整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

社会

成功報酬型の薬価制度導入?!

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2017.10.5の日経で興味深い記事がありました。
効いた患者だけ薬代支払い ノバルティスが新方式 18年にも国内発売の超高額薬 です。





 医薬品世界2位のノバルティス(スイス)は薬が効いた患者にのみ支払いを求める「成功報酬型」薬を日本で販売できるよう政府に働きかける。高額の新型がん免疫薬が対象で、医療保険の適用を受ける形で早ければ2018年中に発売を目指す。厚生労働省も導入可能かを検討する。医療の高度化が進む中、硬直化した日本の薬価制度のあり方が問われている。


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医薬品開発部門トップで、18年2月に同社の最高経営責任者(CEO)に昇格するバサント・ナラシンハン氏が日本経済新聞社のインタビューで表明した。「患者が欲しい薬を手に入れる方法として、成功報酬型が適切であればそれを使うのが良い」と述べた。実現すれば国内初となる。


 対象となる薬は8月に米国で承認された小児・若年者の急性リンパ性白血病の新薬「キムリア」。遺伝子を操作したヒト免疫細胞(CAR―T)を使う薬で、1回の治療ですみ、患者の8割で効果を示した。米国では47万5千ドル(約5300万円)で、一部患者向けに成功報酬制度を導入した。1カ月後に腫瘍が検出されない場合に効果があったとみなして薬価の支払いを求める。


 日本での効果判定や支払いの方法について「まだ具体的な議論は始まっていない」(ナラシンハン氏)としており、今後、厚生労働省などと議論を進める方針だ。


 バイオ医薬や遺伝子治療薬など高い技術を応用した医薬品が登場している。にもかかわらず、日本では政府が主導する形で既存の類似薬の薬価を基に新薬の値付けをするなど硬直化している。東京大学大学院の五十嵐中特任准教授は「日本の薬価制度は再考する時期にきている」と指摘する。


 ノバルティスは18年1~6月にキムリアを保険対象薬として厚生労働省に申請する方針。希少疾病の薬は、申請から7~9カ月で承認が下りることが多く、その2カ月後に薬価が決まり、発売できる。薬価は成功報酬型になるかどうかで、変わる可能性がある。


 厚労省は成功報酬型の薬価を「相談があれば門前払いはせず、まず省内で検討する」(幹部)としている。導入にあたり従来制度との整合性など議論すべき点は多く「国民的議論になる」(同)ことになりそうだ。


 15年度の国民医療費は過去最高の42兆4千億円に上る。うち薬剤費が2割強を占め、全体を上回るペースで増加を続ける。高額薬剤の相次ぐ登場が要因の一つ。成功報酬薬が導入されれば、薬価を巡る制度を問い直すきっかけになりそうだ。





成功報酬型薬価は、今まで日本には無かった概念です。しかし、これだけ薬価が高騰してくると、導入を検討する必要がありそうです。


結果を検証すること自体に費用がかかるので、薬価の安い薬剤では導入が難しいですが、今回のキムリアのように超高額薬では導入の是非を検討される方向のようです。


成功報酬にするということは、それだけ製薬会社も効果に自信がある裏返しだと思います。これ自体は医学の発展に資する素晴らしい成果でしょう。


しかし、成功報酬型薬価の場合、比較的安易に治療が選択される可能性があるのではないかと素人ながらに懸念します。ダメ元で投与してみて効けばラッキーという・・・


もともと日本には高額療養費制度があるので、超高額薬の使用に対して歯止めがかかりにくい構造にあります。


今回のキムリアのように8割の患者で奏功するということは、成功報酬型で導入しても医療費高騰の一因となってしまう可能性が高いです。


私は、医療はいかなる人にも平等におこなわれなければならないという考え方には懐疑的です。確かに耳障り良いですが、無から有が生まれるお花畑的な理想論だと考えています。


