整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

学術

肩関節可動域の改善度は屈曲と外転で差がある!

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肩関節周囲骨折では、肩関節の可動域訓練がなかなか大変です。がんばって施行していると少しずつ改善しますが、屈曲と外転で改善度に差があると感じています。


整形外科医であれば、このことは皆感じていることだと思いますが、意外なことに教科書や文献で明示されているものを見たことがありません。


そこで思い切って、肩関節外科医にそのような文献が存在するのかを質問してみました。その先生の感覚でも、屈曲→外転→外旋→内旋の順に改善する事が多いとのことです。


一方、教科書や文献に関しては、英文ではありますが下記のような文献の存在を教えていただきました。



The Effectiveness of Acupuncture in the Treatment of Frozen Shoulder: A Systematic Review and Meta-Analysis



Table 4では各種の治療群の比較がなされています。理学療法のみの研究では、屈曲と外転の Baselineに有意差があり、1.5ヵ月後と3ヵ月後の改善度でも屈曲の改善度が高いです。


まさに臨床の肌感覚に合致したシステマティックレビューだと思いました。つまり、肩関節では屈曲→外転の順に改善し、最終的な可動域も屈曲の改善度が高いという結論です。






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スタチンで術後癒着を予防できる?!

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
スタチンで腹腔内手術後癒着が抑制 英米・大規模コホート研究 です。


抗線維化など多様な作用を有するスタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)は、モデルマウスにおいて癒着形成を抑制するが、ヒトでは評価されていない。米・University of Colorado Anschutz Medical CampusのFrank I. Scott氏らは、英米で2件の大規模後ろ向きコホート研究を実施。

腹腔内手術時のスタチン使用は、術後癒着関連合併症(Adhesion-related complications;ARC)の8~19%低下および術後小腸閉塞の12~20%低下に関連していたことをJAMA Netw Open(2021年; 4: e2036315)に報告した。




これは貴重な報告だと思いました。関節外科では消化器外科ほど術後癒着は問題になりませんが、脊椎外科や手外科領域では神経周囲の癒着は由々しき問題です。


単に安価なスタチンを服用するだけで、術後癒着が 12~20%も低下させることができるのであれば、非常に有用だと思います。


もちろん術後癒着の保険適応はありませんが、脊椎外科や手外科領域の術後症例にはスタチン投与を検討してもよいかもしれませんね。





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両側 TKAは合併症が多い!

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m3で興味深い記事がありました。
両側同時TKA、健康状態良好でも合併症リスク高い です。


安全な両側同時人工膝関節全置換術(TKA)の施行が可能な患者集団を特定するため、手術の質改善プログラム(NSQIP)に登録された両側TKA施行患者8291例と健康状態でマッチさせた片側TKA施行患者8291例の術後転帰を検証。


 2項ロジステック回帰分析の結果、健康状態に関係なく両側TKA群は片側TKA群よりも全合併症および主要合併症のリスクが高かった(いずれもP<0.001)。


Warren JA, et al. Bilateral Simultaneous Total Knee Arthroplasty May Not Be Safe Even in the Healthiest Patients. J Bone Joint Surg Am. 2020 Dec 24. Online ahead of print.



両側 TKAは合併症リスクが高いという報告です。今回の研究は 8000例を超える n数なので、説得力がありますね。


以前は、限られた手術枠の中で最大限の手術件数を稼ぐために、両側THAに加えて両側TKAを行っていた時期もありました。


幸い、両側TKAで重篤な合併症は経験していないものの、主治医・患者さんとも大変なので、いつの頃からか両側同時手術は THAだけになりました。


両側TKAは両側THAと比較して、術後のリハビリテーションが大変です。車椅子に移乗することさえ一苦労であり、両側THAとはしんどさが全然違います。


タンデム手術は行わないので、術中は主治医も大変です。そんな感じでいつの頃からかTKAは片側のみにしていますが、その判断は図らずも正しかったことを確認しました。





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初学者がTKAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です






整形外科領域の AI応用の現状

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日整会誌95:2021に興味深い特集がありました。「整形外科学におけるAIの応用」です。AIがいよいよ整形外科の領域にまで応用されるようになったのか!


タイトルに惹かれて速攻で拝読しましたが、残念ながらがっかりな内容でした...。名古屋大学からの報告は、整形外科ではなく主に消化器外科における AIの応用でした。


診断支援では脊椎での紹介もされていますが、AIというよりも単なる画像処理の枠を超えない印象です。どちらかと言えば、ロボット支援技術の範疇に入ると思います。


一方、外科的治療支援では腫瘍が対象になっているため、必然的に消化器外科が対象となります。抽象的な説明に始終されており、ロボット支援手術との違いが分かりませんでした。


唯一参考になったのは、情報横断型AIの展望についてです。情報横断型とは、画像情報だけではなく、診療録・症例報告・論文・ゲノム情報などを対象としてAI解析するものです。


具体例は挙げられていませんでしたが、今後はこの方向で AIの臨床応用が進んでいくものと思われます。


今回拝読した印象としては、AIの整形外科領域への臨床応用はまだ始まっておらず、導入に向けて試行錯誤している状態だと思います。


おそらく画像診断や感冒などのコモンディジーズ領域が先陣を切るのでしょうが、整形外科では誰が先頭か分からない状況です。若手医師の活躍の場かもしれませんね!






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コロナ感染防止には飛沫対策が最重要

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近畿大学が興味深い研究を発表しました。
コロナ感染リスクを経路別に数値化 です。



飛沫感染が主な感染経路で、接触感染のリスクもあり、まれに空気感染の可能性もあるという、従来考えられてきた感染経路と同様の結果が得られ、それらを数値でより明確に示すことができました。


また、個人防護具などの対策の効果については、医療従事者がサージカルマスクを着用した場合は感染リスクが63~64%低減、フェイスシールドをした場合は97~98%低減、サージカルマスクとフェイスシールドを両方着用した場合は99.9%以上低減しました。
一方、患者がサージカルマスクを着用した場合は感染リスクが99.99%以上低減し、患者がサージカルマスクを着用したうえで換気回数を2回/時から6回/時に増やした場合、リスクはさらにその半分以下となりました。以上のことから、医療現場では医療従事者がサージカルマスクやフェイスシールドを着用することの有効性と、患者がサージカルマスクを着用すること、換気を適正に保つことの重要性が示されました。



これは緊急事態宣言発令下の時流にマッチした研究だと思いました。要約すると本研究のポイントは下記のごとくです。

  • 感染経路は飛沫感染90%、接触感染10%
  • 医療従事者がサージカルマスクを着用した場合は感染リスクが63~64%低減、フェイスシールドをした場合は97~98%低減
  • 患者がサージカルマスクを着用した場合は感染リスクが99.99%以上低減
  • 患者がサージカルマスクを着用したうえで換気回数を2回/時から6回/時に増やした場合、リスクはさらにその半分以下となった


従来から言われている感染対策を証明した研究結果ですが、具体的な数値が出ていることが貴重だと思いました。


飛沫感染を防ぐことが重要なので、①患者さんのサージカルマスク着用 ②医療従事者の不フェイスシールド着用が望ましいようです。早速、フェイスシールド購入しました(笑)。






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