整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

全身管理

COPD患者は胸部CTルーチン化を!

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入院時のルーチン検査として、ほとんどの施設で胸部X線像を施行すると思います。これに関して特に異議はないのですが、胸部CTはどうでしょうか?


私は バカなので 整形外科医なので、胸部X線像の読影に自信がありません。はっきりと肺野に浸潤影があるケースを除くと、肺炎の診断さえ下せないと思います。


そのような場末の整形外科医にとって、胸部CTは「救いの神」です。胸部CTさえあれば、肺炎の診断も難無く可能です。


しかし、COPDなどでもともと肺野がボロボロの症例では、術前からある所見なのか術後に新たに発症した所見なのかを迷うことがあります。


このような場合に「術前の胸部CT」があると、発症前との比較が可能なので、ずいぶん助かります。内科医師に診察依頼するまでもなく、自分で肺炎の診断ができるのです。


私は既往歴としてCOPDがあると、入院時のルーチン検査として胸部CTも依頼します。入院時チェックの意味合いもありますが、後々のベンチマークとして施行するのです。


もちろん、何事も無く退院してくれるのが最善ですが、超高齢者に関してはなかなかそういうわけにもきません。


入院時胸部CTというその患者さんにとっての「正常所見」を確認しておくことは、術後合併症への早期対応という観点からも、有用な選択枝ではないかと思います。





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急性肺血栓塞栓症では造影CT+ヘパリン

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一般社団法人 日本医療安全調査機構による、急性肺血栓塞栓症に係る死亡事例の分析を拝読しました。今回の提言では、下記の6つのが記載されています。




【リスクの把握と疾患の認識】     

提言1

入院患者の急性肺血栓塞栓症の発症リスクを把握し、急性肺血栓塞栓症 は “ 急激に発症し、生命を左右する疾患で、特異的な早期症状に乏しく 早期診断が難しい疾患 ” であることを常に認識する。


【予防】 

提言2≪患者参加による予防≫
医療従事者と患者はリスクを共有する。患者が主体的に予防法を実施で きるように、また急性肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症を疑う症状が出現 したときには医療従事者へ伝えるように、指導する。     

提言3≪深部静脈血栓症の把握≫
急性肺血栓塞栓症の塞栓源の多くは下肢、骨盤内静脈の血栓である。 深部静脈血栓症の臨床症状が疑われた場合、下肢静脈エコーなどを実施 し、血栓を確認する。

【早期発見・早期診断】
提言4
明らかな原因が不明の呼吸困難、胸痛、頻脈、頻呼吸、血圧低下などを 認めた場合、急性肺血栓塞栓症の可能性を疑い、造影 CT などの実施を 検討し早期診断につなげる。

【初期治療】
提言5
急性肺血栓塞栓症が強く疑われる状況、あるいは診断が確定した場合、 直ちに抗凝固療法(ヘパリン単回静脈内投与)を検討する。

【院内体制の整備】
提言6
急性肺血栓塞栓症のリスク評価、予防、診断、治療に関して、医療安全 の一環として院内で相談できる組織(担当チーム・担当者)を整備する。 必要があれば院外への相談や転院などができるような連携体制を構築する。
  





この中でも特に、提言4と提言5が目を引きました。


まず提言4ですが、急性肺血栓塞栓症発症の数日前に一時的な血圧低下、SpO2 低下、呼吸困難、胸痛、 胸部不快を認めた例や、数日前から頻脈が続いた例が報告されています。


数日前から前駆症状が出現する可能性があるので、術後は手術患者さんの慎重な観察が必要となります。


また、急性肺血栓塞栓症が疑われた場合、造影 CT施行が第一選択です。造影 CT が施行できない場合は心エコーですが、やはり造影 CTのような客観的な証拠が必要なのでしょう。


次に提言5ですが、急変後の救命処置開始より 1 時間~ 2 時間 30 分以内に死に至り、急変から死亡までの時間が短い傾向にあります。


このため急性肺血栓塞栓症が強く疑う際は、初期治療として出血リスクを評価し、直ちにヘパリン 3,000 ~ 5,000 単位(または体重 1 kg あたり 80 単位)を単回静脈内投与します。


ヘパリンは半減期が 1 時間前後と短く、減量・中止することにより 効果の消失が早く、さらに、中和薬(プロタミン)が存在するため出血した際にも 対処することが可能です。


