人工股関節全置換術(THA)で気になる話題がありました。それは、カップにポリエチレンを設置する際に、スクリューヘッドがどの程度出ていても大丈夫かという疑問です。
狭い術野で手術を施行するので、カップホールからドリリングする際の角度がつき過ぎることが時々あります。大腿骨をうまく排除できればよいのですが、常に可能とは限りません。
このような場合、スクリューヘッドの一部がカップ内面からわずかに出てしまいます。実際には 1mmもない程度の突出なのでしょうが、肉眼的には「う~ん」と唸るレベルです。
このような場合でも、経験的にはほとんどの症例で問題ないと考えています。その理由は、きっちりポリエチレンがカップに設置できるからです。
ポリエチレンがわずかに歪んでしまい、ヘッドとポリエチレンの適合性に支障をきたす可能性も考える必要はないと思います。
何故そのように強弁できるかと言うと、以前にスクリューヘッドが派手に出ていることに気付かず、何度もポリエチレンを叩打して無理やり設置しようとしたことがあったからです。
この際は 3回転ほどスクリューが挿入されておらず、肉眼的にも明らかにカップ内面に突出していました。術野を直視し難かったため手の感覚だけで挿入を終了したことが原因です。
この症例では、何度叩打しても一向にカップ内に設置できませんでした。そして取り出したポリエチレンにはスクリューヘッド部分が窪んでいます。
おそらく、スクリューヘッドの端が少しカップ内面に突出する程度であれば、ポリエチレンに小さな窪みができて、スクリューヘッドの突出を吸収するのでしょう。
したがって、多少スクリューヘッドがカップ内面に突出していても、ポリエチレンをカップ内に設置することができればノープロブレムだと思います。
スクリューヘッド
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