整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

腫瘍

さようなら、非骨化性繊維腫!

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私の記録の中で、現在の勤務先の勤続年数は最長記録を更新中です。
一般的に医局人事で動いていると、2~3年周期で異動することが多いと思います。


卒後教育や不公平感是正という意味では、これぐらいのスパンの異動は望ましいと思います。しかし、ひとつの施設に長い間勤務していなければ分からないこともあることに気付きました。


先日、大腿骨遠位骨幹端の非骨化性繊維腫(Non-ossifying fibroma: NOF)の18歳女性を無事に「送り出し」ました。「送り出した」とは、経過観察終了にしたということです。


この患児は12歳から外来フォローを続けていました。当初は膝関節打撲で単純X線を撮影したのですが、偶然にも大腿骨遠位骨幹端にそこそこのサイズの非骨化性繊維腫を発見したのです。


通常、自分だけでこれだけ長期に渡る外来フォローを行うケースはあまり無いと思います。たいてい異動のタイミングで「もう、そろそろ終了にしよう」や後任医師に任せることになります。


しかし、自分が前任医師から託されたNOFなどの疾患は、自分が主体になって最後までフォローしている実感をイマイチ得ることができませんでした。


一方、今回のケースでは15歳を超えてから急激に骨透亮像が小さくなっていくことを確認できました。そして、遂に先日撮影した単純X線像では骨透亮像が消失したのです!


まだ小学生だった患児が大学生になる姿を見るのは、ちょっと感無量でした(笑)。もちろん、年に1回しか診察しないので、小学生の頃の顔ははっきり覚えていません。


しかし、教科書通りにきっちり二十歳前にNOFが消失する経過は、ひとつの施設で長い年月勤務しなければなかなか味わえない経験かなと思いました。




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がんとの闘いは10年生存率も重要

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週刊ダイヤモンドの2016年2月27日号で興味深い記事がありました。
がんの10年生存率を読む  長期戦か短期決戦かで生活設計を  です。




がん診療、研究を実施する国公立病院など32施設が加盟する全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)が28種類のがんの10年生存率を公表した。  


1999~2002年に診断と治療を受けた約3万5000例のデータで、これだけ大規模な情報公開はわが国では初めて。 それによると、全臓器・全ステージ(病期)の10年生存率は58.2%だった。臓器別では甲状腺がんの90.9%に続き、前立腺がん84.4%、子宮体がん83.1%、乳がん80.4%と続く。  


このところ増加傾向の大腸がんの10年生存率は69.8%、がん死因トップの肺がんはぐっと下がって33.2%、ワースト1位は膵がんの4.9%だった。  


データを利用する際は、全病期を丸めた生存率を鵜呑みにするのではなく、病期別のデータを参考にする必要がある。病期が1期の「早期」と4期の「進行・末期」とでは条件が違い過ぎるからだ。  


実際に経過途中の5年生存率を見ると、前立腺がんの場合1~3期は100%だが、4期では5年生存率でも54.5%まで下がる。  


前立腺がんは治療の選択肢が多いこともあり、他の臓器や骨への転移が深刻ではない限り「手を替え、品を替え」余命を引き延ばすことが可能だ。言い換えれば「転移」を抑える長期戦に耐える覚悟が必要だということ。  


一方、肺がんの5年生存率は、全病期を通じて39.5%。1期は77.9%と8割近いが、4期になると5.6%と衝撃的な数値が出てくる。しかも病期が進むほど治療開始1、2年目の生存率ががくっと落ちる。早期発見の重要性は言うまでもないが、短期決戦で濃厚な治療を覚悟すべきだろう。  


逆に女性の乳がんは10年生存率でも8割以上と高いが、ジワジワと低下し続けるのが特徴。一般に治癒の目安といわれる5年を過ぎても再発・転移の可能性があり、10年、20年はがんと付き合う心構えと経済計画が必要だ。  


なにせ、2人に1人ががんにかかる時代。このデータはいたずらに余命に怯えるのではなく、がん発症を織り込んだ生活設計を立てる際の参考にしたい。
                                 




知り合いから、癌についての相談があったので、全国がん(成人病)センター協議会が2016.1.20に公表した28種類の癌の10年生存率のデータを興味深く拝見していました 。


10年生存率のデータを見て「この種類のがんは、これぐらいの生存率か」と思っただけでしたが、今回の記事を拝読して私はデータを全く理解していなかったことに気付きました。


一般的に、癌の治療においては5年生存率が重要視されており、5年生存できればその後のことはあまり省みられないと思います。


しかし、前立腺癌や乳癌においては10年経過後もじわじわと生存率が低下するので、10~20年スパンの長期戦覚悟で人生設計をする必要があるようです。


私は表面的な数字しか見ていなかったのですが、患者さんの身になって考えてみると、生存率の数字から異なる風景が見えてきました。ちょっと、考え方が浅かったかなと反省しています。

 




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私が実践する骨軟部腫瘍診察の基本

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骨・軟部悪性腫瘍を診察するケースは、市中病院においてはそれほど頻度が高くないと思います。しかし、見逃すと患者さんの予後に関わるので、悪性腫瘍を念頭に置いた診察が必要です。


良悪性の簡易な判断法は腫瘍サイズだと思います。やはり、5cmを超えるものは悪性腫瘍を念頭に置くべきです。10cm以上はかなりアブナイので専門施設への紹介が望ましいと思います。


