整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

上肢

シャント側の手術は超危険!

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先日、透析患者さんが手関節の骨折で受診しました。
結構粉砕していたので普通に考えると手術適応です。


しかし、私は保存治療を選択しました。なぜなら骨折はシャント側だからです。シャント側に手術をすると、シャントが閉塞する可能性があるから保存治療にしたのでしょうか?


いいえ、それだけではありません。昔、シャント側の骨折治療で非常に苦い経験をしたからです。私がシャント側の上肢の外傷に身構えるのは下記の理由です。

  1.  骨癒合しにくい(創が治癒しにくい)
  2.  感染を併発しやすい


いずれも原因は血流障害のためです。もともと透析症例では血管が不良な状態ですが、これに加えてシャントのために、それより末梢への血流が低下しているからです。


このため、通常では考えられないことを併発しがちです。転位の大きな中手骨骨折に対して経皮的ピニングを施行したところ、あっという間に骨髄炎を併発したことがありました。


先手先手で治療をしましたが、それをも上回るスピードで状況が急速に悪化したため、冷や汗をかきました。ぎりぎりのところで切断は回避しましたが、本当に危ない状況でした。


シャント側より末梢の手術で一度感染を併発すると、シャントまで近いのでリカバリーが非常に難しくなります。


中手骨骨折に対する経皮的ピニングで、シャントも含めた上肢切断術に至ってしまうと目も当てられません。しかし、実際にそのようなことは起こりうるのが怖いところです。


とにかくシャントよりも末梢の外傷では、通常では考えられないことが発生しがちなので、かなり慎重になるべきだと思います。あ~、思い出すだけでも怖くなりました。。。







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手外科領域の縫合はユルユルで!

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先日、手の外傷の手術がありました。
今回の症例は、軟部組織の状態が芳しくありません。


外傷後であり、組織が瘢痕化しているためです。がんばったら閉創できそうなのですが、かなりパツンパツンの状態です。


関節外科的な考えではできるだけ創を閉鎖しておきたいところです。このため、無理やり創部を縫合しようと考えました。


しかし、手術の監督をしてもらっていた手の外科の先生がおっしゃられるには、手の外科領域においては無理な閉創は好ましくないとのことでした。


バイトを大きく取って無理やり縫合しにいっても、皮下組織の循環が悪くなるだけなので結局創が哆開してしまうそうです。


このようなケースでは、気長に肉芽形成から瘢痕治癒することを待つことも一法だとおっしゃられていました。う~ん、なるほどですね。


手の外科領域においては創傷治癒過程がその他の部位と少し異なる印象を受けます。今回の症例では一期的閉創にこだわることなく、気長に瘢痕治癒を待とうと考えています。






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難治性(?)テニス肘の治療

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先日、上腕骨外上顆炎(テニス肘)の患者さんが初診されました。
上腕骨外上顆炎の患者さんなど、まったく珍しくはありません。


しかし、この方は近隣の開業医で、すでに3か月で3回のステロイド注射を施行されていました。それにもかかわらず、症状が3カ月も続いているとのことです。。。


上腕骨外上顆炎では症状を慢性化させない配慮が必要です。この方は、テニス肘バンド装着、消炎鎮痛剤が無効とのことでした。う~ん、困った。


既に複数回のステロイド注射を施行しているため、これ以上は難しそうです。多数回のステロイド注射は、上腕骨外上顆炎を慢性化させて難治化する危険性があるからです。


短橈側手根伸筋(extensor carpi radialis brevis:ECRB)起始部の瘢痕組織を切除するNirschl法を選択せざるを得ないのか???


ひとしきり困ったなぁと考えこんでいると、ふと患者さんの治療に対する前向きな気持ちをイマイチ感じないことに気付きました。


もう一度確認すると、処方してもらったはずのテニス肘バンドは、ほとんど装着しないまま捨ててしまい、消炎鎮痛剤も服用していなかったようです。


もしかしたら、基本的なところが抜けているのかもしれない・・・さしあたって、下記の生活指導を行ってみました。

  • 強い握り動作を避ける
  • 重い物を持つときは前腕回外位にする
  • 前腕伸側のストレッチ


結局ダメかもしれませんが、治療に対するコンプライアンスが極度に不足している印象です。速効性のある治療に頼らずに、まずは地道な治療を進めていこうと思いました。





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手は人間のラジエーター?!

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先日、大学で手の外科を主催している同門の先生から興味深いお話をお伺いしました。その日は手の外科領域で困っている症例の手術があったので、監督してもらっていました。


手術後の雑談で、手というのは体の中でもかなり血流の多い部位のひとつであるとおっしゃられたのです。単位面積当たりの毛細血管の量が他の部位と比べて多いです。


このため、手の創傷治癒過程は、他の部位と比べて明らかに異なるそうです。手の外傷に関しては、多少外傷の程度が厳しくても、すごい勢いで治癒することが多いとのことでした。


これも単位面積当たりの血流の豊富さのなせる業です。単位積当たりの血流量が多いので、熱中症の際には両手を15分ほど、冷水で冷却するだけでも相当解熱します。



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ラジエーターの構造 ©青木 隆



このようなことから、手の外科の先生は「手は人間のラジエーターのようなものだ」とおっしゃられていました。人間の手はラジエーター。。。なるほど、的を得た表現ですね!







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野球肘 tangental viewのひと工夫

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先日、内側型の野球肘の患者さんを診察しました。上腕骨内上顆の病変を確認するためには、ご存知のように通常の肘関節正面像は不適当です。下図のように何も所見ありません。



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ところが、肘関節屈曲45度のいわゆる tangental viewでは、しっかりと上腕骨内上顆の裂離骨片(もしくは骨化障害)が描出されます。



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どこの施設でも野球肘では tangental viewが定番です。しかし、ある放射線技師さんから、tangental view撮影時に回外方向に捻ると、更に描出されることを教えてもらいました。



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こんな感じです。今回の症例に関しては通常の tangental view でも問題ないですが、前腕海外方向に捻って撮影した方がはっきりと上腕骨内上顆が描出されます。


野球肘を疑って tangental view を依頼するときには、前腕をやや回外方向に捻って撮影することを放射線技師さんに伝えておくとよいかもしれませんね。







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豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です








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