整形外科医のブログ

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肩関節

凍結肩の MRI所見

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日整会誌. 94: 413-418 2020 に興味深い教育研修講演が掲載されていました。肩関節変性疾患の診断と治療 です。


この中で、いわゆる凍結肩についての記載がありました。凍結肩とは、他動的にも屈曲 100度未満、外旋 10度未満、内旋 L5未満の症例を言います。


いわゆる関節拘縮の状態ですが、私は関節拘縮には有意な画像所見は存在しないと考えていました。ところが、凍結肩においては MRIで下記のような所見が散見されるようです。


  • 関節口腔内や肩峰下滑液包内に水腫を認める
  • 下方関節包(腋窩嚢)のたるみが消失、直線的な肥厚


患側のみの読影は難しいかもしれませんが、健側と比較すれば多少分かりやすいかもしれません。CLINICAL REHABILITATION Vol.26 No.9では、下記のような画像がありました。


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なるほど、関節拘縮であっても MRIで客観的な所見を得ることができるようです。肩関節のMRIでは、上記以外にもいくつかの所見が提示されていました。勉強になります...。






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腱板疎部損傷って何だ?

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腱板疎部ってご存知でしょうか?
名前はよく聞きますが、実際に腱板疎部損傷の患者さんを診たことはありませんでした。


30歳台で社会人野球をしている方が右肩関節周囲炎で受診されました。そりゃー、あなた四十肩でしょうと思いましたが、投球肩の可能性もあるので MRIを撮像しました。



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すると、腱板疎部に一致して高信号領域を認めます。ムム、これはわが生涯初めての腱板疎部損傷の患者さんではないのか...。


うるさく言う親への対応がメンドーなので、スポーツ整形外科は避けるようにしています。このため、腱板疎部損傷というメジャー(?)な疾患をほとんど認知していませんでした。


これまでは机上の知識だけだったので、このようにMRIで明確な腱板疎部損傷の患者さんを診るのは初めてです。


腱板疎部とは、棘上筋と肩甲下筋の間にある腱板の無いスペースです。この部分のみ関節包しか存在しません。その理由は近位に烏口突起があるためです。


腱板疎部の最も広い部分は烏口突起の横で、遠位にいくほど狭くなります。腱板疎部は関節包しかないので弱いと思いがちですが、腱板損傷が発生しないので意外と強い組織です。


よほどの外力が加わらないかぎり、関節包が断裂することはないからです。そうは言っても投球動作等の慢性的な機械刺激では、腱板疎部の関節包も炎症を併発します。


今回の症例では、そのような状態を捉えたのでしょう。腱板疎部炎と腱板疎部損傷の違いは便宜上のもので、両者はオーバーラップしているそうです。う~ん、奥が深い...。






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SLAP損傷に併発したガングリオン

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先日、誘因なく右肩関節部痛が出現したとのことで40歳台の患者さんが受診されました。四十肩ですね~と言って関節注射を施行したのですが、イマイチ症状が軽快しません。


思い切ってMRIを撮像してみたのですが、画像所見をみて驚きました。肩甲骨の棘上窩にガングリオンがあったのです!



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調べてみると、肩関節周囲のガングリオンはSLAP損傷に併発することが多いとのことでした。今回の症例でも後上方関節唇が膨化しているようです。


はっきりと後上方関節唇損傷部からガングリオンが伸びている所見は確認できませんでしたが、おそらく関節外の後上方関節唇損傷部から発生したガングリオンなのでしょう。


これだけ大きいと、肩甲上神経を圧迫して棘下筋の運動麻痺を併発する可能性があります。神経伝導速度検査もしなければなりません...。






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肩関節脱臼の整復の悩み

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先日、80歳台の肩関節前方脱臼の方が救急受診しました。単純X線像を確認すると、脱臼だけではなく大結節骨折も併発しています。


私は、肩関節脱臼の徒手整復に苦手意識を持っています(苦笑)。いろいろ試しますが、なかなか整復できないことが多いからです。


最近では、Stimson法を20~30分ほど施行して脱臼が整復されない場合には、あっさり麻酔科の先生に静脈麻酔を依頼します。


高齢者で筋肉量が少ない方でも徒手整復はあなどれません。患者さんは痛いので全力で脱臼整復を阻止する方向に力を入れます。


無理して徒手整復しようとすると、骨折を併発する危険性が高まります。一方、意識を取ると簡単に整復できるので、最も愛護的だと考えています。


我ながら全くリスクテイクしない安易な選択だという意識はあるのですが、卒後5年目ぐらいの時に、高齢者の肩関節脱臼で骨折を併発してしまったことがトラウマになっています。


問題点はいつも麻酔科医師にお願いできるとは限らないことです。斜角筋間ブロックや関節内ブロックを試したことがありますが、手技の問題かいずれもイマイチでした。


肩関節脱臼はそこそこ症例があるので、何か妙案がないかなと思っていますが、決定打が無いことが私の悩みです...。







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棘上筋停止部は小結節まで及んでいる?!

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先日、肩関節の棘上筋腱停止部について調べる機会がありました。何となくですが、腱板の構成体のひとつなので、上腕骨大結節にべったり停止している印象がありました。


しかし、肩関節の文献を調べていると、意外にも大結節の前内側に停止しているようです。しかも文献によっては結節間溝をまたいで小結節まで停止部が存在するとのことでした!



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上記は東京医科歯科大学の望月先生による別冊整形外科58:7-10、2010のからの転載なのですが、この文献によると棘上筋停止部は小結節まで及んでいるようです。


大結節にべったり停止しているのは棘上筋ではなく、むしろ棘下筋の方のようです。意外なほど棘上筋は前方にシフトしていました。


私は、上腕骨の小結節に停止するのは肩甲下筋とバカのひとつ覚えのように記憶していましたが、どうやら認識を変える必要がありそうです。






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