昨日の午後は、成人の橈骨頚部骨折でした。
橈骨頭の傾斜角度が30度程度あったので手術適応と判断しました。


術式ですが、エンダー釘風に橈骨遠位端からK-wireを刺入して、橈骨頭を挙上・整復固定しました。昨日の症例では第2コンパートメント部(リスター結節橈側)の橈骨遠位端を2.4mm K-wireで開窓して、1.8mm K-wireを髄内に刺入しました。


1.8mm K-wireは、先端が鈍な方から刺入します(鋭な方から刺入すると橈骨頭軟骨下骨を穿孔する危険性があります)。また先端から1cm程度のところを少しだけ曲げておくのがポイントです。手元の鋭な方も同じ方向に曲げておくと操作性が向上します。


ペンチでK-wireを把持してハンマーで叩打することで橈骨髄内へ刺入します。手でグリグリするだけでは固くて髄内に刺入できません。先端が橈骨頚部に到達した時点で、K-wireの手元を回旋して先端を、骨折を整復するのに適した方向に合わせます。


軽くハンマーで叩打しながら慎重に橈骨頭を挙上・整復していきます。ここで強く叩打すると橈骨頭軟骨下骨を穿孔するので注意が必要です。術後は、刺入部のK-wireをベンダーで曲げて皮膚の上にだしておく方がベターだと思います。