整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

上肢

上腕骨顆上骨折で内反肘変形の理由

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先日、小児の上腕骨顆上骨折がありました。小児の上腕骨顆上骨折の合併症として、周知のように内反肘変形があります。


小児の上腕骨顆上骨折=内反肘変形の危険性あり は、整形外科医の常識ですが、なぜ上腕骨顆上骨折後に内反肘変形をきたしやすくなるかについては、はっきりとしていません。


そこでいくつかの文献を読んでみて、小児の上腕骨顆上骨折後に内反肘変形をきたしやすい理由を調べてみました。


内反肘変形併発の原因は、どの文献も推測の範囲を超えていませんでしたが、やはり最もしっくりする理由は上腕骨末梢骨片の内反・内旋転位の遺残だと思います。



上腕骨末梢骨片に牽引力を加えることによって、内反・内旋転位は整復されます。しかし、牽引力を緩めると、徐々にですが内反・内旋転位が再発します。


この結果、不安定型の小児上腕骨顆上骨折の保存治療では、比較的高率に内反肘変形をきたしてしまうようです。


ある文献では、保存治療では肘を屈曲90°で外固定することも、内反肘変形をきたしやすくなる要因のひとつに挙げられていました。


その理由は、肘関節90°屈曲位にしていると、内反肘変形併発の有無を唯一正確に判断できる単純 X 線の正面像を撮影しにくいためとのことです。


小児の骨折なので、できるだけ侵襲を小さくしたい気持ちがあります。しかし、侵襲の小さな保存治療には、内反肘変形をきたしやすい要因があることに注意するべきでしょう。






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橈骨遠位端骨折は左側に多い?!

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先日、
左側の橈骨遠位端骨折の手術がありました。
いつものように掌側プレートを用いて手術をしたのですが、アレっ?と思いました。



今回もまた左側の手術か。。。何となく違和感があったので手術記録を見返してみると、なぜか左側が多いことに気付きました。


世の中には右利きが多いので、利き手の手術が多くなるような先入観がありました。しかし実際に自分が執刀した症例の手術記録を見ると、圧倒的に左側が多いのです。


おかしいな~と思って機械メーカーの方に確認すると、そのメーターにおいても過去10年間のデータでは、おおよそ右側:左側= 3:7 程度であるとのことでした。


この返事には驚きました。どうやら橈骨遠位端骨折には左側が多いということは、全国的な傾向のようです。それにしても、なぜ橈骨遠位端骨折は左側が多いのでしょう?


右側が利き手の人が多いので、転倒する際に思わず右手をついてしまいそうなものです。いくら考えても左側が多い理由が分かりません。どうしてなのでしょうね・・・






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シャント側の手術は超危険!

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先日、透析患者さんが手関節の骨折で受診しました。
結構粉砕していたので普通に考えると手術適応です。


しかし、私は保存治療を選択しました。なぜなら骨折はシャント側だからです。シャント側に手術をすると、シャントが閉塞する可能性があるから保存治療にしたのでしょうか?


いいえ、それだけではありません。昔、シャント側の骨折治療で非常に苦い経験をしたからです。私がシャント側の上肢の外傷に身構えるのは下記の理由です。

  1.  骨癒合しにくい(創が治癒しにくい)
  2.  感染を併発しやすい


いずれも原因は血流障害のためです。もともと透析症例では血管が不良な状態ですが、これに加えてシャントのために、それより末梢への血流が低下しているからです。


このため、通常では考えられないことを併発しがちです。転位の大きな中手骨骨折に対して経皮的ピニングを施行したところ、あっという間に骨髄炎を併発したことがありました。


先手先手で治療をしましたが、それをも上回るスピードで状況が急速に悪化したため、冷や汗をかきました。ぎりぎりのところで切断は回避しましたが、本当に危ない状況でした。


シャント側より末梢の手術で一度感染を併発すると、シャントまで近いのでリカバリーが非常に難しくなります。


中手骨骨折に対する経皮的ピニングで、シャントも含めた上肢切断術に至ってしまうと目も当てられません。しかし、実際にそのようなことは起こりうるのが怖いところです。


とにかくシャントよりも末梢の外傷では、通常では考えられないことが発生しがちなので、かなり慎重になるべきだと思います。あ~、思い出すだけでも怖くなりました。。。







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手外科領域の縫合はユルユルで!

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先日、手の外傷の手術がありました。
今回の症例は、軟部組織の状態が芳しくありません。


外傷後であり、組織が瘢痕化しているためです。がんばったら閉創できそうなのですが、かなりパツンパツンの状態です。


関節外科的な考えではできるだけ創を閉鎖しておきたいところです。このため、無理やり創部を縫合しようと考えました。


しかし、手術の監督をしてもらっていた手の外科の先生がおっしゃられるには、手の外科領域においては無理な閉創は好ましくないとのことでした。


バイトを大きく取って無理やり縫合しにいっても、皮下組織の循環が悪くなるだけなので結局創が哆開してしまうそうです。


このようなケースでは、気長に肉芽形成から瘢痕治癒することを待つことも一法だとおっしゃられていました。う~ん、なるほどですね。


手の外科領域においては創傷治癒過程がその他の部位と少し異なる印象を受けます。今回の症例では一期的閉創にこだわることなく、気長に瘢痕治癒を待とうと考えています。






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難治性(?)テニス肘の治療

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先日、上腕骨外上顆炎(テニス肘)の患者さんが初診されました。
上腕骨外上顆炎の患者さんなど、まったく珍しくはありません。


しかし、この方は近隣の開業医で、すでに3か月で3回のステロイド注射を施行されていました。それにもかかわらず、症状が3カ月も続いているとのことです。。。


上腕骨外上顆炎では症状を慢性化させない配慮が必要です。この方は、テニス肘バンド装着、消炎鎮痛剤が無効とのことでした。う~ん、困った。


既に複数回のステロイド注射を施行しているため、これ以上は難しそうです。多数回のステロイド注射は、上腕骨外上顆炎を慢性化させて難治化する危険性があるからです。


短橈側手根伸筋(extensor carpi radialis brevis:ECRB)起始部の瘢痕組織を切除するNirschl法を選択せざるを得ないのか???


ひとしきり困ったなぁと考えこんでいると、ふと患者さんの治療に対する前向きな気持ちをイマイチ感じないことに気付きました。


もう一度確認すると、処方してもらったはずのテニス肘バンドは、ほとんど装着しないまま捨ててしまい、消炎鎮痛剤も服用していなかったようです。


もしかしたら、基本的なところが抜けているのかもしれない・・・さしあたって、下記の生活指導を行ってみました。

  • 強い握り動作を避ける
  • 重い物を持つときは前腕回外位にする
  • 前腕伸側のストレッチ


結局ダメかもしれませんが、治療に対するコンプライアンスが極度に不足している印象です。速効性のある治療に頼らずに、まずは地道な治療を進めていこうと思いました。





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