整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

学術

THA術後にリハビリテーションは不要?!

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以前から気になっていたブログ記事をご紹介します。整形外科 論文ナナメ読みのTHAとリハビリテーションに関する記事です。


JBJS(Am)の紹介記事で、「THAにはリハビリテーションは無意味ではないのか?」という、リハビリテーション関係者には少しキツイ内容です。



Formal Physical Therapy After Total Hip Arthroplasty Is Not Required: A Randomized Controlled Trial, Austin, Matthew S. MD et.al,  Journal of Bone & Joint Surgery - American Volume: 19 April 2017 - Volume 99 - Issue 8 - p 648–655



THAは、完成度の高い術式のひとつであり、良好な臨床成績が得ることが可能です。本研究では、THAの良好な臨床成績にリハビリテーションがどの程度寄与するのかを調べました。


その結果なのですが、意外にもあまり口出ししないリハビリテーションでも、従来の方法とほぼ同等の臨床成績が得られることが分かりました。


費用面の考慮すると、従来から行われている伝統的なリハビリテーションは不要であると主張されても反論できません。リハビリテーション科医師や理学療法士にはキツイ結果です。


個人的には、関節可動域改善にはリハビリテーションの力が大きいと思うのですが、JBJSにアクセプトされていることを勘案すると、治療方針を考え直す必要があるのかもしれません。




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自転車通勤で長生きできる?!

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
通勤手段と全死亡、がん、CVDの関係は? です。




英国のグループが通勤手段と全死亡、がん、心血管疾患(CVD)のリスクの関係を大規模研究で検討、その結果をBMJ(2017; 357: j1456)に発表した。


同グループは、通勤手段と全死亡、がん、CVDとの関係を、アクティブ通勤(徒歩または自転車、両者のうちの1つを含むミックス型)および非アクティブ通勤(自動車または公共交通機関を利用)との間で検討した。


対象は、英国内22地点で登録したバイオバンク参加者26万3,450例(平均年齢52.6歳、女性52%)。中央値5年の追跡期間中に2,430例が死亡した(うち、がん死1,126例、CVD死496例)。がんの発症は3,748例、CVDの発症は1,110例であった。


解析の結果、非アクティブ通勤群と比べ自転車通勤群は全死亡〔ハザード比(HR)0.59、P=0.002〕、がん発症(同0.55、P<0.001)、がん死(同060、P=0.01)のリスクが有意に低かった。自転車を含むミックス型通勤群でも全死亡、がん発症、がん死リスクの有意な低下が認められた。


CVD発症のHRは自転車通勤群が0.54(P=0.01)、徒歩通勤群が0.73(P=0.04)、CVD死のHRはそれぞれ0.48(P=0.03)、0.64(P=0.01)と、いずれも有意に低かった。


しかし、徒歩通勤と全死亡およびがん発症・がん死との間に有意な関連は認められなかった。また、徒歩を含むミックス型通勤はいずれの転帰とも関連はなかった。





う~ん、非常に興味深い記事ですね。実は、私も自転車通勤派です。別に自転車競技に興味があるわけではなく、健康に配慮しているわけでもありません。


最大の理由は、最も勤務先の病院まで早く行けるからです。電車やバスを乗り継いでの通勤や自動車通勤よりも、自転車で行く方が早く病院にたどり着けるのです。


片道7kmぐらいですが、平坦なのでさほど苦ではありません。最近では自転車専用レーンが整備されてきたので、かなり自転車通勤のストレスが解消されてきました。


このように完全に実利ベースでの自転車通勤なのですが、今回の研究では、健康面でも自転車通勤に分がありそうです。自転車はランニングに比べて、関節の負担も少なそうです。


今回の研究では、徒歩通勤の検証もされていますが、こちらは全死亡およびがん発症・がん死との間に有意な関連は認められませんでした。


理由はよく分かりませんが、もしかしたら運動量や運動時間が自転車通勤ほど多くないからかもしれません。


いずれにせよ、自転車通勤は健康にも良さそうなので、雨と雪の日以外はこれからも続けていこうと思いました。





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外科医のピークは何歳ぐらいなのか?

