整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

スポーツ

坐骨結節裂離骨折

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先日、中学生が右股関節部痛を主訴に初診しました。ダッシュをした瞬間に右股関節の激痛が出現して歩けなくなったとのことです。


このような症例では、骨盤裂離骨折を第一に疑います。ただし、骨盤裂離骨折は主に3カ所あるので、全て網羅するためには単純X線像正面像に加えて両斜位も必要となります。





AP - コピー



今回は少し分かりにくいですが、右坐骨結節裂離骨折です。一見すると坐骨部の骨端に見えますが、左側と比べて坐骨結節部がえぐれていることから骨折だと判断できます。


坐骨結節裂離骨折は、全力疾走や跳躍の際にハムストリングの急激な収縮による力が加わって発生します。実は、私は坐骨結節裂離骨折を初めて診ました。


上前腸骨棘(縫工筋の裂離骨折)や下前腸骨棘(大腿直筋の裂離骨折)は比較的よく見かけますが、何故か坐骨結節は治療したことがありませんでした。



上前腸骨棘や下前腸骨棘裂離骨折では、約4~6週間でジョギング開始、8~12週でスポーツ復帰となりますが、坐骨結節は骨癒合が遅れやすいため、もう少しゆっくりしたペースとなります。




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選手のわがまま、どこまで許容?

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外来をしていると、学生のケガが多いです。その中でも一定の割合で困った患者さんが居ます。それは、スポーツに情熱をささげる親子です。


彼らは、野球・サッカー・バレーボール・空手・器械体操など、さまざまなスポーツをしています。共通点は、その時点の人生の全てをスポーツに賭けていることです。


優先順位が試合や大会で好成績を残すことなので、練習や試合を休むという発想がありません。とにかく「痛みを除去して」「早期復帰する」ことを第一に考えているのです。


価値観は人それぞれですが、将来的に重大な機能障害を残しても良いから、目先の大会で好成績を残すことを最優先させるメンタリティは、私の理解の範囲外です。


そんな患者さん親子が結構多いと感じているのは、私だけでしょうか? 昔は彼らのような存在を全否定していましたが、最近では表面的には妥協するようになってきました。


それは、人間の価値観はさまざまであることを理解するようになったからです。永続する機能障害を残すことになっても、心の底から目先の大会での好成績を望むなら従おうと・・・


もちろん、彼らが望む治療(?)を行った結果がどうなるのかを、きっちりと説明しなければなりません。暗い未来予想図を説明するのは億劫ですが、医師としては仕方ありません。


その未来予想図を理解した上でも目先の成績を望むのなら、最大限協力しようと思います。何と言っても、人間の価値観はそれぞれですから、万人向けの正解など存在しないのです。


最近でこそ良心の呵責はさほど感じなくなりましたが、かなり詳しいICの内容をカルテ記載しなければならないことが非常に面倒です。そろそろスポーツ選手用のひな型を作ろうかな。




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テニス肘は軟式テニスでも発生する!

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先日、外来をしていると、中学生が右肘の外側部痛で初診しました。
診察すると、テニス肘(上腕骨外上顆炎)のようです。


しかし、ここで問題(?)が発生しました。この子は中学校の部活で「テニス」をしていますが、硬式テニスではなく、軟式テニス(ソフトテニス)なのです。


えっ、軟式テニスでも「テニス肘」って発症するの? ご存知の方が多いと思いますが、軟式テニスはテニスと似て非なるスポーツです。


バックハンドで打球する際に、テニスでは手関節の伸筋群にストレスが加わりテニス肘が発症します。しかし、軟式テニスでは手関節の屈筋群を使って打球します。


このため、私は軟式テニスではいわゆる「テニス肘」は発症しないと思っていました。しかし、目の前の患者さんは明らかに「テニス肘」です。文献を漁ったところ、下記の文献がヒットしました。

  • 【上肢のスポーツ障害 その診断と治療】 テニス肘の診断と治療 
  • Author:薄井 正道(東北海道病院) 
  • Source:Orthopaedics(0914-8124)16巻2号 Page35-41(2003.02) 
  • 論文種類:解説/特集


札幌医科大学の薄井先生の論文を拝読すると、どうやらテニス肘(上腕骨外上顆炎)はテニスだけではなく軟式テニスでも発症するようです。う~ん、まさに目からウロコです。


上記論文によると、薄井先生の疫学調査では30歳台で軟式テニスを開始した女性22名中15名(68.2%)でテニス肘の発生をみたそうです。


未だにテニス肘発症のメカニズムについては統一した見解が無いようですが、薄井先生はテニス肘の発症には把持動作における手関節伸筋群の収縮が関与すると推察しています。


いずれにせよ、テニス肘が硬式テニスのみならず軟式テニスでも発生することは、私にとってトリビアでした。しかし、よく考えると患者さんの大半はテニスをしない中高年の方ですね。。。




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長く野球を楽しむための10の提言

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日整会広報室ニュースに興味深い記事がありましたのでご紹介いたします。
長く野球を楽しむための10の提言です。


