整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

上肢

マイナー神経の神経伝導速度は難しい?

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先日、下腿の圧挫による末梢神経障害の症例を診察する機会がありました。受傷後半年ほどなのですが、足背にしびれ感が残存しています。


労災事故がらみだったので、客観的な末梢神経障害についての証明を求められました。足背のしびれている部位を確認すると、どうやら浅腓骨神経領域のようです。


足関節より 2㎝ほど中枢測で tinel like signも認めます。それなら、神経伝導速度で浅腓骨神経損傷を確認できるなと思いましたが、どうやらそうは問屋が卸さないようです。


浅腓骨神経の神経伝導速度など測定したことが無いので、技師さんに確認してみました。浅腓骨神経では刺激点を下腿前方の末梢1/3の部位、導出部位を第3~4足趾基部にとります。


同じ下腿から足部の知覚神経である腓腹神経ではしっかり導出されるようですが、浅腓骨神経では振幅が小さいようでなかなか難しいとのことでした。


安易に測定できます!と言わないで良かった...。整形外科医は単に解剖の知識があるだけなので、このあたりの実践的なノウハウは、技師さんに確認する必要がありそうですね。





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広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく実践的な医学書です。


 







TFCC損傷の画像診断のポイント

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手関節の TFCC損傷は橈骨遠位端骨折に併発することも多いので比較的日常診療でよくみかける傷病です。しかし手外科医以外は TFCC損傷に苦手意識のある方も多いことでしょう。


そこで、TFCC損傷の実際的な画像診断のポイントをまとめてみました。TFCC損傷の分類では、外傷に関しては Palmer分類が有名です。

  • ⅠA: 中央部の穿孔
  • ⅠB: 尺骨小窩付着部の断裂 
  • ⅠC: 遠位側付着部の断裂
  • ⅠD: 橈骨付着部の断裂


上記のうち、疼痛の原因となることが多いのはⅠBの尺骨小窩付着部の断裂です。その理由として、尺骨小窩付着部が断裂すると DRUJの不安定性をきたすことが挙げられます。


それ以外では、ⅠAの中央部穿孔でも断裂部がインピンジすることで疼痛の原因となることもあるそうです。


上記をまとめると、疼痛の訴えのある TFCC損傷では Palmer分類ⅠBの尺骨小窩付着部断裂が多く、MRI読影の際にも同部位に高信号領域があるか否かが読影のポイントとなります





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A1 pulleyのストレッチの課題

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最近、ばね指の保存治療に関しては、くらげ整形外科の山崎厚郎先生による A1 pulleyのストレッチを第一選択にしています。


もちろん、snappingの程度によってはステロイド腱鞘内注射も併用しますが、基本的には組織侵襲の無い A1 pulleyのストレッチが第一選択です。



<A1 pulleyのストレッチ>

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上の図のように、MP・PIP関節最大屈曲、DIP関節伸展位で罹患指と手掌でブロックを挟みます。この状態でブロックを握ることで屈筋腱が収縮して A1 pulley内腔が増大します。

ブロックを30秒握るストレッチを 1日10回以上実施することで、A1 pulley内腔の拡大によって屈筋腱の滑走性を向上させます。治療開始後1~2ヵ月で効果が得られます。



しかし、A1 pulleyストレッチの継続率が高いのは、snappingのある症例であることに気付きました。snappingの無い伸展テスト陽性の症例は継続率が低い印象です。


snappingのある症例ではA1 pulleyストレッチ直後に snappingが軽減することが多いため、患者さん自身が効果を体感しやすいために継続率が上昇すると推察しています。


snappingの無い症例への、A1 pulleyストレッチの啓蒙が、現在の私の中でのばね指保存治療の課題だと感じています。






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上腕骨外側上顆炎の新しい治療法

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Monthly Book Oethopaedicsの2020年10月号は、上腕骨外側上顆炎の治療でした。ボクシングジム通いで上腕骨外側上顆炎に悩んでいる私にとっては読むべきナンバーです(笑)。


今まで上腕骨外側上顆炎はほぼスルーしていましたが、改めて特集を隅から隅まで拝読すると、知らないことがたくさんあることに気付きました。


まず、治療法として、通常のストレッチやステロイド注射以外にも下記のようなものがあることを知りました。そういえば、開業医の先生の講演で何度か拝聴した記憶があります。


  • PRP療法(多血小板血漿療法)
  • 体外衝撃波療法


PRP療法ですが作製技術は高度ではなく、遠心分離機さえあればPRP作成キットで簡単につくれるそうです。しかし再生医療の一種なので法律に基づいた手続きが必須のようです。


自費なのでそれなりに収益性がありそうですが、スポーツ整形外科を売りにしている施設以外では、勤務医が一から立ち上げるインセンティブはなかなか高まりません...。


体外衝撃波療法は足底腱膜炎が保険適応ですが、上腕骨外側上顆炎にも効果があるようです。基本的に自費になります。こちらも残念ながら勤務先には機器がありませんでした。


私の立場ではハードルが高そうですが、上腕骨外側上顆炎の治療法でストレッチとステロイド注射以外に治療法があることを知って勉強になりました。






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正中動脈って何だ?!

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ニューズウィーク日本版に興味深い記事がありました。ヒトが進化している証拠? 前腕に動脈を3本持つ人が増えている です。



ヒトは現在も独自に進化し続けている----。オーストラリアの研究チームがこれを示唆する研究成果を明らかにした。

正中動脈は、前腕や手に血液を供給する主血管であり、ヒトの初期発生で形成されるが、妊娠8週あたりで退歩し、橈骨(とうこつ)動脈と尺骨(しゃくこつ)動脈がこの役割を担うようになる。このため、ほとんどの成人には正中動脈がないが、19世紀後半以降、成人になっても正中動脈を保持している人が明らかに増えていることがわかった。



これには驚きました。正中動脈という名称は初めて聞きます。ニューズウィークによると、33%の人に正中動脈が存在するようです。


正中動脈 - コピー

Wikimediaより転載


ニューズウィークに掲載されている解剖をみると、手根管の中にまで走行しているようです。整形外科医は、手関節レベルで掌側を展開する機会が多いです。


日常的にこの部分を頻回に観察しているはずですが、私は未だかつて一度も正中動脈の存在に気付きませんでした。


その理由は単純に正中動脈を探さないからでしょう。手根管症候群は横靭帯を切除するだけですし、橈骨遠位端骨折では橈骨を展開する際に周囲の軟部組織を排除するだけですから。


整形外科医的な観点では、正中動脈があると橈骨動脈を損傷した場合でも、手指の血流を確保できるメリットがあります。MRAを施行すると、その存在有無を確認できそうですね。





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