師のための 金融資産形成術


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール

自由気ままな整形外科医

・医学博士
・日本整形外科学会専門医
・日本リウマチ学会専門医
・不動産投資家
・超長期金融資産投資家
・ビジネスオーナー
・宅地建物取引主任士

QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。