骨腫瘍の診断に関しては、画像診断だけでも比較的診断が容易です。単純X線像だけでも、全体の80%ぐらいの症例で良悪性の鑑別が可能だといわれています。


良性骨腫瘍の所見として下記のような特徴があります。

1. 境界明瞭
2. 辺縁に硬化像がある
3. 経時的な増大傾向が無い


悪性骨腫瘍の所見として下記のような特徴があります。

1. 境界不明瞭
2. 骨膜反応がある
3. 経時的な増大傾向がある
4. 骨外病変が存在する


一方、軟部腫瘍の診断は非常に難しいと思います。画像診断はMRIが中心ですが、はっきり言って私には全く分かりません(笑)。


私がMRIの所見で良性腫瘍と言い切れる軟部腫瘍は、脂肪腫、嚢腫、神経鞘腫ぐらいです。悪性軟部腫瘍の多くは境界明瞭であり、骨腫瘍のように悪性に特徴的な所見はありません。


悪性軟部腫瘍は、悪性骨腫瘍と比べて比較的高齢者に多いことも特徴です。したがって、経時的に増大傾向がある高齢者の腫瘍は、アブナイので専門施設への紹介が望ましいと思います。


最後に、骨盤の骨腫瘍(転移性腫瘍を含む)や後腹膜腔の軟部腫瘍などの体幹部に発生する腫瘍の存在には注意を払う必要があります。


これらの腫瘍は症状が出にくいので、腫瘍が大きくなるまで発見されないケースが多いです。私の周りにも後腹膜腔の悪性軟部腫瘍のため、不幸な転帰を辿った方が居られました。


あまり有効な対策は無いですが、慢性腰痛の患者さんに関しては体幹部悪性腫瘍の存在を念頭に、一度ぐらいはCTやMRIなどで骨盤や後腹膜腔の精査をしてもよいかもしれませんね。



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 骨・軟部腫瘍および骨系統・代謝性疾患 (整形外科専門医になるための診療スタンダード 4)


本当はガングリオンだったのでは??

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先日、外来をしていると De Quervain 病の方を診察しました。
もちろん、De Quervain 病自体は珍しくも何ともありません。


しかし、今回の方は橈骨茎状突起部がかなり膨隆していました。ぎょっとする程度ではないのですが、「アレ?ちょっと腫れているな 」 程度には目を引きます。


しかし、De Quervain 病で滑膜炎症の強い患者さんでは、橈骨茎状突起部がびまん性に腫脹することは散見します。今回の患者さんもそのケースに該当するのかなと思っていました。


一応触診してみるとAPLとEPB上に何となく固い腫瘤を触知するような気がしました。 ???と思って丹念に触診すると僅かに可動性のある径10mm×5mm程度の腫瘤のようです。


「 これは、もしやガングリオンでは? 」 と思い、橈骨神経浅枝がイヤでしたが思い切って穿刺してみました。すると、少量のゼリー状の内容物を吸引できました・・・


結論的にはガングリオンによる物理的圧迫が原因のDe Quervain 病だったのです。よく考えると第一コンパートメントには腱鞘があるので、ガングリオンが発生しても不思議ではありません。


しかし、私の比較的長い医師生活で、ガングリオンがこの部位に発生した患者さんを診察するのは初めてです。ふと、本当に初めての経験なのか? という疑念が湧き上がってきました。


今までびまん性の滑膜炎だと思っていた患者さんの何割かは、実はガングリオンであったということは無いのか? という疑念です。


思い返すと、絶対にガングリオンでは無いと言い切れないDe Quervain 病の患者さんが何人か居るような気がしました。もしや、あの患者さんも実はガングリオンではないのだろうか・・・


次回からは橈骨茎状突起周囲が腫脹している場合には、一応ガングリオン併発の可能性も頭の片隅に留めておきたいと思います。



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 骨・軟部腫瘍および骨系統・代謝性疾患 (整形外科専門医になるための診療スタンダード 4)


キャンサーボードって何ですか?

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私は時間のあるときに日本整形外科医学会雑誌をナナメ読みしています。
場末の勤務医なので、何もしていないとバカになってしまう可能性が高いからです(笑)。


今回の日整会誌(Vol.89 No.10 October 2015)では、第47回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会の「骨転移治療戦略とがんのリハビリテーション」のシンポジウムを特集していました。


このシンポジウムでは「キャンサーボード」というフレーズが頻用されています。キャンサーボードとは何ぞや? 私は癌治療に関わることがほとんど無いので初めて見る言葉です。


キャンサーボードとは、英語のcancer board(=がんの評議委員会)という意味から、広い意味でとらえれば「がん医療に関する問題に対応するための院内の組織」となるそうです。


厚生労働省が、がん診療連携拠点病院の指定要件として「より適切ながん医療を提供できるよう、キャンサーボードを設置し定期的に開催すること」としたことで重要視されるようになりました。


たとえば、東京大学では各診療科の医師、看護部、薬剤部、外来化学療法部、放射線部、病理部、検査部、緩和ケア診療部、がん相談支援センター担当者などさまざまな職種が集まります。


そして、キャンサーボードでは一般的に下記のケースについて検討することが多いそうです。

① 原発不明がん
② 胚細胞腫瘍(卵子や精子になる細胞から発生した腫瘍。乳児・小児で見つかることが多い)
③ 心臓疾患、高齢者の認知症など合併症がある、あるいは複雑な病態を持っている
④ 重複がん(1人で複数の臓器からがんが発生する)
⑤ 病理医が診ても診断の確定が難しい


キャンサーボード設置によって、従来の医師の視点からの治療のみではなく、多職種ががん医療を話し合う機会を持つことによって、患者さんの希望をより反映できるようになるそうです。


整形外科医のキャンサーボードへの関わり方は、骨転移患者の骨折や麻痺のリスクを評価して、リスク軽減の対策と指導を行うことになります。


忙しい日常診療の中で、時間を割いて大勢が集まるのは関係者の負担も大きいですが、患者さんの利益であることは間違いないので、キャンサーボードが普及したら良いなと思いました。



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