整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

上肢

MP関節ロッキングの診断方法

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先日、示指がいきなり伸びなくなったという主訴の患者さんが初診されました。診察すると、確かに示指のMP/PIP/DIPが屈曲したまま、動かなくなっています。


以前、MP関節ロッキングを治療したことを思い出しました。アレもたしか、示指だったような・・・。MP関節ロッキングとばね指のロッキングは似て非なる病態です。


とりあえず、スマホで過去に自分の書いたブログ記事にアクセスして概要をおさらいしました。結論的には、今回はMP関節ロッキングではなく、ばね指のロッキングでした。。。


MP関節ロッキングではMP関節が完全伸展が不能ですが、PIP関節およびDIP関節には可動域制限がありませんでした。


一方、バネ指によるロッキングの場合には、屈筋腱がA1 pullyで固定されるので、PIP関節、DIP関節とも動かせないです。


「バネ指によるロッキング」という診断がついたので、腱鞘内注射を施行しました。5分ほどして示指を伸展しようとしましたが、なかなか伸展しません。


エイヤッ!と伸ばすと、ゴクッという大きな音とともに示指が伸展するようになりました。いや~、心臓に悪いです。とりあえず、患者さんには腱鞘切開術を勧めておきました。


MP関節ロッキングとばね指によるロッキングの鑑別は、PIP関節やDIP関節が動くか否かで判断することがポイントです。珍しい病態ではないので覚えておいて損はないでしょう。




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肘関節脱臼で靭帯はどうなっている?

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先日、肘関節脱臼の患者さんが初診されました。他院で徒手整復および固定を施行されていますが、徒手整復後の単純X線像で関節内に小骨片を認めました。



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念のためにMRIを施行しました。結果は上の画像です。はっきりとした骨軟骨損傷は認めなかったため、外側側副靭帯起始部の裂離骨片だと診断しました。


何気なく眺めていると、ふと内側側副靭帯(MCL)や外側側副靭帯(LCL)が損傷していることに気付きました。肘関節脱臼後のMRIなので、考えてみれば当たり前です。


でも本当にそうでしょうか? 肘関節脱臼は、O'Driscollの報告以来、肘関節の後外側回旋不安定性と関連して認識されるようになりました。


O'Driscollの説では、①外側側副靭帯が断裂 ②前方および後方関節包断裂 ③内側側副靭帯が断裂 ④肘関節脱臼 という受傷機転です。


このためO'Driscollの説では、肘関節脱臼には外側側副靭帯損傷と内側側副靭帯損傷が必発です。ただし実際の臨床では、肘関節脱臼=内側側副靭帯損傷か否かは明らかではありません。


このため、肘関節脱臼の際に、内側側副靭帯損傷はどうなっているのだろう? という疑問がわたしにはずっとありました。それに対する回答が今回のMRIにありました。


もちろん、n=1なので今回の認識が一般的なのか否かは判定できません。しかし、曲がりなりにもO'Driscollの説を支持する画像所見だったので、私もそういう認識でいようと思います。




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非開放性ボタンホール変形の治療

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先日、アメフト部の学生が、中指のボタンホール変形で初診しました。3ヵ月ほど前の練習中に中指を突き指したそうです。


そのまま放置していたところ、徐々にPIP関節が曲がってしまったので思い切って受診したとのことでした。診察すると、既にPIP関節に屈曲拘縮を併発しています。


開放性の伸筋腱中央索損傷が原因であるボタンホール変形では、手術治療が第一選択です。しかし、非開放性の伸筋腱中央索皮下断裂症例では、保存治療を選択することが多いです。


今回の症例の場合、既にPIP関節の屈曲拘縮を併発しているので、まずはPIP関節の拘縮を改善する必要があります。その後に、PIP関節を伸展位に固定するスプリントを常用します。


装着期間は4週程度でOKという文献が多いですが、その程度の期間では少し不安を感じます。腱性マレットに準じて8週間ほど固定した方が安心な印象です。


しかし、今回の症例は既に拘縮をきたしていることから考えても、保存治療ではなく手術治療も検討するべきかもしれません。ボタンホール変形に対する手術法はたくさんあります。


最も有名なのはMatev法です。Matev法では、両側の側索を段違いで切離して、短い一方を中央索に移行し,長い一方を交叉して他方の側索の末梢に縫合して終末腱を延長します。


このように、非開放性のボタンホール変形は伸筋腱中央索の皮下断裂であるため、開放性のボタンホール変形と少し治療方針が異なるので注意が必要だと思います。




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断端神経腫にはナーブリッジも

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先日、神経再生誘導チューブであるナーブリッジ™ の説明会がありました。ナーブリッジは、外傷により断裂・欠損した末梢神経の再生を促進させる日本初の治療用医療機器です。



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ナーブリッジは、断裂・欠損した末梢神経の欠損部分へ挿入・固定することで、中枢側から再生・伸長する自己神経を、末梢側へ誘導する機能を持っています。


以前にもブログでご紹介しましたが、
手技自体は難しくなく、8-0 ナイロンでナーブリッジと神経を3~4ヶ所縫合するだけです。ナーブリッジの注意点は下記の3つです。


  1. 手関節より末梢の知覚神経に適応を絞る
  2. 運動神経には使用しない。
  3. 断端神経腫も良い適応


特に③の効果はかなり見込めるので、断端神経腫による疼痛で悩まされている患者さんに、ナーブリッジはお勧めだと思います。




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尺骨遠位端骨折のフックプレート

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先日、橈尺骨遠位端骨折に対して骨折観血的手術を施行しました。下図のように、橈骨・尺骨とも非常に不安定性が強かったので、尺骨にも骨接合術を計画しました。



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尺骨に使用する内固定材料のひとつとして、フックプレートがあります。今回使用したのは、HOYAが販売しているStellar 2のフックプレートです。


このプレートはロッキングですが、遠位部がフックになっていることが特徴です。橈骨遠位端骨折用のStellar 2のオプションとしての位置づけですが、こちらの方が有用です(笑)。



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かなり粉砕した粗鬆骨だったので固定性が心配でしたが、さすがフックプレートだけあって、尺骨遠位端に関しても比較的しっかりした固定を得ることができました。


手術手技も非常に簡便で、ガイド越しに仮固定用のK-wireを刺入するだけで、あっという間に内固定が終了しました。コストパフォーマンスの高い手術だという印象です。


今回の症例のように、尺骨の遠位で骨折していて不安定性が高い場合には、フックプレートを使用することも、治療の選択肢のひとつではないかと感じました。




 
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