整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

下腿

足趾のフォルクマン拘縮


先日、下腿コンパートメント症候群後の足趾拘縮の方が、セカンドオピニオン目的で受診されました。下腿コンパートメント症候群を放置すると、筋区画内の筋壊死や神経障害を起こします。


そして下腿であっても、前腕のフォルクマン(Volkmann)拘縮で知られる 不可逆性の阻血性拘縮を引き起こします。急性期には、筋区画(コンパートメント)内で下記の病態が進行します。

  1.  循環障害による筋肉の阻血性壊死
  2.  筋間を走行する神経の阻血圧迫麻痺 


①の筋肉の壊死ですが、深層のものほど高度で浅層は軽度なことが多いです。このため、下腿では下図のように深層にあるdeep posterior compartmentが高度に障害されます。



下腿コンパートメント



今回の方は、足趾の拘縮が主訴でした。具体的には足関節を背屈すると足趾が屈曲し、足関節を底屈すると足趾が伸展します。


deep posterior compartment内には長母趾屈筋・長足趾屈筋が存在するので、今回のような足趾の屈曲拘縮を併発します。


つまり、長母趾屈筋や長足趾屈筋が阻血性壊死しているため、筋肉としての機能が廃絶しているのです。このような症例では腱切離術で対応することが多いです。


ただ、実際に切腱術を施行するか否かは、足趾の拘縮の程度に寄ります。腱切離によって歩行時の足趾安定性を毀損してしまうと、歩行能力が低下してしまうからです。





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Maisonneuve 骨折を見逃すな!


先日、Maisonneuve 骨折の手術がありました。
Maisonneuve 骨折って何ぞや? という方が多いかもしれません。


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Maisonneuve (メゾヌーブ) 骨折とは、1840年にフランスの外科医のMaisonneuve 先生が報告した骨折で、遠位脛腓靭帯および下腿骨間膜の損傷に腓骨近位部骨折を伴ったものです。


受傷機転から足関節脱臼骨折のPE stage 4の亜型と考えられています。下腿骨間膜が破綻しているため、足関節の高度の不安定性をきたしています。


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Maisonneuve 骨折の問題点は、単純な足関節内果・後果骨折と勘違いしやすい点です。下腿骨間膜が全て損傷しているので、脛腓間スクリュー(positioning screw)が必須です。


Maisonneuve 骨折では下腿骨間膜が損傷しているため下腿の腫脹が高度であることが多いですが、さほど下腿全体の腫脹を認めないケースがあります。


このため、下腿の腫脹は Maisonneuve 骨折の除外診断の条件としては不十分です。足関節周囲骨折の際には念のため下腿や膝関節周囲の診察も忘れないようにする必要があります。



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石灰沈着性アキレス腱炎


先日の外来で30歳台の女性が突然のアキレス腱の痛みで受診されました。
診察すると確かにアキレス腱周囲が腫脹しています。発赤はありませんでした。


単純X線像では下図のように踵骨と距骨の間に、少し分かりにくいですが淡い石灰沈着を認めました。アキレス腱周囲に石灰沈着しているようです。



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診断は、石灰沈着性アキレス腱炎です。石灰沈着性腱板炎は、腱周囲から滑液包内に穿破した石灰成分に対する炎症反応です。


今回はアキレス腱周囲から踵骨後部滑液包内への石灰成分の穿破だと思います。身体所見はアキレス腱周囲炎のようにアキレス腱周囲のびまん性の腫脹を認めました。


しかし、通常のアキレス腱周囲炎と異なり、発症が急激で疼痛の度合いが強いです。本当に全身のいたる所で石灰沈着性腱炎は発症するものです。


ちなみに、私が経験した石灰沈着性腱炎 にさまざまな部位に発症した石灰沈着性腱炎のブログ記事をまとめているのでご参考にして下さい。



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成長軟骨温存のためプレートを選択


先日、13歳の脛腓骨骨折の方が入院されました。
サッカー中に相手と接触して受傷されたようで、単純X線像では螺旋骨折を認めました。


成人であれば術式で迷うことは無いのですが、単純X線像で骨端線が残っているため検討を要する症例です。ちょうど遠位骨幹端よりも約2cm中枢まで骨折線が及んでいます。


しばらく単純X線像を見ながら検討した結果、今回は骨幹端よりも中枢側のみロッキングプレートで骨接合術することにしました。偽関節が嫌なので、まずはMIPOでトライしようと思います。


背側凸の変形があるため前方からintrafocal pinningで整復・仮固定してから、骨折部を展開せずにロッキングプレートで固定する予定です。


このような症例では骨膜が破綻しているので、骨折部を展開するとあっと言う間に全長に渡って骨折部が露出してしまいます。骨折部の血流温存のためにも可能な限り展開しないつもりです。


もちろん、全く整復位を獲得できなければ、骨折部を展開せざるを得ないですが、まずはintrafocal pinningで整復を行い、年内最終手術を締めくくりたいと考えています。



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下腿三頭筋の筋腱移行部損傷に注意!


先日、自動車に衝突された30歳台の男性が搬送されてきました。下腿後面の痛みを訴えられていましたが、正面からの視診上は足関節に問題は無さそうです。


足関節の単純X線像でも明らかな骨折を認めなかったので、触診を開始しました。アキレス腱のレリーフは確認できますが、Thompson testは陽性でした。


圧痛点はアキレス腱停止部から12cm程度中枢です。 また同部位に一致して筋肉の陥凹を認めました。これらの所見から、下腿三頭筋の筋腱移行部損傷と診断しました。


ときどき診察する機会がありますが、アキレス腱のレリーフがあることと、足底筋や足趾屈筋の力である程度は足関節を底屈できるので注意が必要です。


部位が腓腹筋損傷と紛らわしいのですが、Thompson testが陽性なので鑑別可能です。治療は、アキレス腱断裂に準じたgravity positionでのギプス固定を行う必要があります。


腓腹筋損傷と思って2-3週の外固定で終了すると著明な足関節底屈力の低下を残します。 病態的にはアキレス腱損傷なので、見逃すとかなりやっかいなことになります。


したがって、私は筋腱移行部損傷を疑う場合は、Thompson testを施行するようにしています。このあたりのピットフォールはあまり教科書には載っていないので注意が必要だと思います。



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