整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

上肢

外傷性TFCC損傷を放置するとどうなる?

このエントリーをはてなブックマークに追加

先日、外傷性 TFCC損傷で保存療法を選択した場合、長期的にはどうなるのかを質問される機会がありました。


私自身は手の外科医ではないため、TFCC損傷の手術療法を選択する機会はありません。鏡視下手術も尺骨短縮骨切り術も、非専門医が施行するのはハードルが高い印象です。


このため、3ヵ月ほど保存的に様子をみて、ダメそうであればあっさりと白旗をあげて手の外科医に紹介します。


場末病院の実臨床では全然問題ないフローチャートなのですが、ときどき疼痛が持続するものの手術療法を拒否する患者さんに対して説明する必要性があります。


ところが、外傷性TFCC損傷の自然経過を概説した教科書や論文を見つけることができません...。かなり渉猟したのですが、ズバリ回答している論文がなかったのです。


TFCC損傷では、遠位橈尺関節(DRUJ)の不安定性を併発します。ここまでは整形外科医の常識と言ってよいでしょう。


疼痛が残存する外傷性TFCC損傷を放置することは、DRUJの不安定性が持続することを意味します。その結果考えられることは、DRUJのOAが進行することです。


普通に考えたら、外傷性TFCC損傷の放置例はこのような臨床経過をたどる可能性が高そうですが、実際にはどうなのでしょう???







★★ 管理人お勧めの医学書 ★★
 


広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく実践的な医学書です。


 







JuggerKnot挿入のコツ

このエントリーをはてなブックマークに追加

先日、肘関節脱臼骨折の手術がありました。尺骨鈎状突起の小さな裂離骨片があり、外側不安定性も高度であったため、関節包および靭帯修復が必要な症例です。


このような軟部組織同士を縫合することが難しい症例では、ジンマーバイオメット社製の JuggerKnotを使用する先生が多いと思います。


2223



JuggerKnotの挿入手技は単純ですが、意外と術中に苦労することがあります。最も多いのは、ドリリングした穴に JuggerKnotが入らないことです。


この事態を回避するためには、ドリリング直後に目を離さずに JuggerKnotを挿入することに加えて、ドリリング前に軟部組織を切除して骨を確実に展開しておくことだと思います。


ドリリングする周囲に軟部組織があると、JuggerKnotの挿入部位や挿入角度を間違えてしまい、先端が曲がって使用不能になりがちです。


JuggerKnotのドリリング時には母床となる骨組織は完全に展開しておくことが、スムーズな挿入のコツではないかと思います。





★★ 管理人お勧めの医学書 ★★
 


広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく実践的な医学書です。


 







高齢者の尺骨茎状突起骨折

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、橈骨遠位端骨折の手術がありました。
お約束のように尺骨茎状突起骨折も併発しています。


ただ、今回は尺骨突起の骨片は尺骨窩中央まで達しているので、尺骨茎状突起骨片も骨接合するべきか否かで少し迷いました。


そこで、いつもお世話になっている大学の手外科の先生に治療方針についてお伺いしました。尺骨茎状突起そのものにはTFCCの三角靭帯は停止していません。


三角靭帯の停止部は、周知のように尺骨窩です。このため、単なる尺骨茎状突起骨折だけであれば、若年者を除いて骨接合することは無いそうです。


尺骨茎状突起骨折を併発しているということは、遠位橈尺関節が亜脱臼している状態ともとれます。通常は橈骨を整復すると遠位橈尺関節も整復されるので問題無いのでしょう。


一方、尺骨茎状突起骨折のある橈骨遠位端骨折では、高率にTFCC損傷を併発しています。しかし、一期的にTFCC損傷を修復する選択肢は採りがたいのが現実です。


このため、仮にTFCC損傷を併発していて回内外時痛が残存すれば、2期的にTFCC損傷の治療を行えば良いことになります。


このように考えると、高齢者の尺骨茎状突起骨折であれば基本的に無視しても大きな問題はなさそうです。


ちなみにですが、尺骨茎状突起骨折ではなく尺骨遠位端骨折では、不安定性が強いため鋼線刺入や鋼線締結法を行う必要があるとのことでした。






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。








手根管症候群の超音波所見

このエントリーをはてなブックマークに追加

Monthly Orthopaedics Vol.33(4) 手根管症候群の治療トピックス特集の2つめの話題です。前回は、手根管症候群は神経周囲結合織の瘢痕化が原因というお題でした。


