整形外科医のブログ

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ガイドライン

ガイドラインからみた抗菌薬の使い方

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日整会誌90: 1031-1035 2016に興味深い論文がありました。
ガイドラインからみた抗菌薬の使い方 です。要旨を下記に記載します。



SSI発生率

  • 人工関節置換術 1.36%
  • 脊椎instrumentation手術 3.73%


原因菌
  • MRSAやMRSEの割合は、人工関節置換術 46%、脊椎instrumentation手術 44%


術前の鼻腔内および全身の皮膚の除菌の有効性
  • ムピロシンによる鼻腔内除菌がSSI発生を低下させる可能性を示す報告が多くみられます。
  • APICの2010年のガイドラインでは、選ばれた手術にMRSA保菌者の除菌を行うとしています。
  • 除菌方法としてムピロシンの鼻腔内塗布1日2回+2~4%クロルヘキシジン(ヒビテン)の全身浴を術前5日間施行とあります。


抗菌薬の1回投与量
  • 標準投与量を推奨
  • CEZでは、体重80kg以上で2g、体重120㎏以上で3gを推奨する勧告があります。


投与間隔
  • CEZの場合、2~5時間ごとに追加投与して組織内濃度を有効域に保つ必要があります。


投与期間
  • 耐性菌の増加を防ぐために、術後48時間以内を推奨


抗菌薬の選択
  • ブドウ球菌に対して抗菌活性が強く安全性の高いCEZが第一選択


抗MRSA薬の予防投与の適応
  • MRSA保菌者に対しては、鼻腔の除菌+β-ラクタム系薬+VCM
  • β-ラクタム系薬を併用するのは、VCMのMSSAに対する抗菌力がやや弱く、グラム陰性桿菌に対する抗菌力が無いからです。




ガイドラインを拝読した私の感想は、鼻腔内除菌が再評価されていることに対する驚きでした。頻回に易感染性の患者さんの手術を担当する私としては、今後検討したい課題です。






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高機能マットレスで褥瘡根絶を!

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
褥瘡ガイドラインを公表 です。




米国内科学会(ACP)は2015年3月3日,褥瘡のリスク評価と予防および治療に関する2つのガイドライン(GL)をAnn Intern Med(2015; 162: 359-369,370-379)で公表した。


それぞれ3つの推奨項目が示されたが、中でも推奨強度が最も強いのは、褥瘡発生リスクの高い患者に高機能の静止型マットレス・上敷きを使用すべきとしたもの。


一方、圧切替型マットレスは使用すべきでないとの見解が示された。また、褥瘡面積の縮小を目的としたドレッシング材の使用や蛋白質またはアミノ酸の補給なども推奨された。

                                 





私が研修医の頃は、圧切替型マットレスを導入している病院を散見しました。非常に高価なマットレスだったので脊損患者さんなどに優先的に使用していたことを覚えています。


もちろん、脊損患者さんに褥瘡ができてしまうことはある程度仕方ないと思いますが、通常の大腿骨近位部骨折の術後でもちょっと油断すると大きな褥瘡を併発してしまうことが多かったです。


しかし、ACPの褥瘡ガイドラインでも推奨されているように、高機能の静止型マットレスを使用する施設が増えるにつれて、褥瘡にお目にかかる機会が減りました。


こんなことを言うと看護師さんに怒られそうですが、看護技術の向上というよりは高機能マットレスの性能のおかげで褥瘡が減った印象です。


やはり、医療の進歩は利用できる機器の性能に助けられている面が大きいと思います。医療費は削減傾向にありますが、もっともっと役に立つ機器が登場すると良いですね!




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適切な睡眠時間は?

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
睡眠時間に関する年齢別の勧告を発表 です。




全米睡眠財団(NSF)は、適切な睡眠時間に関するシステマチックレビューを行い、新たな勧告をSleep Health(2015年2月2日オンライン版)に発表した。


NSFは2004〜14年に発表された英語文献312件のシステマチックレビューを行い、適切な睡眠時間に関してこれまでで最も広い分野にわたるコンセンサスの確立を試みた。  


今回の勧告では「推奨される」睡眠時間を提示するだけでなく、「一部の人にとっては適切と思われる(may be appropriate)」および「推奨されない」睡眠時間も併記している。


睡眠時間が正常範囲からたびたび逸脱する場合、それは重大な健康問題の徴候や症状である恐れがある。また、故意の逸脱は健康を損ねる恐れがあるとのことです。




150225


                                 




私の場合は、この勧告をみると7~9時間の睡眠が推奨されるようです。最近では、毎日6~7時間睡眠のことが多いので、もう少し睡眠時間を長くした方が良いのでしょうか?


