セメントレス人工股関節全置換術(THA)において、技術的な問題が発生しがちなのはカップ設置です。カップの固定性や固定角度の問題を経験した方は多いのではないでしょうか。


さて、そのうちカップ固定性に関してはセメントレスカップを選択するかぎりは100%回避することはできません。


しかし、カップをインパクションした際にカップの固定性はある程度判断できます。私の場合、カップの固定性は「音」と「ハンマーの手ごたえ」で判断しています。


特に「音」に関しては、ハンマーを叩打していると固定性を得られた瞬間に音が変化します。具体的に言うのは難しいですが、少し重い音に変化するのです。


この音の変化が分かると「ああ、今回のカップ固定性は問題無しだな」と判断することが可能です。音の変化を確実に聴取できたときには、ほぼ100%固定性がバッチリです。


一方、音の変化を聴取できずに最後まで軽い音が続く場合には要注意です。このような症例でもそれなりの固定性を獲得していることはありますが、イマイチなことが多いです。


このようなカップの固定性を獲得できた確証をえられない症例では、ホルダーを除去してから最初のスクリューを挿入するまで、素早い動作と細心の注意が必要です。


このように、カップ叩打時の音の変化は、カップの固定性を知る指標のひとつとして重要だと感じています。





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