整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

カップ

THA: 筋群の圧迫力とカップ固定性

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先日のことですが、人工股関節全置換術(THA)を施行しながら、ふと思いついたことがありました。それは、セメントレスカップの固定性に関することです。


欧米人と比較して、日本人は臼蓋形成不全股の割合が多いです。このため、充分な被覆を得ることが難しい症例を散見しますが、それでもカップが固定されるのはどうしてでしょう?


更に、カップをインパクションしても充分な固定性を得られないため、やむを得ずスクリューのみでの固定となる症例まであります。


このような症例でも、私は術直後から全荷重を許可していますが、カップが移動することは通常ありません。たった、3本のスクリューで、カップにかかるストレスを支えているのか?


ずっと疑問だったのですが、インプラントを整復した際に、中殿筋などの股関節周囲筋による股関節への「圧迫力」が、カップ―寛骨臼間に良い影響を与えていることに気付きました。


つまり、股関節周囲筋群が緊張するおかげで、カップ-寛骨臼間には常に圧迫力が加わっているのです。スクリューは、カップ-寛骨臼間の剪断力予防の意味合いが強いのでしょう。


こう考えると、セメントレスカップを設置する際の心理的ストレスが幾分軽減されました。ただし、正確にリーミングすることが大前提であることは言うまでもありません。




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THA: 涙痕線からの距離も重要

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先日の人工股関節全置換術(THA)の際、興味深いことを教えてもらいました。
臼蓋形成不全が高度な症例では、カップのリーミングの位置に悩むことがあります。


術前計画の際に寛骨臼上縁からカップ上縁までの距離を計測することで、適切なリーミング位置をある程度は判断することができます。


しかし、寛骨臼上縁の骨棘の形は方向によって異なるため少し正確さに欠けます。これはある程度仕方無いことだと思っていましたが、寛骨臼下縁からの距離も指標になることを教わりました。


寛骨臼の6時方向にエレバトリウムを挿入して、そこからリーマーの下縁までの距離が、ちょうど単純X線像では涙痕線からカップ下縁までの距離に相当します。 


このように寛骨臼上縁からと下縁からの両方の指標を用いることで、カップ設置位置が適切か否かの判断がより正確になります。 


私の場合、寛骨臼上縁は10mm平ノミをメジャー代わりにして、上縁からの距離を寛骨臼内にマーキングします。 寛骨臼下縁は、軽くリーミングした後にエレバトリウムを挿入して確認します。


このような簡単な工夫で、高度の臼蓋形成不全股であっても術前計画通りの位置にカップを設置することができる可能性が高まると思います。 




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THA: カップ固定性不良の解決策

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人工股関節全置換術(THA)の術中のひとつのヤマは、カップ設置です。
骨質の悪い方や臼蓋形成不全の高度な方では、固定性が甘い場合がときどきあります。


カップの固定性が悪いと術者的にも焦ります。固定性不良の原因が、骨質の悪さに加えてリーミングの偏心である場合などは、リカバリーショットを打ち難い困った状況に陥るからです。


どうしようも無いときには、スクリューのみで固定する場合もあります。経験的には3本のスクリューがしっかり効けば、翌日から全荷重しても問題ないことが多いです。


な~んだ、それならそんなに焦る必要は無いじゃないか! と思うのは早計です。何故ならカップの固定性が無い状況でドリリングすると、カップが容易にずれてしまうからです。


このドリリング中に徐々にずれていくのは最もタチが悪いです。カップ設置角度が10度も異なると致命的なmalalingnmentになりますが、目視ではなかなか正確に判断できないからです。


ホルダーを外す際などにガクッとずれる場合には目視でもずれたことがはっきり分かります。しかしドリリングしながら徐々にずれていく場合には、目視ではまず分からないのです。


何とか3本のスクリューでカップを固定したものの、術後X線像をみてビックリしてしまうという事態を避けるためには、スクリューを1本固定した段階でホルダーを装着することをお勧めします。


寛骨臼内にカップを設置した状況でホルダーを装着することは結構難しいですが、この作業を省略すると痛い目に遭うのでがんばって確認するべきだと思います。




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THA: 最難関はライナー設置!

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先日も内閉鎖筋温存後外側進入の人工股関節全置換術(THA)を行いました。
かなりの数をやりこんでいるはずなのですが、未だに苦労する場面が多いです。


今回は、寛骨臼内の展開 → リーミング → トライアルまではスムーズに進みました。しかし、カップを入れる段階で少し手間取り、ライナーを設置する段階で悶絶してしまいました・・・


初期の頃はリーマーの出し入れだけでも一苦労でしたが、2015.5.9にご紹介したコツを実践することで、トライアルまでは難なく施行可能となりました。


しかし、相変わらずカップやライナーの設置に手間取ります。特にライナー設置が曲者で、寛骨臼前方でカップとライナーの間に介在物が挟まりこんでなかなか上手く設置できません。


今回は大腿骨を上方(天井方向)に挙上して寛骨臼前方にスペースをつくってライナーを滑り込ませました。10分ぐらい格闘していたので、もう少しで内閉鎖筋温存を諦めるところでした。


何とかライナーを設置して内閉鎖筋温存THAを敢行したものの、未だにどんな症例でも問題なくサクサクとインプランテーションの手順を進めて行く次元には到達していません。


おそらく通常の梨状筋温存後外側進入なら何の問題もなく1時間程度で手術が終了すると思いますが、内閉鎖筋まで温存するとなるとなかなか一筋縄には行きません。


術中の30分程度の手術時間延長を取るか、内閉鎖筋まで温存して股関節後方の安定性を取るかは、なかなか判断に悩むところで結論をまだ出せておりません。



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                                    人工股関節全置換術



リーマーを寛骨臼内に誘導するコツ

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先日、人工股関節全置換術(THA)がありました。
最近では梨状筋~内閉鎖筋までの短外旋筋群を温存しています。


この術式のメリットは股関節の安定性が向上しますが、軟部組織を温存すればするほど手術操作が難しくなります。両者はトレードオフの関係なのです。


寛骨臼の下半分しか展開していないので、リーマーやカップを寛骨臼内に誘導することが非常に難しいです。通常のTHAでは苦労しないところで、操作上の問題点があります。


さて、これを解決する手法としてリーマーやカップを頭側から寛骨臼内に挿入すると、スムーズに誘導できることが多いです。


寛骨臼内は下図のように末梢側半分だけが展開された半円状になっています。この「半円」の形状にリーマーやカップの形状を「合わす」ためにリーマーの柄の部分を頭側に向けるのです。
  

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そして、この手技は梨状筋~内閉鎖筋までの短外旋筋群を温存するTHAだけではなく、人工骨頭置換術でも応用できます。


人工骨頭置換術の場合には大腿骨頭を抜去するために、骨頭抜去器の柄を頭側に持ってくるとスムーズに大腿骨頭を抜去できることが多いと思います。



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                                    人工股関節全置換術

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