先日、知り合いの弁護士と飲みに行く機会がありました。
この方は今年厄年なのですが、新年早々インフルエンザに罹患したそうです。
厄年って、コワいですね(笑)。法律事務所を切り盛りしている弁護士なので、普段の業務は多忙を極めます。さぞ大変だったでしょうと訊くと、意外と大丈夫だったそうです。
「?」と思っていると、その理由を説明してくれました。周知のように、インフルエンザに罹患すると、しばらく出勤できなくなります。
この間、普通の会社員であれば、出勤できないので自宅で療養することになります。しかし、インフルエンザといっても高熱がでる期間は初期だけです。
解熱してしまえば体は楽なので何でもできてしまいます。このため、彼は自宅療養中にも、普通に仕事をしていたそうです。では、どのように仕事をこなしていたのでしょうか?
ヒントはクラウドにあります。彼の事務所ではデータをクラウドで管理しているそうです。このため、自宅に居ても仕事のデータにはいつも通りアクセスできます。
事務所にかかってきた電話は、彼の自宅に転送してもらっていたそうです。唯一できなかったのは顧客との面談だったのですが、数日間だけなのでほぼ支障は無かったそうです。
このようにクラウドと電話だけで、インフルエンザ罹患中も問題なく仕事をこなしていたのには驚きました。失礼ながら法曹界は、ややアナログな業界だと思っていました。
そんなアナログな業界でも、技術の進歩である程度の在宅ワークが可能なようです。では、医療業界はどうでしょうか? 遠隔画像診断などの一部の分野では在宅ワークも可能です。
しかし、一般的には「人」が相手の仕事なので、なかなか在宅ワークは難しいのが現状ではないでしょうか。医師では、いわゆる「ノマド」的な生き方は難しそうですね。
ところで、医師の仕事ではノマド的な生き方は難しいと述べましたが、それ以外の収入源があるとノマド的な生き方が可能となるケースもあります。
例えば、私が実践している不動産賃貸業や旅館業そして各種スモールビジネスは、基本的に「職場」が存在しません。極論すると、世界のどこに居てもできてしまいます。
今日は仙台で開催中の日本整形外科学会に出席していましたが、空き時間にスモールビジネスの業務をさらっとこなしました。PCとネットがあれば、全くシームレスな状態です。
この状態は、良い面と悪い面があります。意識の持ち方次第なのですが、オンとオフの切り替えが難しくなるからです。そうは言っても、在宅ワークがラクチンなことは事実です。
将来的に、医師がノマド的な生活を送ることができるようになるか否かは分かりませんが、知識労働者の一部は職場の縛りから解放されつつあるようです。
インフルエンザ
Medical Tribune 2014年8月28日号に興味深い記事がありました。「インフルエンザへの抗ウイルス薬処方率わずか16%」です。以下、Medical Tribuneからの転載です。
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インフルエンザ患者に対する早期(発症後2日以内)の抗ウイルス薬投与は、インフルエンザ関連合併症リスクの低下につながります。
このため高リスクのインフルエンザ疑い例に対しては重症度にかかわらず経験的投与が推奨されています。しかし外来診療における抗ウイルス薬の使用実態に関するデータは少ないです。
米疾病対策センター(CDC)は、2012/13インフルエンザシーズンにおける外来患者への抗ウイルス薬および抗菌薬の処方データを分析しました。
インフルエンザ診断確定例のうち、抗ウイルス薬が処方されたのはたった16%のみで、30%は抗菌薬が処方されていました。
現行ガイドラインに従って高リスク患者に抗ウイルス薬を処方する外来施設が極めて少ないことを問題視しています。
また,外来診療において何が抗ウイルス薬処方の障壁になっているのかを解明し、リスクが高い患者に対する迅速な抗ウイルス薬投与について理解を深める努力が必要とのことです。
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これは興味深い報告だと思いました。日本ではインフルエンザに際して抗ウイルス薬の過剰投与が問題になっていますが、米国では逆に過少投与が問題になっているようです。
米疾病対策センター(CDC)は、抗ウイルス薬過剰投与による薬剤耐性ウイルスの出現は問題にしておらず、薬剤耐性菌のみを問題にしています。
「海外ではインフルエンザぐらいでわざわざ医療機関を受診するケースは少ない。すぐに医療機関を受診してしまう日本人は、海外の人を見習うべきだ」という論調をときどき耳にします。
私は公衆衛生の専門家ではないのでどちらが正しいのか分かりませんが、抗ウイルス薬の種類が少ないことを勘案すると、耐性ウイルスの出現よりも過少投与の方がまだましな気がします。
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まだ、インフルエンザが流行していますね。
病院でも外来にはインフルエンザ患者さんで溢れています。
整形外科ではインフルエンザを直接診る機会はありませんが内科の隣で診察している場合も多く、ウイルスが充満していることは間違い無いと思います。
インフルエンザの予防法として代表的なものにマスクがあります。この季節には日本中マスクだらけですが、実際にどの程度の予防効果があるのでしょうか?