平成27年度に日整会は全日本野球協会と共同で、全国の小学生の硬式・軟式野球412チームに対してアンケート調査を施行しました。結果はこちらで見ることができます。


そのアンケート結果を基づいて、長く野球を楽しむための 10 の提言が提唱されています。大規模な調査がベースであるため内容に説得力があります。



〔長く野球を楽しむための 10 の提言〕

1. 全力投球数が 1 日 50 球以上や週に 200 球を超える選手の障害の発生率は明らかに高い。将来とも長く野球が続けられるよう、全力投球はこれ以下の数を しっかり守ること。

2. 小学生の練習は、1週間に3日以内、1日3時間を超えないこと。

3. 練習前後のウォームアップ、クールダウンには十分な時間をかけ、少なくと も20 分以上を励行すること。

4. 毎週月曜日をセルフチェックの日と定め、指導者や保護者は、身体の痛みや肘の曲げ伸ばしの範囲に注意すること。

5. 少子化でチームの人数が少ない場合、特定の選手に過重な負担がかからないように配慮すること。

6. 障害の発生の初期段階では4、5日練習を休むと痛みが無くなることがある。まだ少しでも痛みがある時や再び痛みが出た時は整形外科受診が望ましい。

7. 練習以外の自宅でのトレーニングが過重にならないこと。身体の緊張をほぐすため1日数回のストレッチを習慣づけるように指導し、過剰な筋力トレー ニングは行わせないこと。

8. 全力投球をしないシーズンオフを少なくとも3カ月もうけること。例えば守備練習で捕球のみとし、全力送球をしない練習内容とする。

9. 1人の選手が1年間で出場するのは70 試合以内とするのが望ましい。

10. スポーツ障害の予防は、指導者・保護者の緊密な連携が大切で、整形外科専門医の定期的な検診を受ける仕組みを設けること。




私たちが子供の頃には考えられなかったような内容も含まれます。具体的には⑤で、確かに今の小学生チームでは9人集めるのも一苦労なところが多いと聞きます。


この提言を整形外科医だけがみるのはもったいないです。是非、日整会に頑張っていただいて、全国の野球少年の親御さんや指導者の方への啓蒙をお願いしたいところです。




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投球は7回以下100球未満で

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
高校野球のピッチャーには「7イニング以下100球未満」を推奨 です。




高校野球では、過度な投球数や連投に次ぐ連投などが問題視されている。山形大学整形外科の宇野智洋氏らは、山形県の高校野球投手を対象に、登板時における投球数やイニング数、投球時の痛み、投球パフォーマンスなどについてアンケートを実施した結果から、1試合で8イニング以上または100球以上の投球数で投球時の痛みが強くなり、投球の困難度が高くなること、いずれも満たす場合は要注意であることを、第89回日本整形外科学会で指摘した。



100球以上かつ8回以上だと投球時痛が強くパフォーマンス悪化  


宇野氏らは、山形県の高校野球選手1,191人を対象にアンケートを実施。そのうち、投手296人の回答から1試合当たりの投球数やイニング数、投球困難度として投球時痛、スポーツや楽器などによる機能障害の程度を自己評価するDisability of the Arm, Shoulder, and Hand(DASH)を投球に即して変更したもの(以下、DASH投球)、投球パフォーマンスについて検討した。  


検討の結果、1試合当たりの平均は、投球数は75±32球、イニング数は4.7±2.3イニング、投球時痛(痛みなし0点~最悪の痛み40点)は8.1点、DASH投球(困難なし0点~最困難100点)は19点、投球パフォーマンス(最良100%~最低0%)は67%であった。  」


投球数から、100球未満(250人)と100球以上(46人)に分けて投球困難度を見ると、投球パフォーマンスには差がなかったが、投球時痛は100球以上群では平均10.1点と、100球未満群の7.7点に比べて有意に高く、DASH投球も100球以上群では25点と、100球未満群の19点に比べて有意に高かった。  


イニング数から、7イニング以下(252人)と8イニング以上(44人)で見ると、DASH投球と投球パフォーマンスは両群に差はなかったが、投球時痛は8イニング以上群では11.1点と7イニング以下群の7.5点に比べて有意に高く、肩肘の投球時痛に関しても8イニング以上群では10.8点と7イニング以下群の6.4点に比べて有意に高いことが認められた。  


さらに、「100球以上かつ8イニング以上」の群(41人)では投球時痛が11.9点と、「100球未満かつ8イニング以上」または「100球以上かつ7イニング以下」の群(65人)で7.2点、「100球未満かつ7イニング以下」の群(190人)では7.5点であったのに比べて有意に高いことが認められた。肩肘の投球時痛もそれぞれ11.6点、6.2点、6.4点と、「100球以上かつ8イニング以上」の群で有意に高いことがわかった(図)。




図. 投球数とイニング数による全身および肩肘の投球時痛







整形外科医として外来をやっているからそう思うだけかもしれませんが、とにかく中学生や高校生で肘関節や肩関節に問題を抱える選手が多過ぎる印象を受けます。


今回の提言は、
「7イニング以下100球未満」と分かりやすいので、選手だけではなく両親や監督・コーチなどの指導者に対する啓蒙フレーズとしても適切ではないかと思います。


学生スポーツの現場では、こちらで紹介したようなことがまかり通っています。また、両親の視野が狭くなっていて、子供の将来まで見通せていないケースも散見します。



「スポーツ」という言葉の持つ美しい響きに惑わされがちですが、目先の試合結果ではなく前途有望な子供たちの将来の方を重視する風潮になってほしいものです。





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