整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

学術

虫垂炎の薬物療法の非劣性を確認

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Medical Tribuneに興味深い記事がありました。
虫垂炎への抗菌薬療法は切除術に非劣性 です。


米国の虫垂炎患者1,552例を対象に非盲検ランダム化比較試験CODAで虫垂炎に対する抗菌薬の有効性を検討。その結果、治療開始後30日時点の健康状態において虫垂切除術に対する抗菌薬投与の非劣性が確認された


以前から言われていることですが、虫垂炎での保存治療の有効性を示唆する研究がまたひとつ加わりました。


従来から非穿孔性虫垂炎では、状態に応じて保存治療が選択されています。自覚症状が軽度で全身状態が良好であれば、入院で絶食として抗菌薬の投与を行います。


一方、本研究の結論として虫垂結石を伴う患者では、伴わない患者と比べて虫垂切除術および合併症のリスクが上昇したとのことです。


門外漢なので分かりませんが、コロナ禍の現状では虫垂結石の有無も検討材料のひとつとして、保存治療が可能か否かの判断がなされることになるのかもしれません。







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正中動脈って何だ?!

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ニューズウィーク日本版に興味深い記事がありました。ヒトが進化している証拠? 前腕に動脈を3本持つ人が増えている です。



ヒトは現在も独自に進化し続けている----。オーストラリアの研究チームがこれを示唆する研究成果を明らかにした。

正中動脈は、前腕や手に血液を供給する主血管であり、ヒトの初期発生で形成されるが、妊娠8週あたりで退歩し、橈骨(とうこつ)動脈と尺骨(しゃくこつ)動脈がこの役割を担うようになる。このため、ほとんどの成人には正中動脈がないが、19世紀後半以降、成人になっても正中動脈を保持している人が明らかに増えていることがわかった。



これには驚きました。正中動脈という名称は初めて聞きます。ニューズウィークによると、33%の人に正中動脈が存在するようです。


正中動脈 - コピー

Wikimediaより転載


ニューズウィークに掲載されている解剖をみると、手根管の中にまで走行しているようです。整形外科医は、手関節レベルで掌側を展開する機会が多いです。


日常的にこの部分を頻回に観察しているはずですが、私は未だかつて一度も正中動脈の存在に気付きませんでした。


その理由は単純に正中動脈を探さないからでしょう。手根管症候群は横靭帯を切除するだけですし、橈骨遠位端骨折では橈骨を展開する際に周囲の軟部組織を排除するだけですから。


整形外科医的な観点では、正中動脈があると橈骨動脈を損傷した場合でも、手指の血流を確保できるメリットがあります。MRAを施行すると、その存在有無を確認できそうですね。





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広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく実践的な医学書です。


 







新型コロナウイルスに鎮痛効果アリ?!

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私も連載させていただいているケアネットで、興味深い記事がありました。新型コロナウイルスのまたぞろ悪知恵、はたまたご利益?~鎮痛作用を発見 です。



アリゾナ大学チームの今回の研究の結果、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質はそのVEGF-A信号伝達を遮断し、VEGF-Aによる痛みをすっかり解消することがラット実験で確認されました。

がん治療を目的に開発されたb1b2領域遮断化合物EG002295)もスパイクタンパク質と同様の鎮痛作用があることも示され、さらに研究を進めれば、乱用が問題となっているオピオイドに代わるNRP1標的鎮痛薬を生み出せそうです。



筆者の清宮氏は、SARS-CoV-2に感染しても他覚症状に比して自覚症状が軽度なのは、今回のスパイクタンパク質の鎮痛作用が関与しているかもしれないとおっしゃられています。


米国のアリゾナ大学チームが、創薬につながる可能性のある素晴らしい発見をしたようです。これこそ、まさに災い転じて福となす、かもしれませんね。





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児童虐待のトリアージ

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日整会誌94:539-542 2020に興味深いシンポジウムが掲載されていました。埼玉県立小児医療センター整形外科の平良勝章先生による「画像から児童虐待を疑うとき
」です。


まず疫学ですが、虐待による骨折の80%が 1歳未満、90%が 2歳未満の患児自身の訴えが難しい年齢に高頻度に発生するようです。


通常の症例ではできるだけ被爆を低減することが要請されますが、身体的虐待疑い例においては、被爆の面を考慮しても全身検索が推奨されています。以下は同院のメニューです。

  • 頭部CT
  • 頭部2方向
  • 体幹部正面(1枚で全脊椎正面と骨盤正面を兼ねる)
  • 肋骨の両斜位
  • 上肢全長正面
  • 下肢全長正面
  • 両手正面
  • 両足正面


これ以外にも、症状や所見に応じて、腹部CTや腹部超音波検査、眼科医による眼底チェックも施行するとのことです。


整形外科医が担当する骨折では、肋骨骨折が児童虐待で特徴的な骨折です。特に乳児の肋骨骨折の80%は虐待によるものです。


これ以外での特徴は、新鮮骨折と陳旧性骨折の共存です。単独骨折では虐待を疑うか判断に迷うことも多いですが、新旧共存しているとほぼ確実に虐待と言えるそうです。


私自身もときどき虐待か?と迷う患児を診ることがあります。これからは、被爆を考慮しつつも全身検索を行い、肋骨骨折や新旧共存骨折があれば虐待を疑いたいと思います。







★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です








n の暴力という発想が斬新!

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いつも拝読している整形外科 論文ナナメ読みで興味深い記事がありました。ブログ主のがみたけ先生とは、2018年に某インプラントメーカー主催の米国訪問でご一緒しました。


少人数だったこともあり、夜遅くにホテルのロビーで即席の飲み会をしたことが懐かしいです。参加者の何名かは今年の日整会で教育研修講演をしていました。皆すごいなぁ...。


少し話が脱線しましたが、今回も興味深い論文が取り上げられています。詳細は、がみたけ先生のブログを参照していただきたいので、研究の要旨だけ転記します。



【目的

本研究では、80歳以上の下肢TJA(初回もしくは再置換術)を受けた患者を対象に、90日後の手術部位感染症(SSI)および術後2年後の関節周囲感染症(PJI)の危険因子を検討した。

【結論
これらの知見は、この集団では、男性の性、肥満、高血圧、貧血、その他の高リスクの併存疾患がSSIおよびPJIの高リスクと関連していることを示している。



内容はごく常識的で、何らノイエスは無いです。それよりも本研究で刮目するべき点は、nにあります。その数ナント 503,241人...。


いみじくも、がみたけ先生は下記のように論評されています。



一般的な大規模データベースがもう一歩進んだ。ということでしょうか。 いままでこのような大規模データベースは横断研究が主体でありましたが、いよいよ縦断にフォローすることも可能となっていると言うことでしょうか。

Nの暴力で検討すればなにかでますので、内容はどうでもいいです。笑



これって、現在のアカデミアの本質の一端を突いていると思うんです。格闘技での体格、資産形成での保有キャッシュに相当するのが、アカデミアでの n なのです。


n が無ければどんなに秀逸な研究も注目される機会が少なく、逆に桁外れの n があればアカデミアとしては成功したも同然という身も蓋もない現実を垣間見ました。


今から学位取得しようと思っている人は、n の重要性を認識してほしいです。私も「自動的に」「タダで」「膨大な n をゲット」で、ほぼ勤務時間内だけで学位取得しました(笑)。






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