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先日、人工股関節全置換術(THA)を施行しました。この年齢になっても、執刀前には未だに緊張します。つくづく自分がチキンであることを実感します(笑)。


そうは言っても慣れた手術なので、特に問題なく終了するのですが、術者の年齢に関して、先日見かけた下記のジャーナルが気になったのでご紹介します。



Markar SR et al. Surgeon Age in Relation to Prognosis After Esophageal Cancer Resection. Ann Surg. 2017 Apr 7. doi: 10.1097/SLA.0000000000002260. [Epub ahead of print]





この研究では、食道癌切除術を受けた患者1761例と術者139人において、術者の年齢と患者予後の関連をコホート研究で検証しています。


食道癌手術という外科手術の中でも難易度の高い手術であるためか、研究対象の術者の年齢は50歳台がメインとなっています。


結果は、術者の年齢が52-55歳のグループが、90日死亡率・5年全死亡率・5年食道癌死亡率とも、51歳以下や56歳以上のグループと比べて最も低かったようです。


整形外科領域では50歳台前半の医師といえば、そろそろ一線から退こうとする医師が多くなる年台です。大学・基幹病院とも、40歳台が最も幅を利かせている施設が多いと思います。


しかし、難易度の高い手術においては、50歳台前半が最も「脂がのっている」年台なのかもしれません。そう考えると、私も外科医としてはまだ10年ほど寿命がありそうです。


ただ、私が施行している手術は、決して難易度の高い手術ではないことがネックではありますが・・・





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関節が鳴るのは危ない兆候?!

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
「膝が鳴る」のは関節炎の徴候?  です。




膝関節から「ポン」「カチッ」「パチッ」などの音がする場合、近い将来、関節炎になる場合があるという研究結果が、米ベイラー医科大学(ヒューストン)助教授のGrace Lo氏らにより報告された。


膝関節で音がすることが多いと訴える中高年者では、翌年に膝関節炎の症状が出現する可能性が高かったという。膝関節で「常に音がする」人では、そのうち11%に1年以内に膝関節炎の症状が発現したのに対し、「全くしない」人では4.5%に過ぎなかった。「時々する」「よくする」人では、約8%に翌年、膝関節炎の症状が発現した。  


Lo氏は、「こうした軋轢音(crepitus)は多くの人にみられるが、症候性の膝関節炎を予測できるかどうかはこれまで不明であった。しかし本研究で、関節音は膝関節に何らかの問題があることを示唆する場合もあると示された」と話している。症候性の膝関節炎とは、X線画像上で軟骨の徴候がみられるだけでなく、それによって頻繁な痛みやこわばりを呈するものを指す。


「Arthritis Care & Research」オンライン版に5月4日掲載された今回の研究では、45~79歳の約3,500人を対象とした。対象者には高齢で膝関節炎リスクが高い人や、肥満や膝損傷の既往歴などのリスク因子を持つ人も含まれていた。そのため、今回の結果が、例えば35歳で運動時に膝が鳴るという人にも当てはまるのかは明らかではない。


なお、ベースライン時に膝関節炎の症状はみられなかったものの、X線画像上での徴候は認められた患者もおり、その比率は後に症候性の膝関節炎を呈した群で高いことも分かった。Lo氏は、「膝関節から頻繁に音がすると訴える患者には、X線画像を撮るべきである。もし関節炎の徴候が認められれば、近い将来、症状が出現するリスクがかなり高いであろう」と述べている。





う~ん、非常に興味深い記事ですね。膝などの「関節が鳴る」けど大丈夫でしょうか? という質問は、整形外科医が患者さんから受ける質問として非常にポピュラーだと思います。


この記事を拝読するまで「関節が鳴るのは、急激に関節を動かすことで陰圧になった関節内で、空気が気化する音です。関節症とは何の関係もありません」と説明していました。


短期的には上記の説明内容で正しいと思いますが、比較的長期的な視点で考えると、あながち関節炎の前駆症状とも言えなくはないという趣旨のようです。。。


ただ、膝が鳴る人は変形性膝関節症に移行しやすいという印象は無いです。もちろんこれは、関節の音は空気が気化する音にすぎないという先入観のためかもしれません。


今回の研究結果のために、明日からの診療方針を変更することはなさそうです。しかし、「関節が鳴っても大丈夫」という先入観は、もしかしたら間違っているのかもしれませんね。





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脳梗塞は気象前線通過日に好発?!

