整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

股関節

閉鎖孔ヘルニアを見た!

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先日、突然の左股関節部痛を主訴に80歳台の高齢女性が初診されました。そこそこの認知症があるため転倒の既往の有無は不明です。


この時点で、整形外科医ならほぼ大腿骨近位部骨折を疑うことでしょう。臨床的にはその判断で9割以上間違いではありません。


しかし、今回の症例では単純X線像では明らかな骨折をみとめませんでした。フフッ、それなら関節内血腫の確認だ! と CTを施行しましたが、どうやら血種が無いようです。



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この所見ではMRIを撮像しても大腿骨近位部骨折の可能性は低そうだな・・・と判断しました。しかし、認知症がある割には尋常ではない痛がりようです。


気持ち悪かったので、とりあえず入院してもらうことにしました。入院時検査では血液生化学検査も正常範囲内です。


まぁ、しばらく様子をみようと思っていると、同僚の整形外科医から「ヘルニアがある!」と指摘を受けました。


ヘルニア??? よ~く見ると、CTの恥坐骨の間の閉鎖孔よりやや表層に、エアを伴った楕円状の腸管影を認めるではありませんか!!!


外科医にコンサルトすると、たしかにコレは閉鎖孔ヘルニアとのことでした。骨盤CTを撮像すると、骨条件より分かりにくいですが閉鎖孔ヘルニアでした。



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鼠経ヘルニアは比較的よくみかけますが、閉鎖孔ヘルニアは初めてです。どおりで痛いはずです。認知症の方が、安静時にまでメチャメチャ痛がるのは尋常ではありません。


よく、こんなモノをみつけたなと、同僚医師に関心しました。ちなみにCPKは正常範囲内でした。発症間もないので動きがなかったのでしょう。


明朝まで放置していたら、腸管壊死に至っていた可能性が高いです。それにしても思わぬところに落とし穴があるものです。






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中高年女性の股関節部痛受診の理由

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最近、外来で股関節部痛を主訴に受診される方が多いことに気付きました。患者さんの属性は中高年の女性です。流行り病なのでしょうか?


なぜ、この時期に股関節部痛で受診する人が多いのだろうと疑問に思っていました。そんなある日、とある患者さんが股関節部痛を主訴に受診されました。


一通り診察しましたが、画像所見・身体所見とも明らかな異常所見はありません。特に心配無さそうですと説明すると、この患者さんは安堵の表情を浮かべました。


そして、ボソッと「タレントの堀ちえみさんと同じ疾患だったらどうしようと思ってやってきた
」と 告白されました。。。


なるほど、もしかして最近多い中高年女性の股関節部痛が主訴の受診は、堀ちえみさんの特発性大腿骨頭壊死症が原因だったのかもしれません。


私は芸能界に全く興味がないので 、その手のニュースには注意を払っていません。しかし世の中には、芸能ニュースから影響を受ける層がある一定の割合で存在するようです。


やはり、マスコミの影響は大きいことに今更ながらに気付きました。





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新聞掲載も一苦労

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先日、某新聞社主催の市民セミナーで講演しました。講演内容は新聞に掲載されたのですが、改めてサマリー的な記事を掲載いただけることになりました。


ありがたい話なのですが、新聞記者によるインタビューを字起こしした原稿を見せてもらったところ、思わず「うーん
」と唸ってしまいました。


確かに私の言葉で書かれているのですが、内容が比較的テキトーなのです(笑)。そうか、自分はこんな適当なことをいつも言ってるのかとちょっとショックでもありました。


やはり、新聞に掲載されるからにはテキトーな内容ではいけません。今回は股関節部痛についての講演だったので、内容が本当に正しいのか否かを教科書で確認する必要があります。


疫学的なことも多く喋ったので、これらの内容の裏取りを行う必要があります。ちょうど手元に股関節学という教科書があったので、この本を確認しながら原稿校正を行いました。


普段ブログを書いている時も医学的なことはできるだけ正確に記載しようと心がけています。しかし、新聞に掲載される内容はそれとは比較にならないプレッシャーを感じます。


新聞はもう過去の媒体だと思っていましたが、やはりイザ自分が新聞に掲載されるとなるとかなり緊張感があります。新聞もまだまだ捨てたものではないですね。






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外傷性大腿骨頭壊死の抜釘は行うべき?

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大腿骨頚部骨折のGarden stage 1 や stage 2の症例は、一般的にはCCSやハンソンピンを用いた関節内骨折観血的手術が選択されます。


しかし、術後3ヵ月の時点で MRI を撮像すると、残念ながら外傷性大腿骨頭壊死症を併発していることがあります。


Type C1以上であれば大腿骨頭関節面が圧壊する危険性が高いのですが、すぐに圧壊するわけではなく、何年も大腿骨頭が圧壊せずに無症状で経過する症例も多いです。


このような症例では内固定材料をどうするのかがひとつのポイントになります。Type C1では10年間で50%以上圧壊すると言われています。


内固定材料が長期間にわたって大腿骨の荷重部分にあるのも気持ちが悪いです。このため内固定材料を抜去したい誘惑に駆られます。


しかし、大腿骨頭壊死症を併発している症例の内固定材料を抜去すると、急速に大腿骨頭の圧壊が進行することがあります。


その理由は、壊死骨の支柱になっている
内固定材料を抜去してしまうと、壊死骨内の荷重伝達環境が変わってしまって急速に大腿骨頭の圧壊が進行するものと思われます。


そのような理由から、大腿骨頭壊死症を併発している症例に関しては、内固定材料は抜去しない方が良いかもしれません。


もちろん、大腿骨頭の圧潰が進行して内固定材料が荷重面を穿破する危険性もあるので、慎重に経過観察する必要はあります。







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変股症の原因についてのトリビア

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変形性股関節症診療ガイドラインの改訂ポイント-病態-を読んでいて気付きがあったのでシェアさせていただきます。


日本人的な感覚では、変形性股関節症の原因として寛骨臼形成不全が挙げられます。日本の二次性股関節症の80%以上は、寛骨臼形成不全に続発するものです。


しかし、変形性股関節症の原因として寛骨臼形成不全が多いというのは、日本を含めた東アジアに限局した特徴でもあります。


欧米を中心とした海外からの報告では、寛骨臼形成不全よりも大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)に関連したものの方が多いそうです。


つまり、変形性股関節症の原因となる骨形態異常は、欧米においては FAI がメインということになります。


ご存知のように、FAI はインピンジメントが病態なので、寛骨臼形成不全による不安定性とは対極的な病態とも言えます。


少なくとも日本では寛骨臼形成不全による不安定性が変形性股関節症の原因ですが、欧米では FAI によるインピンジメントが原因となっているのです。


グローバルな視点で見ると変形性股関節症の原因 ≠ 寛骨臼形成不全である地域もある。。。今回の変形性股関節症診療ガイドラインの改訂ポイントでのトリビアでした。






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