先日、透析患者さんが手関節の骨折で受診しました。
結構粉砕していたので普通に考えると手術適応です。


しかし、私は保存治療を選択しました。なぜなら骨折はシャント側だからです。シャント側に手術をすると、シャントが閉塞する可能性があるから保存治療にしたのでしょうか?


いいえ、それだけではありません。昔、シャント側の骨折治療で非常に苦い経験をしたからです。私がシャント側の上肢の外傷に身構えるのは下記の理由です。

  1.  骨癒合しにくい(創が治癒しにくい)
  2.  感染を併発しやすい


いずれも原因は血流障害のためです。もともと透析症例では血管が不良な状態ですが、これに加えてシャントのために、それより末梢への血流が低下しているからです。


このため、通常では考えられないことを併発しがちです。転位の大きな中手骨骨折に対して経皮的ピニングを施行したところ、あっという間に骨髄炎を併発したことがありました。


先手先手で治療をしましたが、それをも上回るスピードで状況が急速に悪化したため、冷や汗をかきました。ぎりぎりのところで切断は回避しましたが、本当に危ない状況でした。


シャント側より末梢の手術で一度感染を併発すると、シャントまで近いのでリカバリーが非常に難しくなります。


中手骨骨折に対する経皮的ピニングで、シャントも含めた上肢切断術に至ってしまうと目も当てられません。しかし、実際にそのようなことは起こりうるのが怖いところです。


とにかくシャントよりも末梢の外傷では、通常では考えられないことが発生しがちなので、かなり慎重になるべきだと思います。あ~、思い出すだけでも怖くなりました。。。







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