整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

骨粗鬆症

骨粗鬆症性疼痛の原因は?

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外来で診る高齢患者さんは慢性的な腰背部痛を訴える方が多いです。特に陳旧性の多発性脊椎圧迫骨折のある方に多い印象です。


このような慢性的な腰背部痛は、骨粗鬆症性疼痛だと思いますが、その原因はいったい何なのでしょうか? 疑問に思ったので文献を渉猟してみました。


椎体内の微小骨折、脊椎アライメント不良、脊椎の不安定性、骨粗鬆症そのものの痛み等の諸説がありますが、基本的にはまだ原因は分かっていないようです。


一方、PTH製剤やイベニティなどの抗スクレロスチン抗体製剤を投与すると、これらの慢性腰背部痛が軽快することはよく経験します。


骨密度が上がったり骨質が改善すると腰背部痛が軽減する症例では、骨粗鬆症そのものが痛みを生じさせているのかもしれません。


骨粗鬆症の治療は高血圧症などの内科的慢性疾患と同様に思いがちですが、無症状である高血圧症などと異なり、慢性腰背部痛という症状を軽減させる可能性があります。


PTH製剤や抗スクレロスチン抗体製剤は高価な治療薬ですが、慢性腰背部痛を軽減させる可能性を説明すると乗り気になる患者さんが多いので、決めゼリフに使用しています。







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YAM値だけではなく SDにも注意を払おう!

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先日、骨密度(BMD)について考える機会がありました。
大腿骨でT値(YAM値)71%(-2.5SD)・Z値 89%(-0.7SD)という症例です。


周知のように、同年代で比較する場合にはZ値を参照にします。この数字をみて、同年代の89%程度の骨密度だから平均と比べて著しく劣っているわけではない、と私は考えました。


しかし、他の整形外科医に、上記主張は統計学的に考えると誤りであると指摘されました。Z値も重要ですが、同年代比較では標準偏差(SD)で考える方が望ましいとのことです。


たしかに、集団の中での位置を考える際には標準偏差で評価する方が妥当です。本症例では、Z値 89%に対して標準偏差は
0.7SDです。


この数字は集団の下位約 25%に位置することになります。この結果は、医学的に考えても同年代より明らかに骨粗鬆症が高度といえます。


Z値が 89%なので同年代比で著しく劣るわけではないイメージですが、実際には下位 25%なのです。これからは T値や Z値だけではなく、
標準偏差にも注意を払おう...。







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骨代謝マーカーの臨床的意義を再考

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先日、前医からの引継ぎ患者さんの診察を行いました。治療内容は骨粗鬆症です。骨粗鬆症の治療は医師によって好みが分かれるため、ときどき驚かされることがあります。


今回の症例は閉経期女性で、YAMがやや低値を指摘された女性の経過観察でした。前医は骨代謝マーカー(TRACP-5b)で1年に一度フォローされていたようです。


カルテにはYAM値の情報がなく、延々とTRACP-5bの数値だけが記載されています。なぜ無治療の患者さんに骨代謝マーカーの定期フォローなのでしょうか???


ご存知のように、骨代謝マーカーは動的なマーカーで、現時点での骨代謝状態を鋭敏に反映します。静的な指標である骨密度(BMD)との最大の相違点はリアルタイムなことです。


骨代謝マーカーが骨粗鬆症の臨床で求められている役割は、①骨代謝状態の評価と②薬物治療の評価です。侵襲を伴う検査なので、一般的には②薬物治療評価がメインだと思います。


このため、更年期とはいえ無治療の患者さんに対して定期的にTRACP-5bを計測し続ける意義は小さいのではないかと考えています。


もちろん、骨吸収マーカーである
TRACP-5bが急激に高値になれば、薬物治療を開始するきっかけになるかもしれませんが、医療経済的にはいかがなものかと感じています。





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骨粗鬆症患者の顎骨壊死

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日整会誌93(1)2019, 43-49で、骨粗鬆症患者の顎骨壊死に関する教育研修講座がありました。改訂ポジションペーパー2016の問題点と新規予防法の効果 です。


少し前に BP 製剤による顎骨壊死が話題になりました。病態としては顎骨「壊死」ではなく顎骨骨髄炎なのですが、「骨壊死」という病名が混乱に拍車をかけたようです。


このため、歯科医師が抜歯などの歯髄処置を行う際に、あらかじめ BP 製剤の休薬を歯科医師から求められることが多発しました。


医師サイドでは、患者さんの抜歯を人質にとられているので、歯科医師の BP製剤休薬要求を了承せざるを得ません。


しかし、日本骨粗鬆症学会の調査では、 BP 製剤の休薬を契機に約16%の患者で骨粗鬆症の治療が中止されていることもわかりました 。これは由々しき事態です。


その後、BP 製剤の休薬に顎骨壊死予防効果がないことが報告されるようになり、一時期のようなセンセーショナルな状況は沈静化しています。


改訂ポジションペーパー2016年では「EBM の観点に基づいて論理的に判断すると歯科治療前の  BP 製剤休薬を積極的に支持する根拠にかける」と記しました。


では顎骨壊死の予防法としてどのようなものが重要なのでしょうか。国際顎骨壊死コンセンサスペーパーが提示する骨粗鬆症患者の顎骨壊死予防の最初は以下の通りです。


  • BP 製剤あるいはデノスマブ製剤を処方する前に感染症となる歯を抜歯するかあるいは治療を行って感想を可能な限りなくす
  • 定期的に歯科を受診して口腔衛生状態を良好にする


結局のところ顎骨壊死の予防法としては口腔ケアが最も重要なようです。そして、ドイツなどの欧米の例に見習って、医科歯科連携を推進するべきなのでしょう。






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BMLは変形性膝関節症の増悪因子

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変形性膝関節症は、単純X線像で診断されることが多い疾患ですが、 MRIの普及によってbone marrow lesion (BML)と呼ばれる病態が明らかになりました。



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BMLは、MRIにおいて骨髄内の T1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号をきたす信号変化です。BMLは、骨粗鬆症と変形性膝関節症との関連で注目されています。


膝関節は、変形性関節症が進行する過程で、ごく小さな骨壊死が頻回に発生していると言われています。この過程は、股関節の大腿骨頭壊死症とは大きく異なります。


最近では、膝関節骨壊死症は、軟骨下骨挫傷によって二次性に発生する骨壊死である可能性が高いと考えられています。つまり、この骨壊死がMRIで軟骨下骨に認められる BMLです。


BMLは軟骨下骨の骨挫傷なので、骨粗鬆症が進行すると併発するリスクが増加します。このため、変形性膝関節症の進展を予防するためにも、骨粗鬆症の治療が重要となります。


私は、変形性膝関節症と骨粗鬆症は関係の無い病態だと考えていましたが、BMLのことを考慮すると、変形性膝関節症の患者さんには積極的に骨粗鬆症の治療も行おうと思いました。






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