整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

肩関節

石灰沈着性腱板炎では正面・内旋像!

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先日、高齢の入院患者さんに、熱発と肩関節痛が出現しました。
診察すると、あきらかに右肩関節が腫脹しています。


高度の認知症のため、コミュニケーションをとることが不可能なのですが、触るとかなり痛そうです。これは、石灰沈着性腱板炎である可能性が濃厚です。


高齢の認知症患者さんなので、念のために血液生化学検査と胸部X線像を依頼しました。胸部X線像は異常所見がなかったのですが、血液生化学検査ではWBC/CRPとも高値です。



ER



そして、問題の肩関節の単純X線像をみると、ナント石灰沈着が無いじゃないですか!エ~、石灰沈着性腱板炎じゃないの? 不明熱は気持ち悪くて嫌だな、と先走ってしまいました。



IR



しかし、次の肩関節正面像(内旋)をみると、立派な(?)石灰沈着がばっちり写っていました。最初の画像(外旋像)をもう一度見直しましたが、石灰沈着は上腕骨頭の後ろに隠れています。


大結節に停止する棘上筋を観察するには、肩関節の内旋・正面像が必要なようです。中間位~外旋位で撮影したものでは腱板に沈着した石灰を読影できないこともあります。


このため、石灰沈着性腱板炎を疑ったときには、肩関節X線像の正面像の内外旋を両方とも確認するべきだと思いました。





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肩腱板断裂のトリビア

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先日、群馬大学整形外科学教室の前教授である高岸憲二先生の講演を拝聴しました。講演内容は、肩腱板断裂についての疫学調査でした。


群馬大学のグループは、群馬県利根郡片品村で行われた特定検診において運動器検診を行い、腱板断裂を含めた整形外科領域の各種疾患の有病率を調査しました。


腱板断裂の調査には超音波検査を用いたそうで、結果は下記のごとくです。
  • 50歳以上の住民の26.6%に腱板断裂を認めた
  • 高齢になるとともに有病率が高くなる
  • 背景因子は①外傷の既往 ②利き腕側 ③年齢


上記の結果の中で無症候性の腱板断裂に関しては下記のごとくでした。
  • 症候性断裂の割合は34.6%、無症候性断裂は65.4%
  • 無症候性断裂の割合は、年代に関わらず腱板断裂例の約2/3であった


う~ん、 これはかなり興味深い結果です。これほど無症候性腱板断裂の割合が多いとは思いませんでした。人口比で26.6%×65.4%=17.4%の方は、無症候性腱板断裂ということになります。


このことから、肩関節周囲炎と言われている患者さんの中にも、かなりの割合で腱板断裂が紛れ込んでいる可能性が示唆されます。


腱板再建術後の再断裂例でも、再断裂が大きくなければ術後成績は良いことが知られています。 何に対して、何を目的に手術を施行しているのか? 肩関節は奥が深いですね。。。





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翼状肩甲骨(Winging scapula)を初めて診た!

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先日の外来で、翼状肩甲骨(Winging scapula)を初めて診ました。
弾発肩甲骨は診たことあるのですが、翼状肩甲骨は経験ありませんでした。


今回は、右側だけ肩甲骨が膨らんでいるという主訴でした。診察すると、確かに右側肩甲骨内側縁だけが浮き上がっていました。これは翼状肩甲骨のようです。


翼状肩甲骨は、前鋸筋が麻痺することが原因です。症状としては、肩甲骨の内側縁が浮き上がって翼状肩甲骨となり、腕を前方へ挙上できなくなってしまいます。


前鋸筋の単独麻痺は、テニスのサーブやゴルフのクラブスイングそして産褥期の腕を挙上した側臥位での新生児との添い寝などによって長胸神経が伸張されて発生します。


 一方、腕を下方に牽引して肩甲骨を胸郭に押し付けると、第2肋骨で長胸神経が圧迫されることも証明されています。このことから重いリュックを背負った後にも生じるようです。


尚、進行性筋ジストロフィーなどでも同様な症状が見られますが、両側性のことが多いようです。この場合には神経内科へ紹介した方がよさそうです。


スポーツや特異な肢位による前鋸筋の麻痺と判断されたら、原因となっている動作や肢位を避けさせると、平均9ヵ月で回復します。手術が必要なケースは稀なようです。




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それは”できもの”ではありません(笑)

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先日、80歳前半の方が肘のやや近位に ” できもの ” ができたとのことで初診されました。
診察すると、肘関節から約5cmほど中枢側に径5cmほどの腫瘤があります。


数日前に気付いたとのことですが、特に痛みは無いとのことでした。整形外科医なら見た瞬間に分かると思いますが、これは上腕二頭筋腱断裂です。


特に重い物を持った記憶も無いとのことですが、上腕近位の結節間溝に圧痛があります。通常は少し重い物を持ったりした後から軽度の脱力感が出現して気付くケースが多いです。


高齢者に多いため手術を選択することはほとんど無いです。若年者であれば筋力が若干低下するため手術を行う場合があるそうですが、少なくとも私は経験ありません。


確かに肘の近くにコブのようなものがあると見た目に悪いです。しかし、少なくとも悪いものではないということを説明したところ安心して帰られました。


入室から説明が終わって患者さんが退出するまで2分ほどでした。何か治療をしたわけではないですが、患者さんの満足度が高い(?)疾患だと思いました。



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                                 肩関節のMRI-読影ポイントのすべて



鎖骨遠位端骨折にクラビクルバンド?

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先日のことですが外来をしていると鎖骨遠位端骨折の患者さんが紹介受診されました。
単純X線像では骨折部の転位を認めます。う~ん、これは手術適応です。


しかし、ご本人は手術が嫌とのことで、偽関節覚悟で保存治療を選択されました。そして、何気なく骨折部をみると、クラビクルバンドを装着していました。


鎖骨遠位端骨折にクラビクルバンド?? と思いましたが、前医の処置なので何も言いませんでした。後医は
前医での詳細なやりとりを知らないのに、安易な治療の批判は避けるべきです。


しかし、一般論として鎖骨遠位端骨折にクラビクルバンドは意味が無いと思います。敢えて言うなら、ストラップ部分で鎖骨中枢側を上から押さえ込むことに意義があるぐらいでしょうか?


渉猟したかぎり、鎖骨遠位端骨折に対する保存療法でクラビクルバンドが有意に有効であったという報告は無いようです。


論理的に考えても、三角巾を使用して患側上肢を持ち上げることで、鎖骨遠位端骨折部にかかるストレスを軽減する方がまだマシな治療法ではないかと思います。


転位のある鎖骨遠位端骨折は基本的に手術適応だと思いますが、偽関節になってもそれほど支障をきたさないので、患者さんとよく相談して治療方針を決定することが望ましいと思います。



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