一方、小学生では9~11時間・中学生や高校生では8~10時間なので、一般的な日本の生活習慣と比べて少し長めの睡眠時間が推奨されているようです。



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今春も鼻噴霧用ステロイド薬で!

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Medical Tribuneで個人的に非常に興味深い記事がありました。
アレルギー性鼻炎ガイドラインを発表 です。




米国耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(AAO-HNSF)は2015年2月2日、アレルギー性鼻炎の診療ガイドライン(GL)をOtolaryngol Head Neck Surg(2015; 152: S1-S43)で公表した。


症状によりQOL低下が見られる患者には鼻噴霧用ステロイド薬(INS)を、くしゃみや鼻の掻痒感を主症状とする患者には第2世代抗ヒスタミン薬を「強く推奨する」と明記。


この他、米国でも2014年に承認された舌下免疫療法(SLIT)の位置付けが示された。





ガイドラインの対象は2歳以上の小児と成人で、14の推奨項目のうち「強く推奨」されているのは、症状によりQOLの低下が見られる患者に対する鼻噴霧用ステロイド薬の使用です。


主訴がくしゃみや掻痒感のみで、QOLの低下まできたしていない患者さんに対しては、第2世代あるいは鎮静作用の弱い経口抗ヒスタミン薬が推奨されています。  


経口抗ヒスタミン薬の利点は、「短時間で効果が発現」 「1日1回の服用で良い」 「日常的な使用による効果の持続が見込める」などです。  


一方、キプレスやオノン等のロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)を第一選択薬として使用することは推奨されないと記されています。


舌下免疫療法などのアレルゲン免疫療法に関しては、鼻噴霧用ステロイド薬や経口抗ヒスタミン薬などの薬物療法で十分な効果が得られない患者に実施することが推奨されています。


そして、これまでに実施されたシステマチックレビューでは、皮下免疫療法が舌下免疫療法を上回ることが示唆されていると紹介されています。注目していただけに少し残念ですね。


それはさておき、花粉症に悩む身としては今まで自分に対して行ってきた鼻噴霧用ステロイド薬を中心にした治療法が間違いでないことが分って良かったです。


一方、舌下免疫療法に関しては、現時点では鼻噴霧用ステロイド薬の無効例にのみ推奨されているので、私ももう少し治療開始を見合わせようと思います。



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大腿四頭筋停止部の痛風発作

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今日の午前は外来でした。
2週間前から誘因なく膝前面の痛みが出現して、痛みが続くという40歳台男性が受診されました。


大腿四頭筋の膝蓋骨停止部に一致して軽度の腫脹・熱感・圧痛・発赤を認めました。単純X線像では石灰化等の異常所見を認めませんでした。


発症時に他院の整形外科を受診したところ、蜂窩織炎を疑われて抗生剤を3日分投与されたそうです。その時の採血結果を持参されており、WBC/CRP 11000/5.1mg/dlでした。


しかし興味深いことに尿酸値(UA)も高値で8.2mg/dlありました。念のため本日も採血して血液生化学データを確認するとWBC/CRP 8000/1.1mg/dlと軽快していましたがUA 9.3mg/dlでした。


経過や検査結果からは痛風発作である可能性が濃厚となりました。一般的には下肢の関節に発症するケースがほとんどですが、ときどき今回のように腱の骨停止部に発症することがあります。


私自身も大腿四頭筋の膝蓋骨停止部の痛風発作は初めて診ましたが、アキレス腱停止部の痛風発作があるくらいなので大腿四頭筋に起こっても不思議ではないと思います。


痛風といえども個人差が大きく、診断するだけでも難しいケースがあることを痛感しました。



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