整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

オムツ骨折

オムツ骨折の治療に悩む・・・

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、意思疎通の難しい高齢者が、膝関節の腫脹で受診されました。
SAH後の後遺障害のために、自分で歩行することも不可能です。


両下肢は、股関節・膝関節ともに90度で屈曲拘縮しています。右膝関節が異常に腫脹しているので、単純X線像を施行したところ、大腿骨顆上骨折を併発していました。


転位はかなり大きいのですが、骨質がかなり悪いです。いわゆる「オムツ骨折」です。オムツ骨折では、こちらでご紹介したように苦い経験があります。


う~ん、どうしよう。しばらく患者さんを目の前にして考え込みましたが、どうしても患者さんを手術できるイメージが湧かなかったので、今回は保存治療を選択することにしました。


保存治療といっても、高度に拘縮した股関節・膝関節なので、できることは限られています。膝関節90度屈曲位のまま、背側から下肢シーネを施行しただけです。


90度の拘縮膝にシーネ固定する臨床的意味合いには、あまり自信を持てません。しかし、施設では多数の職員さんが働いているので、オムツ骨折の存在を周知するために施行しました。


シーネ固定することによって周囲が注意して、慎重に体位変換を施行してくれることを期待したのです。医療技術が発達すると、このように治療の難しい患者さんが増えていきます。


昔であれば、ここまで長生きできなかったはずの方が増加するのです。医療の発展は素晴らしいことですが、いたちごっこのような気がするのは私だけでしょうか???





★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。








車椅子移乗が全介助は要注意?!

このエントリーをはてなブックマークに追加


大腿骨近位部骨折は症例数が多いため、整形外科医的にはありふれた骨折です。しかし、超高齢者の大腿骨近位部骨折に関しては、いくつかピットフォールがあると感じています。


先日も90歳を軽く超える超高齢者が某施設から搬送されてきました。受傷前のADLは介助下に車椅子移乗だったとのことです。問診の段階で、この患者さんはさほど問題無しと判断しました。


私が最も警戒する超高齢者の大腿骨近位部骨折患者さんは、受傷前から股関節拘縮を併発している症例です。高度の股関節拘縮がベースにあると、手術施行不能であることがあります。


手術が可能であっても、遷延治癒や偽関節に至る可能性が通常の症例よりも高いです。典型的な症例はオムツ骨折だと思います。オムツ骨折は難治性なので常に警戒しています。


しかし、オムツ骨折を始めとする股関節拘縮がベースにある患者さんは、問診の段階である程度判断可能です。私の中の判断基準は「車椅子移乗が全介助か否か」です。


車椅子にある程度自力で移ることができるのであれば、股関節拘縮を併発している可能性は低いと判断できるからです。そして自力で移乗できない患者さんには注意する必要があります。 


ほとんどの症例で 「車椅子移乗が全介助か否か」の判断基準は有効ですが、一度だけ受傷前は独歩だったのに股関節拘縮がベースにある症例を経験しました。


う~ん、大腿骨近位部骨折と言えども奥が深いです・・・。未だに股関節拘縮が受傷前から存在しているか否かに過敏になっている私は少し病的なのかもしれません(笑)。 





★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。








術前からの股関節拘縮は予測可能か?

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、大腿骨頚部骨折に対して人工骨頭挿入術を施行しました。
この方は80歳台後半で、転倒前は独歩可能だったとのことでした。


しかし、入院時から患肢を屈曲・内転させて動かしません。一応、単純X線像を撮影時には股関節を伸展できたので、特に気にも留めませんでした。


いざ、麻酔がかかって側臥位にしたときに患側股関節が外転しないことに気付きました。屈曲・内旋は問題なく可能なのですが、他動的にも伸展・外転・外旋しないのです。


股関節を外転しようとすると、内転筋群が著明に緊張します。どうやら受傷前から股関節の屈曲・内転拘縮があったようです。手術自体は屈曲・内旋できるため問題なく終了しました。


しかし、仰臥位にしても股関節は軽度の屈曲・内旋位のままです。他動でも股関節が外転しないので、やむを得ず経皮的に内転筋切離術を追加しました。


以前に、大腿骨転子部骨折で高度の股関節拘縮のため手術不能だったことがありました。その症例はオムツ骨折だったので、ある程度の予測が可能でした。


今回は転倒前は独歩だったので、股関節拘縮を予測することはかなり難しいと思います。結果的には術後も変わらず拘縮が残存したので、内転筋切離術を施行してようやく解除されました。


