整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

上肢

腱性マレットの治療体系

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先日、知人の腱性マレットを治療しました。この機会に、なかなか決定打の無い腱性マレットの治療法について勉強してみました。


勉強といっても、いつもお世話になっている大学の手外科の先生に教えていただいた耳学問です(笑)。まずマレット指で困るのは、DIPJの伸展障害だけではありません。


実際にDIPJの伸展障害で困るのは、ポケットに指を突っ込む時に引っ掛かる程度です。それよりも長期経過でスワンネック変形を併発することの方が重要です。


スワンネック変形を併発する理由は、central bandの機能不全のためにlateral bandが側方に落ち込んでいくためです。すぐにスワンネック変形をきたすわけではありません。


しかし、長期的にはスワンネック変形に移行する可能性が高いので、いつも以上に真剣に治療について考える必要があります。


そうは言っても腱性マレットの決定的治療は存在しません。大学の先生は、DIPJ過伸展+PIPJ屈曲で外固定4週→DIPJ伸展固定4週=計8週間がイチオシとおっしゃられていました。


しかし、24時間固定する必要があるので、なかなかハードルが高いです。次善の策として、DIPJ伸展位での経皮的固定術が選択されます。


今回も本治療を選択しましたが、cross pinnningを皮下に埋没させるのにやや苦労しました。普段は皮下埋没しないため、こんなに面倒な手技だとは思っていなかったのです。


高齢者の腱性マレットはそれほど珍しい外傷ではないですが、若年者では仕事との兼ね合いで治療が難しくなることがピットフォールだと思います。





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舟状骨背側アプローチの注意点

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先日、舟状骨骨折に対してDTJ screwを用いて骨折観血的手術を施行しました。アプローチはいつもどおり背側です。ちなみに舟状骨の背側アプローチはこちらでご紹介しています。


DTJ screwの手技書には計測より 2mm短い screwを選択すると記載されています。しかし、2mmでは長くなりがちなので 4mmの方が望ましいと思います。


しかし、今回は 4mmでも長かったので検討してみました。まず、いつものごとく手関節を掌屈して舟状骨を丸くします。エントリーポイントは円の中央です。



1 - コピー



このままズドンと垂直方向にガイドワイヤーを刺入しました。舟状骨正面を確認しても骨内の位置は問題なさそうです。しかし、 screwを骨内に埋没させるためには注意が必要です。



2 - コピー



それは、エントリーポイントが斜めになっていることです。このため、screwを完全に骨内に埋没させるためには、4mmよりも更に短く 6mmほど短くする必要があります。


もしくはエントリーポイントを円の中央ではなく尺側に寄せることが必要です。screwを最長化するには、計測で調整するよりエントリーポイントを尺側に寄せる方が望ましいです。







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手指骨髄炎は最後まで保存治療も一法?

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最近は日本の社会が豊かになったため、昔ほど骨髄炎は一般的ではなくなりました。もちろん、人工関節置換術後感染や化膿性脊椎炎は一定数ありますが、四肢骨髄炎は少ないです。


そんな中でも、手指や足趾の末節骨骨髄炎は比較的多い印象です。これらの骨は体表に近いため、容易に細菌に曝露されやすいのが原因でしょう。


さて、これらの患者さんが受診するころには、結構な頻度で末節骨の骨融解が進行しています。局所的にも腫脹・発赤が著明で痛そうです。


医師側もこれらの所見をみると少々焦って「早期に手術が必要かな?」と考えます。しかし、発症からある程度時間が経過していると骨融解がかなり進行している症例が多いです。


このように骨融解がかなり進行した症例では、そのまま抗生剤を投与して感染をある程度コントロールしながら経過観察するのも一法ではないかと思います。


骨髄炎が難治性なので腐骨化して血流や抗生剤が感染巣に届かないことが原因です。しかし、骨融解して骨が無くなると局所の血流が改善して抗生剤も届きやすくなります。


こうなると、保存的に自然治癒する確率が上昇します。さすがに長管骨ではすべての骨が融解することはなさそうですが、手指や足趾の末節骨に関しては十分にあり得る話です。


手指や足趾の末節骨骨髄炎で初診時にかなり骨融解が進行している症例では、そのまますべての骨が無くなるまで抗生剤投与しつつ経過観察を行うのも一法ではないでしょうか。





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小指の伸展障害がここまで不便だとは...

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先日、自宅近くのボクシングジムへ行ってきました。目的はダイエットです。どうにもお腹が出てきて困っていたのですが、楽しんで痩せるにはボクシングが一番かなと(笑)


徒歩30秒ぐらいのところにあるので軽い気持ちで行ったのですが、これが全然ラクではありません。1時間やったのですが、最後の方はふらついて立ってるのがやっとの状態でした。


ジムで黙々と筋トレするよりもボクシングの方が動きがあって楽しそうという理由でボクシングジムに行ったのですが、楽しいというより付いていくのがやっとでした(苦笑)。


倒れそうになりながら自宅に帰り着いたのですが、帰宅後に右小指が完全伸展しないことに気付きました。サンドバックを殴り過ぎて痛めたのでしょう。


整形外科医なので第5中手骨頚部に圧痛が無いことは確認したのですが、翌日になっても小指が完全伸展しません...。伸筋腱は切れて無さそうなので様子をみることにしました。


伸展制限はたかだか10度程度なのですが、この extension 
lagが非常に不便であることに気付きました。上手に字を書くことができないのです。


自宅1号の火災保険の所有者の住所変更届を書こうとして、幼稚園児のような署名になってしまい書き損じてしまいました。保険会社さんゴメンなさい。


これ以外にも顔を洗うときに、何故か水がこぼれて上手くできません。それ以外にも手指の細かい作業がしにくいです。キーボードを打つのも少々苦労します。


たかが10度程度の extension lagのために、ここまで生活が不便になるとは思っても居いませんでした。なるほど、伸筋腱断裂で腱移行術を受ける人の気持ちが分かります。


私の場合、おそらく手指内在筋の問題なのでしょうが、軽い障害(?)を負うことで、健康のありがたみと患者さんの不便さを体感しました。


それにしても指が完全しないことが、これほどまでに不便だとは...。





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局所麻酔をうまく効かすコツ

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先日の Wide awake hand surgery (WAHS)の実践編です。WAHSを効果的に実施するには局所麻酔の手技が欠かせません。Monthly Orthopaedicsに詳述されていたので記載します。


  • 穿刺の痛みを小さくするために、26~27 G針を使用する
  • 穿刺部位を少なくするために1か所から角度を変えて麻酔薬を注射する
  • 広範に麻酔を効かせるためには、麻酔が効いた部位から新たな針を刺入する


解剖学的には末梢神経は近位から遠位に走行するので近位を麻酔すれば遠位もある程度は麻酔されます。また、指尖が最も鋭敏なので、この部分への直接麻酔は避けましょう。


皮膚表面が最も鋭敏で、皮下、筋膜、筋は鈍感です。このため、局所麻酔は皮膚表面の痛覚を消すことが目的と言っても過言ではありません。


手根管開放術では、まず皮膚直下に局所麻酔剤を注射します。表面に麻酔が効いた後に皮下深部へ数mlの追加麻酔をします。


横手根靭帯を切離する前に手根管内に局麻剤を散布すると、横手根靭帯を切離する際の鈍痛を回避できます。


今まで漫然と局所麻酔を施行していましたが、上記のような解剖学的な知識を考えながら施行すると、より苦痛の少ない麻酔&手術が可能な気がしてきました。







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