先日、胸腰椎圧迫骨折疑いの高齢者に対して、胸腰椎MRIを施行しました。自力歩行可能で、単純X線像でも明らかな骨折を認めませんでしたが、疼痛の度合いから骨折を疑いました。
結論的には第12胸椎圧迫骨折だったのですが、放射線技師さんから謝罪の電話がかかってきました。曰く、ピップエレキバンを貼ったまま撮像したとのことです。
もちろん、問診の段階でこのことは確認済みなのですが、患者さんご本人がピップエレキバンを貼っていることを忘れていたようです。。。こりゃ、どうしようもないですね。
ところで、何故ご本人さえ忘れていたピップエレキバンの存在を、放射線科技師が分かったかというと、下図のようなアーチファクトが発生していたからです。
一見、なんじゃこりゃという所見ですが、よくよく考えてみるとピップエレキバンを貼付したままMRIを撮像した画像をみるのは初めてです。
あんなに小さな鉄粒でも、大きなアーチファクトができるようです。幸い、患者さんに火傷被害はなかったようですが、高齢者の貼り忘れピップエレキバンは要注意だと思いました。
自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。