人工股関節全置換術(THA)では、術中に大腿骨髄腔からの出血がだらだら続く症例をときどき経験します。


軟部組織からの出血なら焼却凝固等で対応可能ですが、大腿骨髄腔からの出血の場合、実際に採り得る手段はほとんど無いのが現実です。


敢えて言うなら麻酔科医師にお願いして血圧を低めにコントロールしてもらうことですが、血圧を下げたからと言ってすぐに髄腔からの出血が止まるわけではありません。


このような症例は、ババッと手早く手術を終わればよい! という方向に走りがちですが、オキシドールで大腿骨髄内洗浄を行うとかなり止血されることに最近気付きました。



私たちの施設では、THAやTKAの際にオキシドールで洗浄していますが、これは佐賀大学の佛淵教授(学長)の手術見学で学んだことです。


オキシドールで洗浄する目的は、①殺菌 ②止血 ですが、特に②の止血効果は目に見えてよく分かります。当初は習慣的にオキシドールで洗浄するだけでした。


しかし、最近では大腿骨髄内からの出血が多い場合には、積極的にオキシドールで洗浄して止血(?)することにしています。


インプラントが設置下でのオキシドール使用に関しては、気持ち的にやや躊躇してしまいます。しかし、この程度のことでインプラントの寿命が短くなることはおそらく無いと思います。



THAの際に大腿骨髄内からの出血で困ったら、オキシドールでの大腿骨髄内洗浄を検討しても良いかもしれませんね。





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初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です