ドラッグストアで販売されているマスクは、自分が罹患した場合に周囲に飛沫感染させるリスクは減らすことができます。しかし生地が粗いため他人からの感染を予防することはできません。
では全く予防効果が無いのか?というと、そうでもないようです。マスクをすることで気道が保湿されるので、湿気に弱いインフルエンザウイルスに対する予防効果が見込めるそうです。
この季節、私は外来でマスクをしているのか?というと、実は装着していません。マスクをすると息苦しくなるので、個人的には嫌いなのです。
基本的には、①手洗い、 ②うがい、③充分な睡眠、で乗り切ろうと思っています。予防目的でマスクをするよりも、上記3つを習慣的に行う方が予防効果が高いのではないでしょうか。
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今日は本来なら手術日なのですが、全身麻酔手術がありません。なぜなら、月曜日からたった1人しか居ない常勤麻酔科医師がインフルエンザに罹患して自宅療養しているからです。
本日の予定であった腰椎手術も次週に延期してもらいました。麻酔科医師がたったひとりインフルエンザに罹患するだけで、甚大な影響が発生しています。
インフルエンザの発症は突然なので、非常勤医師を確保することも不可能でした。病棟の看護師さんはお互い欠員をカバーして何とかこなしていますが、医師は代替が無くてキビシイです・・・
まさか、インフルエンザを隠して診療するわけにはいかないので、腹をくくっておとなしく自宅療養するしかありません。それにしても5日間の自宅療養はあまりにも長いです。
もし常勤が2~3名しか居ない一般病院の整形外科医がインフルエンザになったら、毎日外来 ♪ という、悶絶するような とても楽しい状況に追い込まれます。
医師という専門職を確保することの難しさを改めて痛感しました。確かに考えてみれば私の住む100万都市でも、平日にフリーで居る整形外科医や麻酔科医はおそらく20名も居ないです。
したがって、いきなり欠員がおこっても医師の代替要員を確保することは事実上不可能です。無い袖は振れないので、インフルエンザ流行時の危機管理もクソもありません。
重責を担う医師にとって、健康に留意することが最良の危機管理になるのでしょうね。
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整形外科を志すなら、キャンベル(Campbell's Operative Orthopaedics)は必須でしょう。ペーパー版以外にも、DVDやe-ditionもあって便利です。更にKindle版は約30% OFFで購入可能です。このような辞書的な医学書は、電子書籍と相性が良いと思います。
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今年もインフルエンザやノロウイルスが流行しています。
先日、私の入院患者さんがインフルエンザに罹患してしまいました。
THA術後の方だったのですが、術後4日目から突然39度台の発熱が出現しました。感冒症状もあったため、術後感染ではなくインフルエンザであることは最初から予想できました。
検査結果ではやはりインフルエンザだったので、個室に隔離することになりました。通常、術後3~4日目ぐらいから、どんどんリハビリテーションができるようになる時期なのに残念です。
しかし、隔離しないと院内にインフルエンザが蔓延するので仕方ないです。隔離期間は施設によってまちまちだと思いますが、何か公的なガイドラインのようなものはあるのでしょうか?
残念ながらそのようなガイドラインは無いようなので、学校保健安全法に定める期間(つまり、発症した後5日を経過し,かつ,解熱した後2日を経過するまで)が妥当と考えられるそうです
インフルエンザに罹患した患者さんを隔離する期間に関しては、何ら強制力があるわけではないので、実際は各医療機関の判断にまかされています。
しかし、学校保健安全法にかかわる規定 (平成24年4月2日 24文科ス第8号)は法律で定められているので、悩む必要が無くてラクでいいですね。
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