この知識を念頭に置いた上で、富山大学の長田龍介先生の「手根管症候群の超音波診断」を興味深く拝読しました。下記の4点が私にとってのTIPSでした。


  • 手関節皮線直上部の横断像で、正常例では正中神経の径は細く、honeycomb patternとなる
  • 特発性CTSでは正中神経の径が太く、内部がほぼ均一に低エコー像となる
  • 指の自動運動に伴い、正中神経は橈側 → 尺側に移動する
  • 特発性CTSでは指の自動運動での正中神経の移動量が減少する


実臨床では、正中神経所見の客観性担保と動態の記録が困難なので、超音波検査が神経伝導速度検査等に代替するのは困難と思われます。


しかし、特発性CTSの病態(結合組織の繊維化)を理解する上では、今回の正中神経の超音波を利用した研究は有用だと感じました。






★★ 管理人お勧めの医学書 ★★
 


広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく実践的な医学書です。


 







手根管症候群は結合織瘢痕化が原因!

このエントリーをはてなブックマークに追加

先日、Monthly Orthopaedics Vol.33(4) をパラパラ眺めていました。手根管症候群の治療トピックスという特集でした。古くて新しい疾患ですね。


札幌医科大学の射場浩介先生の「手根管症候群の病態と結合組織の繊維化」を興味深く拝読しました。恥ずかしながら、私は手根管症候群の病態を勘違いしていたようです。


周知のように手根管症候群は、手根管内圧の上昇が発症原因と考えられていますが、その病態のひとつとして、結合組織の繊維化が関与しているそうです。


私は、手指屈筋腱群の滑膜炎が原因となって、手根管内圧が上昇して発症すると考えていました。単純化すると、ばね指の手根管版ですね。


ところが、今回の射場先生の論文を拝読してその考えが間違っていることに気付きました。手根管症候群は単純な滑膜炎ではなく、炎症の結果として神経周囲結合織が瘢痕化します。


この神経周囲結合織の瘢痕化が手根管内圧の上昇の原因になるとのことでした。そうであれば、手根管症候群は不可逆的な病態のことが多いことになります。


う~ん、私は手根管症候群を少し甘くみていたようです。もちろん、過負荷による一過性の手根管症候群もありますが、一般的には進行性のようです。


これからは、手根管症候群=滑膜炎ではなく、手根管症候群=
神経周囲結合織の瘢痕化と考えて治療していこうと思います。





★★ 医学知見探求サービス ★★


医学知見を医師ユーザー同士で発信・共有するコミュ二ティに参加しませんか? 

quotomy - コピー


「医師と医学知見との出会いを再定義する」 Quotomy(クオトミー)は、臨床現場で働いていると個人で医学知見をキャッチアップすることが難しい、という臨床医の切実な痛みから誕生しました。


忙しい日常の中で、医学知見を得たり、発信したりすることが難しくなっています。 時間的・地理的制約のために、学会や勉強会への参加もできない環境で働く医師もいます。


知への探求を諦めていませんか?


抄読会をする感覚で、Quotomyで論文を読んだ感想や気づきをシェアしましょう! お気に入りのユーザー同士はフォローでき、お互いのアクションを確認できます。


Quotomyは現在ユーザー登録受付中です!
登録は こちら からお願いします。



アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

医療研究を身近な存在とし、医療の未来を作る


管理人の著書

161228 【書影】医師の経済的自由
管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

管理人による m3.com 連載コラム
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル

医師のための築古木造戸建投資マニュアル 1
REITで実践する不動産投資セミナー
190122
医師のための 金融資産形成術


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール

自由気ままな整形外科医

・医学博士
・日本整形外科学会専門医
・日本リウマチ学会専門医
・不動産投資家
・超長期金融資産投資家
・ビジネスオーナー
・宅地建物取引主任士

QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。