整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

股関節

変股症の原因についてのトリビア

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変形性股関節症診療ガイドラインの改訂ポイント-病態-を読んでいて気付きがあったのでシェアさせていただきます。


日本人的な感覚では、変形性股関節症の原因として寛骨臼形成不全が挙げられます。日本の二次性股関節症の80%以上は、寛骨臼形成不全に続発するものです。


しかし、変形性股関節症の原因として寛骨臼形成不全が多いというのは、日本を含めた東アジアに限局した特徴でもあります。


欧米を中心とした海外からの報告では、寛骨臼形成不全よりも大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)に関連したものの方が多いそうです。


つまり、変形性股関節症の原因となる骨形態異常は、欧米においては FAI がメインということになります。


ご存知のように、FAI はインピンジメントが病態なので、寛骨臼形成不全による不安定性とは対極的な病態とも言えます。


少なくとも日本では寛骨臼形成不全による不安定性が変形性股関節症の原因ですが、欧米では FAI によるインピンジメントが原因となっているのです。


グローバルな視点で見ると変形性股関節症の原因 ≠ 寛骨臼形成不全である地域もある。。。今回の変形性股関節症診療ガイドラインの改訂ポイントでのトリビアでした。






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初学者が股関節外科の基礎および治療体系を学習するにあたり最もお勧めの書籍です。日本を代表する執筆陣が股関節外科に関するあらゆる事項を、非常に分かりやすく解説しています。この1冊があれば股関節外科のほぼ全ての疑問点を解消できると思います。


         




変股症ガイドライン改定のポイント

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日整会誌 92:549-553 2018に、変形性股関節症診療ガイドラインの改定のポイント -THA章-というシンポジウムが掲載されていました。


改定のポイントは下記のごとくです。



摺動面選択に関するCQ

  • 高度架橋ポリエチレン使用THAは有用か → 有用(推奨グレードB)
  • メタルオンメタルTHAは有用か → 選択は慎重に(推奨グレードI)


手術侵入法に関するCQ
  • 進入法間では脱臼率および術後早期以降の臨床成績に差は無い


内容的には2008年の初版と比較して大きな変化は無いようです。股関節外科医にとっては当たり前のことばかりですが、他領域の先生方には参考になるものと思われます。







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外反股では高度過前捻に注意!

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先日、ちょっと難しい人工股関節全置換術(THA)がありました。
大腿骨頚部の過前捻症例です。


股関節の単純X線正面像で、大腿骨が高度の外反股でした。これはもしかして大腿骨近位の骨切り術を併用する必要があるのかも・・・



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しかし、3D-CTを施行すると、高度過前捻のために大腿骨が外反してみえたようです。計測上は、大腿骨頚部前捻角が70度でした。大腿骨頭が前方に向かっているのが分かります。




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ZedHipで作図すると、S-ROM-A以外では、セメントステムも含めて対応不可能でした。proximal sleeveがあらぬ方向を向いているのが分かります。


この手術は、米国出張の前日だったのでかなり緊張しました。絶対に下手は打てないからです。結果的には予定通りの手術で終わったので、安心して米国へ旅立つことができました。


現地で、たまたまご一緒だった がみたけ先生 に、
セメントステムでこのような過前捻症例に対応できるのかをお伺いしましたが、やはり難しいでしょうとの回答でした。


これほど高度の過前捻股はそれほどありませんが、術前単純X線像で外反股の場合には、頚部過前捻が存在する可能性を念頭に置いて慎重に術前計画を練る必要があると感じました。








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ニュージャージーでの備忘録

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何気にブログを更新しているのですが、実は米国のニュージャージーに滞在しています。ありがたいことに、THAユーザーの声を届ける会(?)に参加させていただいているのです。



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開発拠点で、工場の見学や新製品の説明、そして Mako という手術用ロボット手術ユニットの試用をさせていただきました。


ツアーの中で、興味深かったのは Trident の後継機種である Trident 2 と Mako systemでした。本日は備忘録第一弾として、Trident 2 について書き留めてみたいと思います。


Trident HA cupはセメントレスTHAの中で最高峰のインプラントのひとつだと考えていますが、これだけ優秀なインプラントの後継機種にはどのような改良点があるのでしょうか?


  1.  3D-printed Tritanium と HAのバリュエーションがある
  2.  カップサイズは42mmから
  3.  48mmから36mm骨頭を使用できる
  4.  スクリュー刺入角度が37度に拡大
  5.  スクリューを振ってもヘッドの出っ張りが少ない
  6.  ドリルの切れ無ささは改善(?)


主な変更点は上記のごとくです。日本の実績からは、他社を含めて 3D-printed cup はビミョーな感じですが、HAのバリュエーションもあるようなので問題はなさそうです。


一方、Trident HA cup 最大の欠点(?)であるインサートのロッキング機構はマイナーな変更に留まっている印象です。実際にやってみないと分かりませんが、どうなのでしょうか?


あれだけ素晴らしい Trident HA cup なので、後継機種を出す必要は少ない印象です。しかし、イノベーションを進めるために、敢えて上梓したのでしょう。


Trident HA cup の95点を、97点に持っていくのは至難の業っぽいですが、痒い所に手が届く工夫が随所にみられました。日本での販売開始は来年のようなので楽しみです。






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特発性一過性大腿骨頭萎縮症で難渋?

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先日、特発性一過性大腿骨頭萎縮症(Transient osteoporosis of the hip; TOH)の症例を診察しました。TOHは比較的珍しい疾患といわれていますが、ちょくちょくお目にかかります。



T1WI - コピー


T2STIR - コピー



今回の方は50歳台男性で、1ヵ月前から誘因なく出現した右股関節部痛のために初診されました。上図のごとく右大腿骨近位部にT1WIで低信号、STIRで高信号領域を認めます。


TOHは、1959年にCurtissによって、妊婦の股関節に疹痛と単純X線上で骨萎縮を生じた3症例として初めて報告されました。


TOHの原因に関しては,、Sudeck骨萎縮説、閉鎖神経圧迫説、静脈圧迫説、一過性股関節炎説などの諸説が述べられていますが、未だ定説はありません。


発症後2~6ヵ月で自然に軽快することが多いため、部分免荷などで経過観察するべきだと言われています。しかし、私が診ている症例には、6ヵ月しても疼痛不変の方がいます。。。


曲がりなりにも私は股関節外科医なので、特発性大腿骨頭壊死症や急速破壊型股関節症を誤診する可能性は低いと思っているのですが・・・


単純X線像でも大腿骨頭の骨萎縮が高度になってきているので、そろそろ何らかの手を考えなければなりません。う~ん、どうしたものでしょう?






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