整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

股関節

どちらが有用? 関節包 vs 短外旋筋群温存

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股関節後方侵入において、股関節の安定性に寄与するのは短外旋筋群と関節包ではどちらの方が大きいのでしょうか?


最近では、短外旋筋群よりも関節包の寄与度の方が大きいと言われています。本当にそうであれば、短外旋筋群は切離して関節包のみ温存すればよいことになります。


このことを念頭に置いて、先日の人工骨頭置換術では下記のように軟部組織を処理しました。関節包の切開部は内閉鎖筋直下です。

  • 短外旋筋群は梨状筋のみ温存して T字状に切開
  • 関節包は下方へのL字切開


問題の安定性ですが、関節包のみでもそれなりの安定性を獲得していました。いわゆる脱臼肢位にすると、関節包がピンピンに張っていい感じです。


もちろん、短外旋筋群+関節包には劣りますが、短外旋筋群のみ温存とほとんど変わらない印象です。視認性は関節包のみ温存の方が優れています。


今回の小経験では、苦労して短外旋筋群を残さなくても関節包のみ温存でも問題なさそうでした。そうであれば、視認性に優れた関節包温存の方が望ましいのかもしれません。







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腸骨筋起始部の裂離を見た!

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先日、運動会でダッシュした際に左股関節部痛が突然出現したという10歳の児童が初診しました。整形外科医であれば、骨盤周囲の裂離骨折を第一に考えるでしょう。


上記を念頭に置いて単純X線像を施行しましたが、明らかな骨折はなさそうです。単純X線像ではっきりしないので、そんなに大きな問題ではなさそうと判断して経過観察しました。


ところが、1週間しても疼痛がおさまりません。単純X線像を再検しましたが、やはり明らかな骨折はなさそうです。そこで、思い切ってMRIを施行することにしました。



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画像をみて驚愕しました。こんな所見は初めてみます。どうやら左腸骨筋起始部が腸骨翼から裂離しているようです。一部に血種も認めます。


これぐらいの年齢の児童では裂離骨折となることが多いのですが、骨盤腔内では腸骨が凹になっているので骨折ではなく筋肉起始部が剥がれたのでしょう。


幸い、MRIの画像説明をおこなった受傷後2週間の時点では、症状がかなり軽快していました。結果的には、あと数日待てば良かったのかもしれませんね。





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究極のセメントインセメント法?!

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THAでカップの術中リビジョンをせざるを得ない症例はときどきあります。このような事態に陥った時に、問題になるのはステムの存在です。


ステムが挿入されている状態では、ネックが邪魔になってカップ再設置にむけての手技をうまく施行することが難しくなります。


このような場合には、関節包の展開を大きくしてリーマーの出し入れができる状態にする必要があります。しかし、セメントステムの場合にはもう少しスマートな方法があります。


それはセメントインセメント法の亜型の利用です。セメントインセメント法はこちらでご紹介していますが、柔らかい状態のセメントをセメント内に追加充填する方法です。


しかし、術中リビジョンの場合には、ステムをさっき挿入したばかりです。もし
ステムが polishなら、トロトロのセメントを充填する必要さえないのです!



ステムを抜去して、カップを再設置します。そして髄内を完全に洗浄して異物が混入していないことを確認してから、ステムをそのまま挿入するという荒業(?)が使えます。


ステムの肩部分にだけでもセメントが必要ではないかと思う方もいらっしゃるでしょうが、基本的には何もなくてもOKなはずです。


術中リビジョンは辛い経験ですが、polishステムを選択している場合には、その他のステムと異なりカップ再置換術は比較的容易だと思います。






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単純性股関節炎の自然経過を深く診る

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先日、知り合いから、お子さんの股関節部痛について相談を受けました。朝起きたらいきなり右股関節が痛くなったそうです。


熱発はなく、股関節部痛以外は元気なようです。整形外科医であれば、この時点で単純性股関節炎である可能性が高いと予想がつきます。


実際、経過をみると単純性股関節炎のようでした。普段の外来で単純性股関節炎の症例は比較的高頻度ですが、だいたい初診から数日後に再診して終了というパターンが多いです。


このため、単純性股関節炎の経過はよく知っているものの、症状推移の詳細に関してはあまり深く知りませんでした。しかし、今回は逐一患児の様子を報告してきます(笑)。


あまり無下にできないので、話を聞いていると単純性股関節炎の自然経過が手に取るように分かりました。もちろん、大筋は私たちが外来で診ている流れと同じです。


しかし、例えば1日の中での痛みの増減では、起床時に疼痛が高度である印象を受けました。その後、時間の経過とともに疼痛は軽快して、夕方から夜になるとかなり軽減します。


そして、翌朝には少し疼痛が増悪して1日が始まるというパターンのようです。そうこうしながら、疼痛のレベルは漸減していきます。


なるほど、単純性股関節炎はこのような経過を辿るのか...。起床時に疼痛が増悪するのは関節リウマチのように関節の不動化が原因なのかもしれませんね。






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閉鎖孔ヘルニアを見た!

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先日、突然の左股関節部痛を主訴に80歳台の高齢女性が初診されました。そこそこの認知症があるため転倒の既往の有無は不明です。


この時点で、整形外科医ならほぼ大腿骨近位部骨折を疑うことでしょう。臨床的にはその判断で9割以上間違いではありません。


しかし、今回の症例では単純X線像では明らかな骨折をみとめませんでした。フフッ、それなら関節内血腫の確認だ! と CTを施行しましたが、どうやら血種が無いようです。



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この所見ではMRIを撮像しても大腿骨近位部骨折の可能性は低そうだな・・・と判断しました。しかし、認知症がある割には尋常ではない痛がりようです。


気持ち悪かったので、とりあえず入院してもらうことにしました。入院時検査では血液生化学検査も正常範囲内です。


まぁ、しばらく様子をみようと思っていると、同僚の整形外科医から「ヘルニアがある!」と指摘を受けました。


ヘルニア??? よ~く見ると、CTの恥坐骨の間の閉鎖孔よりやや表層に、エアを伴った楕円状の腸管影を認めるではありませんか!!!


外科医にコンサルトすると、たしかにコレは閉鎖孔ヘルニアとのことでした。骨盤CTを撮像すると、骨条件より分かりにくいですが閉鎖孔ヘルニアでした。



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鼠経ヘルニアは比較的よくみかけますが、閉鎖孔ヘルニアは初めてです。どおりで痛いはずです。認知症の方が、安静時にまでメチャメチャ痛がるのは尋常ではありません。


よく、こんなモノをみつけたなと、同僚医師に関心しました。ちなみにCPKは正常範囲内でした。発症間もないので動きがなかったのでしょう。


明朝まで放置していたら、腸管壊死に至っていた可能性が高いです。それにしても思わぬところに落とし穴があるものです。






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