整形外科医のブログ

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ばね指

リュープリンでばね指併発?

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先日、ばね指の患者さんが初診しました。ばね指と言っても初期の段階で、起床時のみスナッピングがあるようです。


既往歴を聴取すると、リュープリンの治療中でした。しかし、この患者さんは女性です。リュープリンって前立腺がんの治療薬ではないのでしょうか???


しかし、この方は子宮筋腫の治療としてリュープリンを投与されているとのことです。DIで調べると、リュープリンはテストステロンだけではなくエストラジオールも抑えます。


このため、前立腺がんだけではなく、閉経前の乳がんや子宮内膜症、子宮筋腫にも投与されるようです。う~ん、恥ずかしながら初めて知りました...。


そういうことであれば、リュープリン投与によって女性ホルモン分泌が抑えられるわけですから、ばね指を併発しやすくなるのも納得できます。


今回学んだことは、リュープリンは男性ホルモンの分泌を抑えるだけでなく、下垂体経由で女性ホルモンの分泌も抑えるということでした。リュープリンでは、ばね指に注意しよう。






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ばね指に対するテーピング

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先日の外来で、中指ばね指の患者さんが再診されました。この方には、以前にステロイド含有の腱鞘内注射を施行しています。


腱鞘内注射で、腱鞘炎はかなり軽快しましたが、弾発だけが少し残存しています。痛みは無いそうですが、カクカク引っかかって気持ち悪いとのことでした。


ところで・・・と、その患者さんに相談を受けました。テーピングをすると弾発症状がましになるそうですが、テーピングをしてもよろしいでしょうか? という質問でした。


どのようなテーピングなのか確認すると、単純にPIP関節とMP関節の間の基節骨部をクルクルと巻くだけのものでした。アンカーなどは一切使用していません。


この程度の簡便なテーピングにも関わらず、確かに弾発現象が少し緩和されている印象です。う~ん、こんなテーピングで、そこそこ効果があるとは・・・


ばね指に対するテーピングは何種類かありますが、フィギュアエイト風に巻いたり、アンカーを使用したりと簡便とは言い難いモノが多いです。


一方、今回の患者さんが自己流で編み出したテーピングは、簡便で誰でもできそうです。確かにこの患者さんには効果がありますが、他の患者さんに効果があるかは未知数です。


今度、腱鞘内注射後に弾発現象のみ残存した症例には、今回のテーピングを試してみようと思います。





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治療的テーピングの概要を学ぶことができます。



 






また来た!多数回の腱鞘内注射患者

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本題とは関係無い話ですが、当ブログへのアクセス数が300万を突破しました!
最近では、1日あたり 6000 以上のアクセスが継続しています。


全国の整形外科医は25000名ほどしか居ないのに、名も無い整形外科医の日常診療や投資活動を綴ったブログに、これほど訪れてもらえているのは光栄なことです。ありがとうございます!


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先日、アルバイト先の病院で環指狭窄性屈筋腱鞘炎(ばね指)の患者さんが再診されました。
私は初めての診察だったのでが、この半年で同院で3回の腱鞘内注射歴がありました。


しかも初診の段階で、現病歴の欄に「半年前に他医で2~3回の腱鞘内注射を施行されている」としっかりと記載されていました・・・


つまり、私の前に少なくとも5回の腱鞘内注射歴があるのです。これは非常にマズい状況です。先日もご報告したように、多数回の腱鞘内注射では屈筋腱断裂の危険性が高まります。


環指ばね指なので、普通なら経皮的腱鞘切開術を施行するところです。しかし、少なくとも5回の腱鞘内注射歴がある患者さんに、経皮的腱鞘切開術を施行すると屈筋腱断裂を誘発します。


多数回の腱鞘内注射歴のある患者さんに対しては、経皮的腱鞘切開術など怖くてとても施行できません。仕方なく、従来方式の観血的腱鞘切開術を行う予定にしました。


カルテ記載を確認すると、やはり全員アルバイト医師でした。「その場をしのげば良い」という気持ちは分からないこともないですが、もう少し注意して治療をしてほしいものです。


多数回の腱鞘内注射は意外なピットフォールだと思います。下手すると患者さんと共に、自分まで被害者になってしまうので十分に注意する必要があると思います。




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ばね指の発生因子

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外来をしていると、弾発指の患者さんを診察する機会が多いです。
弾発指の原因として、過去の超音波画像を比較した研究では下記の2つが報告されています。


1. A1 pulleyの肥厚
2. 屈筋腱の腫大


上記以外にも掌側板が関与している可能性もあります。大阪掖済会病院 手外科・外傷マイクロサージャリーセンターの田中祥貴先生の論文によると下記のような結果でした。


弾発症状を認めた弾発指群   : A1 pulley肥厚+屈筋腱断面積増大+掌側板の厚さ増大
弾発症状を認めない弾発指群: A1 pulley肥厚+屈筋腱断面積増大


一方、ステロイド腱鞘内注射施行群と非施行群の比較では、屈筋腱断面積に有意差は無かったが、A1 pulleyと掌側板の厚さは有意に減少したそうです。


このことから、屈筋腱の腫大は不可逆的変化であることに対して、A1 pulleyや掌側板の肥厚は可逆的変化と考えてもよいのでしょうか?


いずれにせよ、A1 pulley肥厚や屈筋腱腫大だけではなく掌側板肥厚も、弾発症状発生の原因となっているようです。今回は、A1 pulleyや屈筋腱腫大の単独因子では無いことを勉強しました。



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示指MP関節ロッキングの橈側手術

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先日、久しぶりに示指MP関節ロッキングの手術を行いました。
MP関節ロッキングは比較的珍しく、忘れた頃に症例を経験する印象です。


示指MP関節ロッキングの診断のポイントは、MP関節が屈曲位をとり伸展できないのですが屈曲はできることです。徒手整復を試みて成功しなければ手術が必要となります。


ロッキングの原因は中手骨骨頭のvolar lipという骨棘に副靭帯(fan like portion)がインピンジすることで発生します。手術では副靭帯(fan like portion)および骨棘(volar lip)を切除します。


さて、ロッキングは示指の橈側が原因であることがほとんどですが、圧痛点がMP関節橈掌側に
あることで最終確認します。もし、尺掌側であれば尺側を展開しなければならないからです。


アプローチは示指の橈側が原因であれば、側方アプローチが容易です。皮下を展開して伸筋腱膜を末梢に引くと副靭帯(fan like portion)が見えるので起始部で切除します。



volar lip - コピー



今回はvolar lipがよく分かりませんでしたが、上図の中手骨関節面の上にあった副靭帯(fan like portion)を切離するとロッキングが解除されました。


その後はvolar lipと思われる部位の骨をリウエルで切除しました。切除後の画像は下のようになっています。この操作によってMP関節ロッキングが再発することはないと思います。



切除後 - コピー



尚、注意点としてはロッキングを最終段階まで極力解除しないことです。理想的には副靭帯(fan like portion)を切離した瞬間にロッキングが解除されることです。


直視のみでは原因個所を判定することが難しいので、術前からロッキングが解除されている症例に手術を行ってはいけません。


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