少し批判的なコメントになりましたが、成功報酬型の薬価は、超高額薬の一部では検討しても良い制度だと思います。国民皆保険制度ができるだけ延命されるためにも。。。





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一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。









姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。








クラークさんも大変

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私たち医師は、患者さんから文句を言われたりクレームを入れられることは日常茶飯事です。クレーム予防のため、私もかなり気を使って外来や入院患者さん対応を行っています。


ドクターなんてやってられないな! と思っている方も多いと思いますが、現実にはドクターの何倍もクレームに晒されている部署があります。そう、それはクラークさんです。


彼らは、病院受付なので患者さんの怒りの矢面に立たされます。訳の分からない理不尽なクレームも多いですが、「医師の対応が悪い」という真っ当なクレームも結構多いそうです。



例えば、かなりの数の診断書が医師の手元に回ってきますが、正直言ってこれらの診断書の優先順位は、医師の中では相当低いと言わざるを得ません


直接医療とは関係の無いエクストラ業務という認識だからです。しかし、だからと言って診断書作成を蔑ろにしていると、そのとばっちりを受けるのはクラークさんです。


患者さんの怒りの矛先がどこに居るか分からない医師よりも、目の前に居るクラークさんに向かうからです。う~ん、つくづく損な役回りですね。


しかし、彼らは業務のキャススティングボードを握ることはできませんから、何とか医師を捕まえて診断書を書いてもらうという方法しかありません。


それぐらいしんどい役回りをしているのがクラークさんなのです。もちろん、規模の大きな公的基幹病院では、左団扇の特権階級的なクラークさんが多数居るのも事実です。


ただ、大多数を占める中小病院のクラークさんは厳しい立場に居ます。普段働いていると彼らの立場の弱さを感じることは少ないです。


しかし、なんだかんだ言っても医師は立場が強いので、弱い立場の人のことをかまってあげる必要があります。


診断書依頼があればできるだけ迅速に仕上げる、問い合わせがあればできるかぎり丁寧に対応する等を守るだけでも、劇的にクラークさんの業務が楽になるはずです。


真面目にやっていると、どんどん仕事を振られる危険性はあります。しかし、ある程度業務が増えることは許容して、お互いが気持ちよく仕事できる環境を作りたいものです。


そして、このことは決して綺麗事で言っているわけではありません。弱い立場の人間をかまうことは、院内や組織内での自分の立場を強化することに役立つと思うのです。




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損な生き方に気付いていない?!

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先日、外来でバイク自損事故の20歳女性が母親に付き添われて受診されました。橈骨遠位端骨折なのですが、転位が大きいため、手術するか否かの判断の難しい症例です。



受傷後9日目なのですが、初診は近くの病院でした。初診時にその病院で手術を勧められたそうですが、20歳の娘ひとりにいきなり手術とは何事だ!とこちらを受診したようです。


この患者さんは見た目がヤ〇〇キーで、こちらの問いかけに対しても無言でひたすらスマホをいじっています。母親も似たような雰囲気で、入室時からかなり高圧的な態度でした。


こちらの病院は2回目の受診で、初診は私以外の医師でした。このため、私自身は初対面だったのですが、いきなりで面食らってしまいました。


周囲の何に対しても不満があるようなオーラを発散していたので、治療方針として保存治療以外は難しいと判断しました。予約を促しましたが、適当に再診するとのことでした。


通常、医師の前では性格に難のある人でもある程度自制を働かせるものですが、自制を働かせて(?)この状態であれば、どうやって生活しているんだろうと不思議に思いました。


保険区分をみると、やはりアレ系でした。基本的には浅い付き合いしかないので、私に累が及ぶことはありません。しかし、この人たちの周囲は大変だろうなと感じました。


どんな生活を送っているのか知りませんが、非常に損な生き方をしていることには間違いはなさそうです。社会の全てを敵に回して生きていくはしんどいだろうな。。。


このような規格外(?)の人は少数派だと思っていましたが、最近は結構な頻度で居るのではないかと感じています。診察室から生き方まで見えるのは、何だか寂しいものですね。