今回の経験から、受傷前のADLが独歩であっても股関節拘縮が存在する場合があることを学びました。高齢者の骨折はなかなか奥が深いものです。



       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です




                         

             
救急・当直で必ず役立つ!骨折の画像診断




オムツ骨折、恐るべし・・・

このエントリーをはてなブックマークに追加


先週ですが、老健施設入所中の90歳台の方が大腿骨転子部骨折で入院されました。
この方は、寝たきりの方で健側の股関節に伸展が-10度ほどの軽度の拘縮を認めました。


入院される1日前から股関節部の腫脹が出現したようで、典型的な「オムツ骨折」だと思います。いつものごとく、当日手術の準備を整えて手術室に入室してもらいました。


麻酔下に牽引手術台の載せたのですが、ここで問題が発生しました。透視下に見ると、患側の大腿骨頭がほとんど動かないのです。下肢を牽引して動かすと骨折部で末梢側が動きます。


解剖的な大腿骨近位部の形態に整復しようとすると股関節屈曲60度、外転20度、外旋40度ぐらいの肢位になってしまいます。更に、患側の膝関節も拘縮して-60度以上伸展しません・・・。


これにはほとほと困ってしまいました。健側が他動的にはそれなりに伸展できたので、ここまで高度な患側の拘縮を予想していませんでした。単純X線像ではかなりの粗鬆骨です。


このため、仮に股関節屈曲60度、外転20度、外旋40度で骨接合しても、すぐにカットアウトするか別の部位で骨折する可能性が極めて高いことが容易に予想できます。


これらを考慮した結果、全身麻酔を施行した後ではありますが、手術不能と判断せざるを得ませんでした。ご家族には上記を説明申し上げて了承を得ましたが、なんとなく後味が悪いです。


後から検討しても、術前の段階で100%手術が不可能であることを判断することは困難だという結論に達しました。やはり、最終判断は麻酔下にしか下せないと思います。


ひとつのヒントとして、患側の膝関節に高度の拘縮を認める場合には、高度の股関節拘縮も存在する可能性を考慮するべきかもしれません。


このような「オムツ骨折」では、術前の手術説明の際に、拘縮が高度で手術が施行できない可能性があることを、ご家族にあらかじめ説明申し上げておくべきことを学びました。



       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。



                                             

                                  
AO法骨折治療




オムツ骨折による開放創

このエントリーをはてなブックマークに追加

今日の午前は、出張先で外来をしていました。
80歳代の寝たきりの方が『膝の骨が皮膚を破って出てきた』とのことで受診されました。


この方は施設に入所中なのですが、1ヵ月前に
オムツ骨折?を受傷してかかりつけ医で大腿骨顆上骨折の診断を受けました。ここまではよかったのですが、その後外固定無しで経過観察されたらしく、極端なmalalingnmentを併発していました。


このため骨折部断端が皮下に突出して、とうとう2日前に開放創になったらしいのです。幸い、仮骨形成をみとめるので骨接合術は不要そうですが、このままでは骨髄炎が必発なので骨切除および掻破洗浄術予定となりました。


たしかにオムツ骨折を併発する方は、関節拘縮が著明なためシーネ固定が難しいケースも多いのです。しかし、このような症例を経験すると、可能な限り外固定した方が良いのだかなと感じました。





  ★★ 良本さえ知っていれば、配送料無料であらゆる医学書を購入できます ★★
 

                      




アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

管理人の著書

161228 【書影】医師の経済的自由
ビジネスパートナー募集中
産婦人科
株式会社リコー様のインタビュー記事


管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

管理人による m3.com 連載コラム
管理人による幻冬舎ゴールドオンライン連載
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル

医師のための築古木造戸建投資マニュアル 1
REITで実践する不動産投資セミナー
190122
医師のための 金融資産形成術


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール

自由気ままな整形外科医

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

・医学博士
・整形外科専門医
・日本リウマチ学会専門医
・不動産投資家
・超長期金融資産投資家

QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。