整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

カルテ記載

「合理的理由」を証明する方法

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先日の 診療ガイドラインは危険な地雷 では、現在の日本において診療ガイドラインがいかに危険な存在になったのかを解説いたしました。


そして、
診療ガイドラインと並んで危険な存在として医薬品や医療機器の添付文書が挙げられます。添付文書は診療ガイドラインと同様に医療訴訟で判断する材料となるからです。



参考: 危険な診療ガイドラインおよび添付文書(過去のブログ記事)

高齢者の安全な薬物療法ガイドライン(指針)
免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン
某製薬会社によるMTXの添付文書



つまり、医療について素人の裁判官が医療訴訟で判断する材料は、
診療ガイドラインおよび添付文書であり、その記載内容が裁判における判断材料の「すべて」なのです。



医師が
診療ガイドラインや添付文書の記載内容に従わずに事故が発生した場合、従わなかった「合理的理由」を証明する必要がありますが、具体的には下記の3つの方法があります。


・ 文献
・ 鑑定
・ カルテ記載 



カルテ記載が最も簡便かつ有力な方法なので、私たちは
診療ガイドラインや添付文書の記載内容と異なる治療法の選択を行った理由を具体的かつ詳細にカルテに記載する必要があります。


この作業を怠ると医療訴訟の犠牲になる危険性が高まるので、
診療ガイドラインや添付文書の記載内容と異なる治療法を選択する場合は、カルテ記載の手間を惜しんではなりません。


 
医療訴訟では問題の本質が問われることよりも、医療の素人でも分かりやすい説明義務違反や
診療ガイドライン・添付文書の記載内容と異なる治療などが争点になりやすいです。


ベストを尽くしても結果が悪ければ足元をすくわれる危険性があるので、私たちは
診療ガイドラインや添付文書の記載内容を睨みながら、地雷を踏まないように診療を行う必要があります。




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医療訴訟を回避するカルテ記載

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Medical Tribune 2014年1月30日号に興味深い記事がありました。
「THE 判例 訴訟リスクから見る日常診療の落とし穴/カルテ改ざんをめぐる裁判例」です。
以下、Medical Tribuneからの転載です。


-----------------------------------------------------------------------------

Q:次のうち,裁判例に照らして誤っているものはどれか。

① カルテ改ざんや成立の真正を立証するために,当該医療機関の他の患者のカルテの記載方式などを証拠とすることは許されない

② 後日,治療内容を整理して,学会報告などのための便に資するように記載するのであれば,断片的な記載はしないはずである

③ 診療録に記載がなければ,後日それが改変されたような事情がなければ,そのような事実はなかったと推認される

④ 1行に2行分の記載があれば怪しいとされる

-----------------------------------------------------------------------------


答えは①だそうです。


「同一人の記載による時期が近接したカルテにつき,基本的な記載ぶりの多くが大きく異なることは不自然で違和感を覚えざるをえない」という判決です。  


弁護医師の田邉先生は、「このような判決からは、カルテは誰にも読めないような、何語か分からないような文字で略語を多用するのが訴訟上はベストのようです」 とコメントされています。


冗談と受け取って良いのか、本心でおっしゃられているのか判断に苦しみます(笑)。ただ、最近は電子カルテが全盛なので、昔の様に読めないカルテは姿を消しつつありますが・・・


あと、③に関しても「カルテ記載の無い事項は、当該事実の不存在を事実上推定させる」とのことです。後日に争いのタネになりそうなポイントは積極的に記載しておくことが望ましいようです。


私は身体所見に問題が無い場合には、「バイタルサインは安定している」、「四肢の循環状態に問題なし」、「四肢・体幹の神経学的異常所見を認めない」等の表現を用いています。


このような広範囲をカバーする表現で、記載時点で問題が無かったという証拠固めを一網打尽に行っています。電子カルテならコピー&ペースト可能なので記載も苦痛ではありません。


「医師にとって診療上の必要性と法的義務の両面によって真実性が担保されているというべき」とのことで診療録は裁判上は信用力が高く、改ざんの立証責任は一般的に原告側にあります。


したがって、無用な医療訴訟に巻き込まれないためにも、せっかく診察・診断した内容はできるだけポイントを押さえて積極的にカルテ記載を行っていきたいものです。



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