整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

上肢

周産期のドケルバン病の治療はコレで!

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先日、授乳中の若い女性が右手関節橈側痛で受診しました。整形外科医なら問診だけでドケルバン病(de Quervain病)だと分かりますね。


ご存知のように周産期はホルモンバランスの影響で、ばね指やドケルバン病などの狭窄性腱鞘炎を併発しやすいです。


周産期の患者さんに対しては、消炎鎮痛剤やロコアテープの処方ができません。かと言って外用剤の効果はほぼ無いです。


普通に考えると胎児や児に影響の少ないステロイド剤の腱鞘内注射が第一選択なのでしょうが、ドケルバン病では浅橈骨神経損傷の可能性があり少し気持ち悪いですね。


腱鞘内注射以外の保存治療として、ばね指であれば A1 pulleyのストレッチが第一選択となりますが、ドケルバン病では適切なものがありません。


いろいろ考えてみたのですが、ふとテーピングがあるのを思い出しました。ちょうど外来に幅広の伸縮性テープがあったので、APLの走行に沿ってテープを貼付しました。


すると、これだけでもかなりの除痛効果がありました。本式ならアンカーテープを使用しますが、幅広のテープであればアンカー無しでも大丈夫そうです。


周産期の人に対する狭窄性腱鞘炎の治療選択肢では、ばね指には A1 pulleyのストレッチがありましたが、ドケルバン病ではテーピングが欠けていたピースとなりました。






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オーストラリア理学療法協会のスポーツ理学療法士による実践的な教科書です。
治療的テーピングの概要を学ぶことができます。



 






ケナコルトでは屈筋腱断裂に注意!

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先日、薬剤部からケナコルトの消費期限が近づいてきているので、継続購入するべきか否かと聞かれました。ケナコルトと聞いて、私は一瞬ビクッとしました。


ご存知のようにケナコルトは、極めて強力かつ長時間効果が持続するステロイド剤です。効果が著明で切れ味抜群なのですが、私は可能なかぎり使用しないようにしています。


その理由は、ステロイド剤としての作用が強すぎて屈筋腱断裂を併発する可能性があるからです。ケナコルト使用後の腱断裂は変性が強いため再建に難渋してしまいます...。


ケナコルトの悪名のために使用していないこともあり、私は屈筋腱断裂をきたした症例を経験していません。しかし、間違ってケナコルトを使用しないようにいつも注意しています。


ところが、結構平気でケナコルトを使用する人がいるので内心冷や冷やしています。一層のことケナコルト採用を止めようと思いましたが、他科医師の反対で継続購入となりました。


う~ん、自分たちの身を守るためにも、少なくとも整形外科ではケナコルト使用を禁止にしなければいけませんね...。





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マイナー神経の神経伝導速度は難しい?

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先日、下腿の圧挫による末梢神経障害の症例を診察する機会がありました。受傷後半年ほどなのですが、足背にしびれ感が残存しています。


労災事故がらみだったので、客観的な末梢神経障害についての証明を求められました。足背のしびれている部位を確認すると、どうやら浅腓骨神経領域のようです。


足関節より 2㎝ほど中枢測で tinel like signも認めます。それなら、神経伝導速度で浅腓骨神経損傷を確認できるなと思いましたが、どうやらそうは問屋が卸さないようです。


浅腓骨神経の神経伝導速度など測定したことが無いので、技師さんに確認してみました。浅腓骨神経では刺激点を下腿前方の末梢1/3の部位、導出部位を第3~4足趾基部にとります。


同じ下腿から足部の知覚神経である腓腹神経ではしっかり導出されるようですが、浅腓骨神経では振幅が小さいようでなかなか難しいとのことでした。


安易に測定できます!と言わないで良かった...。整形外科医は単に解剖の知識があるだけなので、このあたりの実践的なノウハウは、技師さんに確認する必要がありそうですね。





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TFCC損傷の画像診断のポイント

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手関節の TFCC損傷は橈骨遠位端骨折に併発することも多いので比較的日常診療でよくみかける傷病です。しかし手外科医以外は TFCC損傷に苦手意識のある方も多いことでしょう。


そこで、TFCC損傷の実際的な画像診断のポイントをまとめてみました。TFCC損傷の分類では、外傷に関しては Palmer分類が有名です。

  • ⅠA: 中央部の穿孔
  • ⅠB: 尺骨小窩付着部の断裂 
  • ⅠC: 遠位側付着部の断裂
  • ⅠD: 橈骨付着部の断裂


上記のうち、疼痛の原因となることが多いのはⅠBの尺骨小窩付着部の断裂です。その理由として、尺骨小窩付着部が断裂すると DRUJの不安定性をきたすことが挙げられます。


それ以外では、ⅠAの中央部穿孔でも断裂部がインピンジすることで疼痛の原因となることもあるそうです。


上記をまとめると、疼痛の訴えのある TFCC損傷では Palmer分類ⅠBの尺骨小窩付着部断裂が多く、MRI読影の際にも同部位に高信号領域があるか否かが読影のポイントとなります





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A1 pulleyのストレッチの課題

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最近、ばね指の保存治療に関しては、くらげ整形外科の山崎厚郎先生による A1 pulleyのストレッチを第一選択にしています。


もちろん、snappingの程度によってはステロイド腱鞘内注射も併用しますが、基本的には組織侵襲の無い A1 pulleyのストレッチが第一選択です。



<A1 pulleyのストレッチ>

22 - コピー



上の図のように、MP・PIP関節最大屈曲、DIP関節伸展位で罹患指と手掌でブロックを挟みます。この状態でブロックを握ることで屈筋腱が収縮して A1 pulley内腔が増大します。

ブロックを30秒握るストレッチを 1日10回以上実施することで、A1 pulley内腔の拡大によって屈筋腱の滑走性を向上させます。治療開始後1~2ヵ月で効果が得られます。



しかし、A1 pulleyストレッチの継続率が高いのは、snappingのある症例であることに気付きました。snappingの無い伸展テスト陽性の症例は継続率が低い印象です。


snappingのある症例ではA1 pulleyストレッチ直後に snappingが軽減することが多いため、患者さん自身が効果を体感しやすいために継続率が上昇すると推察しています。


snappingの無い症例への、A1 pulleyストレッチの啓蒙が、現在の私の中でのばね指保存治療の課題だと感じています。






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