整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

その他

駄ネタ: 包帯は人除け

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先日、ガラスで手背を切創して伸筋腱が断裂した症例がありました。創が比較的大きかったので、外来で創縫合ついでに伸筋腱も縫合しました。


術後3週間ほど手指伸展位で固定したのですが、その間のシーネ固定は包帯を用いていました。そして3週間経過して伸筋腱も問題なかったのでシーネ除去することにしました。


もちろん、創部も問題なかったので包帯もせずに診察を終了しようとしたのですが、患者さんから包帯を続けて欲しいと言われました。


ときどき創を見るのが怖いという人はいますが、この方は比較的強面の中年男性です。そんな弱音を吐くとも思えないので理由を問うと、思わぬ返答がありました。


この方曰く、包帯をしていると周囲の人が怪我人だと思って避けてくれるそうです。つまり、周囲の人除けのために包帯をもう少し続けたいとのことでした。


なるほど、包帯にはそのような効用もあるのか・・・。ただ、この方の場合、風貌が怖いので包帯などなくてもわざわざぶつかろうと思う人は少なそうですが(笑)。





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血清アミラーゼが上昇したら?

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入院中の患者さんで、ときどき血清アミラーゼが高値を示すときがあります。びっくりすることが多いのですが、下記のような症例に多い印象を受けます。

  • 高齢者
  • 術後1週間以降の亜急性期
  • 症状は特に無し
  • 何もしなくても自然軽快


先日もTKAの術後2週間でいきなり血清アミラーゼが上昇した症例がありました。ご本人にお伺いしても腹部症状や口腔内症状も含めて特に所見はありません。


このような場合には、アミラーゼのアイソザイムを測定すればよいのですが、結果が出るまで数日かかるので、本当に緊急性のあるときには役に立ちません。


内科医師にお伺いしたところ、このようなケースでは下記のような対応をすればよいと教えていただきました。

  1. LDHをはじめとする胆管系酵素上昇の有無
  2. 腹部CT施行
  3. 口腔周囲症状の有無
  4. 口腔内の清潔度の確認
  5. CEAやCA19-9などの精査


上記は主に、膵臓と唾液腺の疾患の精査です。意外だったのは口腔内が清潔でない患者さんはアミラーゼが高値になりやすいことです。唾液腺が閉塞しやすくなるからです。


⑤のCEAやCA19-9はアミラーゼ高値が続けば調べてみてもよいでしょう。無症状の症例での多くは、自然に軽快することが多いのでそれほど焦る必要はなさそうです。






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福島県・原子力災害を視察

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先週の週末は、医療系スタートアップの業務で福島県に出張していました。福島市の新規顧問先へのご挨拶が目的です。


わずか1日の弾丸出張でしたが、午前中に少しだけ時間があったので、福島県浜通りの視察に行きました。浜通りは、ご存知のように福島第一原子力発電所のある地域です。


最近の福島県浜通りの状況に関しては、あまり情報が入ってきません。事前に調べてみましたが、実際に帰還困難地域に立ち入りことができるのかさえ分かりませんでした。


今回は富岡町から入って、大熊町・浪江町・双葉町を通って南相馬市に抜ける国道6号線を走破する計画を立てましました。


被災地域を訪れようと思ったのは、原子力災害の現実を直接確認したかったからです。私は原子力発電は必要だと思っているのですが、本当に正しいのかを確認したかったのです。



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富岡町から大熊町に入ると、国道6号線の側道はすべてバリケードで封鎖されていました。帰還困難地域は、徒歩・自転車・自動二輪の通行が禁止されています。



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国道6号線から分岐する道も全て封鎖されています。震災から7年経過していますが、それほど荒れた雰囲気ではないです。しかし、もちろん誰も居ません。



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国道にあった放射線計測機は、2.245マイクロ・シーベルトでした。このレベルではまだ帰還は難しそうです。震災から丸7年経過していますが、極めて厳しい状況でした。


ニュースなどで間接的に知る情報と現場で感じた空気感では、やはり全く異なる印象でした。一度でも原子力災害が発生すると取返しのつかないことになります。


現在の東アジア情勢は極めて厳しいです。近隣国の脅威に対抗するためには、原子力技術の維持と宇宙開発は必要不可欠です。


しかし、原子力技術の維持には大きなリスクを抱えざるを得ない・・・。福島県浜通りの現状から、現実の難しさをまざまざと教えられました。






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日々結果にコミットする治療

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先日、接骨院の治療家と飲みに行きました。
整形外科医が治療家と飲むことはあまりないと思います。


