整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

アリゲーターサイン

骨粗鬆症性椎体骨折のVacuum cleft

このエントリーをはてなブックマークに追加


私は、高齢者の胸腰椎圧迫骨折では、ほぼ全例に近いほどロングフレームコルセットを3ヵ月間装着する治療法を選択しています。


入浴時と就寝時以外のロングフレームコルセット常用以外を課しており、就寝時には仰臥位となることを禁止しています。


これだけやっても比較的高率に、椎体の Vacuum cleft をきたしてしまいます。。。やはり就寝時も常用するべきなのかと感じていますが、実際はどうなのでしょう?


さて、Vacuum cleftは、骨粗鬆症性椎体骨折の骨癒合不全の指標とされています。椎体内にcleft(裂け目)が形成される部分は、椎体組織が壊死しているからです。


壊死を併発した椎体が圧壊すると、局所的には後弯を形成します。この状態で腰椎を伸展すると、椎体内壊死部分が上下に開大してcleft(裂け目)が形成されます。 



腰椎を伸展したときに椎体にできる間隙は陰圧となるため、その空間には空気中の窒素や水分が貯留します。これがvacuum cleftの正体です。


vacuum cleftは腰椎伸展位の方が隙間が大きくなるので、XpやMRIを撮像する際には、臥位で施行するとはっきりします。


vacuum cleftを放置すると、最終的には偽関節となります。偽関節化するとアリゲーターサイン(Alligator sign)をきたします。


こうなると経皮的椎体形成術単独では不安定性を取り除くことは難しいです。 椎体形成術に加えて、胸腰椎後方固定術も併用する必要があります。


しかし、もともと骨粗鬆症が高度な患者さんが多いので、早期にスクリューが緩む危険性が高いです。こうならないためにも、vacuum cleftを発見したら早めの対応が必要となります。






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        

圧迫骨折の偽関節化予防にPTH投与

このエントリーをはてなブックマークに追加

高齢者の脊椎圧迫骨折で骨粗鬆症の強い症例では、ときどき初診時から圧潰した椎体内にintravertebral vacuum phenomenonを認めることがあります。


この所見をみとめると高率に椎体骨折は偽関節化します。このような症例では早期からかなり厳密な安静と仰臥位禁止を指示しますが、残念ながら偽関節化する症例が後を絶ちません。


偽関節化すると慢性疼痛や遅発性麻痺の原因となるので、何とか偽関節化を阻止したいです。最近、このような症例に受傷早期からPTH製剤(フォルテオ)を投与してみました。


すると、intravertebral vacuum phenomenonは椎体前方にのみ部分的に残存するものの、椎体中央から後方にかけてはしっかり骨癒合する症例を何名か経験しました!


今のところ、完全に偽関節化する症例は幸い経験していません。私の肌感覚では受傷早期からのPTH製剤投与は脊椎圧迫骨折の偽関節化の予防に役立っていると思います。


PTH製剤に関してはTHA後のステム周囲骨折でもかなりの効果を発揮してくれました。高価な薬剤なので乱用はいけませんが、難しい症例では心強い味方になってくれる存在だと思います。


私の場合、初診時~受傷後1ヵ月以内に椎体内にintravertebral vacuum phenomenonを認めた症例では、骨癒合するまでの間は3ヶ月程度を目安にしてPTH製剤を投与します。


椎体の骨癒合が完成すれば基本的にはPTH製剤の投与は不要ですが、そのまま2年間の投与を継続する方も多いです。


       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


 
 一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。


                      

 症状と患者背景にあわせた頻用薬の使い分け―経験とエビデンスに基づく適切な処方





姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。


                       


       類似薬の使い分け―症状に合った薬の選び方とその根拠がわかる



アリゲーターサインの治療は慎重に

このエントリーをはてなブックマークに追加


私の受け持ち患者さんで、第1腰椎圧迫骨折後偽関節の方が居ます。この方は80歳台・透析歴10年以上の方で、難治性の背部痛が主訴となっています。


何とかしてあげたいのですが、単純X線像では椎体前方の偽関節部周囲の硬化像を認めます。また側面の前後屈動態像では、椎体偽関節部の不安定性を認めます。


腰椎後屈時の偽関節部が拡大する、いわゆるアリゲーターサイン(Alligator sign)です。更にこの方の場合は、椎体前方の硬化した骨片が遊離しています。


私の脊椎外科の師匠に御伺いしたところ、椎体にアリゲーターサインがあると、経皮的椎体形成術単独では不安定性を取り除くことは難しいとのことでした。


椎体形成術に加えて胸腰椎後方固定術も併用する必要があるそうです。更に高齢の透析症例なので、早期にスクリューが緩む危険性が高いことが予想されます。


現時点では下肢の麻痺症状は無さそうなので、このままトラムセット等の鎮痛剤で除痛をはかることがベストなのではないかと判断しました。高齢者の透析の方は、治療が難しいですね・・・。



       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 

                   
    


腰椎の手術―ベーシックからアドバンストまで必須テクニック (OS NOW Instruction)



アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

管理人の著書
管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル
医師のための 金融資産形成術
医師のための金融資産形成術

タダで自宅を手に入よう!


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール
タグクラウド
QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。