先日、興味深い書籍を拝読したのでご紹介します。
高度に複雑化した社会に対応するために、組織は専門化する傾向にあります。






そして専門家集団や社会集団の中へ閉じ込められてしまう状態を「サイロ」と呼びます。サイロの問題点は、多くの人が視野の狭い状態へ陥ってしまうため、変化に対応できなることです。


サイロは、大企業病・組織の硬直化・派閥争い・セクショナリズム・官僚主義等の原因となります。現代社会においては、一般的に専門化と集中が好ましいものとされてきました。


しかし、専門化によって効率を追求しすぎると、かえってうまく機能しなくなるという非常に悩ましいパラドクスが存在します。本書は組織におけるサイロを回避する一助になるかもしれません。


そして、私が印象に残ったのは、「イノベーションは辺境からやってくる」という一文です。常々、私は異なる2つの領域の重なる辺縁にこそ、革新性や金脈が眠っていると感じています。


今回の書籍の内容は、それを支持していると理解しました。医師の働く環境はサイロだと思います。私たちは常々専門化を推奨されていますが、本当は正しい道ではないのかもしれません。


特に勤務医は、自分の専門分野が無いと非常に恥ずかしい気持ちになりがちです。もちろん、専門分野を究めることは大切ですが、重要なのは専門分野に留まらない意志だと思います。


自分の専門分野以外にも興味の対象を広げ、サイロ化を防ぐことが大切だと思います。平たく言うと、専門バカにならないことです。もちろん医師に限らず、これは普遍的な問題だと思います。


例えば、私は不動産賃貸業から民泊を経て、旅館業への進出を目論んでいます。最近は毎日のように旅館業界の関係者と会話していますが、明らかに彼らと視点が違うことに気付きました。


彼らの大部分は旅館業もしくは起業家のため、知識や考え方のベースが旅館業界です。私の知識はAirbnbなどの民泊がベースなので、隣接分野の知識は非常に役に立ちます。


一方、旅館業界の方は民泊に警戒心や敵対心を抱きつつも、規制の緩さや新たな需要の獲得などに興味を抱いているようです。しかし、残念ながら図体が大きいため動きは緩慢です。


この2つの分野の辺縁領域では、民泊の「規制の緩さと新しい需要」+旅館業の「単価の高さ」に金脈が眠っています。この領域への参入者は少ないのでブルーオーシャンが広がっています。


自分の価値を上げるために専門化するのもひとつの戦術ですが、サイロ化するのを回避して常に隣接領域を意識することが重要ではないかと思います。


医師を長く続けていると自分が狭く閉じた社会に居ることを忘れがちです。サイロに留まる人を尻目に外の世界を見ることができる人は、大きな利益を得ることができるかもしれませんね。




★★  医師のための資産形成講義  ★★


第88回日本整形外科学会学術総会期間中の2015年5月23日に開催した、本ブログ管理人による 「医師のための資産形成セミナー」 の動画、および講演で使用したスライドです。


2015神戸セミナー



本セミナーは経済的自由獲得を目指す医師向けに開催しました。 資産形成マニュアル は、医師に最適化した資産形成手法だと自負していますが、文書だけでは伝わらないことも多いです。


講義内では、資産形成マニュアルにおいて文面だけでは伝えきれなかった資産形成のコツや、寝ていても定期収入をもたらしてくれる 「資産の自動運転化」 を中心に説明しています。