整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

股関節

股関節痛で仰臥位を嫌がるの答えは?

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先日、整形外科の常勤医師が居ない病院で夜診をしている際に、興味深い患者さんの診察を行いました。何でも右股関節が痛くて歩行できなくて入院になったそうです。


大腿骨近位部骨折はありませんか? という対診依頼だったのですが、単純X線像では特記する所見はありませんでした。自分で車椅子から診察台に移れる程度の疼痛のようです。


しかし、診察台で仰臥位になってくださいと言っても「痛くて上を向けない」と言って、すぐに側臥位になってしまいます。う~ん、困った患者さんだな・・・


強く仰臥位を促すと、両膝を屈曲位にします。高齢患者さんなのではっきり分からないのですが、膝を伸ばすと右股関節に疼痛が走るようです。ここてピンときて、CTを撮像しました。



腸腰筋膿瘍 - コピー



やはり、図星でした。右腸腰筋膿瘍です。熱発はなく、血液生化学データの炎症値は軽度上昇程度です。総合的に考えると、結核性の腸腰筋膿瘍を強く疑います。いわゆる流注膿瘍です。


高齢者の進展に伴って、腸腰筋膿瘍は比較的ポピュラーな疾患になってきています。私の経験では、年に1~2例ほどのペースで治療している印象です。


しかし、起炎菌は黄色ブドウ球菌や大腸菌等のグラム陰性桿菌が多く、症状・身体所見・血液生化学所見が派手な症例が多いです。今回とは全く状況が違います。


今回の症例では、後から考えるといわゆるpsoas positionをきたしていたのですが、仰臥位を嫌がるので、初見時には分かりませんでした。


「股関節部痛のため仰臥位を嫌がる = psoas position」が、私にとってのTIPSでした。特に流注膿瘍のように、身体所見や血液生化学所見に乏しい症例では注意が必要だと思います。






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骨切り術は賞味期限切れかも・・・

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先日、寛骨臼回転骨切術(RAO)後のTHAがありました。RAOに限らず、骨切り術後のTHAは難しいです。今日は、重鎮の先生から怒られるかもしれないことを書きます。


私が教育を受けた頃は、まだ股関節外科の分野でも骨切り術が全盛期でした。九州大学の杉岡先生がご健在で、AROやRAOを股関節治療の第一選択にするべしという風潮がありました。


確かに、整形外科医としては、骨切り術の方が達成感があります。私は名古屋大学主催のRAOセミナーに参加させてもらったことがありますが、骨切り術の醍醐味を感じました。


しかし、HXLPE(ハイリークロスリンク)の登場で情勢が変化しました。人工関節の耐用性が大幅に向上したため、骨切り術でタイムセービングすることの意義が小さくなったのです。


そして、骨切り術に伴う社会的・経済的損失に耐えうる人の数が少なくなりました。社会や患者さんのニーズと、骨切り術のベネフィットが一致しなくなってきました。


むしろ、骨切り術による弊害が拡大している印象です。それは、大家と呼ばれる医師による骨切り術であっても、人工関節置換術の10年成績に劣ることが端的に示しています。


中には素晴らしい成績の骨切り症例もありますが、疼痛や関節拘縮を我慢している人も少なくありません。人工関節手術をend point とするsurvival rateは、アテにならないと思うのです。


そして、疼痛や拘縮によるADL低下に我慢できずに人工関節へのコンバートが必要になる時には、人工関節手術が難しくなります。これはHTOのような膝関節骨切り術でも同様です。


このように考えると、大関節の骨切り術は、治療手段としての賞味期限が切れつつあるのではないか? という疑念を抱くようになりました。ちょっと過激な意見かもしれません・・・




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THA: 骨盤後傾症例は難しい

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先日、急速破壊型股関節症(RDC)に対して人工股関節全置換術を施行しました。今回の患者さんは80歳を超える高齢者で、著明な腰椎後弯と骨盤後傾を認めました。


臥位 - コピー


上記は、臥位での単純X線像正面像です。カップの前方開角が小さく、0~5度ぐらいです。一方、この患者さんの立位での単純X線像正面像は下記です。




立位 - コピー


この画像では、骨盤が極端に後傾しているものの、カップの前方開角は20度ぐらいにみえます。私は臥位よりも立位の状態の方をより重視しています。


このため、カップの前方開角は、どちらかと言えば立位に合わせにいきます。仮にこの患者さんに対して臥位に合わせてカップを設置すると立位時に前方脱臼するリスクが高まります。


このため、術中のカップ設置の際には少し勇気が要りますが、できるだけ前方開角を減じてインパクションするようにしています。骨盤後傾症例は難しいですね。 






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THA: 内閉鎖筋温存では関節包切開を

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先日、内閉鎖筋温存後側方進入で人工股関節全置換術(THA)を施行しました。
まぁまぁ臼蓋形成不全がキツイ方でしたが、いい感じで手術を終了しました。


術前 - コピー



上記のように寛骨臼荷重部の被覆が少なめな症例です。内閉鎖筋温存後側方進入手術の問題点として、温存している短外旋筋群が邪魔で荷重部の視野が悪いことが挙げられます。



術中 - コピー



術中はこんな感じで、内閉鎖筋よりも中枢側の短外旋筋群のために、カップ上方の視野を得ることが難しい症例が多いです。関節包のみT字切開することで対応するようにしています。



術後 - コピー


 

カップCE角が5度程度しかないのですが、寛骨臼前後壁でがっちり固定できました。中枢側の短外旋筋群が邪魔でしたが、骨移植も何とかできています。


このアプローチを行うにあたって、5時もしくは7時方向の寛骨臼後下壁を切除することが多いですが、やり過ぎるとカップの初期固定性を損ないます。そのあたりの匙加減が難しいです。


術野の展開が難しくて面倒な手術ではありますが、手術終了時に内閉鎖筋を温存できているのを見ると達成感があります。 ちょっとマニアックですね(笑)。

 



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THA: 過前捻では下腿外捻の確認を!

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先日の人工股関節全置換術(THA)で興味深い発見がありました。
この方の左側は、とある高名な股関節外科医によってTHAを施行されています。


今回は右側の手術を行うことになりました。術前CTで作図していると、その高名な股関節外科医によるTHAでステムの前捻角が55度もあるではないですか!


幸い、まだ前方脱臼をしたことは無いようです。しかし、私は心の中で「あ~、あの○○先生も名前の割りには大したことないな」と思いました。



ところが、手術当日に麻酔がかかって体位設定をしようとしたときに異常に気付きました。高名な股関節外科医によって施行された側の下腿の外捻角度がかなり大きかったのです。



5555



このため、膝関節を中間位にしたときには、上図のように足部が著明に外側を向きます。そして、足部を垂線方向へまっすぐにすると、膝関節は内側に向かいます。


ステムの前捻角が55度であっても、足部を基準に考えると下腿外捻に打ち消されて生理的なステムの前捻角は、通常の20度ほどにおさまっていたのです。



う~ん、さすがは○○先生です。高名さはダテではなかったようです。このようなイレギュラーな症例にもきっちり対応されているところは流石と言わざるを得ません。


一方、今回の術側は反対側ほど下腿外捻が高度ではないものの、それなりに外捻しています。このため大腿骨頚部前捻角が45度であるものの、S-ROM-Aの出番はありませんでした。


大腿骨頚部の過前捻症例では、過大な下腿外捻の有無を確認した方が良いと思います。そのような症例であれば、大腿骨頚部の過大前捻はさほど気にする必要が無くなりますから。




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