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
気象前線通過、脳梗塞に注意を です。




 脳血管障害は気象変化の影響を受ける代表的な疾患である。発症頻度と気象条件の関わりについてはさまざまな研究が行われているが、これまで気象前線の通過と脳血管障害発症との関連性を見た報告はなかった。広島大学大学院脳神経内科学の下村怜氏らは、急性期病院に入院した脳血管障害患者約4,000例を対象に検討を行い、脳梗塞の発症頻度が前線通過で増加したことを第42回日本脳卒中学会(STROKE 2017、3月16日〜19日)で報告した。



寒冷前線、温暖前線の通過は脳梗塞の発症に影響

 今回の検討はHiroshima 'Emergency and Weather' Study(HEWS)の一環として行われたもので、2012年1月〜13年12月に広島県内の急性期病院7施設に発症後7日以内に入院した脳血管障害症例3,935例を対象とした。平均年齢は73.5±12.4歳、病型は脳出血が18.8%、脳梗塞が81.2%であった。

 気象前線(寒冷/温暖)の通過日は、気象庁発表の湿度補正気温(THI)と天気図から同定。脳血管障害発症頻度と発症当日のTHI五分位(7.9℃以下、8.0〜12.7℃、12.8〜18.6℃、18.7〜23.7℃、23.8℃以上)および発症当日から6日前までの前線通過の有無との関連を多変量解析で検討した。なお、観察期間中の広島エリアにおける寒冷前線通過は111回、温暖前線通過は24回であった。

 解析の結果、発症当日のTHIが高いと脳出血の発症リスクが高かったが、発症当日のTHIと脳梗塞との関連は見られなかった。発症当日のTHIを調整し、気象前線通過と脳血管障害発症との関連を脳出血と脳梗塞に分けて検討したところ、脳出血では寒冷前線通過と温暖前線通過のいずれも発症頻度に影響していなかった。一方、脳梗塞では発症6日前の寒冷前線通過、および発症前日の温暖前線通過で発症頻度が有意に増加していた(それぞれP=0.039、P<0.005、多変量非線形ポアソン回帰分析)。

 気象前線通過が循環器疾患の関連死を増加させるとの報告もあることから(Int J Biometeorol 2015)、下村氏は「脳梗塞の発症は気象前線の通過に影響を受ける可能性がある。今後は脳梗塞の病型と気象条件との関連について、さらに詳細に検討していきたい」と述べた。






う~ん、非常に興味深い記事ですね。整形外科領域でも、関節リウマチと気象変化の関係が指摘されています。天気が悪くなると症状が悪化することが多いのです。


もちろん、個体差が大きいので一概に言えることではないのですが、関節リウマチ患者の臨床データと気象データを用いて、両者の間に相関がみられることを示した研究もあります。


しかし、今回は関節リウマチの疼痛などの症状ではなく、生命にかかわる脳梗塞であるところが怖いですね。特に寒冷前線の通過時には要注意のようです。


ちなみに寒冷前線が通過すると、気温や湿度が急激に下降して低止まりします。一方、寒冷前線の接近に伴って気圧は低下し、通過後は急激に上昇してその後高いまま推移します。


このような気温や気圧の急激な変化が、脳血管に対してあまり良くない影響を及ぼすのかもしれません。温度はコントロール可能ですが、気圧の変化はどうしようもありません。


脳梗塞を発症しないようにしたくても、具体的には注意のしようもないですが、マメ知識として知っておいて損はないと思いました。






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