整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

アプローチ

THA: 設置角度>>アプローチ

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12月は年の瀬にも関わらず、人工関節手術が多かったです。
同じような手術なのでマンネリ化しがちですが、気を引き締めて頑張りたいと思います。


さて、先日同門の医師とTHAの話をしていた際に、その先生はALSA(AL Supine Approach: 仰臥位前側方アプローチ)を採用しているとおっしゃられていました。


個人的には、ALSAはDAAよりも優れた前方アプローチだと感じています。脊椎外科ほどではないものの、股関節の世界でもそれなりに術式の進歩しています。


しかし、長年この手の手術ばかりしていると、アプローチの違いは些細なことであると感じるようになってきました。確かに各アプローチ間で、僅かですが優劣が実証されています。


そうは言っても本当に僅かな差にしかすぎないため、執刀医の技量の差やインプラントの選択の方が、圧倒的に長期成績に大きな影響を及ぼします。


そして、執刀医の技量の差とは、いかに至適な位置に至適な角度でインプラントを設置するかに尽きます。


この前提条件をないがしろにして、各アプローチ間の優劣を比較するのはナンセンスではないのか? と感じています。


この手のことをあまり大きな声でいうと、大御所の先生方からバッシングを受けるので、普段はあまり主張することはありませんが(笑)。




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広範挫傷ではドレープ使用で手術を!

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先日、上腕骨近位端骨折に対する髄内釘がありました。
交通外傷だったので、患肢の前腕に広範な挫傷がありました。


広範に表皮が欠損しているため浸出液の漏出が続いており、皮膚の上皮化を待つと2週間以上は掛かりそうな印象でした。もちろん、そんなに長く手術を待機することはできません。



P1070821 - コピー




そこで、上図のように創部をガーゼの上からドレーピングして、そのままドレープごと消毒して手術を施行することにしました。これは感染性の下肢切断術の際によく行う手技です。


もちろん、皮膚欠損している部位が手術の皮膚切開部であれば、この手法を選択できません。しかし、今回のように離れている症例では有効な方法だと考えています。


交通事故などで広範に表皮が欠損している症例では、いくら術前にブラッシング等を併用した消毒を行っても、感染予防の観点からはあまり意味がありません。


病棟からのガーゼやパットで皮膚欠損部を覆ったまま直接ドレーピングを何重にも行いうことで、皮膚欠損部から術野への細菌の拡散を防ぐことができると考えています。



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上腕骨髄内釘で目から鱗の皮膚切開

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先日、上腕骨近位端骨折に対する髄内釘がありました。
新しく来た同僚医師の執刀ですが、普段私が行っているアプローチと少し異なりました。


私は肩峰外側からの皮膚切開ですが、同僚医師は肩峰前方の皮膚切開でした。皮膚切開の中心は肩峰前縁で、肩鎖関節前縁から肩峰外側1cmぐらいまでの皮膚切開です。


このアプローチによって、上腕骨頭の直上へ到達することが非常に容易になります。私は、2.4 K-wireを
肩峰外側から2本刺入して髄内釘のエントリーポイントを確保していました。


しかし、今回のアプローチでは肩関節を伸展位(ビーチチェアポジションなので上肢を下垂するだけ)にするだけでダイレクトに至適なエントリーポイントに到達できました。


上腕骨近位端骨折に対する髄内釘の最も重要なポイントは、至適なエントリーポイントだと思います。肩峰前縁の皮膚切開は、このポイントを非常に容易にクリアできました。


同じ大学医局に属しているとは言え、異なる環境で働いていた医師の手術は勉強になります。医師の世界でも異文化(笑)との交流が大事ですね。



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THA: 易脱臼例では前外側アプローチ!

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今日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
高齢の骨盤後傾が著明な方で、広義の急速破壊型股関節症(RDC)でした。


RDCは骨質が脆弱なため手術が難しいことが多く、私の中ではやや苦手意識があります。更にこの方の股関節は可動域が広く、脱臼リスクが高い症例と判断せざるを得ませんでした。


私は股関節外科医なので症例に応じてアプローチを変えます。今回の問題点は易脱臼性なので前外側アプローチを選択しました。後外側アプローチに比べて関節の安定性が抜群だからです。


私は、①体型が普通+②易脱臼性の症例は前外側アプローチを、若年者で早期の社会復帰が必要な症例では梨状筋温存の後外側アプローチを選択しています。


これらに当てはまらない症例はケース・バイ・ケースですが、最近では梨状筋温存の後外側アプローチを好む傾向にあります。やはり後外側アプローチは、術者も患者さんも楽ですから・・・


※ 股関節が専門ではない整形外科医は、前外側でも後外側でも良いので自分の得意なアプローチをひとつ決めて、その経験値を高めることを目指すべきだと思います。



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TKAのアプローチによる術後成績の違い

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昨日の午前は人工膝関節全置換術(TKA)でした。TKAにもいろいろなアプローチがありますが、アプローチの違いで長期の術後成績に差は無いようです。


最も展開の容易なmedial parapatellar approachでは大腿四頭筋に侵襲が加わるため、短期的にはsubvastus approachやmidvastus approachに比べて術後の膝伸展力が落ちます。


しかし、術後3-4週経つと両群間での筋力に有意差は無くなるようなので、早期退院を目的にするのでなければ、medial parapatellar approachで充分ではないかと思います。


良好な展開を得ると、正確な骨切りや靭帯バランスを取りやすいので、そちらのメリットが大きいのです。一昔前にはやったMISのブームが去ったのは、ある意味良い傾向かなと感じています。
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