私たちのような整形外科医にとって、ヘパリンをいきなり静注する行為は少し腰が引けます。しかし早期から迅速な治療が必要なので、ヘパリン静注は重要だと思います。



このように急性肺血栓塞栓症が強く疑う場合には、造影CT+ヘパリン3,000 ~ 5,000 単位静注をセットとして考えておくべきでしょう。






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またまた経験! 内臓逆位

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先日、骨折患者さんの術前検査で興味深い経験をしました。この方は、いわゆる「内臓逆位」で、単純X線像では心臓が右側にありました。



g - コピー



上記は、日本心臓財団のHPから転載してきた画像です。実際に私がみた胸部X線像も同じような感じでした。びっくりするぐらい、左右逆の違和感がありました。


術前の心臓エコーでは肝臓が左側にあったようなので、右心臓ではないようです。実は私自身、過去一度だけ内臓逆位の患者さんをみたことがあります。


ブログの日付を確認すると2012.10.19なので、ほぼ5年振りぐらいのことです。一応、過去の自分のブログをみて、肺疾患が無いことだけは患者さんに確認しておきました。


内臓逆位は繊毛の異常が原因となっている可能性が高い現象だそうです。身体的に異常はないようですが、繊毛運動に異常がある場合が多く、気管支炎等に罹患しやすいそうです。


確率的にはかなり低いらしいのですが、私でさえも2例経験していることを考えると、巷で言われているほど珍しいものではない気がします。






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周術期の甲状腺機能低下症の問題点は?

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外来をしてると、既往歴に甲状腺機能低下症の患者さんが多いことに気付きました。かなりの頻度なので、最近では甲状腺機能低下症と言っても何も感じなくなっていました。


ところが、先日の手術症例で、麻酔科医師から甲状腺機能低下症で何の検査もしていないことを指摘されました。甲状腺機能低下症の一体何が問題なのか?


麻酔科医師に確認したところ、私たちが医師になるより前の時代に、術後心不全で死亡する症例が散見されたそうです。レトロスペクティブに調査すると、甲状腺機能低下症でした。


今では野放しの甲状腺機能低下症の患者さんは、ほとんど見られなくなりました。それだけ医学が発展した証左であり、コントロールされているので周術期も安心です。


実際的には患者さんご自身が、既往歴として甲状腺機能低下症を申告する時点で、しっかり甲状腺機能低下症の治療が行われていることになります。


このため、ほとんどの症例において、甲状腺機能低下症の既往があったとしても、心不全等の臨床上の問題点が発生する可能性は低いです。


ただ、そうは言っても甲状腺機能低下症の既往がある場合には、下記の3点セットを施行することが望ましいです。


  1.  TSH
  2.  free T3
  3.  free T4


仮にTSHが多少高くても、free T3やfree T4が正常値であれば、周術期の臨床としてはほとんど問題ないそうです。


甲状腺機能低下症は、非常にメジャーな疾患という認識ですが、手術症例では、ある程度慎重な対応が必要なようです。






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急性期脳梗塞の脳血管内治療

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先日の週末に勤務先の病院に出勤すると、病棟から整形外科で入院中の60歳台の患者さんが急変したという連絡がありました。朝の看護師訪床時に意識レベルが低下していたのです。


半身が全く動かなかったので当直医が頭部CTを施行しましたが明らかな出血を認めません。こうなると急性期の脳梗塞が疑われます。MRIを施行すると右側に大きな梗塞巣がありました。



基礎疾患に未治療のAfがあります。おそらくこれが脳梗塞の原因でしょう。この場合、どのような対応をすれば良いのでしょうか?あいにく、勤務先に神経内科や脳神経外科医は居ません。


主幹動脈の閉塞による脳梗塞治療法の第一選択は、t-PAの経静脈的投与ですが、発症4.5時間以内に治療を開始しなくてはならない制約があります。


今回は最大で10時間ぐらい経過している可能性があります。t-PA適応外の急性期脳梗塞患者さんの治療手段として脳血管内治療があり、発症後8時間以内の患者さんが対象となります。


脳血管内治療は、具体的に下記の4種類があります。

  1. カテーテルを閉塞した血管に導入して血栓溶解剤を投与する方法(局所血栓溶解療法) 
  2. バルーンを閉塞した血管に留置してバルーンで血栓を破壊する方法(血栓破砕による脳血管再開通療法) 
  3. 血栓をからめとって回収する方法(血栓回収療法)
  4. 血栓を吸引する方法(血栓回収療法)


実は私の大学時代の部活の2年先輩が、この脳血管内治療のスペシャリストです。ときどき一緒に飲むのですが、「適応患者さんが居たらすぐに送ってこい!」といつもおっしゃれています。



そこで私は、週末で病院は休みにも関わらず、馬鹿正直に先輩医師の個人携帯に電話しました。最初はちょっと眠そうな感じでしたが、30分以内に転院させろ!と指示されました。

 

発症後8時間以内なので、とにかく時間との戦いなのです。転院にはいろいろな書類や手続きが必要ですが、ある程度すっ飛ばして、とにかく先輩の居る病院に転送しました。


当日はほとんど動かなかった半肢も翌日から徐々に動くようになり、現在は歩行練習中です。何とか発症後8時間以内に間にあったようです。



このように血管関連の疾患では、時間との戦いです。今回は偶然私の個人的なつながりが奏功しましたが、普段からイベント発生時の対応を整備しておく必要がありそうです。





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