整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

上肢

陳旧性(?)小児肘内障には要注意!


先日、近所の整形外科開業医から2歳児の診察依頼がありました。
前日、父親に左手を引っ張られてから動かさなくなったとのことです。


そして、当日の午前にその整形外科開業医を受診したのですが、肘内障の整復操作をしてもはっきりとした整復感を得ることができなかったようです。


当院初診時に、患児はある程度左肘を動かしていますが、まだ痛みが残存しているようです。両肘関節に視診上での差異が無いことを確認した上で、小児肘内障の整復操作を施行しました。


何度か繰り返すと、ようやく鈍いクリックを触知しましたがいつもと様子が違います。う~ん、何かおかしい・・・。念のため、もう少し継続すると今度は比較的はっきりしたクリックを触知しました。



城東整形外科の皆川先生の論文にもありましたが、一度肘内障を発症すると輪状靭帯や周囲の軟部組織が腫脹するそうです。


数時間以内に整復されている通常例でも軟部組織が腫脹するぐらいなので、1日経過したものでは相当輪状靭帯周囲が腫脹しているものと推察されます。


このためなかなか輪状靭帯が整復されず、整復操作も一度で完全には成功しなかったのでしょう。診断も含めて1日以上経過している小児肘内障は要注意だなと感じました。




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橈骨遠位端骨折治療の落とし穴


少し前に橈骨遠位端骨折に対して、ロッキングプレートによる骨折観血的手術を施行しました。橈骨のアライメントは良好で、解剖学的整復はバッチリです。


しかし、同時に併発していたTFCC損傷による症状が残存した症例を経験してしまいました。そこで、いくつかのTFCC関連の文献に当たってみたところ、下記が優れていると思いました。



TFCCと尺骨骨折に対する処置 JMIOS No.52 53-61 2009



ロッキングプレートの使用によって、高率に橈骨遠位端骨折の解剖学的整復が可能になり、強固な固定下での早期運動療法が可能となりました。


一方、早期運動療法のために、尺側部損傷には保存治療が行われなくなりました。尺側部損傷の主体はDRUJに関する損傷です。特にDRUJの不安定性があると尺側痛が残存します。


慢性期の手関節尺側部傷害の手術例は、50歳台以前の若年者に限局しています。このことから若年者では、観血的手術後のDRUJ不安定性によって下記期間の外固定が推奨されています。



  • DRUJの不安定性あるが亜脱臼しない(尺骨茎状突起骨折の転位なし): 3週間
  • DRUJが亜脱臼する(尺骨茎状突起骨折の転位が大きい、TFCC完全断裂): 6週間



私の経験でも、高齢者の尺側部痛は問題にならないことが多いですが、若年・壮年層では治療に難渋するケースを散見します。


これらの方には、敢えて手関節に対する早期運動療法を控えて、術後は良肢位での外固定を検討するべきかもしれません。






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PQ温存に意義はあるのか?


先日、橈骨遠位端骨折の掌側プレートの抜釘術を施行しました。私は、初回手術時に方形回内筋(pronator quadratus muscle; PQ)は橈側縁で切離して、プレート設置後に縫合しています。


以前はPQ温存法でしたが、アプローチが面倒なのと、抜釘時に高い確率でPQがちぎれてしまうので、最近では普通に切離してプレート設置後に縫合するようになりました。


プレートを抜去する際に、瘢痕組織と一緒にどうしてもPQがちぎれてしまいます。おそらく初回手術の時以上に、PQ温存は難しい印象です。


このような光景を再々見ていると、初回手術時にPQを温存することの意味合いを疑問視するようになったのです。抜釘を前提とする手術の場合、どうせ抜釘時にPQは破綻します。


それであれば、苦労してPQを温存するのではなく、あっさり手術を終了させた方が理に適っているのでは・・・。


もちろん、Watershed line designのプレートでは抜釘しない方針の先生も多いと思います。このような先生方にとっては、PQ温存も価値があるかもしれません。


しかし、PQ温存例の抜釘の際にも、最も重要なWatershed line部近位はプレートが露出しているケースが多い印象です。そうであれば、PQ温存の意義は少ない気がします。


やはり、迅速な手術と遅発性長母屈筋腱断裂の併発を防ぐためには、PQ切離+抜釘術が最もコストパフォーマンスに優れている気がします。この意見は如何でしょうか?





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術中に手軽に指を屈曲固定する方法


先日、環指の屈筋腱損傷の手術がありました。
環指の尺側側面に達する創があったので、小指が邪魔でした。


通常、患指以外はアルミの手を使用して伸展位で固定するのですが、環指尺側の創だったので、小指伸展ではどうしても邪魔になります。


最初は助手が小指を屈曲させていたのですが、手が足りなくなってきました。その時に看護師さんが、邪魔な小指をシーツ固定用テープで屈曲位に固定するというアイデアを出しました。



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上図が術中の画像なのですが、意外に使えました! 小指がシーツ固定用テープで屈曲位に固定されていることが分かります。


手指を伸展するときにはアルミの手を重宝しますが、手指を屈曲する際にはシーツ固定用テープもなかなか手軽で良いと思います。





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テニス肘は軟式テニスでも発生する!


先日、外来をしていると、中学生が右肘の外側部痛で初診しました。
診察すると、テニス肘(上腕骨外上顆炎)のようです。


しかし、ここで問題(?)が発生しました。この子は中学校の部活で「テニス」をしていますが、硬式テニスではなく、軟式テニス(ソフトテニス)なのです。


えっ、軟式テニスでも「テニス肘」って発症するの? ご存知の方が多いと思いますが、軟式テニスはテニスと似て非なるスポーツです。


バックハンドで打球する際に、テニスでは手関節の伸筋群にストレスが加わりテニス肘が発症します。しかし、軟式テニスでは手関節の屈筋群を使って打球します。


このため、私は軟式テニスではいわゆる「テニス肘」は発症しないと思っていました。しかし、目の前の患者さんは明らかに「テニス肘」です。文献を漁ったところ、下記の文献がヒットしました。

  • 【上肢のスポーツ障害 その診断と治療】 テニス肘の診断と治療 
  • Author:薄井 正道(東北海道病院) 
  • Source:Orthopaedics(0914-8124)16巻2号 Page35-41(2003.02) 
  • 論文種類:解説/特集


札幌医科大学の薄井先生の論文を拝読すると、どうやらテニス肘(上腕骨外上顆炎)はテニスだけではなく軟式テニスでも発症するようです。う~ん、まさに目からウロコです。


上記論文によると、薄井先生の疫学調査では30歳台で軟式テニスを開始した女性22名中15名(68.2%)でテニス肘の発生をみたそうです。


未だにテニス肘発症のメカニズムについては統一した見解が無いようですが、薄井先生はテニス肘の発症には把持動作における手関節伸筋群の収縮が関与すると推察しています。


いずれにせよ、テニス肘が硬式テニスのみならず軟式テニスでも発生することは、私にとってトリビアでした。しかし、よく考えると患者さんの大半はテニスをしない中高年の方ですね。。。




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