昨日の午後は、足関節脱臼骨折(SE stage 2)に対する関節内骨折観血的手術でした。昔は1/3円プレートでしたが、さすがに最近は他社の後外側プレートを使用しています。
足関節脱臼骨折は非常にポピュラーな外傷なので、整形外科医にとってプレート固定の登竜門的な外傷だと思います。
この手の骨折はスクリューの刺入を一発でキメることがポイントだと思います。特にデプスゲージなどの測定でもたもたしていると、せっかく整復した骨片が再転位することもあります。
私はできるだけスムーズに内固定を終了するために、健側の単純X線像でスクリューの長さを術前に計測しておきます。例えば、「ラグスクリューは26mm程度だな」等の予想を立てるのです。
スクリューの長さが術前の予想から大幅に外れる場合には何かがオカシイので、スムーズに手術が進行しているかどうかの目安にもなります。
あと、ラグスクリューの長さの測定の際に、腓骨遠位骨片の後方を触知するとデプスゲージ先端を触知できるので、いちいちデプスゲージの先端を皮質骨に引っ掛ける必要が無くなります。
このような小さな気付きや工夫の積み重ねによって、スクリュー刺入等の内固定が一発でキマるようになり、徐々に手術時間が短縮されていくと思います。
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AO法骨折治療
スクリュー
今日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
セメントレスカップを設置する際に、補助的にスクリューを使用するケースが多いと思います。
ドライバー先にスクリューを付けた状態で寛骨臼内に誘導しますが、ドライバーを少しでも傾けるとカップ内に落ちてしまうことがよくあります。
1~2回スクリューが落ちるだけならご愛嬌ですが、何度も落ちてしまうと最悪の場合にはカップが動いてしまう可能性があります。
このような場合にはドライバーの先に血液を付着させてからスクリューヘッドに差し込むと、多少傾けてもスクリューがドライバーの先から落ちにくくなります。
私の場合にはスクリューが落ちてからではなく、ルーチンワークとして最初からドライバー先端に血液を付着させてスクリューヘッドに差し込んでいます。
たったこれだけの操作でスクリューがカップ内に落ちる可能性がほとんど無くなるため、カップ固定時のストレスが少し緩和されます。簡単な操作なので試されてはいかがでしょうか。
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人工股関節全置換術
先週の金曜日に脛腓骨遠位端骨折の抜釘術を行いました。
術後1年程度なのですが、脛骨はロッキングプレートでした。
通常のプレートであれば、スクリューが折損したり六角穴が潰れてもプレートを抜去できないことは無いですが、ロッキングプレートの場合には、スクリューが1本でも抜去できないとプレートも抜去不能となります。
したがって、従来以上の注意が必要となりますが、抜釘時のスクリュー折損はある一定の確率で発生します。このような場合に活躍するのが、折損スクリュー抜去セットです。
これを準備しているか否かでは、折損発生時の対応方法が大きく異なります。先週の症例でもスクリューが既に折損していましたが、折損スクリュー抜去セットを準備していたので数分で抜去できました。
尚、折損スクリュー抜去セットには下記状況に対応できるデバイスが揃っています。
① スクリューの六角穴が潰れた時
② スクリューが折損して先端が骨内に残った時
事前に使用方法を予習しておくと、スクリューが折損するトラブルが発生してもスムーズに対応できます。特にロッキングスクリューの抜釘時には必須のアイテムだと思います。
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今日の午前は、人工股関節全置換術(THA)でした。
やや若年者であること以外は、特に問題の無い症例でした。
通常セメントレスカップの固定では、スクリューを使用します。
スクリューは、基本的に内板を貫通します(bicortical)。
しかし、若年者で骨質が良好な場合には、手前の軟骨下骨だけでも充分にスクリューが効きます。この場合には内板を貫通する必要がありません(monocortical)。
内板の表面には腸骨筋で覆われているのでsafty zoneにスクリューを刺入している限りは、
動静脈損傷を併発する可能性は低いです。
しかし、動静脈の位置は個人差が大きいので軟骨下骨のみで充分にスクリューが効くのなら、
内板を貫通することにこだわる必要は無いと思います。
今日の午前の手術は人工股関節全置換術(THA)でした。
6月は週2例ペースでしたが、今月にはいって週1例ペースに落ち着いてきています。
カップのスクリューの長さの選択方法について、私が思うコツを記載します。ドリリングの後にデプスゲージで長さを計測しますが、ゲージの先が小さいので上手く計測できないことが多いと思います。
あーでもない、こーでもないとゴソゴソしているうちにカップが動いてしまった!ということもたまにあります。これを回避する手段として、あらかじめドリリングの時点でスクリューの長さを計測する方法があります。
勤めている病院に納品される、ZIMMERのConverge cupならドリルは20mm・40mmで、StrykerのTrident HA cupならドリルは16mm・25mm・40mmです。ドリリングの際に、内板を貫く直前のガイドとドリル根元の位置関係で、例えば今は20mmの地点を削っているな、などと判断できるのです。
術後CTで確認していますが、この方法でスクリューの長さを選択しても、極端にスクリュー先が出ている症例はありませんでした。成書に記載するには微妙な内容ですが、ブログでなら気軽に書けるのがいいですね。
6月は週2例ペースでしたが、今月にはいって週1例ペースに落ち着いてきています。
カップのスクリューの長さの選択方法について、私が思うコツを記載します。ドリリングの後にデプスゲージで長さを計測しますが、ゲージの先が小さいので上手く計測できないことが多いと思います。
あーでもない、こーでもないとゴソゴソしているうちにカップが動いてしまった!ということもたまにあります。これを回避する手段として、あらかじめドリリングの時点でスクリューの長さを計測する方法があります。
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