整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

肩関節

腱板損傷後の脂肪変性とは?

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腱板損傷後の脂肪変性をご存知でしょうか?
恥ずかしながら、最近まで私は全く知りませんでした(笑)。


脂肪変性とは、腱板損傷をおこした筋肉内に起こる変化です。腱板損傷によって機能の低下した筋肉内に脂肪細胞が浸潤することで脂肪変性が発生します。



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脂肪変性を併発しているということは、腱板筋の弾力性や機能が低下していることの証左になるので、腱板再建術を施行しても再断裂する可能性が高くなります。


腱板再建術後の再断裂を予測する目的で、GoutallierらはCT画像を使用して脂肪変性を5段階に分類しました。今では、CTよりもMRIの分類に置き換わっています。


腱板損傷後の脂肪変性併発率は30~70%とバラツキがあり、腱板損傷後3ヵ月以降に画像上で認められることが多くなります。


肩関節外科医にお伺いすると、腱板再建術に際して棘上筋や棘下筋内の脂肪変性を重視しているとのことでした。う~ん、なるほど勉強になります。





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その痛みは肩ですか?

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表題違いで恐縮ですが、ケアネットの連載企画【医師のためのお金の話】第6回が本日アップされました。お題は、不動産は資産の王様 です。



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第1~3回は資産形成総論、第4、5回は株式投資の話でした。今回からは資産形成の王道である不動産投資です。1分ほどで読了可能なので、是非ケアネットを訪問してくださいね。



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さて本題ですが、整形外科外来をしていると「肩」が痛いですと言われることが非常に多いです。さて、この場合の「肩」とは、どこを指すのでしょうか?


私の経験上、肩が痛いと言われて実際に痛みの部分が肩関節であるのは半分ぐらいの印象です。残りの半分は肩関節ではなく、頚部痛や上腕痛です。


しかし、患者さんからみると、後頚部も上腕もひっくるめて「肩」であるという認識が一般的なようです。


これは、手指のDIP関節やPIP関節を「第一関節」「第二関節」と言う方が圧倒的に通用することに少し似ていると思います。


最初から肩が痛いではなく、頚部が痛いと言ってもらえると助かるのですが、そんなことを患者さんに期待するのは非現実的です。


いちいち「肩ですか頚部ですか?」と患者さんに指さしで確認するのは面倒なため、私は肩が痛いという主訴の患者さんには、まず肩関節を挙上してもらうことにしています。


この動作で耳まで挙上できる患者さんなら、疼痛部位は肩関節ではなく後頚部である確率が高まります。


逆に挙上できなければ、肩関節の可動域を測定したことになるので時間の節約になります。このようにして、少しずつですが時間を節約して診療速度を上げる努力をしています。






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痛い腱板断裂と痛くない腱板断裂

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先日、拝読した雑誌に興味深い特集がありました。東北大学の山本宣幸先生による「痛い腱板断裂と痛くない腱板断裂 その違いは?」です。要旨をまとめてみました。




多くは「痛くない腱板断裂」


一般住民664人のポータブル超音波診断装置を用いた調査の結果、664人のうち147人(22%)に腱板断裂を認めた。40歳以下の腱板断裂はなく、加齢とともに頻度が上昇した。


しかし、症候性腱板断裂は、腱板断裂のみられた住民の35%に過ぎなかった。断裂は50歳台から生じて加齢とともに増加し、症候性断裂と比べて無症候性断裂の頻度が増加する。




断裂拡大と痛み


外傷性断裂や若年者の断裂は別として、基本的に腱板断裂の治療の第一選択は保存治療である。手術治療では、小中断裂の術後成績は良好であるが、大広範囲断裂は成績が劣る。


断裂拡大の危険因子は下記のごとくであったが、興味深いことに職業や年齢は、断裂進行の危険因子ではなかった。また、断裂拡大群で痛みの悪化がみられたのは29%に過ぎなかった。

  • 喫煙
  • 断裂長が1cm以上2cm未満の断裂
  • 完全断裂




「痛い腱板断裂」と「痛くない腱板断裂」に断裂形態に差はあるのか?


