先日、膝関節内側側副靭帯損傷(MCL)の患者さんを診察しました。
幸いMCLの単独損傷であったため外固定での保存治療となりました。


MCL損傷単独損傷では膝関節軽度屈曲位として大腿部から下腿遠位までのシーネ固定で十分です。しかし、実臨床において下肢シーネをしっかりと作成することは意外と難しいです。


大腿部をしっかり固定するためにはそれなりの幅のあるシーネを作成する必要があるのですが、成人の大腿部を十分に被覆できる幅の既製品のシーネが無いためです。


理想を言えば大腿周径の半分の幅のシーネが必要です。しかし、最も大型のシーネでも成人の大腿周径の1/3程度しか幅がありません。


このような場合、面倒なのですが私は下肢ギプスを巻くようにしています。一旦ギプスを巻いてから、その場でギプスをカットしてシャーレにします。


こうすることで成人の大腿であっても周径の半分の幅を確保できるため、十分な固定性のある下肢シーネを作成することが可能となります。


コストはギプスもシーネも同じ点数なので、患者さんの医療費負担は変わりません。私の手間は増えますが、既製品による中途半端な下肢シーネよりも数段治療効果が期待できます。


成人の膝関節内側側副靭帯損傷の治療は単純ですが、どうせ治療するのなら多少手間がかかってもギプスをカットしたシャーレで本格的な膝関節固定を心掛けたいものです。



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