病態に関する理解や医学的な素養に関しては比べ物にならないほどの差があるのですが、経済的な観点で言うと私たちよりも先を行っている点が多いのが興味深いです。


どういうことかと言うと、現在接骨院では保険診療がほぼストップしています。受領委任制度が厳格化されたため、医療保険をほぼ使えなくなったのです。


現在、彼らは自費で施術を行っています。自費で食べていくということは、私たちにはあまり想像できない状況です。


私たちは国民皆保険制度に守られているので、治療費について深く考えることは少ないと思います。しかし国民皆保険制度が崩壊すると、どれだけの人が生き残れるでしょうか?


残念ながら、多くの医療機関が経営破綻すると予想されます。少なくとも現在のようなこの世の春を謳歌することは不可能でしょう。


国民皆保険制度崩壊は時間の問題です。そして国民皆保険制度崩壊後にやってくる世界がどのようなものかを予想する上で、現在の接骨院が置かれている状況が参考になります。


それでは接骨院はどのようにして 生き残っているのでしょうか? 自費で100%自己負担となった場合、整形外科では患者さんの窓口負担は1回につき3000~5000円程度となります。


3000~5000円もの金銭的負担をものともせずに通い続ける患者さんがどれほど居るかを考えると、接骨院が置かれている状況の深刻さが理解できます。


彼らがその状況でも生き残っているのは、私たちとは根本的に考え方が異なっているからです。普通に考えて資本主義経済では、サービスに対してお金を支払います。


彼らはこのことを非常に理解しているため、施術に訪れた患者さんが接骨院から出るときに満足して帰ることを最優先にしています。


つまりどういうことかと言うと、必ず結果を出すことを至上命題にしているのです。仮に接骨院に来て、症状が何も改善されなければ二度目はありません。


このため、彼らには経過観察するという悠長な選択肢はありません。私たちの外来では、しばらく様子を見ましょうというフレーズを多用します。


これは、国民皆保険制度のおかげで患者さんは3割負担で済んでいるから可能な対応です。100%自己負担になったら、このような殿様商売は不可能になると思われます。


もちろんその場で結果を出すことを追求することが100%良いと思いません。純粋に医学的に考えると、経過観察が望ましい選択肢であることも多いです。


ただそれでは、普通の人は納得しないことも事実です。この点、医科は非常に守られていると感じています。


この幸せな時代が続く間は現在の診療スタイルで OK だと思います。しかし、現在の医療制度がこのまま持続するとはとても想像できません。 


国民皆保険制度が崩壊し始めると、現在の治療家が実践している「結果を出す診療」に方向転換する必要があると感じました。







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組織は集合知である

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先日、神経伝導速度検査のことで不明点がありました。
具体的には、腓骨神経に対して inching 法を実践できるか否かについてです。


恥ずかしながら、私は神経伝導速度検査について表面的なことしか理解していません。実際に私自身が腓骨神経の神経伝導速度を計測した経験はないのです。


このため inching 法を腓骨神経で実施できるか否かを全く判断できませんでした。これに関しては、実際に検査を施行している技師さんに確認するとすぐに教えてくれました。


解剖学的に言って、腓骨神経では inching 法を実施することがかなり難しいようです。この辺りのことは教科書を紐解いてもなかなか分かりません。


このように医学の分野では教科書や文献は万能というわけではなく、その行間に埋もれている知識や知見は山のようにあります。


これらの知識や知見にアクセスするためには、やはり専門家に直接お伺いするのが一番です。 専門家とは、もちろん医師に限りません。このケースでは技師さんでした。


今回の経験から、病院勤めしているメリットのひとつを感じました。おそらく開業して独りでやっていると、今回のようなことを知るのに労力が要ったのではないかと思います。


人が集まっている組織という存在は、知識の集合体でもあります。 経済的に成功するには、おそらく組織から離れて独立するのが最善でしょう。


しかし、組織に所属する間は、医師として成長するためにも、集合知という大きなメリットを最大限享受することを考えるべきかなと思いました。






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