両群間に断裂の大きさや形態に差は無かった。





「痛い腱板断裂」と「痛くない腱板断裂」の差は何なのか?


インピンジメント徴候陰性、非利き手側、外旋筋力低下なしの3項目を満たす腱板断裂の93.8%は無症候性だった。肩峰下インピンジメントを予防する肩甲骨の機能改善が重要である。


腱板断裂の痛みの原因として肩峰下滑液包炎や肩甲上腕関節包炎が指摘されているが、その存在は証明されていなかった。骨シンチグラフィーを用いた研究で、炎症の関係が示唆された。





日常臨床でよく遭遇する腱板断裂ですが、私は肩関節外科医ではないので、よく分からない点が多いです。今回の特集を拝読して、腱板断裂に対する理解が少しだけ深まった気がします。






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石灰沈着性腱板炎では正面・内旋像!

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先日、高齢の入院患者さんに、熱発と肩関節痛が出現しました。
診察すると、あきらかに右肩関節が腫脹しています。


高度の認知症のため、コミュニケーションをとることが不可能なのですが、触るとかなり痛そうです。これは、石灰沈着性腱板炎である可能性が濃厚です。


高齢の認知症患者さんなので、念のために血液生化学検査と胸部X線像を依頼しました。胸部X線像は異常所見がなかったのですが、血液生化学検査ではWBC/CRPとも高値です。



ER



そして、問題の肩関節の単純X線像をみると、ナント石灰沈着が無いじゃないですか!エ~、石灰沈着性腱板炎じゃないの? 不明熱は気持ち悪くて嫌だな、と先走ってしまいました。



IR



しかし、次の肩関節正面像(内旋)をみると、立派な(?)石灰沈着がばっちり写っていました。最初の画像(外旋像)をもう一度見直しましたが、石灰沈着は上腕骨頭の後ろに隠れています。


大結節に停止する棘上筋を観察するには、肩関節の内旋・正面像が必要なようです。中間位~外旋位で撮影したものでは腱板に沈着した石灰を読影できないこともあります。


このため、石灰沈着性腱板炎を疑ったときには、肩関節X線像の正面像の内外旋を両方とも確認するべきだと思いました。





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肩腱板断裂のトリビア

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先日、群馬大学整形外科学教室の前教授である高岸憲二先生の講演を拝聴しました。講演内容は、肩腱板断裂についての疫学調査でした。


群馬大学のグループは、群馬県利根郡片品村で行われた特定検診において運動器検診を行い、腱板断裂を含めた整形外科領域の各種疾患の有病率を調査しました。


腱板断裂の調査には超音波検査を用いたそうで、結果は下記のごとくです。
  • 50歳以上の住民の26.6%に腱板断裂を認めた
  • 高齢になるとともに有病率が高くなる
  • 背景因子は①外傷の既往 ②利き腕側 ③年齢


上記の結果の中で無症候性の腱板断裂に関しては下記のごとくでした。
  • 症候性断裂の割合は34.6%、無症候性断裂は65.4%
  • 無症候性断裂の割合は、年代に関わらず腱板断裂例の約2/3であった


う~ん、 これはかなり興味深い結果です。これほど無症候性腱板断裂の割合が多いとは思いませんでした。人口比で26.6%×65.4%=17.4%の方は、無症候性腱板断裂ということになります。


このことから、肩関節周囲炎と言われている患者さんの中にも、かなりの割合で腱板断裂が紛れ込んでいる可能性が示唆されます。


腱板再建術後の再断裂例でも、再断裂が大きくなければ術後成績は良いことが知られています。 何に対して、何を目的に手術を施行しているのか? 肩関節は奥が深いですね。。。





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