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初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です


    



iPS研究所の9割が非正規雇用

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山中教授が「iPS細胞研究基金」への寄付を募る 「研究所の教職員は9割が非正規雇用」にネット震撼 という記事が話題になっているそうです。


iPS細胞研究所(CiRA)は、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授が所長を務めています。


国の全面的なバックアップがある潤沢な研究所というイメージですが、研究所のスタッフの9割が非正規雇用とは、なかなかインパクトのあるニュースですね。


CiRAのHPでは、ご支援のお願いで広く寄付を募っています。研究内容や組織の由来を考えると、9割の非正規雇用の多くは医師の大学院生だと思います。


医師であれば割の良いアルバイトがあるので、一般的に思われている非正規雇用ほど生活が不安定ではないはずです。しかし、このような状況が未来永劫続くわけではありません。


基礎研究から実用化まで何十年もの長い時間がかかるので、やはり研究所自身の独自財源は必須です。問題は、研究所がすぐにお金になる成果を生み出すことができない点です。


基礎研究なので当たり前なのですが、国の財務状態が悪いことと、最近まで寄付税制が貧弱だったため寄付文化が根付いていないことが、米国や中国に対して分が悪いです。


一方、研究所の財源を寄付に依存することは、安定的な独自財源を確保しているとは言い難いと感じます。このような他力の財源は、社会情勢の変化をモロに受けてしまうからです。


少し古いデータですが、1999年の日本の国立大学の財源別収入では、政府資金比率は66%でした。この数字は欧米諸国と比べても決して高すぎる数字ではありません。


しかし、独自財源確保に、もう一歩踏み込んでもよいのではないでしょうか?例えば、基金の一部を金融資産や不動産購入に充て、配当・賃料収入を財源に組み込みます。


その他にも、ネーミングライツを売り出したり、大口寄付金に対して何らか特典を付けたりなど小技を駆使することで多様な財源確保が可能ではないでしょうか?


もちろん、文科省や大学が首を縦に振らないでしょうが、これぐらいのアグレシブさがなければ世界との競争に勝つのは難しいのでは? と素人ながらに思います。





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介護保険のTIPS

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2017.8.12・19合併特大号の週刊ダイヤモンドの特集は、制度改悪に備える家族の介護 でした。私たちにとって、介護は比較的馴染み深い領域です。





このため、ほとんど知っていることばかりかなと思ってパラパラ見たのですが、実務上での思わず気付きがたくさんあったのでご紹介します。




要介護認定の調査時のポイント


いつも以上にがんばろうとして「できます」と言い切る高齢者が多いそうですが、実態を伝えることが重要です。そもそも、能力が高いとみなされると等級が低くなります。


日々の状態を記録したメモや、粗相をしたときの写真、騒いでいるときの動画などがあると説得力があるそうです。


また、調査員が自宅に来るからといって、室内の掃除や片付けなどはしてはいけません。ゴミがあふれていても臭くてもOKです。ありのままの大変な状態をみてもらうことが大切です。




介護費用は親のお金で


介護はいつまで続くか分かりません。先々のことを考えて、親世帯とは別会計にしておくことが賢明です。親のお金で出せる範囲のケアプランを作成してもらいます。


このためにも、親の資産を把握しておきます。介護する人も自分の老後にも備えなければなりません。共倒れを防ぐためにもお金に関しては一線を引いてください。




2000年4月に始まった介護保険自体が、予想を上回る高齢化の影響で発足以来の曲がり角にさしかかっています。


制度自体が使い物にならなくなるのはもう少し先の話になりそうですが、現在40歳台以上の医師は、そろそろ自分の親のことも心配しなければならない時期に差し掛かっています。


いつも仕事で向かい合っているから介護保険のことなら大丈夫!とはいかないのが現実です。患者さんとの関わりを通じて、少しずつ介護保険の勉強をしてもいいかもしれませんね。







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